Little Boots『Nocturnes』インタビュー

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英ブラックプール出身の女性エレクトロニック・ポップ・アーティスト、Little Boots(リトル・ブーツ:Victoria Hesketh)。カバー曲を演奏する模様をYouTubeで何曲も公開していたところ、口コミで話題を集めるようになり、デビュー前の段階で“BBC SOUND of 2009”で一位を獲得。そしてデビュー・アルバム『Hands』(’09)をリリースすると、全英チャート5位のヒットを記録し、一躍脚光を浴びた逸材です。ここ日本では、サマーソニック、単独公演で来日を果たし、テノリオン等を用いたユニークなパフォーマンスで話題を集めましたね。

そんなLittle Bootsが、前作から約4年ぶりとなるセカンド・アルバム『Nocturnes』(ノクターンズ)をリリースしました。DFA Recordsの共同設立者として知られるTim Goldsworthy(ティム・ゴールズワージー)をプロデューサーに迎え、Andy Butler(アンディ・バトラー:Hercules and Love Affair)やJames Ford(ジェイムス・フォード:Simian Mobile Disco)らがプロダクションに参加した楽曲群を収録した本作。時間をかけて制作したその内容は、彼女が持つ従来のポップ・センスと、ディープなエレクトニック・ディスコ〜ハウス・サウンドの要素が結合した、オーガニックかつアーティスティックなものとなっています。

ここでは、本作『Nocturnes』の内容について、Little Bootsに話を聞きました。なお『Nocturnes』は、現在Little BootsのYouTubeチャンネルで全曲試聴も実施中ですよ(以下に貼ってあります)。ぜひチェックしてみてください。


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Little Boots『Nocturnes』インタビュー

__今作『Nocturnes』は、デビュー作『Hands』(’09)から、実に4年ぶりのリリースとなりました。結構時間が経ってしまった印象もしますが、いかがですか?

「すごく忙しい4年間ではあったんだけど、すぐに時間が過ぎていったというよりも、とても長く感じる時間だったかな。というのも、楽曲は完成していたのにリリースできない状況だったのよ。私はちょっと気が短いところもあって、それがフラストレーションだったわ。ファンの方が気長に待ってくれたくらいだから(笑)。でもそれ以外は、ずっとツアーやDJで各地をまわっていたし、レコーディングもしていたし、忙しかったわね」

__今作の準備は、どのようなタイミングでスタートしたんですか?

「曲を書き始めたのは、2010年の春くらいからね。ツアーの最後だったコーチェラでのライブを終えてから、スタジオで曲をつくり始めたのよ。でも、長い間ツアーで世界各国をまわっていたから、スタジオに戻ってきてもなかなか曲づくりのプロセス入っていけなかったのを覚えてるわ。よく覚えているのは、2010年の末くらいの時、書いた曲がぜんぜん良くなくて、一度全部捨てたのよ(笑)。そのくらい苦しんだ時期もあったわ。でも、徐々にそこから抜け出せたわ」

__昨年、2012年の一時期、新曲をいくつかSoundcloudなどで公開したことがありましたね。その頃には、もうアルバムはできていたのでしょうか?

「実はその時期の前の段階で、アルバムの楽曲はもう完成していたわね。ただ、アルバムの方向性は欠けていたのよ。で、その間に自分のレーベルを設立して、そのタイミングでティム・ゴールズワージーにアルバムの全面プロデュースをお願いしたわ。ティムとは、その前に何曲か作業はしていたんだけど。でも、そのプロデュース作業のために、さらに半年くらいリリースを遅らせなくちゃいけなくなったのよ。本当はすぐにでもリリースしたかったから難しい決断だったけど、心から納得できる仕上がりになったから、今は決断して良かったと思っているわ」

__前作と比べて、今作よりダンス・ミュージック的なアプローチで、なおかつディープなテイストの楽曲が詰った内容となっていますね。最終段階では、ティムと一緒にどのような方向性のアルバムに仕上げようと思っていたんですか?

「もし最初から一人でアルバム制作をしていたら、特定のコンセプトを持った作品をつくろうと思ったかもしれないだけど、今回は自分一人のみじゃつくりきれないって感じていたこともって、結果的にいろんなアーティストとコラボレーションしながら曲づくりをしていったのよね。そのせいで、方向性が定まっていない状態になっていたわけなんだけど」

__はい。

「で、前作も、クラブではかけられない曲があったかもしれないけど、私はダンス・ミュージック・アルバムだったと思っているの。だから今作では、そのダンス・フレンドリーな世界観をより押し進めた内容にしようと思ったわ。ポップな要素も残したダンス・アルバムをつくりたかったのよ」

__ティム・ゴールズワージーにプロデュースをお願いした経緯は何だったのでしょうか?

「もともと私はティムのファンで、とても素晴らしいアーティストだから、彼にプロデュースしてもらうのは夢みたいな感じだったのよ。ただ、彼はとてもクールな世界で活動していて、私はもっとポップな世界で活動していたから、私のようなタイプのアーティストと仕事をしてくれるのか、当初はわからなかった。でも、自分が目指したいと思っていた方向性を彼に説明したら、よく理解してくれたし、今回コラボレーションしたアンディ・バトラー(ヘラクレス・アンド・ラヴ・アフェア)が共通の友人だったこともあって、今回一緒に仕事をできることになったのよ。ティムは、ヘラクレス・アンド・ラヴ・アフェアのプロデュースもしたことがあったから。で、ティムは今ブリストルに住んでいるから、今回の作業はマッシヴ・アタックのスタジオで行ったのよ」

