Múm『Smile Wound』インタビュー

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グンネル・ティーネス(Gunnar Örn Tynes)とオルヴァル・スマラソン(Örvar Þóreyjarson Smárason)を中心に、アイスランドのレイキャビークで結成されたバンド、Múm(ムーム)。アコースティック楽器とエレクトロニカを融合した実験的かつ叙情的な音楽性が持ち味で、2000年に『Yesterday Was Dramatic – Today Is OK』でアルバム・デビューして以来、計6作のアルバムを発表。そのオーガニックにしてドリーミーなサウンドで高い評価を受けてきた人気バンドです。

そのMúmが、前作から約4年ぶりとなるニュー・アルバム『Smile Wound』(スマイルウーンド)をリリースしました。練習スペースとして使っていたバルト諸国の古い農家など、様々な場所でレコーディングを行いながら、セルフ・プロデュースで完成させたという本作。バンド初期のオリジナル・メンバーとして知られる双子姉妹の一人、ギーザ(Gyða Valtýsdóttir)が本格復帰していることでも話題を集める注目作となっています。

ここでは、本作『Smile Wound』の内容について、6月にHostess Club Weekenderで来日したMúmのメンバー、オルヴァルに話を聞きました。


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Múm『Smile Wound』インタビュー

__新作『Smile Wound』は、2009年の『‪Sing Along to Songs You Don’t Know‬』以来となるアルバムになりますね。アルバムの制作は、いつ頃から始めたのでしょうか?

「うーん。いつアルバム制作をスタートしたのかっていうのは、かなり曖昧だね。というのも、常に僕らは作業をしていて、曲をつくったり、いろんなアイディアを試したりしているからね。ただ、アルバムとして仕上げる作業を始めたのは、一年半くらい前だったと思う」

__今作は、バンドの初期メンバーとして知られるギーザが、バンドに本格復帰した作品となっていますね。彼女が本格復帰した経緯や理由について教えてください。

「実はギーザは、他のMúmのアルバムでも、チェロを弾いたりはしていたんだよ。ただ、彼女はスイスなど他の国に住んだりしていたから、なかなか時間を合わすのが難しかったし、ツアーには参加してなかったんだ。でも、前作のツアーでワルシャワに行った時、かなり大きなライブになって、大々的にストリングスをフィーチャーするということで、ギーザも含めて、弦楽の友達をかなり呼び寄せたことがあったんだ」

__はい。

「あと、2年くらい前にイスタンブールでライブをやった時、たまたまギーザもイスタンブールにいたから、“じゃあ今夜ライブで一緒にプレイしてみない?”って声をかけたら、参加してくれたことがあってね。彼女は、けっこうイタンブールに行くことが多いらしいんだよ。で、彼女はそれ以来、ライブにちょくちょく参加することが多くなっていってね。今は再び、もうすっかりフルタイム・メンバーになったというわけなんだ。一方で、他のメンバーが別のプロジェクトで忙しくなったりしていたから、ちょうど良いタイミングだったね」

__今作は、基本的にはどういうメンバー構成、編成で制作した作品になっているんですか?

「ライブの時は、五人編成が基本になってるよ。アルバムには、もっといろんな人達が参加しているけどね。曲によっていろんなミュージシャンが参加しているよ。その時に参加できた人達が参加している、って感じかな。例えば、今作でチェロやボーカルをやってくれたヒルドゥル(ヒルダー)は、子供ができたり、別のプロジェクトをやってたりして、いまライブには参加してないよ」

__毎回アルバムでもライブでも、メンバーがちょっとずつ出入りして、入れ替わっていくというのは、大変じゃありませんか?

「そうだね(笑)。スケジュールを合わせたりするのは大変だよ。電話をかけまくったりしてね。でも、スケジュールが合わなくても、必ず他の誰かが見つかるものなんだよね。先週末にリトアニアでライブをやった時は、僕の妻が出産間近だということで、僕は参加できなかったんだけど、ライブ自体はちゃんと上手くできた(笑)。ギーザの彼氏が何曲かに参加して、プレイしてくれたんだ。まあ、あくまでもMúmは音楽が主役だから、誰がプレイしていようと大丈夫なんだよ」

__なるほど。

「Múmという一つの大きな家族みたいなものだと思ってくれればいいかな。だから、メンバーは増え続けていく。今はMúmから離れていても、家族の一員であることには変わりないからね。で、また戻ってきたりする、というわけなんだ」

__アルバムの話に戻りましょう。アルバムとして仕上げる作業を始めるにあたって、何か事前にイメージしていたテーマ、コンセプトなどはありましたか?

「アルバム全体を通して明確な何かを描くってことは不可能だから、特にはなかったよ。ただ、こういう曲のスケッチができ上がっているから、きっとこんな感じになっていくだろう…みたいな感覚はあったけどね。とはいっても、実際に曲が完成すると、思っていたものと全く違っていたりするものなんだけど(笑)。まあ、1~2曲だったらイメージできるけど、アルバムの全体像までは明確に描けないというか、何かゴールや目標を設定してしまうと、間違った方向に行ってしまう気がするんだ」

