Peter Murphy『NINTH』インタビュー

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ゴシック・ロックの先駆けとなった重要アルバム『暗闇の天使(In The Flat Field)』(’80)、『マスク(Mask)』(’81)、『The Sky’s Gone Out (スカイズ・ゴーン・アウト)』(’82)を次々と発表したバンド、バウハウス。そのフロントマン/ボーカルとしてデビューを果たし、後世のアーティスト達に多大な影響を与えてきたピーター・マーフィーが、最新ソロ・アルバム『NINTH(ナインス)』をリリースしました。エスニックな要素を打ち出した前々作『Dust』(’02)や、ポップでカラフルなサウンドを打ち出した前作『Unshattered』(’04)とは異なる、バウハウスを彷彿とさせるバンド・サウンドを打ち出した注目作です。

ここでは、そんな『NINTH(ナインス)』の内容を、ピーター・マーフィーの発言と共にご紹介しましょう。


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PETER MURPHY

バウハウスの最重要人物が到達した、
原点回帰のダーク&サイケデリック・サウンド

 ポスト・パンク~ニューウェイブ期に、ゴシック・ロックの先駆けとなった重要アルバム『暗闇の天使(In The Flat Field)』(’80)、『マスク(Mask)』(’81)、『The Sky’s Gone Out (スカイズ・ゴーン・アウト)』(’82)を次々と発表したバンド、バウハウス。そのフロントマン/ボーカルとしてデビューを果たし、独自の美意識とシアトリカルなパフォーマンスで、トレント・レズナー(ナイン・インチ・ネイルズ)をはじめ、後世のアーティスト達に多大な影響を与えてきたのが、ここにご紹介するピーター・マーフィーだ。バウハウスが一時解散を宣言した’83年以降は、元ジャパンのミック・カーンと共に結成したダリズ・カーや、ソロ活動を展開。 ’08年には、幾度かの再結成を経て約25年ぶりに制作された、バウハウスとしての事実上のラスト・アルバム『暗闇のごとく現れ、白い陽炎のように去りゆく(Go Away White)』をリリースし、話題を呼んでいる。

 そんなピーター・マーフィーが、最新ソロ・アルバム『NINTH(ナインス)』をリリースした。ソロ・アルバムとしては、『Unshattered』(’04)以来約7年ぶりとなる作品だ(編注:本来であれば、本作に先立ちダリズ・カーの約27年ぶりとなるアルバムがリリースされる予定だったが、ミック・カーンが他界したために完成せず、こちらの音源は今後5曲収録のEPでリリースされる予定だそうだ)。“NINTH”というアルバム・タイトルの通り、通算9作目のソロ・アルバムである本作。まず、このタイトルについて、彼は次のように語っている。

「素晴らしい作品にタイトルをつけたくなか ったんだけど、タイトルをつけないことに一番近いのが、この“NINTH”(=9枚目)だった」

 そんな本作は、ピーターが“隠れたとんでもない天才”と語るデイヴィッド・バロン(過去にレニー・クラヴィッツ等と仕事をしているインストゥルメンタリスト~アレンジャー)をプロデューサーに迎え、’05年以来の付き合いだというライブ時のバンド・メンバーと共に、たった7日間のレコーディングで完成させたもの。どのような内容の作品にしたかったのだろう? アルバムのアイディア源について聞いてみよう。

「ただ単に曲を寄せ集めたわけではないね。曲はいつだって書けるけど、自分の遺産を取り戻す欲求に駆られたんだと思う。オーディオ・レコーディングの世界で僕が何者であったのか、そして何者であるのかということに関する、とてもダイレクトなステートメントを打ち出したかったんだ。もちろん、僕のライブに来れば、本物のシアトリカルな体験ができるけど、 いつでもそれが可能だというわけではない。だから、オーディオ・レベルでも完璧にダイレクトで、僕が何者なのかということを喚起させたかった」

 では、本作のレコーディング自体は、どのようなものだったのだろう?

「7日間でレコーディングして、それをデイヴィッドと僕で編集したんだ。面白かったのは、とてもオーガニックなパフォーマンスだったということ。プロデューサー、エンジニア、僕、バンド、全員が一つの部屋に集まったんだ。で、曲をやる度に、僕は歌って、それを録音した。その後、エレクトロニックとストリングスの要素を加えはしたけど、みんなで演奏したものなんだよ。つまり、今時誰もが使っている、プロトゥールズでつくり込んだものではないんだ。ボーカルのチューニング(編注:レコーディングしたボーカルの音程を、後から調整すること)だってしていないしね」

 こうして完成した本作の内容は、シングル「I Spit Roses」を筆頭に、彼が“自分の遺産を取り戻す”と語る通りの、ピーター・マーフィーという人物の原点が、ダイレクトに表現されたものとなっている。つまり、オリジナルのバウハウスを彷彿とさせる、バンドがつくり出すアナログで生々しいグルーヴ、ギターを軸としたオーガニックでワイルドなサウンド、そして彼独特のメロディーとボーカル・パフォーマンスが結合した、正にダークでサイケデリックなサウンドスケープが広がる作品となっているのだ。ピーターは、こうしたサウンド・アプローチについて、次のようにも語っている。

「このアルバムには、僕のアイデンティティがしっかりと刻み込まれているんだ。だからと言って、これまでの作品にアイデンティティがなかったわけじゃないけどね。各アルバムには、それぞれ別の命と世界が宿っている」

 エスニックな要素を打ち出した前々作『Dust』(’02)や、ポップでカラフルなサウンドを打ち出した前作『Unshattered』など、バウハウスとは異なるサウンドを探求してきた作品群を経て、原点回帰すると同時に新境地の音世界に到達したピーター・マーフィー。本作『NINTH(ナインス)』は、彼独自の音楽性と、その本質を再確認できる、正にダーク・オルタネイティブなアルバムだ。なお、本作の日本盤には、ボーナストラック「Gaslit」に加えて、エンハンスドCD仕様にて「I Spit Roses」ミュージック・ビデオの舞台裏を撮影した“ビハインド・ザ・シーンズ・オブ・ザ「I Spit Roses」”を収録している。


【リリース情報】

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PETER MURPHY
NINTH
(JPN) IMPERIAL / TECI-24662
6月22日発売
HMVでチェック

tracklisting
01. Velocity Bird ベロシティ・バード
02. Seesaw Sway シーソー・スウェイ
03. Peace To Each ピース・トゥ・イーチ
04. I Spit Roses アイ・スピット・ローゼズ
05. Never Fall Out ネバー・フォール・アウト
06. Memory Go メモリー・ゴー
07. The Prince & Old Lady Shade ザ・プリンス & オールド・レディ・シェード
08. Uneven & Brittle アンイーブン & ブリトル
09. Slowdown スロウダウン
10. Secret Silk Society シークレット・シルク・ソサイエティ
11. Crème de la Crème クレーム・デ・ラ・クレーム
日本盤のみのボーナス・トラック
12. Gaslit ガスリット

【オフィシャルサイト】
http://www.imperialrecords.jp/intl/artist/peter-murphy/
http://www.petermurphy.info/

【VIDEO】

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