Joakim『Tropics of Love』インタビュー


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i:CubeやChateau Flightらのリリースで知られたフレンチ・テクノの名門、Versatileのサブ・レーベル、Future Talkから、1999年にJoakim Lone Octetとしてアルバム・デビューしたフランス人DJ/プロデューサー、Joakim(ジョアキム)。2000年代に入ってからは、Versatileや自身の主宰するTigersushiレーベルを中心に、Joakim名義でコンスタントに楽曲やアルバムを発表しつつ、Tigersushiではクラブ・ミュージックの枠を越えたリリースを展開。後のエレクトロ〜インディー・ダンスの呼び水ともなるスタイルで、レーベル・オーナーとしても高い評価を獲得しています。

そんなJoakimが、2011年の『Nothing Gold』以来となるニュー・アルバム『Tropics of Love』(トロピックス・オブ・ラヴ)をリリースしました。レコーディングに入る直前に長く暮らしたパリを離れ、ニューヨークに移住し完成させたという今作。その内容は、新天地でのコネクションをいかし、Luke Jenner(元The Rupture)やAkwetey(Dragons of Zynth)がゲスト参加したものとなっています。

ここでは本作『Tropics Of Love』ついて語った、Joakimのインタビューをご紹介しましょう。


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Joakim『Tropics of Love』インタビュー

__まずは何といっても、先行シングル「On The Beach」がニール・ヤングのカバーということで、驚きました。

「単純にリスナーとして、昔からずっと(ニール・ヤングの)ファンだったからね」

__なぜこの曲を取り上げたのですか?

「全部ではないにしても、これまでに色々と彼の曲を聴いてきた。そんな中で、この曲は歌詞がいいんだよね。それで、アルバムに入れるかどうかは別として、とりあえずカバーしてみたいと思って、トライしたんだ。で、アルバムを仕上げてみて、この曲も自然とフィットすると思って、収録することにしたんだ」

__このカバーのチョイスもそうですが、アルバム・タイトルも『Tropics Of Love』ですし、今作をつくるにあたってトロピカルなサウンドからの影響というのは、何かあったのでしょうか?

「アフリカ、ラテン、アイランド・ミュージックなど、常々トロピカルなサウンドはインスピレーションの源になっていたよ。それに加えて今回はモダンなR&Bや、’80年代から’90年代にかけてのサンプラー・ミュージック(アート・オブ・ノイズや初期のテクノなど)、さらにニューエイジやクワイエット・ストーム系の音楽、’80年代の日本のポップスなんかも意識したんだ」

__で、今回はアルバム制作を前に、ニューヨークへと拠点を移したそうですね。

「政治や社会状況のせいなのかもしれないけど、パリで暮らしていると、みんな常に何かに対して怒りを感じていたり、もしくはとても沈み込んでしまっていたり…ということがとても多い気がしたんだ。で、ここ何年かは、しばらくはこの町を離れてみてもいいかもしれないなって思っていたんだけど、タイミング良くビザが取れて、居住先も見つけられたんで、ニューヨークに越した。明確な目的があったわけじゃないけど、漠然としたニューヨークへの憧れみたいなのも昔からあったしね」

__レコーディング自体はニューヨークで行ったんですか? また、機材はパリから持ち込んだのでしょうか?

「ニューヨークでやったよ。機材は、パリから持ってきたものもあれば、新しくこちらで調達したものもあったね。サンプラー2台、ドラムマシン2台、ARP2600、MS20、いくつかの廉価なキーボード、エフェクターやペダルという編成で、ほぼ全ての楽曲のレコーディングを、フラットのベッドルームにあつらえた新しい自宅スタジオで行ったよ。いずれはもう少し広いスペースを見つけて、パリに残してきた機材も全部ニューヨークに移したいって思ってるんだけど」

__前作まではDyEやMy Sister Klausなど、Tigersushiの仲間がアルバムにも参加していましたね。今作では、彼らは参加していないのでしょうか?

「ゲスト・ボーカルとサックス以外は、全部自分で録音したよ。サックスは、Zombie ZombieのEtienne Jaumetに手伝ってもらった。あと「Man Like Moon」のリリックは、My Sister KlausのGuillaume Teyssierに書いてもらったよ」

__「Bring Your Love」には、The RaptureのLuke Jenner(ルーク・ジェナー)が参加していますね。彼とはどのようにして知り合ったんですか?

「知り合ったのは、ツアー先のオーストラリアだった。アルバムのマテリアルをスタジオでミックスをしていた時、下のフロアで彼もリハーサル中だったんだよ。で、声をかけたら、僕の作業していた部屋まで上がってきてくれて、曲を気に入ってくれてね。それで一曲一緒にやってみようって話になったから、この「Bring Your Love」を送って、彼が歌を入れたデモを返してくれて、それがとても良かったから、正式にオファーしたってわけ」

__なるほど。

「実はこのボーカル、彼の家のキッチンに機材を持ち込んで録音したものなんだよ。それが全く申し分ないクオリティだったから、そのままそのキッチン・バージョンを採用させてもらったよ」

__「Each Other」に、Dragons of ZynthのAkwetey(アクウェティ)が参加した経緯についても教えてください。

「Akweteyとは、Camille Henrot(カミーユ・アンロ)という映像作家の『Grosse Fatigue』(偉大なる疲労)という作品を通じて知り合った。この作品は、僕がバックの音楽をつけて、それにAkweteyがラップをのせたものなんだ。以来、Akweteyとはよく連絡を取り合ったり、飲みに行ったりしていた。彼もニューヨークに住んでいるからね。で、これも偶然なんだけど、あるときAkweteyがプライベートでふらりと僕の家に遊びに来て、その時、僕は作業中で音を出していたんだよ。で、もともとボーカル・トラックにしようと考えていたから、彼に“ボーカルは誰がいいだろう?”って相談を持ちかけら、彼はその場でちょっと考えて、5分でリリックを書き上げ、“自分が歌うのはどう?”って言ってきてね。で、その10分後には、レコーディングをはじめてたよ」

__分かりました。では最後に、今後の予定について教えてください。

「いま正にアルバムがリリースされて、ヨーロッパをツアーしているところだ。Luke Jennerもちょうどヨーロッパにいて、彼がゲストで出てくれるギグもいくつかあるよ。パリではLuke Jenner、Kindness、Jackson (& His Computor Band) が参加してくれる、Tigersushiのレーベル・イベントもあるね。レーベルとしては、DyEとPrinciples of Geometryのアルバムをリリースしたばかりで、こちらも忙しいかな。Crowdspacer(昨年新たに立ち上がったTigersushiのサブ・レーベル)からもシングルの予定がいくつかあって、詳細はこれからになるけど、日本人プロデューサーのリリースも予定にある。またぜひ日本にもツアーで行きたいね」

interview 協力: ritmo calentito
photo: Camille-Henrot


【リリース情報】

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Joakim
Tropics of Love
(JPN) Tigersushi/Because/ritmo calentito / RTMCD-1104
発売中
HMV / Tower / iTunes でチェック

tracklist
01. Chapter 1
02. Bring Your Love (ft. Luke Jenner)
03. 3 Laser Finger
04. Heartbeats
05. Chapter 2
06. Each Other (ft. Akwetey)
07. This Is My Life
08. RX777
09. Chapter 3
10. Man Like Moon
11. On The Beach
12. Hero



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