Joker『The Vision』インタビュー


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マッシブ・アタック、ポーティスヘッド、ロニ・サイズといった才能を輩出してきた音楽の都、英ブリストル出身の、弱冠21歳の若きグライム〜ダブステップ・アーティスト、ジョーカー。HYPERDUBからリリースされた「Digidesign」(’09)や、フライング・ロータスとのスプリット・シングル「Untitled_Rsn」(’09)といったトラックを通じて、一気に注目を集める存在となった新鋭です。リミキサーとしても引っ張りだこで、シミアン・モバイル・ディスコ、ベースメント・ジャックス、ゼロ7、ショーン・ ポールらの楽曲リミックスも手がけております。朝霧ジャム等に出演するため、先日来日したばかりですね。

そんな彼が、UKの名門インディー・レーベル、4ADと契約を交わし、待望のファースト・アルバム『ザ・ヴィジョン』(The Vision)を10/19にリリースします。すでに話題をさらっている「The Vision (Let Me Breathe) feat. Jessie Ware」や、最新シングル「Here Come The Lights feat. Silas」を筆頭に、ダブステップの枠を越えた彼の特徴であるヘヴィーかつシンフォニックな楽曲群が詰まった力作です。

ここでは『ザ・ヴィジョン』の内容と彼の音楽性について、ジョーカー本人に話を聞いてみました。


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JOKER

華麗にしてパワフルな音世界を構築する、
ブリストルから登場した若きダブステップ・アーティスト

__まずは、あなたのプロフィールについて少し教えてください。もともと音楽活動をはじめたきっかけは、何でしたか?

「昔から、ガラージ、ヒップホップ、R&B、ドラムンベースばっかり聴いてたんだ。小さい頃から、いつも音楽を聴きながら頭の中でいろいろと足したりしてみて、どうやってみんな曲をつくってるんだろう?って思ってた。たしか12歳くらいの時だったかな、ブリストルのパイレート・ラジオで、聴いたこともないようなガラージ~グライムを聴いてさ、こういう音楽をつくりたい!って思ったことを覚えてるよ」

__UKならではのエピソードですね。

「それで、ターンテーブルを2台手に入れて、とにかくいろいろミックスし始めたんだ。上手くなるまで、凄く時間がかかったけどね(笑)。で、そうしてる間に、KHK(Kold Harted Krew)っていうクルーに入ったんだ。そのクルーのほとんどは、プロデューサーと一緒に音楽をやっていて、俺も自分の音楽をつくるべきだって言ってくれたんだ。それが曲をつくりはじめたきっかけだったよ」

__当時、グライムのどんな部分が特に魅力的でしたか?

「俺にとって、グライムこそがイギリスのサウンドだったんだ。とにかくコッカいい!って感じでさ、どんな音楽よりもガラージやグライムが最高だと思っていたよ。その後、DJ Pinchのレーベル、Earwaxから「Kapsize EP」をリリースした頃、ダブステップにも興味を持ち始めたんだよね」

__“Joker”という名前の由来は?

「俺って、昔はかなりハイテンションでさ、一日中くだらないことを喋ったり、ウケないジョークを飛ばしてばかりいたんだ。それで、みんなから“オマエはジョーカーだな”って感じで呼ばれ出したんだよね。吸うようになってからは随分落ち着いたけど(笑)。でもこの頃やめたから、またテンションが高くなってきてるんだ」

__そうですか(笑)。で、あなたはKapsize、Tectonic、Hyperdubといったレーベルから素晴らしいシングルを連発し、一躍その名を知られるようになりましたが、その中で“Purple Sound”というスタイルが話題となりましたね。どのようなサウンドなのか、解説いただけますか?

