Tetsushi Hiroyama『Souvenir from RAKUEN』インタビュー


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石野卓球にその才能を見いだされて以来、国内のクラブ・ミュージック・シーンに新風を巻き起こしてきた、沖縄出身の双子テクノ・バンド、RYUKYUDISKO。そのメンバー、廣山哲史が、キャリア初となるミックスCD『Souvenir from RAKUEN – mixed by Tetsushi Hiroyama』を6/21にリリースします。昨年4月にスタートした新パーティー<RAKUEN>(毎月第2土曜日、那覇の桜坂セントラルにて開催)の、第一弾コンピレーションでもある本作。その内容は、新進気鋭の沖縄出身アーティスト、RABiN×LOViN、TROPICAL SOUND CLASH、lichard.、宇宙牛 a.k.a. DJ HIROAKI、See Saa Sequencer 303、そして氏のソロ・プロジェクトであるORIONBEATSが手がけた、沖縄民謡のカバー・トラック計20曲を収録した、ユニークなものとなっています。

ここでは、そんな本作の内容と、<RAKUEN>のコンセプトについて、廣山哲史に話を聞きました。


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Souvenir from RAKUEN – mixed by Tetsushi Hiroyama

Tetsushi Hiroyamaの音楽と沖縄への思いが結実した、
キャリア初のオリジナル・ミックスCD!

__まず、昨年2010年4月に、沖縄で新たなパーティー、<RAKUEN>をスタートさせた経緯について教えてください。

「もともと<PITCHWORK>というパーティーをずっとやっていたんですけど、メジャー活動をしていく中で、なかなか定期的に開催できなくなっていたんですよ。で、僕らは沖縄のアーティストなんで、沖縄のホームにパーティーがないとやっぱりしっくりこない、という気持ちがずっとあったんです。そんな中、昨年から定期的にできる時間もとれるようになった…というかパーティーをメインに活動できるようになったんで、名前も変えて、大幅にレベルアップしたパーティーを立ち上げました」

__パーティー名を“RAKUEN”とした理由について教えてください。

「チョー考えたんすよ(笑)。オーガナイズしていくスタッフと一緒に、“やっぱり沖縄らしい、RYUKYUDISKOらしい名前にしよう”ということで、名前や語呂あわせをずっと考えていたんですけど、なかなか決まりませんでしたね。そんな時、ある本屋さんの沖縄コーナーに行ったら、アルファベットで“RAKUEN”って書いてある文字を見かけて、コレは絶対いけるって思いました。形も面白いし、良く聞こえるし、覚えやすい。パーティーのコンセプト的にも、音的にもうってつけの名前で、ぴったりハマりました」

__楽園の音楽、ということですね。より具体的には、どんなパーティーを追求していきたいと考えているんですか?

「もう夢は大きくて、沖縄発のクラブ・ミュージックをもっと世界に広めたいって思ってます。ジャマイカにレゲエがあるように、沖縄には沖縄の音楽がある。いわゆる民謡ではなく、もっと若い世代の沖縄音楽、現代的にアレンジされた沖縄音楽があってもいいんじゃないかな、って思っているんで」

__<RAKUEN>では、これまでに80kidz、DE DE MOUSE、DJ BAKU、DJ TASAKA、agraph、☆Taku Takahashi(m-flo)、iLL、元気ロケッツ、細美武士(the HIATUS)など、多彩なゲスト陣がライブ/DJを披露していますが、ゲストの人選にはどのようなこだわりがありますか?

「好きなアーティストを呼ぶということと、チャンプルーでやっていくということですね。沖縄のクラブ人口を考えると、やはり様々なジャンルのアーティスト、音楽を意識しながら、より多くの人にアピールしていきたいと思うんで」

__約一年間レギュラー開催してきて、手応えはどうですか?

「毎回楽しくなっちゃって、酔っぱらって自分も楽しんでますね(笑)」

__ちなみに、<RAKUEN>を開催している桜坂セントラルは、どんなハコなんですか?

「200人くらい入ると満員って感じのライブハウスですね。那覇の桜坂にあるんですけど、そこは戦後から社交場的な場所で、飲屋街があって、夜も深くてという、そういうカルチャーが根付いてるところです。国際通りから入ったところの、飲屋の塊というか…沖縄らしい飲屋街ですね。朝までやってるおでん屋があったりするような、独特な場所ですよ。わりと入ってすぐの所にあるので分かりやすいと思います。桜坂劇場とかが近辺にあるんで」

