Gaz Coombes『Here Come The Bombs』インタビュー


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ブリット・ポップを代表する人気バンド、スーパーグラス(Supergrass)のフロントマンとして、2010年にバンドが解散するまで勢力的に活動を展開してきたギャズ・クームス(Gaz Coombes)。彼が、5月に初のソロ・アルバム『Gaz Coombes Presents… Here Come The Bombs』(ヒア・カム・ザ・ボムズ)をリリースし、先日6/23(土)、6/24(日)に恵比寿ガーデンホールで開催された<Hostess Club Weekender>で、来日を果たしました。ちなみに来日は、2010年の‪ザ・ホットラッツ‬(The Hotrats:ギャズ・クームス、ダニー・ゴフィー、ナイジェル・ゴッドリッチが結成したカバー・バンド)以来になります。

というわけで、ここでは来日したギャズ・クームスに、初のソロ・アルバム『Gaz Coombes Presents… Here Come The Bombs』の内容と今後の展望ついて、話を聞いてみました。早速どうぞ。


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Gaz Coombes『Gaz Coombes Presents… Here Come The Bombs』インタビュー

__まず、今回のソロ・アルバム『Here Come The Bombs』をつくる構想は、スーパーグラスの時代からなんとなく心の中にはあったんですか?

「スーパーグラスをやっていた時は、バンドのことに100%集中していたから、自分のソロ活動のことなんて考えたことがなかったよ。でもスーパーグラスが解散して、それでも僕は曲を書き続けていたから、自然とソロ活動をやることになった…という感じかな。特にソロでやる決心を固めてスタートしたわけじゃないよ」

__では、もしバンドが続いていたら、『Here Come The Bombs』に限らずあなたのソロ作品を聴けるチャンスはなかったんですね。

「かもね(笑)。スーパーグラスの頃は、アルバムを出したらツアー、ツアーが終わったら制作と、リリースとツアーの繰り返しだったからね。他に何かをやる時間なんて持てなかったんだ。今は自分のやりたいことを考えたり、それを追求できる時間もあるから、そういう意味では嬉しいかな。ただまぁ、今後もソロで何作かは出すだろうとは思うけど、それ以外にも他のバンドのプロデュースとか、いろいろやってみたい。いろんなことにチャレンジできる時間があるからね」

__分かりました。では、そんな新たな活動の第一歩となる『Here Come The Bombs』について教えてください。本作では、あなたの音楽的興味や趣味を反映した作品にしたかったそうですね。具体的にはどのような内容、アプローチの作品にしたかったんですか?

「アルバムを通して、全体的につながっている側面もあるけど、本当に自由な内容のアルバムにしたかったんだ。だから、何か一つの事柄に焦点を絞ったりとかはしていないよ。歌詞に関しても、自分が日々の中で興味を持ったり、驚いたりした物事を反映した内容になっていると思う。例えば、戦争、愛、性、創造…そういった自分のアタマの中にある雑多なものだね。だから、特定のテーマみたいなものはなかった」

__音楽的には、UKの’60年代後半〜’70年代の音楽からの影響を感じさせるサウンドが、一つポイントになっているようにも感じました。そういった点も特に意識はしてませんでしたか?

「僕は音楽をつくる時、他のアーティストの作品は聴かないんだ。誰々っぽいサウンドにしようとか、そういったことは考えない。ただただ自然にアルバムを完成させていっただけなんだ」

__本作では、ほどんどの楽器をあなたがプレイしたそうですね。スーパーグラスの時とは曲づくりやレコーディングのプロセスが違ったと思うのですが、どの辺りに新鮮さを感じたり、反対に難しさを感じたりしましたか?

「そうだね。作品に取りかかるにあたって、アプローチはかなり違ったよ。曲づくりもレコーディングも、バンドとは違うものだったね。今回は、自分のプログラミングしたビートで曲を仕上げていくことが多かった」

