IS TROPICAL『Native To』インタビュー


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ギャリー・バーバー(Vo/G/keys)、サイモン・ミルナー(Vo/G/keys)、ドミニック・アパ(Dr/Programming)の三名からなる、ロンドン出身のインディー・バンド、イズ・トロピカル。Hit Clubレーベルから7インチ・シングル「When O’ When」(’09)でデビューを果たすと、’10年には、“契約したいレーベルNo.1だった”というKITSUNÉから誘いを受けて、シングル「South Pacific」をリリース。一躍その名が知られるようになったニュー・カマーです。4月30日には、新木場スタジオコーストで行われたイベント、<RADARS>で来日を果たしています。

そんな彼らが、かねてより噂されていたデビュー・アルバム『ネイティヴ・トゥ』を6/2にリリースします。バンド結成時から書き溜めてきた様々なタイプの楽曲を、そのままパッケージングしたという本作。その内容は、バンキッシュなギター・ポップから、ダンサブルなエレクトロ・トラックまで、彼らのアヴァンギャルドにしてキャッチーな音楽センスを確認できるものとなっています。

今作『ネイティヴ・トゥ』の内容と彼らの音楽性について、メンバーのギャリーに話をきいてみました。


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IS TROPICAL

KITSUNÉが2011年イチ押しする、
ロンドン発の注目インディー・ポップ・バンド

__まずは、イズ・トロピカルの簡単なプロフィールについて教えてください。あなた達は、’09年にシングル「When O’ When / Seasick Mutiny」でレコード・デビューを果たしましたが、もともとバンドを結成した経緯は何だったのでしょうか?

「僕らは、昔から一緒にバンドをやってたんだよ。いろいろな別のバンドでね。それだけじゃなくて、アートワークのプロジェクトみたいなものも一緒にやっていた。でも、ベースメントに集まって音楽をつくっていたら、次第に他の人からも認められるようになってきたんで、それをもっと真剣にやってみよう、ってことになったんだ」

__“イズ・トロピカル”(熱帯)というバンド名の由来は何ですか?

「僕らが一緒に音楽をつくり始めた頃って、ベースメントにみんなで一緒に住んでたんだよ。窓もないその部屋の中で、僕はテントを張って暮らしていた。寒かったから(笑)。でも、そこで音楽をつくっていると、まるでロンドンの冷たい生活から切り離された、逃避先にいるような気分になった。そこから、この名前がついたんだ」

__みんな子供の頃から友達だったんですか?

「知りあったのは14歳ぐらいだね。いろんなことを一緒にやって、遊んでたんだ。ウータン・クランのアルバムをシェアしたりとかね(笑)。そういう風に成長して、いま一緒に音楽をつくっていられるこの状態は、すごくハッピーだよ」

__ウータン・クランとか聴いていたんですか。現在イズ・トロピカルでやっている音楽性とは、ずいぶん違いますね。

「僕らの音楽的趣味は、みんな結構近いと思うけど、違うものだってもちろんある。いろんな音楽を、本当に手当たり次第に聴いてきたからね。今じゃアーティスト名どころか、どのジャンルの音楽に影響されたのかもはっきり言えないぐらい、いろんな音楽を聴いてるよ。僕の場合は、結構ポップ・ミュージックも聴いてるね。強いメロディーとか、キャッチーなフックなんかは、僕らの音楽性につながるものがあると思う。でも、それだけじゃなくて、例えばウルフギャング・ガートナーみたいな、かなりハードなダンス・ミュージックも聴くから、本当にいろいろなんだ」

__イズ・トロピカルの音楽性は、パンキッシュなバンド・サウンドの要素、打ち込みのシンセポップ~ダンス・ミュージックの要素、さらにフォークロア・ミュージックなどの要素が融合した、ユニークなものとなっていますね。結成当初のバンド・コンセプトとは、どのようなものだったんですか?

「バンドって、あんまり事前に“こういう音楽をやろう”って計画してやるものじゃないと思う。むしろ、みんなで実験的に音をつくっていくことが多いんじゃないかな。誰かがベースになる要素をつくったところに、他の誰かがギターを弾いて、そこにまた他の誰かが何かを足して…って感じでね。僕らは、そうしながら自然にこういう形に進化してきたんだ」

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__分かりました。では、待望のデビュー・アルバム『ネイティヴ・トゥ』について教えてください。まず、アルバムのテーマやコンセプトは、何かありましたか?

「最初は特になかったね。ただ、この2年くらいの暮らしとか自分達のアイディアが、そのまま反映されたアルバムにはなったかな。曲を書き始めた頃って、ただ曲をつくってるだけだったけど、そこから自分達の経験がいろいろと広がっていったことを感じられる作品になってると思う。例えば、ベルリンやギリシャに行った経験なんかも、全て上手く一つに収まったように感じているよ。“ネイティヴ・トゥ”って言葉は、アフリカの仮面について書かれた本から取ったんだ。なんとなく自分達がつくってきた音楽と、つながる気がしてね」

__サウンドメイキング面で特に重視したこと、チャレンジしてみたかったことは何でしたか?

「どっちかっていうと、バラバラな雰囲気の各曲を、どうやって上手く流れるように並べるかって部分が、大変だったかな(笑)。ギターで押すような曲もあれば、完全にエレクトロニックな曲もあったからね。まあ、上手くいったとは思ってるけど。隣り合った曲どうしが、いい流れを生み出していると思う」

__アルバムからのリード・トラック「The Greek」は、どのようにして誕生した曲ですか?

「これは、シンプルなベースラインから発展していった曲だね。最初は、すごくゆったりした曲だった。でも、曲をつくっていた頃にクリスタル・ファイターズと一緒にギグをする機会があって、彼らの曲にちょっとインスパイアされて、テンポを少し速くしてみたんだ。友達から影響されたり、ヒントをもらったりすることもあるってことさ(笑)」

__あなた達の存在を一躍有名にした「South Pacific」は、どのようにして誕生した曲ですか?

「すぐにでき上がった曲だったね。ギター・コードのパターンがシンプルにでき上がって、あっという間にメロディーや他のパートも浮かんで、たぶん数時間で完成したと思う。何ヶ月も練り上げて完成させた曲もあったけど、この曲は勢いよくでき上がったから、そのままの勢いでリリースしようってことになって、去年シングルで出したんだよね」

__あなた達が、イズ・トロピカルを通じて表現していきたい理想の音世界、エモーション、ムードとは、どのようなものなのでしょうか?

「うーん、アルバムの曲って、本当に結構バラバラだからなぁ(笑)。とりあえず、みんながダンスしてくれたら嬉しいよ」

__では最後に、イズ・トロピカルの次なる活動目標を教えてください。

「また日本に行きたいよ。でも、まずはアルバムをみんなに聴いてもらって、ダンスしてもらうことから、だね!」

interview & text Fuminori Taniue
tanslation Nanami Nakatani


【アルバム情報】

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IS TROPICAL
Native To
(JPN) TRAFFIC/P-VINE / PCDT-33
6月2日発売
HMVでチェック

tracklisting
01. south pacific
02. land of the nod
03. lies
04. the greeks
05. what???
06. clouds
07. take my chances
08. oranges
09. berlin
10. think we’re alone
11. zombie
12. seasick mutiny
13. tan man
14. when o’ when

【オフィシャルサイト】
http://istropical.com/
http://p-vine.jp/artists/is-tropical
http://kitsunejapon.jp/

【VIDEO】

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