The Aston Shuffle『Seventeen Past Midnight』インタビュー


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ミカ・フリーマンとヴァンス・マスグローヴからなる、オーストラリア出身のエレクトロ&ハウス・ユニット、ジ・アストン・シャッフル(The Aston Shuffle)。’06年に活動をスタートさせた彼らは、本国では名門ダンス・ミュージック・レーベル/クラブ、Ministy Of Soundの看板アーティストとして活躍している人気アクトです。
彼らが、初のアルバム『セヴンティーン・パスト・ミッドナイト』(Seventeen Past Midnight)をリリースしました。既にヒットを記録しているシングル「Your Love」「I Wanna See You」「Do You Want More」を筆頭に、幅広いテイストのエレクトロ&ハウスが詰まった本作。エレクトロの次を感じさせる、ロッキンで、ディープで、モダンで、グルーヴィーなサウンドを、キャッチーなセンスで描いてみせた好作となっております。

ここでは、そんな本作の内容と彼らの音楽性について、ジ・アストン・シャッフルの二人に話を聞きました。


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THE ASTON SHUFFLE

オーストラリア発の、シャイニーでグルーヴィーなエレクトロ・ユニット

__まずは、あなた達が2006年にジ・アストン・シャッフルを結成した経緯について教えてください。

「二人ともキャンベラという小さな街の出身で、そこのダンス好きのコミュニティーは、さらに小さかった。だから、みんな同じレコード屋に行ってたし、遊びにいくパーティーも一緒だった。要するに、スタイルを越えてみんな知り合いだったんだ。で、ミカはレコード屋で働いていたから自然と出会って、お互いに似たテイストで、制作においても同じスタンスだったから、結成に至ったんだ」

__ジ・アストン・シャッフル結成以前は、それぞれどんな活動をしていたんですか?

「二人とも音楽的なバックグラウンドを持っている。ヴァンスは3歳くらいからクラシック・ピアノをやってるし、ミカはずっとドラムをやっていた。ダンス・ミュージックに出会う前から、音楽をやっていたし、やっていきたいという思いだったね」

__ハウス・ミュージックやエレクトロニック・ダンス・ミュージックに興味を持ったきっかけは、何だったのでしょうか?

「学校の親友の兄貴がDJをやっていて、ミックステープをよく聴かせてもらってたんだ。そこから、どうやって音をつないでいるのか、どうやってあのエフェクトを出しているのか…って知りたくなって、没頭した覚えがあるよ。小さい頃からクラシックか、ラジオから流れてくるポップスしか耳にしたことがなかったから、すごく新鮮だったんだ。当時のオーストラリアでは、ダンス・ミュージックはまだアンダーグラウンドな感じだったし、新たな発見がたくさんあった時期だったね」(ヴァンス)

「ロックとかメタルのバンドでドラムをやっていたんだけど、ある日友人がクラブに連れていってくれて、流れている音楽に度胆を抜かれたんだ。たった一人の人間=DJが、部屋にいるみんなをコントロールしている様子にも驚いたよ。翌週にはドラム・キットを売って、ターンテーブルを購入していたね」(ミカ)

__で、あなた達は、現在Ministry of Sound Australiaを拠点に、人気アクトとして活動中ですが、昨今のクラブ・ミュージック・シーンについて、どんな風に見ていますか?

「昔と比べて、クラブ・ミュージックはもうアンダーグラウンドなものじゃない。とてもメインストリームだし、クラブに行くことも一般的な遊びだ。でも僕らが始めた頃は、まだアンダーグラウンドなカルチャーとしてあったから、自分たちとしては、その両方のバランスを保てるような活動をしたいと思っているよ」

__では、アルバム『セヴンティーン・パスト・ミッドナイト』について教えてください。まず、アルバム全体のテーマはどのようなものでしたか?

「常に喜びと前向きな気持ちを出せるように心がけたよ。最近のダンス・ミュージックって、結構バキバキでアグレッシブな部分が多いと思うけど、僕らはもっと温かくて、ポジティブな雰囲気をつくり出したかったんだ」