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__全体的にオーガニックでありつつ、8曲目の「Fanfare」や、続く「Break The Silence」は、そのプログラミングしたビートを大胆に使用した楽曲になっていますね。

「このアルバムでは、本当にいろんなビートを使ったよ。いろいろ実験もしてみた。例えば生ドラムの音を録って、それをループに組んで使ってみたりとかね。で、各曲に合わせて、どのドラム・サウンドが良いのか探っていったんだ。「Fanfare」に関しては、当初は生ドラムの音を使っていたんだけど、何か違うな…って思ってプログラミングしたビートを入れてみたら、すごく楽曲が良くなったね。新しいアプローチと古いアプローチを上手く融合できたと思う。ボーカルも、歌うというよりも話すような感じで、それも含めて曲として上手くまとまったと思う」

__他に、実験してみて特に面白かった曲、手応えを感じた曲はどれでしたか?

「サウンドスケープをつくっていく作業は、どの曲でもクリエイティヴで楽しかったね。例えば「Universal Cinema」では、アコースティックなリフに対して、他のいろいろな要素を加えていったんだけど、試しにヴァイオリンを弾いて、その音にさらにエコーやリヴァーブといったエフェクトを足したりしながら、サウンドスケープを描いていった。僕、ヴァイオリンは弾けないんだけど(笑)、楽しい実験だったよ。まるで音を発明していくような感覚だった」

__シングル曲の「Hot Fruit」は、どのようにして誕生した曲ですか?

「’70年代後半にThis Heatって実験的なバンドがいたんだけど、とても不思議な曲があるんだ。ひたすらループが続く曲で、とにかく奇妙なんだ。『Health & Efficiency』(’80)って作品に入ってるよ。「Hot Fruit」の元のアイディアは、実はそのThis Heatの曲にインスパイアされたもので、まずはオフビートのループをつくって、4つ打ちのビートを乗せてみたら、すごくかっこいい感じになってね。そこから曲に仕上げていったよ」

__このアルバムを、“Here Come The Bombs”というタイトルにした理由は何ですか?

「このタイトルは、アルバムの1曲目「Bombs」にある歌詞の一部から取ったんだ。アルバムをつくっていく中で、この曲の歌詞には、アルバム全体に通じるメッセージ性があると思ってね」

__ところで、今回のライブ・メンバーは、アルバムにも参加したミュージシャンがほとんどなんですか?

「いや、全く違うよ。みんなライブのために集まったメンバーで、レコーディングには携わってないんだ。アルバムが完成してから2〜3ヶ月後に、ライブ・メンバーとして声をかけた。で、みんなでプレイしてみたら、僕も自分の曲なのに忘れている部分があったりして(笑)、曲を覚え直したり、お互いに教え合ったりして、それも楽しかったよ。ライブ・メンバーは、昔ライド(Ride)にいたロズ(Laurence Colbert)がドラム、僕の弟のチャーリー(Charly Coombes:元22-20s)がキーボード、スプリング・オフェンシヴ(Spring Offensive)ってオックスフォードのバンドにいるジョー(Joe Charlett)がベースさ。みんな友達だよ」

interview iLOUD


【リリース情報】

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Gaz Coombes
Gaz Coombes Presents… Here Come The Bombs
(JPN) Hostess / HF001J (HSE-60101)
発売中
HMVでチェック

tracklisting
01. Bombs
02. Hot Fruit
03. Whore
04. Sub Divider
05. Universal Cinema
06. Simulator
07. White Noise
08. Fanfare
09. Break The Silence
10. Daydream On A Street Corner
11. Sleeping Giant
12. Hot Fruit (Live in Oxford) (ボーナストラック)
13. Sleeping Giant (Live in Oxford) (ボーナストラック)
14. Daydream On A Street Corner (Full Length Version) (ボーナストラック)

【アルバム全曲試聴】
http://hostess.co.jp/news/2012/05/001659.html

【VIDEO】

【オフィシャルサイト】
http://hostess.co.jp/
http://www.gazcoombes.com/

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