’06年初頭にリリースしたデビュー・シングル「Hnads of a Stranger」が、マイロ、エロル・アルカン、DJヘルらによってスピンされ、新世代フレンチ・エレクトロの注目株として脚光を浴びたティーンエイジ・バッド・ガール。翌’07年には、ヴィタリックが主宰するレーベル、CITIZENからファースト・アルバム『Coccotte』を発表し、デジタリズムやジャスティス以上にロッキン&ノイジーなエレクトロ・トラックを展開したドープなユニットです。
そんな彼らが、前作から約四年ぶりにセカンド・アルバム『バックウォッシュ』を6/22にリリースします。トッド・フィンクをフィーチャーした「Black Hole」、ライ・ライをフィーチャーした「X Girl」、イラ・Jをフィーチャーした「Jumping Judas」などなど、幅広い曲調の楽曲群を収録した本作。彼らが語る通り、アタマに“?”が浮かぶような、もはや既存のジャンルで括れない楽曲ばかりを収録したユニークな作品となっています。
ここでは、その『バックウォッシュ』の内容について、ティーンエイジ・バッド・ガールの二人に話を聞きいてみました。
TEENAGE BAD GIRL
ラフさとエキセントリックさに磨きをかけた、
ハイパー・ロッキン・エレクトロ・デュオ
__あなた達がファースト・アルバム『Cocotte』をリリースしたのは、もう4年前の2007年のことになりますが、新作『バックウォッシュ』の制作はいつ頃スタートしたのでしょうか。
ギヨーム・マンベル「『Cocotte』を出したあとヨーロッパや世界中をツアーして、それが一段落してからすぐに、新しい楽曲をつくりはじめた。今回の作品に収録されたトラックの中でいうと「Fight Night」かな。これは2008年の段階でフィニッシュしていたんだ。YouTubeをディグってもらえたら、ライブの映像がいくつか出てくると思うから、興味があったらチェックして。「Keep Up With You」も、2008年にある程度まででき上がっていた。2008年の終わりから2009年にかけての時点で、この『バックウォッシュ』のベースとなる青写真はでき上がっていたね」
__そうでしたか。
ギヨーム「でも、アルムをすぐに出そう、とは考えなかったんだ。『Cocotte』の時は、あまりにもあっという間だったからね。逆に、今回は自分たちのペースでやっていこうじゃないか、ってなったわけ。それで、時間をかけてふたりで話しあって、ディテールを詰めて、時にはふり出しに戻ってつくり直したり…という試行錯誤を繰り返しながら、全体をビルドアップしていったのさ」
__アルバム全体のテーマや、今作で特にトライしてみたかったことは何でしたか?
グレッグ・カズブスキ「僕らは二人とも、ザ・ビーチ・ボーイズやサーフ・ミュージックの大ファンなんだ。で、新作をつくり始めるにあたって、何となくだけどお互いに“海”や“波”、ビーチ”に対するイメージみたいなものがあったから、「Backwash」や「The Wave」など、海をモチーフにした曲をつくっていったんだ」
__アルバム・タイトル曲の「Backwash」は、まるで映画のサウンドトラックのようなテイスト、ムードを感じさせるトラックですね。
グレッグ「「Backwash」は、正に映画『グラン・ブルー』のテーマにインスパイアされたものだよ。あと、ジョルジオ・モロダーの「Scarface’s Theme」とかも参考にした。で、どの曲をタイトル曲にしようかと考えたとき、今回は「Cocotte」のように、ストレートにシングル・カットできそうなものじゃなくてもいいかな、という思いがあってね。それで「Backwash」をアルバム・タイトルにもってきたんだ」
__音楽的には、 あなた達のトレードマークであるノイジーでロッキンでダンサブルなサウンドをキープしつつも、前作よりもバラエティーに富んだ楽曲を収録したアルバムに仕上がっていると感じました。今作の曲づくりで特に意識したこと、重視したことは何でしたか?
