英ロンドン出身のシンガー/ラッパー、エリオット・グリーヴのプロジェクト、エグザンプル(Example)。2007年に、マイク・スキナー(The Streets)をプロデューサーに迎えた『What We Made』でアルバム・デビューした彼は、Calvin HarrisやSub Focusが参加し、UKチャート4位を記録したセカンド・アルバム『Won’t Go Quietly』(’10)で大ブレイク。一躍イギリスを代表するポップスターと駆け上がったアーティストです。翌2011年には、EDM系のプロデューサーをより多く起用したサード・アルバム『Playing In The Shadows』をリリースし、なんとUKチャート初登場1位に。シングルの「Changed The Way You Kiss Me」「Stay Awake」もUKチャート1位となり、その人気を不動のものとしています。
そんなエグザンプルが、通算4作目となる最新アルバム『The Evolution Of Man』(’12)の日本盤を、3/6にリリースします(日本盤のみ5曲ボーナストラック収録)。アルバム収録曲の「We’ll Be Coming Back」(Calvin Harrisとのコラボ曲)と「Say Nothing」(Dirty Southとのコラボ曲)が、既にUKチャート2位のヒットを記録している本作。その内容は、Calvin Harris、Dirty Southの他、旬のEDMプロデューサーであるAlesso、Tommy Trash、Feed Me、Dada Life、Laidback Lukeや、さらにエグザンプルとルーツを共にするSkreamやBenga、Flux Pavilionらとのコラボレーション曲を、彼独自のテイストでまとめ上げたユニークなものとなっています。
ここでは、本作『The Evolution Of Man』の内容について語った、エグザンプル本人のインタビューをご紹介しましょう。
Example『The Evolution Of Man』インタビュー
__最新アルバム『The Evolution Of Man』は、全英チャート1位を記録した『Playing In The Shadows』(’11)に続く作品ですね。比較的短期間でのリリースにも感じますが、制作はいつ頃スタートしたのでしょうか?
「そんなに早くもないと思う。デヴィッド・ボウイは長い間毎年アルバムをリリースしていたし、リアーナだって毎年アルバムをリリースしている。時代は変わってないと思うし、みな音楽をつくって常に成長していくことが必要さ。僕はアーティストであって、常に音づくりをしていなければならない。周囲に“次のアルバム制作を始めれば?”とか、指示されたくないよ。で、質問の答えとしては、このアルバムの制作を開始したのは、2012年の1月だったよ」
__前作『Playing In The Shadows』に対する反響については、ご自身の中ではどのような感想をお持ちですか?
「リアクションがすごかったし、こんなに反響をもらえるなんて思ってもいなかったよ。でも、自分たちのやっていることに自信をもっていたし、楽曲はライブでとても良かったし、僕ら自身とても楽しんでいたし、ファンもレーベルもこのレコードを非常に気に入ってくれたことが、UKナンバーワン・レコードにつながったんじゃないかって思ってる。今まで1位になることなんて考えたことなかったけど、まずはファンに気に入ってもらえて、ライブを観に来てもらえるような、良いアルバムをつくりたいね」
__今作は、前作以上に多彩なプロデューサー、アーティスト陣が参加したアルバムとなっていますね。どのような内容のアルバムを目指したのでしょうか? アルバムのテーマやコンセプトがありましたら、教えてください。
「僕の音楽をつくる目的は、いつもライブでみんなに楽しんでもらえる曲をつくることなんだ。そしてコンセプトは、エレクトリック・アルバムにグランジやブリット・ポップのアティテュードを持ち込むことだった。実際、ブラーのGraham Coxonがギターで参加してくれたよ」
__音楽的には、様々なプロデューサーが関わりつつも、全体的にバンドとしてのサウンドも重視した内容になっていると感じました。
「意識したのは、収録曲すべてをライブでプレイできるかどうかっていうことだったよ。エレクトリックの部分が強くなりすぎず、ベース・プレイヤーはベースのパートを演奏でき、ドラマーはリズムをキープすることができる、ということだね。バンドでのライブは最高さ。とってもラウドで、エネルギーにあふれている。それはDJだけでは再現できない。そういう理由で、エレクトリック・ミュージックをやっているアーティストでも、個人的にはライブをできるアーティストが好きだな」
__なるほど。
「あと、メインのコンセプトは、やっぱり前作がそうであったように、楽曲を超えた歌詞の内容さ。歌詞は様々だけど、ほとんどの曲に僕がどういう風に振る舞ってきて、大人へと成長してきたかっていう、個人的な経験が織り込まれている。歌詞は、常に僕の音楽の中で大切な部分なんだ。子どもの頃はラップに影響を受けたし、言葉のパワーは決して無視できないね」
__今作の参加プロデューサー陣は、Dirty South、Calvin Harris、Alesso、Tommy Trashなど、EDM系アーティストとのコラボレーションが特に際立っている印象も受けました。彼らとタッグを組んだ経緯や理由についても教えてください。
「理由は簡単なことなんだ。僕は、彼らのやっていることをリスペクトしているし、彼らが普段やっている音楽とはちょっと違っても、僕の音楽制作に参加することを頼めるくらい、僕らは近い関係なんだよ。この音楽的な違いが、さらに彼らとの制作に没頭させたかもしれない。この方式はうまくいったよ。Dirty Southのようなアーティストは、違った楽器を弾くし、違ったプログラミング、エンジニアリング、そしてプロデュースをする。彼らはDJでもあるから、ライブでは何が上手くいくか、クラブでは何がウケるかを分かっているんだ。彼らを選んだ理由は、そういうことかな」
__今作には、一方でSkream、Benga、Zane Loweらと組んだ、いかにもイギリス的なコラボレーションも行っていますね。
「僕は、これまで7年間UKのアンダーグラウンド・シーンと関わりを持って、常に良質なミックステープや音をつくったり、UK各地のクラブなどでライブをやってきた。1,500回くらいはライブをしていると思うよ。そうすることで、みんなと親しくなれるし、それぞれの音楽へのリスペクトも生まれるんだ。Skreamとは、マイアミのダンス・コンファレンスで会ったし、Zane Loweは、僕が初めて公式リリースした音をかけてくれて、彼との出会いも自然だったな。Bengaは、Skreamとかなり仲がいいから、そういうわけでダブルアクトになった。今では、みんなとてもよい仲間だよ」
