Joan As Police Woman『The Classic』インタビュー


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’90年代からニューヨークを拠点に音楽活動を続け、The Dambuilders、Black Beetle(恋人だったJeff Buckley他界後に、Jeffのバンドメンバーらと結成したバンド)や、Antony and the Johnsonsなどに参加してきた女性シンガー・ソングライター、Joan Wasser(ジョーン・ワッサー)。’00年代半ばからはJoan As Police Woman(ジョーン・アズ・ポリス・ウーマン)として活動を行い、これまでに3作のオリジナル・アルバムを発表している実力者です。

そんなJoan As Police Womanが、古き良きソウルやR&B、ドゥーワップの要素を取り入れた新境地ともいえる楽曲群を詰め込んだ通算4作目のニュー・アルバム『The Classic』(ザ・クラシック)を携え、6/22(日)に<Hostess Club Weekender>で来日を果たしました。というわけで、ここでは新作『The Classic』の内容について語った、Joan Wasserのインタビューをご紹介しましょう。レジー・ワッツやパール・ジャムのジェフ・アメンらも参加した注目作となってますよ。なお、HCW当日は、彼女のほかマット・ホワイト(G/Keys/Vo)、エリック・レイン(B/Keys/Vo)、パーカー・キンドレッド(Dr)というバンド編成で、アルバムとはひと味違うアレンジのライブを披露してくれました。


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Joan As Police Woman『The Classic』インタビュー

__最新アルバム『The Classic』の評判やリアクションは、いかがですか?

「これ以上求められないほど良い反応よ。私は最高のリスナーを世界中に持ってるわね」

__今作『The Classic』は、そもそもどのようなアイディアからスタートした作品だったのでしょうか? また、“The Classic”という言葉が、そのままアルバムの音楽的なテーマになっているんでしょうか?

「私は、ソウル・ミュージックが大好きなのよ。R&Bが大好きで、古典的な曲も大好きね。このアルバムは、クラシカルなソウル、クラシックなR&Bを私なりに解釈したものなのよ」

__今作はソウルやR&Bをベースにしながらも、あなたの音楽的なバックボーンがより幅広く表現された内容にも感じます。曲づくりは、どのように進めていきましたか?

「今作の曲は、前作『The Deep Field』の時を見返しながら書いたわね。曲を書き始めてから、“書くべきもの”を書くのではなく、自然と自分が感じたことを書いていくっていうチャレンジを自分に課したの。でも、そうやってナチュラルに曲を書くことには、私自身も相当の忍耐が必要なのよ」

__理解できます。

「今作には、今現在の自分の“コア”がうまく反映されていると思うわ。喜ばしいことに、この“コア”は常に変化していき、磨きがかかり、広まっていくものだって、人生が教えてくれたのよ。このまま自分の“コア”を大事にしていけば、私が愛する音楽、私がインスパイアされてきた音楽を、自分の曲づくりに反映できるんじゃないかって思う」

__では、サウンドメイキングやアレンジ面に関して、今作で特に重視したことはありましたか?

「今作では、ライブで出すサウンドを取り入れたかったわね。これまでにリリースしてきたものは全て磨きを加えたものばかりだったし、ナマな音を出していく自信がついたのよ。特殊なサウンドを足すというよりも、楽器とボーカルは録ったままをミックスに流し込んだわ。ミックスの中にボーカルが既に入っているっていうのは、’60年代のソウル・レコードのつくり方だったそうよ」

__今作に相応しいアプローチですね。アルバム・タイトル曲の「The Classic」は、どのようにして誕生した曲ですか?

「「The Classic」は、これまでの流れの中で自分の作品にうまく溶け込むか分からなかったけど、とりあえず入れてみた曲の一例ね。曲のほとんどは、素早く書いたわ。曲の終わり方には苦戦して、いろいろ試行錯誤したんだけど、しっくりくるものがなかったの。でも、とりあえず私が主催する作曲のワークショップでプレイできるように、“Could it be that you, you are the one?”という短いリフレインを書いたのよ。で、曲を発表したら、みんなポジティブなフィードバックをくれてね。その時、こんなに素早く書いたリフレインが実はフックだってことに気付いたのよ」