__で、今回、その<RAKUEN>初となるコンピレーション・ミックスCD『Souvenir from RAKUEN – mixed by Tetsushi Hiroyama』をリリースしますが、新たに立ち上げたレーベル、RAKUEN RECORDSの第一弾作品となっていますね。

「このパーティーを始めた時から、レーベルもやろうと思っていたんです。“RAKUEN”というキーワードを軸に、パーティーもやりたいし、レーベルもやりたいし、例えばフェスなんかもやってみたいし…と、いろいろ展開していきたいなって思っていたんですよ。言わば、“RAKUENプロジェクト”ですね」

__なるほど。では、本作の内容について教えてください。まず作品のテーマは、どのようなものでしたか?

「いろんな要素が詰まったアルバムになってますね。まず、もともと古くからある沖縄の民謡をカバーしようっていうのがありました。でも、ただカバーするんじゃなくて、<RAKUEN>らしいクラブ・サウンドでカバーしようと思いましたね。しかも、そのカバーした曲をノンストップでミックスしたら、さらに面白くなるんじゃないかということで、こういう作品になりました。普通のDJミックスCDじゃなくて、<RAKUEN>ならではのDJミックスをつくりたかったんです」

__沖縄の民謡をクラブ・サウンドでカバーしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

「やっぱり、沖縄が好きだからです。それに、沖縄を特に好きじゃない人も、古い沖縄の曲ってどこかで聴いたことあると思うんですよ。で、そういった曲をクラブ・ミュージックにすると、うまくハマるし、どっかで聴いたころあるけど最新だし、踊れるし、みたいな。このアルバムに入っている曲は、全部カバー曲なんですけど、全部オリジナルのミックスで、初めて世に出るものなんですよ」

__今回ピックアップした民謡は、沖縄ではポピュラーなものばかりなんですか?

「そうですね。やっぱその辺は意識して、誰でも聴いたことあるような曲をチョイスして、やってます。言い方を変えると、大ネタのサンプリングを使ったクラブ・ミュージックの、沖縄バージョンって感じでしょうか。マッシュアップ的な、というか」

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__本作には、Tetsushiさんのプロジェクト、ORIONBEATSの他に、RABiN×LOViN、TROPICAL SOUND CLASH、lichard.、宇宙牛 a.k.a. DJ HIROAKI、See Saa Sequencer 303が手がけたカバー曲が収録されていますが、皆さん沖縄のアーティストなんですよね?

「はい、そこにもやっぱりこだわりました。だからこの作品は、本当に全て“Made in 沖縄”なんですよ。最初にお願いした時は“どういった曲ができてくるのかな?”って、ちょっと不安もあったんですけど、みんなお互いのことをよく知ってる間柄なんで、特に何も言わなくても思った以上の曲が返ってきて、凄くやりやすかったです」

__皆さん<REKUEN>を通じて知り合ったアーティストなんですか?

「基本的にはそうですね。この中ではlichard.が一番ベテランで、<RAKUEN>以前からの知り合いです。RYUKYUDISKOの作品にも参加してもらったことがあるんですけど、音にも機材にも詳しいんで、頼れる存在です。あと、See Saa Sequencer 303は、実は<RAKUEN>のオーガナイザーなんですよ。1曲だけの参加なんですけど、一緒に曲づくりをしました」

__本作は、ORIONBEATSの「Haisai Ojisan(ハイサイおじさん)」からスタートしますが、アルバム全体をまとめるにあたって重視したことは何でしたか?

「それぞれがつくった曲を単純にミックスするんじゃなくて、曲の素材をもらって、パソコン上でミックスしていきました。だから、結構つくり込んだものになっていて、細かい遊びとかもあったりしますね。もちろん、DJミックス、ライブ・ミックスした勢いも、ちゃんと反映させています。あとは、テンポをどんどん変えたりしながら、山あり谷ありの展開、流れのある展開にして、飽きずに聴けるよう意識しました」

