ラウ(Vo/Syth)、ローリー(G)、クリス(B)、ロブ(Dr)からなる、ロンドン郊外のセント・オールバンス出身のバンド、Enter Shikari(エンター・シカリ)。ハードコア~メタル系バンド・サウンドと、ダブステップやトランス、レイヴといったエレクトロニック・ダンス・ミュージックの要素が融合したユニークな音楽性で、一躍脚光を浴びた人気バンドです。ハードなライブ・パフォーマンスでも話題を集め、デビュー・アルバム『Take To The Skies』(’07)は全英初登場第4位を記録。’09年にはセカンド・アルバム『Common Dreads』を発表しています。
そんな彼らが、待望のニュー・アルバム『ア・フラッシュ・フラッド・オブ・カラー』(A Flash Flood of Colour)をリリースし、<ENTER SHIKARI LIVE IN TOKYO 2012>(2/23)のために来日しました。というわけで、ここではメンバーのラウとローリーに、最新作『ア・フラッシュ・フラッド・オブ・カラー』の内容について聞いてみました。
Enter Shikari『A Flash Flood of Colour』インタビュー
__『ア・フラッシュ・フラッド・オブ・カラー』はUKチャート4位を記録し、USチャートでも健闘を見せていますね。今作と今作のリアクションについては、どのような自己評価をしていますか?
ラウ「このアルバムについては、とってもハッピーで、満足で、誇りにできる出来映えだと思っているよ。実際に反応も良いしね。で、今回特に感じているのは、ネットを通じての反響が増えたってことかな。例えば、Facebookへの書き込みとか」
ローリー「僕もラウ同様の感想だね。このアルバムは、僕が想像していた以上の仕上がりになったと思っているよ」
__今作はサード・アルバムになりますが、制作を通じて一番トライしてみたかったことは何でしたか?
ローリー「特に意識して取り組んだことはなかったかな。前作をリリースして以降に影響された物事が、自然と音楽的に反映されたアルバムになったと思う。これまでの経験が自信につながっていることは確かだね。この3作目をつくった時点で、自分達の音楽に対する達成感みたいなものはあったから」
ラウ「オーガニックなプロセスを大事にしながら制作していったから、特に意識的コレはこうじゃないといけない、みたいなことはなかったよ」
__今作では、プロデュースにダン・ウェラー、ミックスにメタリカやAC/DCとの仕事で知られるマイク・フレイザーを起用していますが、レコーディング面に関しての変化は何かありましたか?
ラウ「ダン・ウェラーは僕らの隣街の出身で、年齢もちょっと上なだけだから、音楽的に似た環境で育ってきたんだ。彼が観ていたバンドのことを僕らもよく知っている、といった感じでね。だから、僕らの音楽をよく理解してくれているし、仕事もしやすい。ダンは、音の細かい部分、完璧じゃない部分をピックアップできる才能を持っているから、そういう意味でも彼をプロデューサーに迎えて正解だったと思うな」
ローリー「そして、褒め上手なんだ(笑)。だから、リラックスできて、楽しかったよ。彼はクリエイティブなアイディアをいっぱい持っているんだけど、決してそれを押し付けてはこないんだ。実験に対してオープンな姿勢なのも良かったね」
__サウンド面では、バンド・サウンドとエレクトロニック要素が、これまでで一番ナチュラルに融合している印象をうけました。これは、マイク・フレイザーの力も大きかったのでしょうか?
ラウ「僕らのサウンドは、決して“ノーマル”なものじゃないから(笑)、マイクは大変だったんじゃないかと思う。サウンド面で一番こだわったのは、各楽器、各パートのシークエンスがどう重なるか、かな。それぞれのサウンドが、ちゃんとクリアに聞こえるようにしたかったからね」
ローリー「マイクはカナダに住んでいるから、ミックスのやりとりはEメールやスカイプで行ったんだ。曲によっては、10回くらいやり取りを繰り返したよ。“ココはもっとキックドラムの音を上げたい”とか“エレクトロニクスのパートを強調したい”とか、かなりリクエストを出した。もちろん、結果にはすごく満足しているよ」
