Palma Violets『180』インタビュー


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サム・フライヤー(Vo/G)、チリ・ジェッション(Vo/B)、ピート・メイヒュー(Key)、ウィル・ドイル(Dr)からなる、ロンドン出身のロック・バンド、Palma Violets(パーマ・ヴァイオレッツ)。ザ・スミスやザ・ストロークス、ザ・リバティーンズらを見出したRough Tradeのジェフ・トラヴィスが、1曲をだけを聴いて即契約したというバンドで、デビュー前にNMEの表紙を飾り、NMEアウォーズ2013にて最優秀新人賞を獲得。さらに英BBC “Sound of 2013”のロングリストにもノミネートされるなど、今年高い注目を集めている新星です。

そんな彼らが、デビュー・アルバム『180』を3/6にリリースします。プロデューサーにパルプのベーシスト、スティーヴ・マッキーを迎え制作したという話題作です。その内容は、そのスティーヴが“Palma VioletsはRough Tradeの伝統を受け継ぐバンドだ。本能的で、カリスマ性と今にも爆発しそうなエネルギーがあって、全く予期できない。あいつらが演奏する場所では、何かが起こるんだよ! バンドのケミストリーは素晴らしいね…”と語る通りの、いかにも英国のバンドらしい、スリリングなロックンロールとメロディー・センスを味わえるものとなっています。

ここでは、本作『180』の内容とPalma Violetsの音楽的背景について、先日<Hostess Club Weekender>で来日したメンバーのチリ・ジェッションとウィル・ドイルに話を聞きました。なお、本作の日本盤は、ボーナストラックとしてHostess Club Weekenderのライブ音源を7曲収録しております。


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Palma Violets『180』インタビュー

__まずは、Palma Violetsが結成された経緯について教えてください。

チリ「僕が2009年のレディング・フェスティバルに遊びに行った時、サム(・フライヤー)がキャンプファイアーのそばでギターを弾いていてね。それを聴いて惚れ込んで、友達になったんだ。で、その後ピートとウィルが合流したんだよ」
ウィル「チリ以外の三人は、同じ学校に通ってたんだ。だから、レディングでサムがチリと出会うまでは、みんなチリのことは知らなかったよ」

__Palma Violetsというバンド名の由来について教えてください。

チリ「ライブをやることになった時、やっぱりバンド名を付けなきゃっていけないってことで、とりあえずこのバンド名にしたんだ。で、その時は後でまた考えようって思ってたんだけど、結局このままになったよ。バンド名の由来は、ビクトリア女王が大好きなキャンディの名前で、本来の綴りは“parma”なんだけどね(笑)」
ウィル「そのキャンディの味も、言葉の響きも好きなんだ(笑)」

__あなた達の拠点は、サウス・ロンドンの英国鉄道の建物内にある、スタジオ180という所だそうですね。そこで、いわゆるスクワッド・パーティーやライブなんかをやっていたんですか?

ウィル「そうだね。ボロボロの建物なんだけど、居心地がいいんだ。ライブは地下室でやってたよ。その建物にはいろんなクリエイターやアーティストが集っていたから、いろいろ手伝ってもらいながら、毎月趣向を変えてやってたよ」
チリ「ある時はガラスの箱をつくって、その中で女性がナイフを持ちながら踊って、僕らはその周りで演奏したりとか。そんなアーティスティックな雰囲気のライブもあったね」

__今現在のPalma Violetsの音楽性は、そういったライブ活動を通じてでき上がっていったものなんですか?

チリ「その通りさ。ライブが重要だね。曲をつくる時は、いつもライブでできるかに重点をおいてやっているし」
ウィル「僕らはユニークなバンドを目指していたから、他の誰かを真似ようと思ったことはない。もちろん、何かに影響を受けることはあるけどね」

__あなた達は、当初からRough Tradeと契約したいと考えていたそうですね。実際に契約を交わした時は、どんな気分でしたか?

ウィル「Rough Tradeは、The Libertines、The Strokes、Alabama Shakesなど、偉大なロックンロール・バンドを送り出してきたレーベルだし、他のレーベルと違って、音楽に対する情熱も深いものがあると思う。バンドの主張を尊重しながら、バンドが成功することを考えてくれるんだ。だから、彼らの方から話を持ちかけてきてくれた時は、光栄に感じたよ」

__自分たちの方からレーベルにデモテープを送ったりはしなかったそうですが、それは作戦だったんですか?

チリ「意図的ではないんだけど、まぁ、ある意味そうだったとも言えるかもしれないな(笑)。あるレーベルで働いていた知り合いから、デモテープが届いても30秒くらいしか聴かないものだよって話を聞いたことがあったから、そんなとこに送っても意味がないって思ったんだ。だから、どうやったらちゃんと人に聴いてもらえるのかを考えて、それでライブを開催することで、みんなに来てもらうことにしたんだよ」
ウィル「で、たまたまそれが功を奏したってわけさ」

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__分かりました。では、デビュー・アルバム『180』について教えてください。まずこのアルバム・タイトルは、あなた達の活動をそのまま総括したようなものだと捉えていいんでしょうか?

