Submotion Orchestra『Finest Hour』インタビュー


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’09年にイギリスのリーズで結成されたバンド、サブモーション・オーケストラ。メンバーは、ドン(Engineer/FX)、トミー(Dr)、ルビー(Vo)、ボビー(Trumpet)、タズ(Keys)、クリス(Ba)、ダニー(Perc)の7名。彼らは、“教会で生演奏のダブステップをやってほしい”という、国のアート・カウンシルから受けた依頼をきっかけに集結した、ユニークなグループです。後にジェームス・ブレイクも参考にしたという、その画期的な教会でのパフォーマンスを経て、本格的にライブ活動を開始すると、昨年『Submotion EP』(’10)を発表。同作収録曲の「Finest Hour」がジャイルス・ピーターソンにプッシュされるなどして、注目を集めてきました。

そんな彼らが、初のアルバム『ファイネスト・アワー(Finest Hour)』を9/7にリリースします。バンドがこれまでに行ってきた様々な音楽的実験を形にしたという注目作です。気になるそのサウンドは、ダブステップ、ソウル、ジャズ、そしてルビーの美しい歌声が融合した、ディープでオーガニックなもの。「All Yours」や「Finest Hour」を筆頭に、時にマッシブ・アタックにも通じるような、クールかつエモーショナルな音世界が詰まった内容となっています。

本作『ファイネスト・アワー』の内容とバンドの音楽性について、メンバーのトミーに話を聞きました。


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SUBMOTION ORCHESTRA

ダブステップとアコースティック・サウンドを融合させた、
ジャジーでソウルフルな実力派バンド

__サブモーション・オーケストラが結成されたきっかけは、教会で生演奏のダブステップをやってほしい、という依頼を受けたことだったそうですね。そのプロジェクトとはどのような企画だったのでしょうか?

「ヨークシャーにある教会が行ったプロジェクトだったんだけど、いろんなグループが参加してたね。アフリカの聖歌隊、教会のオルガン・プレイヤー、オペラ歌手、ドラム、ベース、シンセサイザー…。なんていうか、ダブステップとクラシックをミックスしたような企画だった。で、パフォーマンスをしたんだけど、その時のライブ自体はひどかったよ(笑)。でもそこから、いろいろ改良していけばもっと素晴らしい音楽を生み出すことができるんじゃないか、ってアイディアが出てきたんだ。ダブステップに、ジャズ、ファンク、ソウルみたいな、アコースティックな要素を持ったいろんな音楽をミックスしたら、面白いものができるんじゃないかって思ってね」

__なるほど。

「ダブステップを生楽器でプレイするなんてアイディア、誰もやってなかったし(笑)。で、初めてのギグから2年くらい、いろいろ実験した結果、やっとどんなことが上手くいって、どんなことが上手くいかないのか分かってきたよ」

__生演奏のダブステップ”というアイディアは、具現化するのが大変でしたか?

「僕にとっては、どんな音楽でも140BPMでプレイしたら、みんなダブステップなんじゃないかな、という感じだったけどね(笑)。逆に言えば、どうして他の人達がやってないのか、不思議だなって思った。すごく自由にできたから」

__実際にライブ・パフォーマンスを行う際は、どのようなセット、システムで音を出しているんですか?

「ドラム、パーカッション、キーボード、トランペット兼サンプラー、ベース、それからボーカルのルビー、という構成だね。そこにディレイとかエコーとか、いろんなエフェクトがかかる感じさ」

__バンドのメンバーは、みんな地元リーズのミュージシャンだそうですね。どのような仲間だったんですか?

「僕とドンはRanking Recordsってダブステップのレーベルを通して知り合ったんだけど、他のメンバーは全員、過去5年くらいプレイしてきた中で、一番素晴らしいと思ったミュージシャン達に声をかけて集めたんだ。みんなイギリス北部である程度プレイしてきていたミュージシャンだから、それなりにお互いのことは知ってたよ。ルビー以外ね。彼女の歌を聴いたのは、彼女がバンドに入ってからだったから(笑)。まあ、信頼できる人達がみんな、“彼女はすごい!”って言っていたから、凄いんだろうとは思ってたけどね。ともかくそんな風にして、みんな集まったんだ」

