1996年に、ファッション・ブランドMILKBOYのショーで選曲を担当したことをきっかけに、パリ・コレクションの音楽ディレクターや、CM音楽のプロデューサー、DJとして活躍を見せているマルチ・クリエイター、Kenichiro Nishihara。彼がこのたび、スコットランドのスカイ島を原産としたシングル・モルトウイスキー、TALISKERをイメージしたコンセプト・アルバム、『Rugged Mystic Jazz for TALISKER』を、12月15日にリリースします。
ここでは、同アルバムの制作風景について、Kenichiro Nishihara本人に語ってもらいました。
Kenichiro_Nishihara
モルトウイスキーの渋みを表現した、荒々しくもメロディアスなジャジー・アルバム
1996年に、ファッション・ブランドMILKBOYのショーで選曲を担当したことをきっかけに、パリ・コレクションの音楽ディレクターや、CM音楽のプロデューサー、DJとして活躍を見せているマルチ・クリエイター、Kenichiro Nishihara。ジャズやブレイクビーツを主体とした音楽性で、クラブ・ミュージック・ファンからも注目を集める実力派だ。これまでに、自ら主宰するレーベルUNPRIVATE ACOUSTICSから二枚のオリジナル・アルバムをリリースしてきた彼は、自身のバックグラウンドについて、こう話す。
「もともとバンドでギターをやっていたんですが、1995〜1996年頃にダンス・ミュージックに興味を持ち、テクノにどっぷりハマりました。母親がジャズ・ピアニストなので、親への反発から“ジャズは好きじゃない”とずっと思っていたんですけど(笑)、イメージ通りの楽曲を形にするには、ジャズを勉強するしか方法が無いと思い、高校3年の時にジャズ・ピアノを学んだんです。ジャズの理論って、今のポップスを支えている幹でもあるので、それを勉強したことで、自分の活動フィールドを広げることができましたね」
そんなKenichiro Nishiharaがこのたび、スコットランドのスカイ島を原産としたシングル・モルトウイスキー、TALISKERをイメージしたコンセプト・アルバム、『Rugged Mystic Jazz for TALISKER』をリリースする。
「TALISKERのイメージとして、“Rugged(ラギッド)”というキーワードを一番大切にしました。これは、“荒々しい”とか“ゴツゴツした”という意味の言葉なんですが、それをアルバム全体のテーマにしていますね」
マッコイ・タイナー「Fly With The Wind」、ロニー・リストン・スミス「Expansions」といった、ジャズ / フュージョン系の楽曲から、ポリス「Every Breath You Take」、シスター・スレッジ「Thinking Of You」まで、バラエティー豊かなセレクトが光るカバー曲と、オリジナル曲5曲が収録された本作。そこには、彼の持ち味であるジャズ、ブレイクビーツに加え、ラテン・テイストやダブの要素も盛り込まれている。
そんな本アルバムでは、生楽器の温かみあるサウンドと、Kenichiro Nishiharaが自ら演奏した、まるで歌のようにメロディアスなピアノの旋律が印象的だが、制作には、1970年代のビンテージ機材も使用したという。
「アルバムのテーマである“Rugged感”を出すために、真空管などのザラっとした音色を取り入れたいと考え、1970年代のビンテージ機材が揃ったスタジオで制作をしました。“様々な要素を入れつつも、共通するフィーリングはジャズ”というアプローチで、楽曲にハイブリッド感を出すよう意識しましたね」
日常にフィットする、メロウなサウンドが楽しめる『Rugged Mystic Jazz for TALISKER』。ダンス・ミュージック・ファンのみならず、ポップ・リスナーにもオススメしたい一枚だ。
interview & text EMIKO URUSHIBATA
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【アルバム情報】
Kenichiro Nishihara
Rugged Mystic Jazz for TALISKER
(JPN) Victor / VICL-63698
12月15日発売
Track List
01. Introduction 57゜N 6゜W
02. Fly With The Wind
03. Expansions
04. Every Breath You Take
05. Interlude
06. Rugged Mystic Jazz
07. Thinking Of You
08. Skye Sensor Jazz (Version)
09. Waves Dub