Islet『Illuminated People』インタビュー


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エマ・ダマン(Emma Daman)、ジョニー・トーマス(John Thomas) 、マーク・トーマス(Mark Thomas)、 アレックス・ウィリアムズ(Alex Williams)からなる4人組バンド、アイレット(Islet)。ウェールズのカーディフ出身の彼らは、’10年にリリースしたEP『Celebrate This Place』と『Wimmy』が評判となり、英米のインディー・シーンでここ数年注目を集めてきた新星です。昨年には、上記2作をカップリングした『Celebrate This Place With Me』を日本でリリースしています。

そんな彼らが、初のフル・アルバム『イルミネイテッド・ピープル』(Illuminated People)をリリースしました。パフューム・ジーニアスらとの仕事で知られるドリュー・モーガンをプロデューサーに迎え、さらなる音楽的発展を形にした注目作です。その内容は、特定のジャンルに限定されない様々な音楽的要素がミックスした、ジャムバンド的で、ポストパンク的で、サイケデリックなもの。9分間にも及ぶトリッピーなオープニング・トラック「Libra Man」から、アイレット独自のポップ・センスを感じさせる「A Bear On His Own」まで、自由奔放な楽曲群が詰まった作品となっています。

ここでは、本作『イルミネイテッド・ピープル』の内容とアイレットの音楽性について、1/28に行われたイベント<RADARS>で来日を果たした彼らに、対面で話を聞いてみました。


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ISLET『ILLUMINATED PEOPLE』インタビュー

__まずは、Isletが結成された経緯について教えてください。もともとはどういう仲間だったんですか?

エマ「ジョンとマークは兄弟だから、もともと知り合いなんだけど(笑)、2~3年のうちにお互い知り合いになって、バンドに発展していった感じね。地元カーディフでみんなそれぞれバンドをやっていたから、お互いにそのバンドを観たりしながら知り合いになったのよ。で、このバンドを結成しようってことになったの」

__バンド名の由来は何ですか?

マーク「バンドを始めた時に、この名前を決めたんだ」

エマ「“islet”は“小島”という意味なんだけど、私がこの名前を気に入っているのは、外界から切り離された自分たちの小さな世界があって、そこには無限の可能性がある、というイメージを連想させる点ね。自分たちがある種難民であるような感覚があって、そこが好き」
マーク「僕は、isletの“s”が発音されない無音の“s”であるという、この単語自体に面白さを感じているよ」

__あなた達の地元、ウェールズのカーディフも、ある意味で“islet”的な、隔絶されたような雰囲気がある街なんですか?

マーク「その想像は面白いね。僕たちにとって、一つの言葉からいろんな風に解釈・想像してくれるのは喜びさ。だから、キミのその解釈でOKだよ(笑)」

__分かりました(笑)。で、あなた達は、メンバー間で楽器パートを固定していないそうですね。バンドを始めた当初は、どんなサウンドの音楽をやりたいと考えていたんですか?

マーク「最初から、自然とそういうスタイルになったよ。自分たちにはそういうプレイの仕方、曲づくりの仕方がしっくりくるんだ。ジョンとエマは前のバンドでドラムをやっていたから、そもそもドラムキットが二つあったしね。で、メンバー全員がいろんな楽器を使ってノイズを出すのが好きだから、例えばベルの音もギターの音もボーカルも、全ての音が僕らにとって等しく大事なパートなんだ。バンドを始めた当初からそういうアイディアは持っていたね」
エマ「バンドを始めるにあたって、どういう音楽をつくろうとか、どういうアイディアでやろうといったことは、全くなかったわ。ただ、私たちはいろんな音楽が好きだから、あらゆる音楽に対してオープンでいようってことだけは決めていたかな。自分たちの好きないろいろ音楽をチャンネリングして、それを自分たちのバンドに持ち込むっていうアイディアだけは持っていたと思う。それは、今現在でも変わらないアイディアね」

__バンドのあり方として影響を受けたバンドやアーティストは、誰かいたんでしょうか?

エマ「特定の誰かを挙げることはできないわね。自分たちの音楽を信じていて、それには意味があると本気で取り組んでいる人たちからは、どんなジャンルの音楽であれ影響を受けていると思うわ」