「もう、パープルの話にはうんざりなんだよね、だからこの質問はパス!(注釈:この一件の事の始まりは、Jokerさんが酔っぱらっていた時に、部屋にあったパーブルの空を写した写真をイメージして曲をつくってみたら、上手いこと良い曲がつくれた…という話を誰かにしたら、周囲からいきなりパープルマンと呼ばれるようになってしまった、というものだそうです)」

__分かりました(笑)。では、ファースト・アルバム『ザ・ヴィジョン』について教えてください。まず、本作を手がけるにあたって、4ADと契約を交わした理由は何でしたか?

「すごくクールなレーベルだし、俺をコントロールしようとか、何か違うことをさせようとか、そういうところがなくって、やりたいようにやらせてくれたからさ」

__アルバム全体のテーマは、どのようなものでしたか?

「うーん、簡単に言うと、“俺のサウンド遍歴”かな」

__音楽的には、あなた独特の、シンフォニックでメロディックなシンセ・サウンド、ヘヴィーなベース~ドラム・サウンドのコンビネーションを堪能できる作品に仕上がっていますね。

「そんなに複雑なことはなくって、とにかく全てに迫力を持たせるようにしたかっただけだよ。キックはヘヴィーに、スネアは挑発的に、シンセは際立つように、ストリングスは美しく…って感じにさ(笑)」

__曲づくりは、どのようなプロセスで進めていったんですか?

「どの曲も、スタートが全然違うんだ。俺の場合、いつもこうやってるという、決まった方法がなくってね。ドラムから始める曲もあれば、ベースやキーボード、メロディーから始める曲だってあるんだ」

__今作には、Jessie Ware、William Cartwright、Silas、Jay Wilcox、Buggsy、Shadz、Otis Brownなど、多彩なMC〜ボーカリストが参加していますね。彼らとのコラボレーションはいかがでしたか?

「すごく楽だったよ。みんな才能があるし、俺がやろうとしてることを理解してくれていたらかね。俺も、みんなのやり方を理解してたし。だから、すぐにしっくりきたよ。みんな仲のいい友達でもあるからさ」

__アルバムの発表に先立ち、Jessie Wareをフィーチャーしたシングルで、タイトル・トラックでもある「The Vision (Let Me Breathe)」をリリースしましたが、この曲はどのようにして誕生したものですか?

「俺のマネージャーがジェシーを紹介してくれたんだけど、素晴らしい歌声の持ち主だよね。で、この曲のタイトルは、本当は「Let Me Breathe」だったんだよ。「The Vision」っていうのは、インストのタイトルでね」

__最新シングル「Here Come The Lights (feat. Silas)」は、どのようにして誕生した曲ですか?

「2000F & J Kamataっていう、デンマークのコペンハーゲン出身の友達が、Turboweekendってバンドのリミックスをやったんだ。で、曲を聴いたら、そのバンドのシンガー、Silasの声がすごく良くって、二人に頼んで紹介してもらったんだよね。それが、コラボのきっかけだったよ」

__最後に、あなたの次なるヴィジョンについて教えてください。

「早くニュー・アルバムに取りかかりたいと思っているんだ、宇宙的で、『トロン』とゲーム音楽とセックスが混ざったみたいな、クレイジーなヤツをつくりたいね!」


【リリース情報】

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JOKER
The Vision
(JPN) 4AD/Hostess / CAD3131CDJ
10月19日発売
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tracklist
01 Intro
02 Here Come The Lights (feat. Silas)
03 Tron
04 The Vision (Breathe In) (Feat. Jessie Ware)
05 Milky Way
06 Level 6 (Interlude)
07 My Trance Girl
08 Lost (feat. Buggsy and Otis Brown)
09 On My Mind (feat. William Cartwright)
10 Back In The Days (feat. Buggsy, Shadz, Scarz, Double)
11 Electric Sea (feat. Jay Wilcox)
12 The Magic Causeway (Joker & Ginz – Outro)
13 トランシー (ボーナストラック)
14 オン・マイ・マインド (ラスティ・リミックス) (ボーナストラック)

【VIDEO】


【オフィシャルサイト】
http://www.hostess.co.jp/4ad/joker/
http://www.facebook.com/jokerofficialpage

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