ギヨーム「ファンク、ロック、メタルなど、自分たちが吸収してきた様々な音楽を、エレクトロというアウトプットで表現するやり方自体は、前作から変わってないね。使用する機材やソフトの類も、特に増えていないし。唯一、グレッグが買い込んだヴィンテージ・シンセの一群が加わったくらいかな」
グレッグ「何かアイディアを得たら、インスピレーションのおもむくまま、自由に走らせていったよ。コントロールするんじゃなくてね。今作は一聴すると、前作以上にアタマに“?”が浮かんでしまいそうな作品になっているかもしれないけど、こういう制作の進め方だからしょうがない。ひとつのアティテュードやディレクションで進めていったものではないからね」
__今作には、「Black Hole」にトッド・フィンク、「X Girl」にライ・ライ、「Jumping Judas」にイラ・Jが参加し、アルバムに華をそえていますね。
ギヨーム「アルバム制作を開始した当初、ダーティーで力強いロック・トラックが一曲ほしいと考えていた。で、カシアスのZdarの声がすごく好きだったから、彼に参加してもらえないかなと思っていたんだけど、都合がつかなくてね。それで、誰か良いボーカリストがいないだろうか?と探していたんだけど、ちょうどその何ヶ月か前に、トッド・フィンクが“僕らと仕事がしたい”って、声をかけてくれていたのを思い出したんだ。それで、曲を聴いてもらったら、すごく気に入ってくれて、すぐにコラボが実現した。仕上がりにもとても満足しているよ!」
__ライ・ライとイラ・Jに関しては、いかがですか?
ギヨーム「ライ・ライに関しては、もともと、イタロ・ディスコっぽい曲にブーツィーな感じのシンガーをフィーチャーしたら面白いことになるんじゃないか?というアイディアがあって、それには彼女がピッタリなんじゃないかと思ったんだ。それで、オファーした。彼女の「Shake it to the Ground」という曲が好きだったし。イラ・Jの方は、僕らふたりともスラム・ヴィレッジの大ファンだったから、お願いしたよ。「Jumping Judas」のトラックが完成して、これにラップをのせたいと考えた時、二人ともすぐに彼のことが頭に浮かんだ」
__先行シングルの「Tonton Funk」は、どのようにして誕生したトラックですか?
グレッグ「「Tonton Funk」は、『Cocotte』から『バックウォッシュ』へと向かう時系列の、ちょうど中間くらいでできた曲だね。新作へと踏み出すはじめの一歩というか、新しい名刺みたいな曲だね。過去にやってきたことと、当時これからやろうとしていたことが、うまくミックスできたと思う。より多くのオーディエンスにアクセスできるような曲がほしいって思ってたんだ」
__現在のあなた達にとって、“エレクトロ”とはどのような音楽ですか?
ギヨーム「2007年から2008年にかけてEd Banger、Institubes、Kitsune周辺のアーティスト達とは、よくステージを共にしていたね。今でも交流のあるアーティストもいるし、レーベルとしてもリスペクトしてるよ。彼らこそ、2000年代後半のフランスのエレクトロニック・ダンス・ミュージックをリプリゼントし、リードしてきた存在だしね。ただ、僕らは自分たちがやりたいと思う音楽をやって、それを聴きたいと思ってくれる人々の前でパフォーマンスするだけなんだ。ダンス・ミュージックの世界では、トレンドの移り変わりって激しいと思うけど、僕らは、自分たちの軸がブレないように、地に足を付けてやっていけたらと思ってる」
__Teenage Bad Girlの次なる活動目標を教えてください。
グレッグ「当面は、このアルバムをプロモートするべく最大限の努力をすることかな。ツアーで呼ばれたらどこへでも飛んでいく。もちろん日本にだって!また日本のみんなと会えるのを楽しみにしています」
interview & text Fuminori Taniue
【リリース情報】
TEENAGE BAD GIRL
Backwash
(JPN) calentito / RTMCD-1008
6月22日発売
HMVでチェック
tracklisting
01. FIGHT NIGHT
02. KEEP UP WITH YOU
03. THE WAVE
04. BLACK HOLE (FEAT. TODD FINK)
05. HEART ZERO BEATING
06. X GIRL (FEAT. RYE RYE)
07. HOLD ME TIGHT
08. FAST BLOOD DELIVERY
09. TONTON FUNK
10. BOOGIE TOY
11. BACKWASH
12. JUMPING JUDAS (FEAT ILLA J)
【オフィシャルサイト】
http://calentito.net/artists/teenagebadgirl
http://www.teenagebadgirl.fr/
【VIDEO】
Teenage Bad Girl – Keep Up With You (Original… 投稿者 CitizenRecords