Heartsrevolution『Rie or Die』インタビュー


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ニューヨークを拠点に活動する、ロー(Leyla ‘Lo’ Safai, Vo)とベン(Ben Pollock, G/Keys/Vo)からなるインディー/エレクトロ・ポップ・デュオ、Heartsrevolution(ハーツレヴォリューション)。2007年に「CYOA (Choose Your Own Adventure)」でデビューし、2008年から2009年にかけて発表した「Ultraviolence」や「薔薇と彼女の王子」(『Kitsuné Maison Compilation 7』収録曲)で一躍脚光を浴びたアーティストです。ここ日本でも、2009年にサマーソニックで見せたパフォーマンスが反響を呼び、同年に『Hearts Nippon EP』をリリースしています。

しかし、その後は公式リリースがなく長い沈黙に入ってしまったHeartsrevolution。そんな彼らが、2013年の『Rie or Die EP』に続き、ついに待望のデビュー・アルバム『Rie or Die』(ライド・オア・ダイ)を4/2に日本先行リリースします(海外はKitsuné/OWSLAからのリリース)。2010年に制作をスタートし一度は完成させたものの、紆余曲折を経て昨年その大半をさらにつくり直したという本作。その内容は、彼ららしいパンキッシュでポップでダンサブルなサウンドが、旧来のイメージとはまたひと味違う形で表現されたものとなっています。

ここでは、本作『Rie or Die』の内容とその背景について、Heartsrevolutionのローに話を聞きました。


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Heartsrevolution『Rie or Die』インタビュー

__アルバム『Ride or Die』の完成、そしてリリースおめでとうございます。2008年に注目を集めたときから数えると、ずいぶん時間がかかったファーストアルバムとなりましたね。現在の心境はいかがですか。

「そう、ホント時間がかかったわ。遂に世界に向けてこの作品を発信できると思うと、」すごく興奮すると同時ににほんとホッとしてる」

__アルバムのリリースにこれだけの時間をかけたのには、何か特別な理由があったのでしょうか? ずいぶん以前からアルバムリリースの噂や情報は聞いていましたが。

「私たちは、本当に特別だと思うものには時間をかけて物事のやりとりしていて、その過程で今回はレコードレーベルとのサインが遅れちゃったんだけど、結果、それは私たちにとっては正しい判断となったとはいえ、実に一年半もかかったのよ。でも、全てのことには最終的に起こるべき理由があって、私たちが今回やったことも誇るべきことで、一夜でパッとはいかないことなのよね」

__本作は、ワールドワイドではKitsunéから、北米ではSkrillexのOWSLAからリリースされますね。OWSLAとの契約はどういう経緯で決まったんですか? ちょっと意外なレーベル名だったので驚きました。

「私たちが数年前にKitsunéと契約した時、彼らはまだ北米のリリース先を持ってなくて、そこが空いていたのよ。で、実はSkrillexが私たちのことを好きで、北米リリースのサポートをしたがってくれてたみたいでね。OWSLAもホント素晴らしい人たちばかりで、私たちの音楽もレーベルの他アーティストとは被ってなかったから、私たちのキャラクターをみんなかってくれて、熱心にリリースを誘ってくれたわ。それが理由ね」

__本作に先立って、あなた達は昨年『Ride or Die EP』をリリースしていて、その中の3曲は本作にも収録されていますが、その他の楽曲群の曲づくりや制作はいつ頃から進めてきたんですか?

「2010年にアルバム制作を開始して、一年のうちにはつくり終えてたのよ。それから遅れちゃったんだけど、誘惑に負けちゃってね、2013年には制作に戻って、マルバムの大半をやり直したわ。私たちも、このアルバムを最初にやり出した頃よりちょっとは成長したから、その経験をうまくいかした感じのアルバムにしたかったの」

__「Ride or Die」は、どのようにして誕生した曲ですか? また、本作のアルバム・タイトルを『Ride or Die』とした理由についても教えてください。

「実際、音楽制作を始めた頃は、クラブ仕様のきちんとしたダンス・シングルなんて一切つくってなかったにもかかわらず、私たちってなんとなくエレクトロのジャンルにいたと思うんだけど…アルバムに向けては、もちろんダンスできたり興奮できたり、直感的な音楽をつくりたかったんだけど、ただ4つ打ちビートのものはつくりたくないねって話してたわ。だから私たちはディスコ以前のダンス・ミュージックに目を向けて、自分たちのサウンドとそれらをミックスしてみたら、それが「Ride or Die」になったというわけ」

__なるほど。

「で、このタイトルは、ヒップホップを参考にしたの。つまり、誰かと共にいると良いことも悪いこともある、ってことね。この数年間、私たちは人生やパワーをこの歌の音楽制作に捧げてきた。全てをこの歌詞のなかに詰め込んで、自分たちから出る言葉を一切怖がらずにね。そんな気持ちが、私達にとって“Ride or Die”なのよ」

__実際にアルバムをまとめていくにあたっては、どんな内容にするのか、何かテーマやコンセプトはありましたか?

「とにかくオリジナルなもの、“誰か的”じゃないものをつくりたかったの。それで4つ打ちはやりたくなかったから、エレクトロな感じのダンス・サウンドをやるにしても基礎段階で何か違う要素を入れようと思って、最近のエレクトロでは聴かなくなった生ドラムのビートを入れてみたりした。とにかく私たちは、もっとロックンロール的なものをつくりたかったんだと思う」

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__歌詞の部分ではいかがですか?