__“Seventeen Past Midnight”という言葉には、どのような意味合いが込められているのでしょうか?

「「Into Forever」の歌詞の一部なんだけど、このアルバムの雰囲気にあったイメージが連想できる時間帯と思ったんだよね」

__なるほど。音楽的には、モダンなエレクトロ・ハウスをベースに、ロッキンなものからファンキーなもの、キャッチーなものからディープ目のものまで、幅広いテイストのサウンドを展開していますね。音づくりで特に重視したことは何でしたか?

「もともといろんな音楽に興味があるから、バラエティー豊かなサウンドをつくっていきたかった。でも意識したのは、全てがダンス・ミュージックに根付いているってことだね。このアルバムにはポップな要素もあれば、ソフトな一面もあるけど、どの曲もダンス・ミュージックの美学が表現されたものになっている、ってことを重視したんだ。単なるポップ・アクトにはなりたくないからね」

__あなた達のヒット・トラックの一つ「Your Love」は、どのようにして誕生した曲でしたか?

「自分にとって大事な人や愛している人の存在を世界中に知らせるような、喜びの歌だよ。個人的な思いからきている曲でもあるけど、誰もが共感できるような感情じゃないかな」

__Lovers Electricをフィーチャーした「Start Again」、Danimal Kingdomをフィーチャーした「Do You Want More?」は、それぞれどのようなアイディアからでき上がった曲ですか?

「どういうアイディアから生まれたかというと…答えにくいね(笑)。というのも、いろんなところからインスピレーションを受けているし、どのアイディアがどの曲に結び付いたのか、覚えたなかったりするんだ。時には、“これ、自分たちでどうやって完成させたの?”って驚くこともあったりするくらいさ。“何でこういうことを、もう一回できないのかな?”みたいな感じでね。どこからアイディアが生まれたかを覚えているようじゃ、楽しさが半減だよ。それが分からないから面白いんだろうね!」

__分かりました(笑)。では、ジ・アストン・シャッフルの次なる活動目標について教えてください。

「たくさんライブをやっていくこと、だね。実際に楽器を演奏したりしていて、今はそういった表現の仕方に戻れて、逆にすごく新鮮だよ。自分たちの音楽を、生演奏で人に届けられた時の充実感は大好きだ。もちろんDJをするのも好きだけど、違う喜びがあるよね。だからもっともっとやっていきたいよ」

__DJとしては、どんなサウンドに注目していますか?

「Azari & IIIのように、’80年代のシカゴ・ハウスを新しいオーディエンスに届けているのも面白いし、その新しい世代の解釈も気になるね。オーストラリアからは、Finger PrinceやLight Yearといった連中も出てきていて、バキバキ過ぎず、ディープ過ぎない、ちょうど中間くらいのテクノをやり始めてたりしているよ。この二組は、結構独特な音を出していると思うよ」


【リリース情報】

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THE ASTON SHUFFLE
Seventeen Past Midnight
(JPN) P-VINE / PCD-93450
9月21日発売
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tracklisting
01. I WANNA SEE YOU
02. BRING IT BACK
03. THE SURFACE feat. Nik Yiannikas
04. YOUR LOVE
05. WHERE ARE YOUR TEETH?
06. DO YOU WANT MORE? feat. Danimal Kingdom
07. ROUND N ROUND
08. START AGAIN feat. Lovers Electric
09. DROP
10. ANTICIPOINTMENT
11. AMAZE
12. INTO FOREVER feat. Nik Yiannikas
13. START AGAIN feat. Lovers Electric (Hook N Sling Remix) (Japan Bonus Track)
14. YOUR LOVE (Grum Remix) (Japan Bonus Track)

【VIDEO】


【オフィシャルサイト】
http://p-vine.jp/artists/the-aston-shuffle
http://theastonshuffle.com/

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