Alan Braxe(Stardust『Music Sounds Better with You』(’98)のメンバーとしても知られるアーティスト)のプロダクション・パートナーとして、2000年にVulture MusicからAlan Braxe & Fred Falke名義のシングル「Intro」でデビューして以来、Alan Braxeとの共同名義での作品はもちろん、ソロとしても数多くのフロア・ヒットを送り出してきたドイツ人プロデューサー(現在はフランス在住)、Fred Falke。ディスコやフュージョンをベースにした、彼独自のソフィスティケイトされたロマンティックなサウンドは、同業アーティスト筋でも信奉者が多く、ケシャ、ケイティ・ペリー、U2、ジャミロクワイといったメジャー系アーティストから、デジタリズム、ジャスティス、ラ・ルー、リトル・ブーツ、ゴシップ、アニー、メトロノミーといったアーティストまで、これまでに彼が依頼を受けたリミックス・ワークは枚挙にいとまがありません。
そんなFred Falkeが、初のアルバム作品『Part IV』を日本リリースしました。彼がこれまでにWork It Babyからリリースしてきた「Love Theme」や「808 PM At The Beach」、「Chicago」といったトラックを中心にまとめたもので、抒情的でありながらほど好くファンキーな、Stardust直系とも言えるストロングなフロア・バンガーを多数収録した好作品です。
ここでは、本作『Part IV』の内容とその音楽的背景について語った、Fred Falkeのインタビューをご紹介しましょう。
FRED FALKE『Part IV』インタビュー
__今回の『Part IV』があなたのデビュー・アルバムとなるわけですが、Alan Braxe & Fred Falke名義で最初のシングルをカットしてから数えると、もう十数年の時が流れています。アルバム・リリースにこれほど時間がかかった理由は何だったのでしょうか?
「ダンス・ミュージックは、もともとアルバムというよりもシングル文化だからね。僕も、他の多くのアーティストと同じように、自然の成り行きに身をまかせながら、一つずつ楽曲を発表してきて、まぁ、ようやく機が熟したというか、そういうタイミングなのかなと思ったんだ。実際この作品は、アーティスト・アルバムというよりは、過去に発表してきたシングルを中心にセレクトした、トラック集のような位置づけの作品だと思う」
__なるほど。
「でも、ほとんどの楽曲がヴァイナルでしか聴くことができなかったものだし、こうしてCDにまとめて、また新しいオーディエンスのもとに楽曲を届けられるようになったというのは、とても喜ばしいことだよ」
__アルバム・タイトルが“Part IV”なのは、どうしてですか?
「これがWork It Babyからの4枚目のリリースだからなんだ。自分のここまでのキャリアを総括する作品だと思ったから、ちょうどいいかな、と。第一章の終り、そしてそれは同時に、新たな章の幕開け、という側面もある」
__ギターやベースは、ほとんどご自身の演奏なんですか?
「そうだね。「808 @ The Beach」「Chicago」「Look Into Your Eyes」「Aurora」あたりは、全部自分で弾いたよ。1969年製のフェンダーのプレシジョン・ベースを使ってるんだけど、低域の音が本当に素晴らしいベースなんだ。「Love Theme」のベースラインはミニ・ムーグさ」
__ロイ・エアーズ「Chicago」をカバーしたのはなぜですか?
「この曲は、僕の中でも指折りのフェイヴァリットだったからね。ロイ・エアーズも好きだし、シカゴ・ハウスも好きだし、両方へのリスペクトを込めて、こういうスタイルでカバーしたんだ」
__ボーカルのTeff Balmerは、どのような方なんですか?
「古くからの友達で、オールドスクールなスタイルの、素晴らしいDJでもあるんだ。普段はスタジオ・ワークが中心なんだけど、彼のレコード・コレクションがまた凄くてね。膨大な量のレコードを所有していて、あらゆるスタイルのダンス・ミュージックに精通している。素晴らしいヤツだよ」
__ちなみに、ご自身のプロダクションにおいて、フレンチ・タッチからの影響というのはありますか?
「いいや、ないね。むしろトッド・テリーとか、レーベルで言うとHenry StreetあたりのUSレーベルからの影響が大きいと思う。Mike Delgado「Bird Man’s Revenge」が最大のお気に入りさ。ハウス・ミュージックの歴史を感じるトラックだよね。僕は、ハウス・ミュージックから大きなインスピレーションを受けてきたんだ」
__子供の頃はどのような音楽を聴いていたのですか?
「実は日本のアニメ音楽が、とても大好きだった。主題歌だけじゃなくて、挿入歌やBGMも含めて、アニメ音楽を繰り返し聴いていたよ。羽田健太郎(「宝島」や「スペースコブラ」)、大野雄二(「ルパン三世」や「キャプテンフューチャー」)、菊池俊輔(「UFOロボ グレンダイザー」)あたりがお気に入りだった。当時、子供ながらに大きな衝撃を受けたね。いつか彼らと一緒に仕事できることを願っているんだ」
__そうなんですか。最近のお気に入り音楽、気になるプロデューサーなども教えてください。
「自分でプロデュースしている時以外は、わりとコマーシャルなポップ・ミュージックを多く聴いているかもしれない。ラジオで流れてくるようなポップ・ソングが好きなんだ。素晴らしい楽曲に、タイムレスな歌。結局はそういうのがいいんだよね」
__ところで、あなたの日本に対するイメージはどんな感じでしょう。日本でDJをしたことはありますか?
「残念ながら、まだないんだよね。いつか日本でプレイしてみたいよ。音楽に対してものすごい情熱を持った人々がいる、という印象だよ。プライベートで何回か訪れたことがあるんだけど、レコード・ショップとか、とても品ぞろえが充実している。行くたびに、スーツケースをレコードでいっぱいにして帰ってるよ」
__今後の予定について教えてください。
「The Knocksとシングルをリリースする予定で、いま準備している。夏には、LAであるソングライターと新しい音源をレコーディングすることにもなっている。まだ詳しくは話せないんだけど、期待していてもらいたいな」
【リリース情報】
FRED FALKE
Part IV
(JPN) Work It Baby/ritmo calentito / RTMCD-1021
発売中
HMVでチェック
tracklisting
01. 808 PM At The Beach
02. Back To Stay
03. Last wave
04. Electricity – Feat. Kris Menace
05. Omega Man
06. Bare Knuckle
07. Aurora
08. Chicago – Feat. Teff Ballmert
09. Wait For Love – Feat. Savage
10. Look Into Your Eyes
11. Love Theme
12. Memories
【オフィシャルサイト】
http://www.facebook.com/fredfalke
http://calentito.net/
【試聴】