チリ「そうだね。僕らの“今”を捉えたタイトルだと思う。僕らは180で曲を書いてきたし、僕らの活動は180から始まったからね。タイトルの候補は他にもたくさんあったんだけど、最終的に残ったのがコレだった。ジャネット・リー(ジェフ・トラヴィスと共にRough Tradeを仕切る重要人物)のアドバイスもあって、このタイトルに決めたよ」

__収録曲は、ライブで繰り返し演奏してきた曲ばかりなんですか?

チリ「契約後に付け加えた曲もいくつかあるけど、基本的にはそうだね。で、「Johnny Bagga’ Donuts」は、アルバムをつくっていく中で最後に付け加えた曲になってるよ。アルバム全曲をプレイしたライブは、まだ一回しかやってない感じ」

__本作のレコーディングは、Pulpのスティーヴ・マッキーと行ったそうですね。彼をプロデューサーに起用した経緯は何だったのでしょうか?

ウィル「スティーヴ・マッキーも僕らのライブに足を運んでくれて、声をかけてくれたんだ。彼はちょうど、ロックなアルバムをつくりたいと思っていたみたいでね。その前は、M.I.A.とかSummer Campの作品を手がけてたんだけど。で、話してみたらとても気が合って、レコーディングもとてもやりやすかったよ。いろいろ試させてくれたし、ミスを犯すことも許容してくれたしね。一つルールを設けたんだけど、それは“テイクは3回まで”というものだったよ」

__3テイクまでに録らないといけなかったんですか。ライブ感を重視ってことですね。

チリ「そうさ」
ウィル「3回以上やってもダメなら、それは上手くいかないってことだろうから、おしまい…ということさ(笑)」
チリ「その時にエネルギーを出し切れない場合は、別の日にやるんだ」

__では、最終的に選ばれたテイクは、やはり1テイク目のものが多かったんでしょうか?

チリ「「Three Stars」なんて、練習で録った1テイク目が、そのままアルバムに収録されてるよ。他の楽曲も、1テイク目を使ったものが多いと思うよ」
ウィル「緊張と興奮って紙一重なんだよね。今回のレコーディングでは、そこの部分を実感することができたよ」
チリ「スティーヴ自身も、そういうことを何回も体験してきているから、そこを理解して、僕らの音をちゃんと捉えてくれたと思う」

__楽曲についても何曲か教えてください。あなた達の存在を一躍有名にした「Best of Friends」は、どのようにして誕生した曲ですか?

ウィル「チリの実体験が基になっている曲なんだ」
チリ「僕がメロディーを思いついて、そこに歌詞を付けたんだよね。僕にとってパーソナルな、大切な曲さ。僕が歌った初めての曲でもあるし」

__最新PV曲の「Step Up for the Cool Cats」は、どのようにして誕生した曲ですか?

チリ「口うるさいレコード・レーベルに対して歌った反抗的な曲なんだけど、The Monkeesのデイビー・ジョーンズが亡くなった日(編注:2012年2月29日)につくったんだ。そのことをよく覚えているよ」

__最後に、あなた達にとってライブ・パフォーマンスの醍醐味とは何ですか?

チリ「僕は、ライブをしている時こそが、とにかくイキイキしていられる瞬間さ。すごく体調が悪くても、ステージに上がると元気になるんだ(笑)。ライブは、僕の元気の源だね」
ウィル「僕もステージに上がる時は、また曲を演奏できるという喜びが湧いてくるね。それは、何人の前でも、何千人の前であっても変わらないよ」
チリ「だから、できる限り世界中にいる沢山の人達と出会って、その人達の前で演奏していきたいね!」

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【リリース情報】

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Palma Violets
180
(JPN) Rough Trade/Hostess / BGJ-10166 (RTRADCD700J)
3月6日 発売
※日本盤はボーナストラック、歌詞対訳、ライナーノーツ付
HMVでチェック

tracklist
01. Best of Friends
02. Step Up for the Cool Cats
03. All the Garden Birds
04. Rattlesnake Highway
05. Chicken Dippers
06. Last of the Summer Wine
07. Tom the Drum
08. Johnny Bagga’ Donuts
09. I Found Love
10. Three Stars
11. 14
日本盤ボーナストラック
(Hostess Club Weekender Live / Feb 2nd 2013)
12. Johnny Bagga Donuts
13. All the Garden Birds
14. Tom the Drum
15. Best of Friends
16. Step Up for the Cool Cats
17. Last of the Summer Wine
18. 14 / Brand New Song

【オフィシャルサイト】
http://hostess.co.jp/roughtrade/palmaviolets/
http://www.palmaviolets.co.uk/

【全曲試聴】

【VIDEO】



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