オーストラリアのメルボルンで活動していたDJ、ゼイヴィアとライオネルが結成したエレクトロ・ポップ・バンド、ジプシー&ザ・キャット。Myspaceにアップしたデモ音源が評判となり、本国のラジオで「Jona Vark」がプレイされると、一躍インディー・シーンで注目を集める存在となった新星です。昨年、UKのYoung And Lost Clubからリリースされ、即完売したシングル「Time To Wander」は、 Kitsuneのコンピにも収録され、さらなる話題を呼んでいます。
そんな彼らのデビュー・アルバム『ギルガメッシュ』が、この度日本でも8/3にリリースされます。ダンサブルなビートと、時にAORのムードを感じさせるメロディアスなサウンドを両立させた、ソフトでエモーショナルな楽曲群が詰まった注目作です。デヴィッド・フリードマンとリッチ・コスティという、名プロデューサー二名がアルバムの仕上げを担当している点も注目でしょう。
ここでは、本作の内容について、ジプシー&ザ・キャットのメンバー、ライオネルに話を聞きました。なお、彼らはサマーソニックで来日することが決定しています。
GYPSY & THE CAT
メロウなメロディーとドリーミーなサウンド奏でる、
オーストラリアの新星エレクトロ・ポップ・バンド
__あなた達は、もともとメルボルンでDJ活動をしていたそうですが、ジプシー&ザ・キャットを結成したきっかけは何だったのでしょうか?
「僕らは、もともとメルボルンのクラブでそれぞれDJ活動をしていたんだけど、ゼイヴィアとは音楽の趣味がすごく合ったから、すぐに意気投合したよ。ゼイヴィアは別のバンドとかで活動していたりしたんだけど、今までにインストの曲しかつくったことがなくね。で、ある日彼が僕の家に遊びに来た時に、彼のつくり溜めていた曲と僕のアイディアをかけ合わせて、曲づくりがスタートしたんだ」
__ジプシー&ザ・キャットを通じて追求してみたかったサウンドや音楽性とは、どのようなものだったんですか?
「僕らは、テーマを決めて制作することがないんだ。’70年代~’80年代のバンドも、最近のR&Bやヒップホップ、エレクトロなんかも好きだし、僕は小さい頃からクラシックをやっているから、クラシック音楽からの影響もかなりあるしね。ただ、二人で音楽を始めるにあたって、一番影響を受けたのはエールだった。エールを聴いて、ダンス・ミュージックにこだわらず、もっと形にとらわれない音楽をつくろうって思ったんだ」
__バンド名の由来は何ですか?
「『365 Bedtime Stories』という、子供向けのおとぎ話の本からとったんだ。その本の中に「Gypsy The Cat」という話があってね。当時、曲にできるネタは何かないかと探していたら、たまたまこの「Gypsy The Cat」という話を見つけたんだ。で、いい名前だと思って、タイトルの間に“&”を入れて、ジプシー&ザ・キャットっていう名前にしようってことになったんだ」
__では、初のアルバム作品『ギルガメッシュ』について教えてください。アルバムのテーマやコンセプトは、どのようなものでしたか?
「とにかく多彩なアルバムにしようって、二人で話していたね。曲によって影響を受けているものが異なるから、それぞれ違う曲に仕上がっていると思う。ゼイヴィアは、彼女と別れた時に曲づくりをしていたから、そのことからインスピレーションを受けていたかもしれないね」
__“ギルガメッシュ”というタイトルの由来を教えてください。
「「Gilgamesh」という曲があったから、アルバム・タイトルも“ギルガメッシュ”にしたらカッコいいんじゃないかと思ったんだ(笑)。あんまり深い理由はないよ。響きが気に入っただけっていうね」