__あなた達は、“The Isness”という雑誌もつくっているそうですが、これにはどんな目的があるんでしょうか。自分たちの音楽を表現するための一つの手段、といった感じですか?

エマ「そうね。まずはバンドの音楽があって、そこから雑誌づくりも始まったんだけど、バンドというものの面白さは、みんながバンドのやっている他の物事にも興味を持ってくれることだと思うの。だから雑誌をつくって、ヴィジュアルでも自分たちを表現してみようって思ったのよ」
マーク「雑誌は、音楽とは違うコミュニケーション、違うつながりを人と持てるから、面白いね」
エマ「あるファンから、“雑誌をウェブにアップして配信するようなこともやって”って言われたこともあるんだけど、最初の何年かは、“いやいや、ちゃんと郵便で申し込みしてください。そうすれば、私たちは雑誌を郵送しますから”ってスタイルだったわね。でも、それを無料でやっていたから、もちろん今は経費がかかりすぎてやめちゃったけど(笑)。ただ、その郵便でのやり取り自体は、お互いにクリエイティブで面白かったわ」

__ちなみに、その雑誌の名前の呼び方は“イズネス”、“アイネス”?

マーク「ハハハ、“イズネス”だよ。その“s”は無音じゃなくていいんだ」
エマ「“is-ness”ということで、“今ここに居る”という意味合いでつけた名前よ」

__アルバムやEPのアートワークも全部自分達で手がけているんですよね?

マーク「主にエマがフォトショップを使ってつくったものが多いんだけどね(笑)」
エマ「いやいや(笑)。Web関連のヴィジュアルは、私たちのビデオや映像をつくっている、フィルムメイカー/フォトグラファーのイワンが手がけたものが多いのよ。私は切り貼りしているような感じだから」
マーク「自分たちで全部やっていると、それがCDパッケージとしてこうして日本で形になっているのを見ると、すごく嬉しくて何とも言えない気持ちになるよ」
エマ「日本盤に入っているボーナストラックの「Sound Collage #1」は、いままでに録りためたデモやフィールドレコーディングの素材を、コンピューターを使ってコラージュしたものなんだけど、そういった作業も自分たちで全部やっているのよ。自分たちでやるのが楽しいのよ」

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__初のフル・アルバム『Illuminated People』は、高リアクションを得た2枚のEP『Celebrate This Place』(’10)と『Wimmy』(’10)を経てリリースされた作品ですが、作品テーマやコンセプトは何かありましたか?

マーク「自分たちとしては、この3作品は連なったもので、つくりたい音楽をつくり続けているだけだから、今作にだけ何か特別なテーマがあったって感じではないね」
エマ「だから、今回の作品はたまたま収録時間が長いだけ、って感じよ。ただ今回は、前2作とレコーディングの仕方が違っていた、っていうのは確かね」

__“Illuminated People”というアルバム・タイトルの意味合いについて教えてください。

エマ「聴いてくれた人に、それぞれのイメージ、ストーリーを持ってもらいたいから、私たちの方から特定の解釈を伝えたくないかな。私たち自身も、それぞれ違うイメージを持っているしね」
マーク「そうだね」

__今回の作品は、漠然と“Illuminated People”って雰囲気かな、ということなんですね。

エマ「そう、抽象的なタイトルに付けたかったの。私たち全体の考え方、哲学として、人に対してこう感じてとか、こう考えなさいってことは言いたくない、というのがあるのよ。私たちはいつでも、自分たちがつくったものと何かシェアできるものがあるといいね、っていう姿勢よ」

__その哲学は、『Illuminated People』の音楽性にもよく表れていると思います。多様な音楽的要素が飛び交う、変幻自在なサウンドが印象的ですね。曲づくり自体は、ジャムセッションを軸につくりあげていったんですか?

マーク「基本的には、そうだね」
エマ「例えば、「Libra Man」はジャムから生まれた曲ね。でも、そうじゃない曲もあるわよ」
マーク「「Libra Man」の中にも、ジャムから生まれたパートと、そうじゃないパートが入っているしね。あとは、キーボードとドラム・ビートだけからスタートしたような曲もあるし」
エマ「誰かが、ちょっとしたアイディアを家でつくってきて、そこから曲づくりを始めたものもあるし、そういった要素をさらに継ぎはぎしていった曲もあるわ」

