FIDLAR『FIDLAR』インタビュー


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ザック(Zac Carper)、兄弟であるエルヴィス(Elvis Kuehn)とマックス(Max Kuehn)、そしてブランドン(Brandon Schwartzel)からなる、LA出身の4人組ガレージ/パンク・バンド、FIDLAR(フィドラー)。2009年に自然発生的にバンドが誕生すると、スケート・パークやD.I.Y.のハウス・パーティー等で破天荒なライブを開始し、その活動が海外のブロガーなどを通じで話題となり、インディー・シーンを中心に注目を集めるようになった新星です。

そんなFIDLARが、デビュー・アルバム『FIDLAR』をリリースしました。ザックのベッドルームをスタジオにし、ザック曰く“自分たちの好きなように曲を書いて、好きなようにレコーディングした”という本作。その内容は、ガレージ・バンド、パンク・バンドらしい荒々しく騒々しいサウンドを基調としながらも、楽曲自体はバラエティー豊かで、彼らの音楽的センスが光るユニークなものとなっています。彼らの日常をそのまま歌にした歌詞の内容も、聞き逃せないポイントでしょう。

ここでは、本作『FIDLAR』の内容とバンドの音楽的背景について、先日開催された<Hostess Club Weekender>で来日した、メンバーのザックに話を聞きました。


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FIDLAR『FIDLAR』インタビュー

__FIDLARは2009年に結成されたそうですね。もともと、どういうきっかけ集まったメンバーなんですか?

「もともと、俺はLAのレコーディング・スタジオで働いてたんだけど、その時の同僚がエルヴィス(Elvis Kuehn)なんだ。で、ある日、スタジオに俺とエルヴィスしかいないって時があってさ、だから二人で3時間ぐらいジャムったんだよ。その後にピザを吐くまで食って、そこでFIDLARがスタートしたんだ。ブランドン(Brandon Schwartzel)はマリアッチ奏者で、すげえベースがうまかった。マックス(Max Kuehn)は、なんかハリウッドで有名なテレビ番組に出てたんだけど、俺らが勧誘してFIDLARに入れたんだよね」

__バンド名をFIDLAR(Fuck It Dog Life’s A Risk:くそったれ、人生楽じゃねえ)した理由と経緯について教えてください。

「LAでスケートしてた時期に、幼なじみと偶然会ってね…俺はハワイと静岡で育ったんだよ。そいつらはみんなスケーターなんだけど、やつらの口癖が“FIDLAR”だったんだ。結局、その6人全員が俺の1Kアパートに引っ越してきて、一緒に暮らし始めた。で、ある日、泥酔した勢いで全員“FIDLAR”ってタトゥーを入れたんだよ。その後、さあバンドを始めようって時に、“FIDLAR”って最高の名前じゃん!ってことになったんだ」

__バンド結成当初の、バンドとしての音楽的目標というのは、どのようなものでしたか?

「目標は、目標を持たないことだったね。バンドがやりたかっただけなんだよ。レコーディングして、ライブしたい、それだけ。俺らはみんな、場当たり的な性格で、特に計画があったわけでもないからさ。好きなバンドはThee Oh Sees、Ty Segall、Black Lips…バンドを始めた頃にインスピレーションを受けてたのは、そういったバンドかな。精神的な影響では、ニコラス・ケイジとキアヌ・リーヴスが神的存在と言えるかも」

__では、アルバム『FIDLAR』について教えてください。アルバムを制作するにあたっては、どんな内容の作品を思い描いていましたか? 本作に収録されている楽曲群は、パンク~ガレージロックをベースにしつつも、とても曲調にバラエティーがあるものとなっていますね。

「2012年の初頭に、俺のベッドルームでレコーディングしたんだ。俺らは、ロックやパンク以外にそれぞれいろんな音楽が好きだから、アルバムにもそういった様々な要素が混じっていると思うよ。自分たちの好きなように曲を書いて、好きなようにレコーディングしただけだしね。特にどんなアルバムにしたいとかって、思い描いていたわけじゃないんだ。単に集まってレコーディングしてただけ」

__レコーディング自体はどのようなアプローチで行ったんでしょうか?

「レコーディングは、本当に試行錯誤だったよ。変わったマイクを片っぱしから使ったし、あらゆるアンプを試したし。それから、変わったペダルを通してなんでも鳴らしてみたりもした。スタジオも自分たちでつくったし、電気系統も自前でやったんだよね。だから、全部ちょっと壊れてるんだ」

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__演奏面やサウンドメイキング面でこだわったことは、何だったんですか?