__アルバム・タイトル曲「The Evolution Of Man」は、どのようにして誕生した曲ですか?
「このアルバムは、成長するということ、大人になるということがテーマだから、そのテーマを反映しているタイトルを選んだんだ。“evolution”の部分は、僕が人生をふり返って、違う生き方をしようって思った時のことを差している。だから、歌詞に”I’m getting better”というパートがあるんだ。このタイトルはとても気に入っているよ」
__Calvin Harrisと組んだシングル「We’ll Be Coming Back」は、どのようにして誕生した曲ですか?
「僕がパリにいた時、彼がビートを送ってきてくれたんだ。今でも覚えているんだけど、ステージから降りてこの曲を一回聴いただけで、“これは大ヒットになる”って言ったんだ。以前、僕の2枚目のアルバム『Won’t Go Quietly』に収録されている「Time Machine」を一緒につくったり、2008年には彼のツアーの前座を務めたりもしたから、この曲を一緒につくるのは自然なことだったよ」
__Dirty Southが参加したシングル「Say Nothing」は、どのようにして誕生した曲ですか?
「前作の時、Dirty Southと一緒にLAで「Anything」という曲を制作したんだ。で、今作では「Say Nothing」「One Way Mirror」「All My Lows」の3曲を、メルボルンで一緒にレコーディングした。彼とはとても仲が良い友達で、また近々一緒に音楽をつくる予定さ」
__ちなみに、今作の中であなたが特に気に入っている曲は何ですか?
「変化するんだけど、今のお気に入りは「All My Lows」だね。理由は、この曲がエモーショナルで、僕にとって個人的な意味があるからさ。美しい曲だと思うし、とても誇りに思っているよ」
__ところで、アメリカのシーンを中心に一大ムーブメントとなっているEDM自体については、どんな印象をお持ちですか?
「エレクトリック・ミュージックは常に発展している。それはテクノロジーが理由だったり、ジャンルとしてのムーブメントだったりするけど、今のシーンはとても良いと思うよ。音として良いしね。最近UKでは、Disclosureのようなアーティスト、ディープ・ハウスやガラージがたくさんある」
__そうですね。
「聞いた話によると、アメリカではまだほとんどの人が、ダブステップ、ディープ・ハウス、テクノなどの違いが分からないらしいんだ。だから“EDM”でひとくくりにするって。で、今はEDMが影響を与えるきっかけをつくっている。僕らにとっては、どんな形のエレクトリック・ミュージックでも、好きになってくれることはありがたいよ。アメリカは、きちんとやればライブをやる良い環境を与えてくれたり、良いライフ・スタイルを与えてくれる国さ」
__最後に、Exampleの次なる活動目標について教えてください。
「次のアルバムにすぐ着手する予定さ。ノンストップでツアーをしているから、ツアー・スケジュールをチェックしてね!」
【リリース情報】
Example
The Evolution Of Man
(JPN) avex trax / AVCD-38622
※ 歌詞・対訳、解説付
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tracklist
01. Come Taste The Rainbow
02. Close Enemies (Album Version)
03. Perfect Replacement
04. Crying Out For Help
05. Queen Of Your Dreams
06. Say Nothing
07. All My Lows
08. The Evolution Of Man
09. One Way Mirror
10. Snakeskin
11. Blood From a Stone
12. Are You Sitting Comfortably?
13. We’ll Be Coming Back (Calvin Harris & Example)
14. Someone To Die For (Example & Dillon Francis) *
15. Whisper (Example Vs. AN21 & Max Vangeli) *
16. Eutopia (Fade Away) (Example & Laidback Luke) *
17. Daydreamer (Example & Flux Pavilion) *
18. Say Nothing (Banvox Remix) (Radio Edit) **
* ボーナストラック
** 日本盤限定ボーナストラック
【オフィシャルサイト】
http://www.avexnet.or.jp/example/index.html
http://www.trythisforexample.com/
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