__ちなみに、ご自身の中で一番気に入っている流れはどの辺りですか?

「テンポが上がる部分ですかね。10曲目のSee Saa Sequencer 303「Hounen Carnival」から徐々にテンポが上がっていって、次のlichard.「TOSHIN DO IT AGAIN」でドラムンベースっぽくなって、続くORIONBEATS「Tablama」まで速くなっていくんですけど、ここで半分のテンポになるんです。200BPMだったのが、気付いたら100BPMになってる。そういう展開が面白かったかな。クラブでDJする時は、そういう展開ってありえないと思うんで」

__本作は、実はTetsushiさん初のソロ作品でもありますが、今回作品を手がけてみていかがでしたか?

「RYUKYUDISKO名義でない作品は初なんですけど、今は武者修行的な、新しいことにチャレンジする時期という感じですかね。なんで、兄弟それぞれ違うことをやって、そこでアピールできたことを、また新たにRYUKYUDISKOでできたらいいなって思ってます」

__今、TetsushiさんはTOQUIO LEQUIO TEQUNOSというバンドもやっているそうですね。

「元BEAT CRUSADERSのクボタマサヒコさん、マシータさん、カトウタロウさんとバンドを組んだんですよ。これ、面白いんです。僕はいわゆるデジタル担当なんですけど、ダフト・パンク、ザ・ケミカル・ブラザーズ、ファットボーイ・スリムなんかの曲を、生演奏でカバーしてるんです」

__面白そうですね。では最後に、RAKUENプロジェクトの今後の活動目標を教えてください。

「レーベルとしては、他アーティストの曲をどんどん広めていきたいですね。僕も、曲をどんどんつくっていきたいです。第2弾アルバムも計画していて、仮なんですけど『Souvenir from NIPPON』ってタイトルにしたい。第3弾は『Souvenir from SEKAI』(笑)。あとは、衣・食・住、全部に関わっていけたらいいですね。RAKUENを、カルチャー全体を包括するようなプロジェクトにしていきたいです。パーティーに関しては、毎月第2土曜日に那覇の桜坂セントラル、そして沖縄を飛び出して、いろんな都市でRAKUENの開催が続々決定しているので、ぜひ遊びに来てください!!」

interview & text Fuminori Taniue


【リリース情報】

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V.A.
Souvenir from RAKUEN
mixed by Tetsushi Hiroyama
(JPN) RAKUEN RECORDS / RKEN-001 
6月21日発売
HMVでチェック

tracklisting
01. Haisai Ojisan (ハイサイおじさん) / ORIONBEATS
02. Hiyamikachi Rock (ヒヤミカチ節) / ORIONBEATS
03. HARIKU YAMAKU MEKARU (ハリクヤマク) / lichard. 
04. Akata Sun Dunchi (赤田首里殿内) / TROPICAL SOUND CLASH
05. Akata Sui Dunchi (赤田首里殿内)  / 宇宙牛 a.k.a. DJ HIROAKI (Vo.RACHEL)
06. Hamachidori (ハマチドリ) / RABiN×LOViN
07. MOMOURI ARIARI (モモウリアンショウ) / lichard.
08. Asadoya Forever (安里屋ユンタ) / ORIONBEATS
09. Mimichiri Boy (耳切坊主) / TROPICAL SOUND CLASH
10. Hounen Carnival (豊年音頭) / See Saa Sequencer 303
11. TOSHIN DO IT AGAIN (唐船ドーイ) / lichard.
12. Tablama (トゥバラーマ) / ORIONBEATS
13. TINSAGU (てぃんさぐの花) / 宇宙牛 a.k.a. DJ HIROAKI (Vo.RACHEL)
14. Asobi Syongane (遊びションガネー) / 宇宙牛 a.k.a. DJ HIROAKI (Vo.58MIC / Cho.RACHEL)
15. Fascinating Chunjun Nagari (仲順流り) / ORIONBEATS
16. Toshin Electric Boy (唐船ドーイ) / ORIONBEATS
17. Shikishima Tabaku (敷島煙草) / TROPICAL SOUND CLASH
18. Kagiyadefu (かぎやで風) / RABiN×LOViN
19. Tanchame (谷茶前) / RABiN×LOViN
20. SHIKISHIMA AMBIENT (敷島煙草) / lichard.

【オフィシャルサイト】
http://www.rakuen-records.com/

【PARTY INFOMATION】
7.17 (日) @大阪 11
7.30 (土) @東京 aisa
8.20 (土) @仙台 ADD

【VIDEO】
Tetsushi Hiroyama (RYUKYUDISKO / ORIONBEATS) LIVE!!!

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