KAM 『SPIRITUAL』『MATERIAL』インタビュー


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 ’99年に名曲「Garden」を生み出したアイコSUN、’86年からMUTE BEATで活躍、脱退後は、Ram Jam World、敏腕プロデューサーとして知られるASAMOTO、’00年代にドラムンベース・シーンで頭角を現したCARDZ。そんな、世代もバックグラウンドも違う三名が、2010年に結成したユニットがKAM(カム)です。

 配信でリリースした「WHEN THE SUN GOES DOWN」で、既に大きな注目を集めている彼らが、デビュー・ミニアルバム『SPIRITUAL』と『MATERIAL』を本日、二枚同時リリースしました。相反する世界観の中、ドラムンベースを軸に、これまでの日本にはなかった、新種のダンス・ミュージックを打ち出している衝撃作です。その制作には、2年の歳月を費やしたとのこと。

 はたしてKAMは、どんなユニットで、どこを目指しているのか? その真相に迫るべく、メンバーの三人にインタビューを試みました。


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KAM
精神と物質、人間と機械を有機的に混ぜ合わせる
ドラムンベース・ユニット

――KAMは2010年から活動しているということですが、まずは結成のいきさつを教えていただけますか?

ASAMOTO「もともと僕とCARDZがやっているイベントに、時々アイコが参加していたりしたんですが、バンドとしてライブを中心に据えた活動をしたいなと思いまして始めました」

――ASAMOTOさんは、Sugar Soulのプロデュースを手がけたことから、アイコさんのことは知っていたんですよね?

ASAMOTO「はい。以前から知ってました」

――CARDZさんとは、どういう出会いだったんですか?

ASAMOTO「イベントつながりというか、友達のDJの友達だったんですよ」

――アイコさんにお聞きしたいんですが、Sugar Soulは、ほぼ10年にわたって活動休止状態なわけですよね。なぜ今、新ユニットに参加しようと思ったんですか?

アイコSUN「一言で言えばタイミング。一時期は、もう音楽をやる気がなかったんですけど、他の何をやっても楽しくなくて、スゲ~つまんねぇって、それが極まってたし、ライブとかやりたいっていう気持ちもつのってたんです」

――お名前にSUNがつくようになりましたが、これはなぜですか?

アイコSUN「一番最初に、朝ちんとCARDZのイベントに呼ばれたときに、名前を出さなくちゃいけないって言われて、自分の中では“Sugar Soul”ではなかったので、そのときに思いついたのを今も使っているという感じです。自分の中にいつも太陽を求めているし、太陽は人間にとって非常に大事なものだし、太陽信仰じゃないけど、そういうのが無意識のうちに自分に根づいているので、“SUN”がパッと出てきたのかなと思います」

――KAM自体のコンセプトを教えてください。

ASAMOTO「基本、右脳でつくるっていうことですかね。三人ともソロやれるスキル持っているんで、あえて予定調和から外れることを目指したいっていうのが、大きいですね」

――資料によると、神聖さと現実が共存するアンビバレントな世界観が、背景にはあるようですが、それはどこから生まれてきたものでしょう。

アイコSUN「うちら三人が組み合わさったとき、そういうものだったから、そう書いてある」

CARDZ「単にダンス・ミュージックって言うと機械っぽいですけど、本質的な部分はもっと別の場所にあるというか」

ASAMOTO「有機的に機械と人間が混じりたいし、右脳と左脳も混じりたいっていうことですね」

――ユニット名はアイヌ語の“カムイ(“霊”、“自然”)”から取っているんですか?

アイコSUN「それもあるんですけど、“カム”っていう響き自体が、世界各国の神聖なものの名前にけっこうついているし、でも、そこに現世的な感じも、あたしは感じるので、いいなぁってことで二人に提案してみたんです」

――先行シングルとして配信された「WHEN THE SUN GOES DOWN」は、iTunes Storeで大きな支持を受けましたが、この曲が生まれた経緯を教えてください。

ASAMOTO「これ、一緒につくった一曲目だよね。僕がブリブリしたロックな感じをやりたかったんでしょうね(笑)。それをアイコもCARDZも気に入ってくれたんです」

――『SPIRITUAL』のリード曲になっている「DANCE IN THE LIFE」は、どんな曲ですか?

アイコSUN「そのまんまなんですけど、“生命を賞賛して踊る曲”です」

――一方。『MATERIAL』のほうでリード曲になっている[i]は、どんなことを表現した曲ですか?

CARDZ「今ある自分自身と向き合うことですかね」

――二枚のミニアルバムで、特に思い入れの強い曲はどれですか?

アイコSUN「ちょっとビートが変わってて、ヒップホップよりだなぁって思ってる、「SURVIVOR」っていう曲があるんですけど、あたしはこの曲とか、とっても大好きで、ず~っと最初から最後まで“これをシングルにしろ”って言ってましたね。他のにも、思い入れはあるんですけどね」

ASAMOTO「いや~難しいですね~。一番難しかったのが「DANCE IN THE LIFE」ですかね。いろんなアイディアが浮かんじゃって、いろんなバリエーションをつくったので。そういう意味では、思い入れっていうか、思い出がある曲ですね」

CARDZ「『SPIRITUAL』の最後に「BREATHE」っていう曲があって、これをじっくり聴いてもらうとおもしろいかも。できれば二枚とも聴いてもらってから…(笑)」

ASAMOTO「ちなみにエンジニアのD-プロダクト(ロニ・サイズ・レプラゼントのメンバー)は、ブリストル人なんですけど、「BREATHE」を聴いて“ブリストル・サウンドだ!”って叫んでたんで、嬉しかったですね」

――ブリストルでもレコーディングしたんですか?

ASAMOTO「ミックスをしたんです。自分の音楽遍歴を振り返ると、ブリストル産のものに影響を受けているんですよね」

――ブリストルは、ダビーな音楽の本拠地ですものね。KAMが、最終的にユニットとして目指しているところは、どんなところですか?

ASAMOTO「ライブ・バンドですね。僕は、ダンス・ミュージックでパーティーするだけだと満足できないタイプなので。ロニ・サイズとかが好きなのは、生バンドも並行してやっているからなんですよ。そういうのを、日本でも目指したいですね。パーティーももちろん好きなんですけど、“ライブがヤバい”っていうグループになりたいんです。例えば、フェスでは、近い将来ペンデュラムの前とかでやりたいですね(笑)」

――特にこれからやってみたいことってありますか?

アイコSUN「パーティーなりライブなりで、“祭り”をやりたいですね」

ASAMOTO/CARDZ「賛成」

interview & text TOMO HIRATA


【アルバム情報】

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KAM
SPIRITUAL
(JPN) UNIVERSAL / UICV-1013
HMVでチェック

KAM_MATERIAL_J.jpg
KAM
MATERIAL
(JPN) UNIVERSAL / UICV-1014
HMVでチェック

【LIVE INFORMATION】
■KAM LIVE – SPIRITUAL & MATERIAL –
2011年6月3日(金)東京都 代官山UNIT
OPEN 18:30 / START 19:00
料金:3800円(ドリンク別)
チケット発売中

■POWER OF JAPAN
2011年6月26日(日)大阪府 心斎橋CLUB DROP
OPEN 18:30 / START 19:00
料金:前売 2500円 / 当日 3000円(ドリンク別)
チケット発売中
出演者:
KAM / あらかじめ決められた恋人たちへ / and more

【オフィシャルサイト】
Delicious Deli Records/KAM
KAM OFFICIAL SITE

【VIDEO】

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