skrew kid インタビュー


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高校時代に、Pavementに影響を受け作曲活動を開始し、名古屋を拠点に活動するポスト・ロック・バンド、ALL OF THE WORLDのメンバーとしても活躍する、YOSHIHIRO TSUCHIE。彼がバンドと並行して行っているソロ・プロジェクトのskrew kid(スクリュー キッド)名義で、約5年ぶりとなるセカンド・アルバム『room tapes』を発表しました。穏やかな休日の雰囲気をそのまま閉じ込めたかのような、ローファイで緩やかなインスト曲がつまった『room tapes』。本作がどのようにして生まれたのか、YOSHIHIRO TSUCHIEに話を聞きました。

「バンドでは、ダンス・ミュージックを意識していますが、その流れを汲みつつ、もっとテンポが緩くて、間のある音楽をやりたいと思い、skrew kidを始めました。あまりつくり込みすぎず、未完成な粗さが残っていて、体を揺らして聴ける音楽が好きなので、skrew kidでは、そんな自分が聴きたいと思えるものを、ライフワークとして制作したいと思っています」

そんなskrew kidの約5年ぶりとなるセカンド・アルバムが、ここにご紹介する『room tapes』だ。クラシック・ギターやローズ・ピアノの楽器音と、打ち込みのビートを軸に、シンプルなメロディーのループで構成された本作。まるで、穏やかな休日の雰囲気をそのまま閉じ込めたかのような、素朴で優しいサウンドに満ちた作品だ。その収録曲は、どのように形にしていったのだろう?

「外でお茶をしている時とかにイメージを膨らませて、それがある程度形になってから、絵を描くように音を具現化させていく感じです。実際に録音してみると、音の質感が変わってくることもあるので、そこからまた新たにイメージを膨らませていくこともあります。それと、前作よりも踊れる作品にしたいと思ったので、多少ビートも入れました」

オープンリールやテープ・エコー、テープ・レコーダー等、デジタル主流の現代には珍しい機材を用いて制作された本作。レコーディングの際は、録音した音をアナログのオープンリールで再生し、それを、細かなノイズも含めて、ハイビットでデジタル録音するというプロセスを繰り返し、心地よく聴こえる音の質感を探っていったという。

「デジタル・レコーディングだけでは、、すごくツルっとした音になるというか、楽器の持つキャラクターが消えてしまう気がするんですよね。それをまた、ザラついた音に加工するのは嘘くさいし、抵抗があったんです。ノイズも含めて、その時に偶然生まれた音が好きなので。それに、できるだけ使う音を少なくしたかったので、存在感のある音ができれば、一つ楽器を減らせるとも思いました」

風通しのよい軽やかさと、味わい深さをあわせ持つ、日常生活に心地よく馴染む音がつまった『room tapes』。本作は、聴き手のくつろぎの時間を、優しく彩ってくれることだろう。

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