「歌詞的なところでは、私たちは最近の音楽にはメッセージ性のないものが多いって思っていて、もちろんそれもクールだし、現実逃避としての音楽もアリだと思うんだけど、それは私たちのやりたい方向とは違っていたわ。聴いて楽しんでもらいながらも、私たちの音楽はその中にちょっとだけ重要なメッセージも忍び込ませていて、それが私たちにとっての、今の若い子達とコミュニケートしようとする重要な部分でもあるのよ。そう、ある意味で教育的な部分もある作品だと思うわ! で、歌詞はかなりシンプルだし、キッズ達も一緒に歌えるはずよ!」

__ファースト・シングル曲「KISS」は、どのようにして誕生した曲ですか?

「「KISS」は「Ride or Die」の時と同様に、ダンスものでもクラブっぽいものじゃない曲にしたかったの。でもこの曲に関しては、何かもっとメロディーがあって、’60年代のガールズ・グループにロックンロールのエッジを加えたような、ヴィンテージな感じのサウンドにしたかったわ」

__セカンド・シングル曲「Kishi Kaisei」は、どのようにして誕生した曲ですか? タイトルは、日本語の“起死回生”のことですよね?

「この曲は(アルバムにはリミックスバージョンを収録)、まずインスト部分だけが先にできたんだけど、実はその頃、私たちは曲を仕上げられなくなってたのよね。私たちがアルバムをつくる旅はレーベルの件で暗礁に乗り上げちゃって、音楽業界にありがちな話なんだけど、私たちは当時ストレスでホント疲れてしまったの。でもある瞬間、私たちは自分たちが感じる真逆のことをやらなきゃって思った。いまの気分を何かポジティヴなものに戻すためにね」

__はい。


「加えて、まだ私たちが初期の頃に「CYOA (Choose Your Own Adventure)」って曲を書いた時、実は曲のバックに“起死回生”ってフレーズを早口で、すぐにはわからないように差し込んだことがあったのよ、何かのおまじないみたいにね。バンドの発足当初から、このフレーズの意味には何か魅かれてたし。負け組が周囲の予想とは裏腹に大逆転して最終的には勝利する、この歌に正しくピッタリのタイトルだと思ったわ」

__なるほど。ちなみに本作の楽曲群は、聞き進めていくと8曲目「Vertigo」までと、9曲目「Brillianteen」からとで、サウンドの雰囲気、楽曲のテイストが変化しますよね? これには何か狙いがあるのでしょうか。

「私たちの人間性と音楽の根本的な部分に、子供っぽいナイーヴさと根っからの反抗心が並列して存在している、というのがあるわね。その2曲の境目もそのことを端的に表してるだけで、私たちはその二つの全く違った要素をお互い隣り合わせにして、あえてコントラストを出してるのよ」
 
__ところで、あなた達はスワロフスキーで覆ったキラキラのアイスクリームトラックもつくりましたね。YouTubeで拝見しましたが、そもそも、なぜつくろうと思ったんですか?

「アルバムの曲づくりからレコーディングまでの過程のなかで、実は並行してこの世界初のスワロスキークリスタルのアイスクリームトラックもつくったのよ。今までにない、第六感や子供心満載なモノにしたかった。スワロフスキーの協力でつくったんだけど、なんと100万個近くのクリスタルで一杯なの。で、なんとそのクリスタルはキング・オブ・ポップ(マイケル・ジャクソン)からのギフトなの! この双方のプロジェクトはある種とても大変で、大きなヴィジョンを持っていないとやれないことだったと思う。通常の、音楽だけをやってるなかではなかなか体験できないところだったから、まさしくマジックだったわ! トラックもアルバムも、次世代のキッズに向けて、彼らが大きな夢を持って本物の美しさを目の当たりにできるような、その礎をつくってるんだって感じたわ」

__トラックは、どのように活用していく予定ですか?

「いざツアーとなった時、このトラックを使うのはアリだよねって話になったの。まもなく私たちと一緒に、アルバム『Ride or Die』のツアーでお目にかかれることになると思うわ。トラックは、ニューヨークからマイアミ、そしてSXSWのためテキサスのオースティンに出払ってたんだけど、今はちょうどLAにあるから、そこでトラックと一緒にいくつかミュージックビデオを撮ろうと思ってるわよ。トラックは、その後はCoachellaかな」

__では最後に、Heartsrevolutionの今後の活動目標、次なるヴィジョンについて教えてください。

「直近は、まずCoachellaでプレイして、アルバムのリリース・パーティーをKitsunéと一緒にハリウッドのルーズベルトホテルで開催するの。で、ワールドワイドでは4月中旬にアルバムがリリースされて、目下は新しいライブの準備をしてるんだけど、すごくそれで興奮してるわ。あと、Studio Morossが私たちの次のミュージックビデオをつくってくれるのよ! その後のプランは、もうツアー、ツアー、それにツアー、それしかない感じよ!」

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【リリース情報】

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Heartsrevolution
Rie or Die
(JPN) Traffic / TRCP-155
4月2日発売
HMVでチェック

tracklist
01. Iscream Bombs
02. Ride or Die
03. Kishi Kaisei
04. KISS
05. Battleships
06. Digital Suicide
07. Kill Your Radio
08. Vertigo
09. Brillianteen
10. Heart vs The Machine
11. Gen wh(Y)
12. Heaven’s Gate
13. Final Destination ft. Esso
14. We Out…
Japan bonus track
15. Kishi Kaisei (Beataucue Remix)

【オフィシャルサイト】
http://heartsrevolution.com/
http://trafficjpn.com/
http://www.kitsune.fr/journal/artists/heartsrevolution/
http://owsla.com/artists/heartsrevolution/

【ビデオ/試聴】

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