__で、今作からは、まず「Sssnakepit」がいち早く公開されましたね。この曲はどのようにして誕生した曲ですか?
ラウ「「Sssnakepit」は、アルバムに入っている他の曲とちょっと違うんだ。で、オールドスクールのジャングル~ドラムンベースの要素と、ストレートなハードコア・パンクの要素を取り入れた曲かな。もともとあったベースラインに、全く異なる二つの要素を取り込んだんだ。結果的に、すごくポジティブなパーティー・チューンに仕上がったね。曲名~歌詞に関しては、人生に行き詰まっている時、穴に落ちてしまったような気持ちの時に、そこからどうやって自分をポジティブな気持ちにして頑張っていくのか、というような内容さ」
__分かりました。では、“A Flash Flood of Colour”というアルバム・タイトルの由来と意味合いについて教えてください。
ラウ「この言葉は、アルバムに入っている「Warm Smiles Do Not Make You Welcome Here」って曲の歌詞の一節からとったものなんだ。意味としては、あふれるような感情や感覚、様々な音、色…といった感じかな。ポジティブなパワーを表現したかったから、このタイトルにしたんだ」
__実際、今作にはヴァラエティー豊かな楽曲群が収録されていて、正にカラフルですね。今回の曲づくり〜レコーディングは、バンドとしての創造力がピークに達した状態で、パワー漲る感じだったんでしょうか?
ローリー「そうだね。今回はまぁ絶好調というよりも、制作期間を十分に取ることができたんだ。だから、アルバムのアイディアを発展させていく時間がたくさんあった。実際にスタジオに入るまでに、何ヶ月もクリスの実家の庭にある小屋で練習できたしね。そういう意味では、今回は準備万端で、早くスタジオに入りたいって感じだったね」
ラウ「ただ、もうすぐクリスは実家を出ちゃう予定だから、今後はその小屋を使えるのかな、どうなるかな」
__そうなんですか。そのクリスの庭は、バンドを結成した頃から練習してきたスペースですもんね。ところで、ラウとローリーにとって、今作の中で一番その出来映えに満足している曲は何になりますか?
ラウ「僕は、「Constellations」かな。これまでにはなかった曲で、達成感があった。今回の曲のほとんどはツアー中に書いたものなんだけど、この曲は完成させるのに一番苦労したんだよね。歌詞は、タイにレコーディングで滞在していた最後の週に、部屋に籠って書き上げた。曲調に合う詞を書くのが大変だったな」
ローリー「僕は、「Pack Of Thieves」さ。この曲は、僕がバンドに入った頃からベースとなる要素があったんだけど、それにいろんな要素を足していって、今回やっとようやくエンター・シカリの曲として完成させることができたんだ。だから、でき上がった時はとても満足感があったよ」
__最新PV曲の「Arguing With Thermometers」は、どのようにして誕生した曲ですか?
ラウ「この曲のPVは、初めてUK国外に出て、ニューヨークで撮ったんだ。映像のアイディアは監督が出したんだけど、ユニークで面白かったね。曲自体にはポリティカルなメッセージがあって、石油会社などが目先の利益に走って、我々の住む地球の環境を破壊していることについて歌った内容になっているんだ」
__現代社会とシリアスに向き合うエンター・シカリの姿勢は、今作でも健在なんですね。
ラウ「もちろんさ。それこそが、僕らがハードコア・パンク・シーンから一番学んだことだよ。僕らはハードコア・パンクのシーンから出てきたバンドなんだ。自分達の納得のいかないことに立ち向かう姿勢は、僕らが実際に音楽を始める前から培ってきたものだから、当然なんだけどね。あいまいなことを歌ったり、暗に暴力を肯定しているような歌なんてつまらないよ。自分達の音楽を通じてリアルな出来事を表現して、情熱的なことを歌うのは当たり前だし、そうじゃなきゃ音楽をやる意味もないだろう?」
tanslation Kyoko Watanabe Barbosa
interview iLOUD
【リリース情報】
Enter Shikari
A Flash Flood Of Colour
(JPN) Ambush Reality/Hostess / CDAMBR015J (HSE-30280)
発売中
HMVでチェック
tracklist
01. System…
02. …Meltdown
03. Sssnakepit
04. Search Party
05. Arguing With Thermometers
06. Stalemate
07. Gandhi Mate, Gandhi
08. Warm Smiles Do Not Make You Welcome Here
09. Pack Of Thieves
10. Hello Tyrannosaurus, Meet Tyrannicide
11. Constellations
12. Quelle Surprise*
13. Destabilise*
14. Sssnakepit (Rout Remix)*
*日本盤ボーナストラック
【オフィシャルサイト】
http://hostess.co.jp/entershikari
http://www.entershikari.com/
【VIDEO】