HOME MADE 家族 『AKATSUKI』インタビュー


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MICRO(MC)、KURO(MC)、U-ICHI(DJ)からなるHOME MADE 家族は、1996年に結成されたヒップホップ・ユニット。2004年にメジャー・デビューしてからは、5枚のオリジナル・アルバムを発表、幅広い音楽性と、リスナーの共感を呼ぶリリックを武器に、数々のヒット曲を生み出しています。

 彼らが、1年半ぶりとなる6thアルバム『AKATSUKI』を完成させました。着うたフル®デイリーチャート1位を記録した「ぬくもり」、アニメ『NARUTO-ナルト-疾風伝』エンディングテーマの「FREEDOM」、新展開に取り組み始めたHOME MADE 家族のテーマ曲とも呼べる「スターとライン」など、12曲を収録した話題作です。王道のヒップホップのみならず、ラテンやエレクトロといった意外なジャンルに挑戦しているのも注目でしょう。

 メジャー・デビュー8年目に発表された新作の背景には、はたして何があるのか? メンバーの三人に話を聞きました。


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HOME MADE 家族
今、ふたたびスタートラインに立って
次なるステージに突入!

ーーニュー・アルバムの『AKATSUKI』というタイトルは、どこから生まれてきたんですか?

KURO「「スターとライン」っていう楽曲がまずできて、そこから引っ張られるように“AKATSUKI”っていうタイトルが付きましたね。始まりというか、スタートラインというところから、“夜明け前”とか、そういった意味合いのあるタイトルをつけようかなと思ったんです。あと、今回は、日本語のタイトルをつけたいなってなんとなく三人とも思っていました」

ーーなぜ日本語にしようと思ったんですか?

KURO「この一枚が、僕らにとって新しいことにチャレンジしたものだったので、タイトルからも、その新しさを表現したかったっていうのがありましたね」

ーー前回のインタビューで、シングル曲の「FREEDOM」を“ターニングポイントになる曲”だとおっしゃってましたが、アルバムが完成した今でも、その思いに変わりはありませんか?

KURO「う〜ん、半々ですかね。3.11のことがあったりもしたし、その後ライブで「スターとライン」を歌い続けていくうちに意味合いが変わってきたというか、むしろ「スターとライン」の方が、今の自分達の心境に合っているなっていう感じが強いかもしれないですね」

ーーHOME MADE 家族にとって転機になっている曲は「スターとライン」であると。

KURO「今、このアルバム段階では、そうですね」

MICRO「でも、サウンド面だけで言ったら両方なんですけどね。「FREEDOM」も「スターとライン」も、ロック色をかなり取り入れようと思ってつくっているので」

U-ICHI「そうだね」

MICRO「ただこのアルバムの顔には「スターとライン」が、なってはいるんですけどね」

ーー「スターとライン」の方が、“HOME MADE 家族が新たな一歩を踏み出す”っていう宣言になってはいますよね。この曲で伝えたかったことも、そういうことですか?

KURO「それもありますね。3.11以降、僕らが一度フラットな状態になったことは事実で、その時は何をつくっても、メッセージがすごく空虚なものになってしまって。で、実際にイベントも中止になったりとか延期になったりとかして、音楽が拒絶されたような風潮が生まれていて。それは、自分達が一番信じてきたものが、世の中的に今そんなに必要ないのかなみたいに感じさせる、割とショックなことで。そこで、少し三人でいろいろと話し合ったりしたんですけど、ポツポツとライブを始めたり、チャリティーやったり、ツアーをやっていく中で、お客さんがすごく待ち望んでくれていたような感じがあったし、音楽は今もしかしたら必要なのかもしれないって感じられたんです。「スターとライン」っていう言葉とか、この曲に込めた思いっていうのは、その時の自分達の心境や、今日本を覆ってる、もう一度誰もがスタートラインに立って、次の一歩を踏み出そうとしている心境に似てますね」

ーー曲名が“スター”と“ライン”に分かれてるのにも、重要な意味があるんですよね。

KURO「はい。誰かの背中がすごくまぶしく輝いてるのを見ると、その輝きで自分もがんばれそうになるし、自分もそんな風に輝いて、その自分の背中が誰かにとって励みになるようになりたい、輝く星のように自分もなりたいっていう気持ちになるじゃないですか。それを実現させるための始まりは、自分の足下にあるラインを一歩越えることなんだよってことで、“スター”と“ライン”をあえて分けて、ダブル・ミーニングにしたんです」

ーー新作は、王道のヒップホップからラテン、エレクトロまで、シリアスなものからパーティー・チューンまで収録した、実にバラエティーに富んだものになっていますが、このような仕上がりになることを意図していましたか?