__では、アルバム用の曲のスケッチ群は、何を手がかりに選んでいったんでしょうか?

「単純に、ポテンシャルを感じたもの、だったよ。スケッチの状態でほぼ完成しているような曲もあったし、もう少し手を加えたらもっと違ったものになるだろうと思って、いろいろと足していった曲もあったね。その時に働いたインスピレーションが大事というか、遊び心は忘れたくなかったよ。歌にしても、メロディーにしても、サウンドにしても、楽しんで作業ができなかったら、飽きてしまうから」

__アルバム・タイトルの“Smilewound”という言葉は、どの段階で出てきたんですか?

「今回はいつもと違って、なかなかタイトルが決まらなかったよ。30〜40くらい候補やアイディアがあった中から、ようやくたどり着いたタイトルだったね。もともとはアルバムに入っている「The Colorful Stabwound」の曲名と「One Smile」の曲名がアルバム・タイトル候補だったんだけど、そこから、この二つをかけ合わせた“Colorful Smile Stabwound”が出てきて、最終的に“Smilewound”になった、という感じかな。「The Colorful Stabwound」はアルバムの最後にできた曲だね」

__そうなんですか。

「ミキシングをしている段階で、新たにできた曲なんだ。“The Colorful Stabwound”をアルバム・タイトル候補として考えていた時に作曲してね。で、この曲の歌詞にある“歯”と“笑顔”という言葉には、明るさと恐さみたいな対比があって、それがアルバム全体の世界観に合っている気がしたんだ。クリエイティブな過程って、ゴチャゴチャとかなりいろんな要素が入り交じった状態なんだけど、そこをグルグルまわりながら、出てきた良いものを抽出していくって作業なんだと思う」

__では、今作のサウンドメイキングやアレンジ面で、特に重視したことは何でしたか?

「今回は、小型の電子機材や楽器をたくさん入手したこともあって、それらをかなり使ったかな。そういった機材をいじるのが面白い時期にこのアルバムをつくっていったから、それがサウンドの要、中心になったと思う。OP-1(Teenage Engineering)とか、Pocket Piano(Critter & Guitari)とか、Moog Minitaurとか、そういった楽器をけっこう使ったよ」

__アルバムのオープニング曲「Toothwheels」は、どのようにして誕生した曲ですか?

「確かビートからスタートした曲だったね。で、シンセのメロディーを入れて、歌のメロディーを入れて、最後にアルペジオを入れて…曲が誕生する時のその魔法的な瞬間というのは、言葉じゃ伝えられないよ。僕らが楽器を操っている時に、その瞬間は訪れるんだけど、他の人が同じ楽器を操っても、同じ瞬間は生まれないわけだしね。曲ができていく過程を説明するのは難しいよ(笑)」

__今作のアルバムの中で、クリエイターとして特に手応えを感じた曲はどれでしたか?

「「Candlestick」かな。シンプルな構成の中にも、サウンド面で新しさがあるね。新しい扉を開いてくれたと思う。僕ら自身も新鮮だった。あと今回は、まずは生ドラムを叩いてもらって、そこから始めた曲というのがあるんだ。曲ができてから生ドラムを重ねる、というのではなくね。僕らとしては新しいアプローチで、「The Colorful Stabwound」やいくつかの曲は、そうやってできたものだね。ピアノ、ベース、歌という構成で、他の曲とは違った雰囲気に仕上がってると思うな」

__最後に、Múmの次なる活動目標、今後の活動予定について教えてください。

「当面の目標はツアーだね。台北、香港、シンガポールとアジアでもライブをやって、秋からは本格的なヨーロッパ・ツアーをやる予定さ。ツアーは、知らない国や場所に行けて、いろんな人と出会えて、いろんな文化に触れられて、とても楽しいよ。ただ、家族とは離ればなれになってしまうから、上手くそれぞれの時間を両立させていきたいね」

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【リリース情報】

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Múm
Smilewound
(JPN) Hostess/Morr / HSE-60164
9月11日発売
HMVでチェック

tracklist
01. Toothwheels
02. Underwater Snow
03. When Girls Collide
04. Slow Down
05. Candlestick
06. One Smile
07. Eternity is the Wait Between Breaths
08. The Colorful Stabwound
09. Sweet Impressions
10. Time to Scream and Shout
11. Whistle (with kylie) – bonus track
12. Cranes Like Ship – bonus track

【VIDEO】

【オフィシャルサイト】
http://mum.is/
http://hostess.co.jp/mum/(期間限定アルバム全曲試聴実施中)

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