__サウンドメイキング面で重視したことは何でしたか? 今作は、エレクロニックなダンス・ミュージックといっても、アナログでオーガニックなフィーリングが印象的ですね。

「私にとってシンセサイザー・サウンドはとても重要な要素なんだけど、ティムはアナログ・シンセに精通していて、スタジオが大量のシンセと配線で埋まっているくらいなのよ。で、今作ではそういったシンセ類を使いこなす努力をしていったから、このサウンドをつくり出すことができたと思うわ。最近のデジタル機材とは違って、アナログ機材はより人間味のある音が出るし、完璧じゃないからこその良さ、みたいなものがあると思うの。最近のEDMはとてもソフトウェア重視だと思うんだけど、そうすると、やっぱりパーソナリティーがだんだん失われていってしまうのよね」

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__そういう側面はありますよね。

「この間ダフト・パンクの新作インタビューをたまたま読んだんだけど、彼らも一つの音を出すために、いろんなスタジオに行って、いろんな状況、手法でレコーディングをしたそうよ。やっぱりエレクロニック・ミュージックも、そういったクラフトしていく(手でつくり込んでいく)ような努力をする必要があるんじゃないかな。私も、そういった努力は欠かしたくないと思っているのよ」

__なるほど。ではシングル曲の「Broken Record」は、どのようにして誕生した曲ですか?

「前作に入っていた「Stuck on Repeat」の続きを書くようなつもりで、LAで書き始めた曲ね。私は、ちゃんとしたポップ・ソングをつくるという意識が高くて、どうして繰り返し曲を聴きたくなるんだろうとか、そういったことをすごく考えながら作曲しているんだけど、この曲は、そういった想いを込めた内容になっているわ」

__アルバムのオープニング曲「Motorway」は、どのようにして誕生した曲ですか?

「この曲は、自分が10代だった頃に暮らしていた地元をテーマにした曲ね。私は10代の頃、いつか絶対にこの故郷から出たいという、都会への憧れみたいなものを抱いていたのよ。この町には何もないって思っていたの。その頃は、夜な夜な高速道路(Motorway)を飛ばして、いろんな所に行ってライブを観たりしていたわ。と同時に、この曲はラヴソングにもなっていて、何もない故郷で自分と同じ気持ちの人と出会う、っていうストーリーも含んだ内容になっているの」

__ちなみに、あなたが今作で特に満足している楽曲というのは、ありますか?

「今作の中でも特に正直だなって思う曲があって、それは「All For You」ね。この曲を書いた時は、すごく自分自身が解放された気分になったわ。自分が言いたかったことを遠慮せずに言って、まるで宇宙を旅しているような感覚、そして自分を取り乱しているような感覚にもなったんだけど、自分の気持ちを表現できた曲になったと思う。これまでは、ジェネラルな内容の歌を書いているような部分があって、こういった気持ちを表現してみようなんて思わなかったのよ。でも今作では、その部分で成長することできたのよ。だから怖がらずに、こういう表現にも踏み込めたの」

__では、こういった楽曲を収録した今作のアルバム・タイトルを、“Nocturnes”とした理由について教えてください。

「“ノクターン”(夜想曲)は、もともとクラシック音楽の言葉だと思うんだけど、“夜にインスピレーションを受けた音楽”という意味があるのよ。で、夜にDJをしたり、夜に旅してツアー先についたりと、私の存在していた世界というのは“夜”であることが多かったから、そういった気持ちも込めてこのアルバム・タイトルにしたわ。楽曲自体も、例えば「Motorway」なんかは、夜というダークなテーマと重なる曲になっていると思うし」

__曲づくり自体も夜に行うことが多かったんですか?

「時々はね(笑)。でも、夜にレコーディンクをすることって、実はあんまりないのよね。夜にアイディアを思いついて、朝に作業をすることはあるんだけど」

__最後に、あなたの次なる活動目標を教えてください。

「アメリカとイギリスのツアー、そして夏にはフェスティバルに出演するのが、これからの楽しみね。日本にも早く戻ってきたいと思っているわ。あとは、今回はリリースの間隔が空いてしまったから、次はもっと早くリリースしたい(笑)。もう次回作の構想を思い浮かべたりもしているから、早く曲づくりに取りかかりたいわ」

interview: iLOUD


【リリース情報】

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Little Boots
Nocturnes
(JPN) On Repeat/Hostess / HSE-50085
5月22日 発売
HMVでチェック

tracklist
01. Motorway
02. Confusion
03. Broken Record
04. Shake
05. Beat Beat
06. Every Night I Say A Prayer
07. Crescendo
08. Strangers
09. All For You
10. Satellite
+ ボーナストラック

【アルバム全曲試聴】

http://hostess.co.jp/news/2013/05/002540.html

【オフィシャルサイト】
http://www.littlebootsmusic.co.uk/
http://hostess.co.jp/

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