「特に深い考えがあったわけじゃない。ただ、俺は以前から他のバンドをレコーディングするのが大好きだったし、FIDLARを始める前はそれを仕事にしていたこともあったから、大体どんなサウンドにしたいっていう、ざっくりとしたアイディアはあったよ。メンバー全員、それぞれのアイディアを持っていた。でも、結局はとにかくやってみて、あとは工夫と実験の繰り返しだったね。少なくとも、“ラウドなアルバムにはしたい!”とは思ってたかな。俺ら、みんなラウドなレコードが大好きだからさ」

__本作の制作で印象に残っているエピソード等がありましたら、ご紹介ください。

「一度、エルヴィスがパッチパネルにビールをこぼしたことがあった。で、どっかが壊れたと思って、エルヴィスもマジで焦ってさ、パッチパネルに向かって空気を吹き込みだしたんだ。ちょうど「Wait For The Man」をレコーディングしてる時だったから、その曲のタイトルは、しばらく「Blowing in the Patch Bay:パッチ湾に吹く風」だったよ」

__先行シングルの「Cheap Bear」は、どのようにして誕生した曲ですか?

「義理の兄貴とスタジオで喋ってた時に、出てきたんじゃなかったかな。俺が、“安いビールを飲んで悪いかコノヤロー、って曲を書きたい”って言ったら、兄貴が、“じゃあコーラスでそう叫べばいいじゃん”って言ってさ。それでこの曲ができたんだ。あの曲に書かれてることは、すべて実話だよ、全部実際に起こったことなんだ」

__CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)の映像を拝借したビデオも話題の「Gimme Something」は、どのようにして誕生した曲ですか?

「あの曲がどうやってできたのかは、全然覚えてないや。もともとアコースティックの曲だったんだけど、なぜか今の形になったんだ。CCRは大好きだよ」

__ところで、あなた達は歌の内容でも話題を集めていますね。詞の題材に関しては、どんなこだわりを持って取り組んでいるんですか?

「ほとんどが、その時に俺らがやってること、そのまんまだよ。このアルバムだと、曲のほとんどがパーティーについてだけど、当時はそういう生活だったからさ。でも歌詞の大部分は、結構暗い内容なんだよね。ずっと暗い曲ばっかり書いていた時期があってさ。でも暗いばっかりじゃなんだから、サウンド的にはなるべくハッピーな響きになるように心がけたよ」

__最後に、FIDLARの次なる活動目標を教えてください。

「世界ツアーをすること、世界征服すること、世界中でスケートとサーフィンをすること、さ」

interview iLOUD


【リリース情報】

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FIDLAR
FIDLAR
(JPN) Wichita/Hostess / WEBB355CDJ
1月30日 日本先行発売
※初回仕様限定盤のみボーナストラック・ダウンロードコード付ステッカー封入(フォーマット:mp3)
※ボーナストラック2曲、歌詞対訳、ライナーノーツ付
HMVでチェック

tracklisting
01. Cheap Beer
02. Stoked and Broke
03. White on White
04. No Waves
05. Whore
06. Max Can’t Surf
07. Blackout Stout
08. Wake Bake Skate
09. Gimmie Something
10. 5 to 9
11. LDA
12. Paycheck
13. Wait for the Man
14. Cocaine
15. Shitty Jobz(ボーナストラック)
16. I’m Going Nowhere(ボーナストラック)

ダウンロード曲目(mp3)
「Shit We Recorded In Our Bedroom EP」

【オフィシャルサイト】
http://fidlar.tumblr.com/
http://www.facebook.com/fidlarLA
http://hostess.co.jp/

【VIDEO】


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