__なるほど。

「音楽ってシンプルなものが多いから、もっと複雑なものを、もっと難しいものを書こうと自分に思い込ませるのって、簡単なのよ。でも、この曲を終わらせる方法を10も考えてなかったら、このフックには辿り着けなかったかな」

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__「The Classic」には、Reggie Watts(レジー・ワッツ)やJoseph Arthur(ジョセフ・アーサー)が参加していますね。彼らが参加した経緯についても教えてください。

「ジョセフ・アーサーは、私の全ての作品に関わっている旧友ね。私が知っている誰よりも広い音域を持っている人よ。レコーディングの時は、常にその瞬間に入り込んでいる。彼には、ウォーミングアップなんて必要ないのよ。ボタンが押された瞬間、インスピレーションに火が付くの」

__レジー・ワッツはいかがですか?

「レジー・ワッツは、私や多くのミュージシャンの友達にとって、とても大きなインスピレーション源ね。彼はきっと「Holy City」の最後でリフを弾くんだろうとか、「The Classic」ではヒューマン・ビートボックスでも披露してくれるんだろう…とか想像してたんだけど、実際に会ったことはなかったのよ。で、共通の友達に紹介してもらって、私のアイディアを彼に送った後、カフェで落ち合ったわ。それで彼に私の楽曲をいくつか聴いてもらったら、“いつからレコーディングを始めるんだい?”って言ってきたの。単純でしょ? 夢って本当に叶うものよ」

__「Witness」についても、どのようにして誕生した曲か教えてください。

「「Witness」は、自分の感情に人質にされてしまって、私がそれから解き放たれようと格闘することを歌った曲ね。仏教の道理を示唆していて、自分が今いる精神的状況の外側に立って、常に変わりゆくその状況を“目撃”(witness)していることについて歌っているの。不思議と、自分に言い聞かせてきたことを信じ始めてしまう時ってあるでしょ? それを変えていくこと、無視することについての曲でもあるのよ。思い込みって、特に根拠がなかったり、自分の可能性を狭めてしまったり妨げてしまうものでもあるから」

__「Holy City」についても教えていただけますか。

「Holy City」は、エルサレムに行った時にインスパイアされて書いた曲ね。嘆きの壁(The Wailing Wall)を訪れて、ここで人々が恍惚としていることに魅せられたの。歓びを感じるという面では共感できたけど、理由はそれぞれでしょ? 私は、音楽と愛があるおかげで、歓びを感じることができる。ざっくり言えば、この曲はラブソングで、私が何か欲するのは“Holy City”を見つけることに値する、っていうことね」

__アルバムの中で、あなたが特に大切に思っている楽曲、気に入っている楽曲はありますか?

「「New Year’s Day」は、私のお気に入りよ。この曲は、自分が思い描いていた通りに仕上げたかったトラックなの。書きたかった思いを掘りおこすのが難しかった分、書き上げた時には、その思いを完璧にサウンドに反映させたかったわ。何かを変えていこうと思うことについての曲で、それはニューイヤーズ・デイ(元日、1月1日)まで待たなくてもいいの、どんな日も“ニューイヤーズ・デイ”に成り得るのよ」

__では最後に、あなたの今後の活動目標、次なるヴィジョンについて教えてください。

「そんなにプランニングはしないわ。何事にもイエスって言っちゃうのよね。今は、“2001”っていうコラボレーション・プロジェクトをレコーディングしている最中よ。とても楽しみね」

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【リリース情報】

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Joan As Police Woman
The Classic
(JPN) PIAS/Hostess / HSE-39563
発売中
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tracklist
01. Witness
02. Holy City
03. The Classic
04. Good Together
05. Get Direct
06. What Would You Do
07. New Years Day
08. Shame
09. Stay
10. Ask Me
11. Take The Bait *
12. Your Song *
* 初回仕様限定盤ダウンロード・ボーナストラック(mp3)

【VIDEO】



【アルバム全曲試聴】
https://soundcloud.com/joan-as-police-woman/sets/the-classic/s-8296O
http://hostess.co.jp/news/2014/04/003648.html

【オフィシャルサイト】
http://www.joanaspolicewoman.com/
http://hostess.co.jp/

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