MICRO「今回は、音楽がもしかしたらやれなくなるかもしれないというような事態に直面して、より一層音楽の尊さとかも知りましたし、音楽はライフラインに関係ないかもしれないですけど、メンタル的な心のライフラインにとってはすごく重要なものだということを再確認できたところもあったので、やりたい曲に、言いたいメッセージを込めて、バランス関係なく、曲調とかそういうのも全く関係なく、つくっていきました」

ーーでは、“こういうアルバムにしよう”とか、最初に打合せして決めてたわけじゃないんですね。

KURO「「スターとライン」ができて、曲をたくさんつくって、デモがいっぱい増えて、その時に『AKATSUKI』っていうタイトルが出てきたので、それに合うものを引っ張ってきたみたいな感じですね」

ーー今回のアルバム制作は、どのくらいの期間でやっていたのですか?

KURO「本格的にやったのは、ツアーあけてから、6、7、8月の3ヶ月くらいですかね」

U-ICHI「そうですね。ツアー終わってから、がっと集中していろんな曲やりましたね」

ーー「FREEDOM」と「ぬくもり」だけは先にできてたんですよね。

U-ICHI「そうですね」

KURO「あと、いくつかサビだけ、デモを去年つくってたものもありますね。「Rolling Stone」とか、「No.1」とか」

ーーということは、制作は順調に進んだ感じだったんですか?

KURO「そうですね、結構ラフスケッチというか、プリプロがしっかりできたのもよかったですし、制作に入る前に、今回は結構三人でしゃべったんですよ。いろいろ話し合いました。それがすごくよかったかなって思いますね。本番にかかるまでの時間、準備期間を結構取れたんで、迷いなく線が引けたっていうか」

ーーどんなことを話し合ったんですか?

KURO「惚れた腫れたみたいなそんな話とか、ただ単に頑張ろうとか、そういうメッセージを軽はずみに出せなくなってる。そんな中で、僕らはどんな風にアプローチしたらいいんだろうとか、伝え方とかを話し合いましたね」

ーーアーティストとして、何をどう伝えていくかってことを真剣に考えたと。

KURO「そうですね。一局面に限定されない、多面的なメッセージを伝えるよう気をつけましたね」

ーー皆さん、個人的にお気に入りの曲はどれでしょうか?

KURO「「ギフト」ですかね。どれも好きなんですけどね」

ーー「ギフト」は、すごくメッセージ性の高いトラックですよね。

KURO「はい。U-ICHIからトラックが上がってきた時に、間違いなく名曲になるな、名曲にしてやると思いましたね。久々に王道のヒップホップでしたし。音色というか、サンプル感もよかったですし。これはもちろん震災以降にできた曲なんですけど、自分らがそろそろ次世代に伝えるような曲、メッセージをつくってもいいなと思って書いたんです。それを“Pass The Mic”っていうメタファーに落とし込むことができて、結構満足してます」

ーーMICROさんは?

MICRO「僕は「STAY GOLD」」

ーーこれも王道のヒップホップな曲ですね。

MICRO「これはKUROの弟がトラックをつくってくれたんですけど、ギラギラして牙向いてる感じのトラックだったんで、“STAY GOLD”って言葉が素直に出てきました。デビューして8年目を迎えるミュージシャンが、いちいち言葉に出して言わなくてもいいことだったりするかもしれないですけど、改めて初期衝動とか“音楽って何で楽しいんだっけ?”っていうところを、声を大にして歌いたかったんですよね」

ーーU-ICHIさんはどうでしょうか?

U-ICHI「…一曲目の「暁」」

ーーおっと。インストですね。

U-ICHI「実は歌が入ってないのを入れるのって初めてなんですよ。で、今回いろんな面で新しいことに挑戦しようっていうのもあって、イントロは、あえて歌なしでいこうかって話になったんです。うまく“暁”を映画っぽく再現できたらなっていうのと、2曲目の「FREEDOM」は勢いがある曲なんで、そこに結びつくようなものにしたいなっていうことを考えました。たぶん今までの僕らを知ってる人が1曲目から聴くと、ちょっとびっくりする感じかもしれないですね。入り口なんで」

ーー『AKATSUKI』は、リスナーにどんな風に楽しんでもらえたらよいと思っていますか?

KURO「最高傑作だと思うので、HOME MADE 家族を今まで聴いたことないっていう方に、このアルバムから聴いてもらっても構わないですね。聴き方は好きなように聴いてもらって構わないんですけど。ここにひとつの到達点が出てるなと。王道の、自分達の原点回帰みたいなものもありますし、新しいことにチャレンジして次の期待ができそうな楽曲も入ってますし、この一枚からまずは聴いて欲しいっていう自信作ですね」

ーーMICROさんはどうですか?