__では、初のアルバム作品『ファイネスト・アワー』について教えてください。まず、アルバムのテーマやコンセプトは、どのようなものでしたか?

「ここまでの僕達の活動って、ずっと実験し続けてきたようなものだった。さっきも言ったけど、やってみるまでは、分からなかったんだよ。だから、いろんな実験の結果を10曲にまとめたような作品になったと思う。最初から意図していたコンセプトではなかったかもしれないけれど、このバンドとして何ができるかっていう実験を続けてきた結果が、この作品になったんだ。基本的には、個人的なストーリーを取りあげてる曲が多いけどね」

__音楽的には、リズム面もさることながら、ルビーのボーカルや、ボビーのトランペット、タズのキーボードが奏でるムーディーなサウンドも印象的ですね。今作の曲づくりで重視したことは何でしたか?

「たぶん、エレクトロニック・ミュージックとアコースティック・ミュージックのバランスを取ることかな。いろんな楽器を使いながら、繊細なバランスをキープすること。生ドラムと様々なエフェクト、そして他の生楽器とエレクトロニックな要素…みたいな。レコード上では、凄く上手くまとまったと思う。もちろん、やっとこの形になったって部分もあるけど」

__アルバム・タイトル曲の「Finest Hour」は、あなた達が注目されるきっかけとなった曲の一つですが、この曲はどのようにして誕生したものですか?

「この曲は、実は僕のガールフレンドのことについて書いたものなんだ。実験していく中で、僕がこのバンドのために初めて書いた曲だった。ピアノに座って、鼻歌で書き上げたんだ、10分くらいでね。自分がすごく気に入ったり、良いと思ったものを、すごく身近な人から軽くあしらわれた時の気持ちについて歌った曲さ(笑)」

__最新シングルの「All Yours」は、どのようにして誕生した楽曲ですか?

「この曲は、ジェントルマンズ・ダブ・クラブっていうレゲエ・バンドのエド・トーマスがもともと持っていたアイディアを、僕が発展させたものなんだ。彼がつくっていたコードやメロディーをもとに、曲に発展させていったんだけど、全然違うものに仕上がった(笑)。あの歌詞にある言葉って、ほとんどジャズ・スタンダード・ナンバーの曲名からきているものなんだよ。ちょっと注意して聴いてみてほしいな」

__分かりました、では最後に、サブモーション・オーケストラの次なる活動目標を教えてください。

「たくさんライブをしていくけど、ぜひ日本にも行きたいね。実は数ヶ月前に、2週間日本を旅行したんだ。大地震があった10日後くらいで、どうしようかとも思ったけど、どうしても行きたかったから行った。滞在した京都は桜が満開で、本当に美しかった。夏はいろんなフェスの予定が入ってるけど、秋にはツアーがたくさん入っているから、日本にも行けたらいいね」

tanslation Nanami Nakatani


【リリース情報】

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SUBMOTION ORCHESTRA
Finest Hour
(JPN) P-VINE / PCD-93435
9月7日発売
HMVでチェック

tracklisting
01. Angel Eyes
02. Backchat
03. Always
04. Hymn For Him
05. All Yours
06. Pop N Lock
07. Suffer Not
08. Secrets
09. Finest Hour
10. Perfection
11. Suffer Not (Goth-Trad Remix)*
12. All Yours (Jack Sparrow Remix)*
13. All Yours (Acoustic)*
* Japan Bonus Tracks

【オフィシャルサイト】
http://p-vine.jp/artists/submotion-orchestra
http://submotion.co.uk/
http://www.facebook.com/submotionorchestra

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