__「Sound Collage #1」は別として、あなた達の楽曲は基本的にPCを駆使したようなものではないと思うので、音をコラージュしていく作業が大変そうですね。

エマ「ハハハ。そうね。PCで作業する要素が全然ないから、私たちの曲はオーガニックに聴こえるのよ」
ジョン「曲ができ上がるのって、メンバー全員が同じ部屋に詰めている時しかないもんね。だから、カット&ペーストみたいな曲には絶対にならないんだ」
マーク「部屋に詰めて曲をつくっている時は、メンバー全員で旅(ジャーニー)をしているような感覚だから、このアルバムにも、そういった意味では一つの旅をしているような雰囲気があるんじゃないかな。山あり谷ありみたいな流れがね」

__今作は、外部プロデューサー、ドリュー・モーガンを迎えて制作したそうですが、制作にはどのくらい時間をかけたんですか?

マーク「実質的には、そんなに長い時間はかかっていないと思う」
エマ「曲づくりは自分たちでやって、レコーディングだけドリュー・モーガンと一緒にやったから、スタジオに詰めた時間は、2~3ヶ月の間で12日くらい?」
マーク「ドラムとベースだけ先に録音して、しばらく置いておいて、別の機会に別のスタジオで残りのパートを録音して、みたいなね」

__今作に入っている曲は、ライブをしながら仕上げていったような面もあるんですか?

エマ「そういう曲は少ないと思うわ。このアルバムに入っている曲は、ほとんどライブで披露していないと思う。前の作品では、ライブでやってきた曲をレコーディングしたものが多かったけど、今回はライブでやったことのない曲をレコーディングする、って感じだったのよ。そういう意味では、新しい体験だったかも。だから、ライブで演奏することを前提にしていない曲もあるわね」

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__PVが公開されたばかりの「A Bear on His Own」は、どのようにして誕生した曲ですか?

マーク「この曲は、キーボードのリフから発展していった曲だね」
ジョン「そこに、みんながいろんな要素を足していったんだ。叫び声とか(笑)」
エマ「ドラムは、’60年代風のイメージがあったかな。サイケデリックで楽しい感じというか」
マーク「このタイトルは、僕が部屋に一人でいた時に“一匹きりの熊”みたいな気持ちになったことがあって、そこから付けたよ。だから、曲自体とはあんまり関係ないかも」

__「This Fortune」は、どのようにして誕生した曲ですか?

マーク「この曲も、キーボードのアイディアが最初にあったよ。でもその最初のアイディアは、最終的に曲の中で10%~20%くらいしか使われてないと思う」
エマ「この曲をつくっていた頃は、よく’70年代の映画音楽を聴いていたから、最初はそういった要素があったのよ。完成した曲には、もうほとんど残っていないかもしれないけど」
マーク「結局メンバー全員でつくっていくから、最初にアイディアを出した人の要素ってあんまり残らないんだよね、僕らの音楽って(笑)」

__では最後に、Isletの次なる活動目標を教えてください。

マーク「次にやりたいことは、まずは、また日本に来たいよ、本当にね。あとはアメリカでもライブをしたいな。とにかく世界中に出て行って、夏に向けてフェスなどに参加していきたいね」
エマ「あとは、自分達の音楽、アートをちゃんと極めていくことね」

interview iLOUD
live photos “RADARS at Liquidroom / 28.01.2012” (c) Creativeman


【リリース情報】

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ISLET
ILLUMINATED PEOPLE
(JPN) Yoshimoto R and C CO., LTD. / YRCG-90069
発売中
HMVでチェック

tracklist
01. Libra Man /リーブラ・マン
02. This Fortune /ディス・フォーチュン
03. Entwined Pines /エントワインド・パインズ
04. What We Done Wrong /ホワット・ウィー・ダン・ロング
05. A Warrior Who Longs To Grow Herbs /ア・ウォーリア・フー・ロングス・トゥ・グロウ・ハーブス
06. We Bow /ウィー・バウ
07. Filia /フィリア
08. Funicular /フニクラ
09. Shores /ショアーズ
10. A Bear On His Own /ア・ベア・オン・ヒズ・オウン
11. Sound Collage #1* /サウンド・コラージュ #1
12. Sign For Home * /サイン・フォー・ホーム
12. Holly (Tidal Barrage remix) * /ホーリー(タイダル・バラージ・リミックス)
* 日本盤ボーナス・トラック

【オフィシャルサイト】
http://bignothing.net/islet.html
http://isletislet.com/

【VIDEO】

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