__本作は、セルフ・プロデュースでレコーディング作業を進めて、ミックスはデヴィッド・フリードマンとリッチ・コスティにお願いしたそうですね。彼らとの作業はいかがでしたか?
「実は、彼らとはアルバム制作中に一度も会ってないんだ。僕らは当時ロンドンに住んでいていて、彼らはアメリカに住んでいたからね。だから、iTunes Streamingを使ってやり取りをしたんだけど、彼らは僕らが期待する以上の仕事をしてくれたよ。同じスタジオにいたわけじゃないから、そういった点での苦労はあったけど」
__ちなみに、一時ロンドンに拠点を移した理由は何だったんですか?
「僕らのレーベル・スタッフがみんなロンドンにいたから、アルバムをリリースするにあたっては、ロンドンに移住しちゃった方がスムースかなって思ったんだ。で、アルバムを完成させた今は、またメルボルンに二人で戻っているよ。最近は世界中をツアーすることが多くて、家にもあんまり帰れないから、ホームと呼べる場所が必要だし、オーストラリアは物価も安いからね」
__曲づくり自体は、どのように進めていきましたか? あなた達独自の方法やプロセスがありましたらご紹介ください。
「特に決まったプロセスっていうのはなくて、二人のアイディアをそれぞれ持ち寄って、スタジオにある楽器をいじりながら形にしていったよ。二人共同で曲をつくっていくから、役割も基本的に一緒だね。もちろん、僕の方が得意なこと、逆にゼイヴィアの方が得意なことっていうのはあるけど。ただ、曲のアイディア、プロデュースの部分は、同じ比重でやっているよ」
__あなた達の存在を広めるきっかけとなった「Time To Wander」と、最新シングル「Jona Vark」は、それぞれどのようにして誕生した曲ですか?
「Time To Wander」に関しては、音楽的な部分で言えば、3連音符を使った曲をやったことがなかったから、挑戦してみたかったんだ。ティアーズ・フォー・フィアーズっぽい雰囲気がある感じのをね。それをアップテンポでやってみようってことになって、あとは自然にできていったよ。歌詞は、旅が題材になっている。「Jona Vark」に関しては、女の子の名前を使った曲をつくろうと思って、つくったんだ。だから、当初はただ「Jona」という曲名だったよ。ジョナという女の子についての曲を書こうと思ってね。そうしたら、ゼイヴィアが“Jona Vark”(発音すると、ジャンヌ・ダルクの英訳“Joan of Ark”に聞こえる)という、言葉遊びのアイディアを思いついたんだ」
__あなた達は、8月にサマーソニックで来日しますね。フル・バンド編成でライブを行うそうですが、どんなパフォーマンスになりそうですか?
「僕らの曲は、もともとスタジアムやアリーナを意識してつくった曲が多いから、野外フェスなんかで聴いてもらった方が、より楽曲のスケール感を味わってもらえると思う。アルバムとは違うアレンジの曲もあるから、ぜひ楽しみにしていてほしいな」
__では最後に、ジプシー&ザ・キャットの次なる目標を教えてください。
「とにかく長く活動を続けることが目標だね。一枚でも多くのアルバムを出したいと思っている。時代やテーマに捕らわれない音楽を発表し続けて、世界中の人に素晴らしい音楽を届けたいと思っているよ」
【リリース情報】
GYPSY & THE CAT
Gilgamesh
(JPN) SONY / SICP3222
8月3日発売
HMVでチェック
tracklisting
01. Time To Wander
02. The Piper’s Song
03. Jona Vark (Album Version)
04. Gilgamesh
05. Sight Of A Tear
06. Human Desire
07. Parallel Universe
08. Breakaway
09. Watching me, Watching you
10. Running Romeo
11. A Perfect 2
12. Time To Wander (David Andrew Sitek Remix)
13. Time To Wander (MOPP Remix)
14. The Piper’s Song (Aeroplane Tape Remix)
15. Jona Vark (Van She Tech Remix)
16. Jona Vark (Shazam Remix)
17. Jona Vark (Starsmith Remix)
【オフィシャルサイト】
http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/SR/gypsyandthecat/index.html
http://www.gypsyandthecat.com.au/
http://www.gypsyandthecat.com