MICRO「僕らは楽曲制作をする時に、ある種自分達が思い込んでいた自分達の像にそって、楽曲をつくっていたところもあると思うんですよ。それは別に間違いじゃないし、正解だと思うんですけど、そこから新しいものに手を出し始めて、音楽の尊さとかをすごく感じた上で、もう一回原点を見つめ直して、楽しくやってできた作品なんで、今まで僕らを知ってくれてた人にも、もう一回聴いてほしいですね。みんなが思ってるHOME MADE 家族じゃない部分って、結構いっぱいあるって思うんですよね。なので、新しい人にももちろんですけど、今まで僕らを知ってる人とかにも、改めて聴いてみてほしいなと思います」

ーーU-ICHIさんは?

U-ICHI「とにかく多くの人に聴いてもらえたらいいなと思います。今は試聴とかも、別に1曲目からじゃなくても、どこからでも聴けたりできると思うんですけど、1曲ずつしっかりつくってあるので、「暁」から聴いては欲しいんですけど、どういう風に聴いてもらっても自信はあると言えるくらいの一枚になってます」

ーー今後やってみたいことはありますか?

KURO「ようやくこの『AKATSUKI』で見えた部分があるので、ちょっとこの感じをしばらく続けてみたいなってのはありますね。すでに新しいことを始めてるので、もうちょっとこれで面白いことをやってみたいですね。全然違うトラックでも、やってみたいですし」

ーーMICROさんは?

MICRO「11月から、これを持ってのツアーが始まるんですけど、いろんなところへ行ってライブしたいなって思います。もともとはライブしたくて音楽やってるだけだったりするので、ほんとに細かくいろんなとこ行ってライブして、いいと思った人がCD買ってくれればいいし、もちろん聴き込んで一緒に歌ってくれたらそれはそれで嬉しいですし。そういう風に自分達から、どんどん生のものを、手軽じゃないものを届けていきたいなって思ってます」

ーーU-ICHIさんは?

U-ICHI「フロアライクなものをつくりたいです。自分でもかけたいし。ライブでやることを想定してつくることは多いんですけど、フロアで盛り上がるものっていう、そこに重点を置いてつくるのでも面白いかなって思います」

interview & text TOMO HIRATA


【アルバム情報】

HMKU_AKATSUKI_Shokai.jpg
HOME MADE 家族
AKATSUKI
(JPN) Ki/oon Records / KSCL 1853〜1854
初回生産限定盤(CD+DVD)
HMVでチェック

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HOME MADE 家族
AKATSUKI
(JPN) Ki/oon Records / KSCL 1855
通常盤(CD)
HMVでチェック

【LIVE INFORMATION】
『家族 Fes. 2011』 開催!
【日時】 2011年10月9日 (日) 10:30 OPEN / 12:00 START
【会場】 ラグーナ蒲郡 ラグーナビーチ(大塚海浜緑地)
【出演】Aqua Timez, 九州男, SEAMO, T.M.Revolution, TRICERATOPS, FLOW,
HOME MADE 家族, lecca(50音順) Opening Act/Ms.OOJA
詳細は、家族 Fes. 2011 オフィシャルサイト www.kazoku-fes.com にて。

『HOME MADE 家族 AKATSUKI TOUR 2011-12 〜家族の夜明けぜよ〜』
□ 11月20日(日)  名古屋OZON  17:30 OPEN / 18:00 START   
□ 11月22日(火)  金沢EIGHT HALL   18:30 OPEN / 19:00 START
□ 11月25日(金)  滋賀U★STONE   18:30 OPEN / 19:00 START
□ 11月27日(日)  岡山CRAZYMAMA KINGDOM  17:00 OPEN / 18:00 START
□ 12月 2日(金)  札幌cube garden  18:30 OPEN / 19:00 START   
□ 12月 4日(日)  函館club COCOA   17:30 OPEN / 18:00 START
□ 12月 9日(金)  松山SALONKITTY  18:30 OPEN / 19:00
□ 12月11日(日)  大分DRUM Be-0  17:30 OPEN / 18:00 START   
□ 12月16日(金)  盛岡CLUB CHANGE WAVE  18:30 OPEN / 19:00 START
□ 12月18日(日)  柏PALOOZA  17:30 OPEN / 18:00 START
□ 12月22日(木)  神戸WYNTERLAND  18:30 OPEN / 19:00 START
□ 12月23日(金)  静岡SOUND SHOWER ark  17:00 OPEN / 18:00 START   
□ 1月14日(土)  広島BLUE LIVE HIROSHIMA   17:00 OPEN / 18:00 START
□ 1月21日(土)  仙台Rensa  17:00 OPEN / 18:00 START
□ 1月28日(土)  福岡Zepp Fukuoka 17:00 OPEN / 18:00 START
□ 2月 3日(金)  名古屋Zepp Nagoya  18:00 OPEN / 19:00 START
□ 2月 4日(土)  大阪Zepp Osaka   17:00 OPEN / 18:00 START
□ 2月11日(土)  東京Zepp Tokyo  17:00 OPEN / 18:00 

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