デッキー・ヘッドロック、ギャリー・カラン、ガレス・ドノヒューの三名からなる、北アイルランド出身のダンス・アクト、ザ・ジャパニーズ・ポップスターズ。’06年にグループを結成した彼らは、そのパワフルなライプ・パフォーマンスで、急速にファン層を拡大してきた注目株です。’08年には、デビュー・アルバム『We Just Are』をリリースし、<GAN-BAN NIGHT>、<FUJI ROCK FESTIVAL >で来日も果たしているので、ご存知の方も多いでしょう。
そんな彼らが、待望のセカンド・アルバム『コントローリング・ユア・アレジアンス』を、3月9日にリリースします。本国UKでは、メジャー・レーベルからのリリースとなる意欲作です。その内容は、彼らが得意とするグルーヴィーでヒプノティックなエレクトロ/テクノ・トラックに、グリーン・ヴェルヴェット、ロバート・スミス(ザ・キュアー)、ジョン・スペンサー、トム・スミス(エディターズ)、モーガン・キビー(M83)といった、個性的なゲスト・ボーカル陣をフィーチャーした、カラフルなものとなっています。
「Let Go (ft. Green Velvet)」や「Destroy (ft. Jon Spencer)」を筆頭に、バラエティー豊かなコラボレート曲が詰まった『コントローリング・ユア・アレジアンス』。本作の内容について、メンバーのギャリーに話を聞きました。
THE JAPANESE POPSTARS『Controlling Your Allegiance』インタビュー
豪華ボーカリスト陣と共に、ビッグな音世界をつくり出した、
ロッキンでエモーショナルな実力派ダンス・アクト
__ニュー・アルバム『コントローリング・ユア・アレジアンス』のリリース、おめでとうございます。早速、本作について教えてください。まず、作品のテーマやコンセプトは何でしたか?
「つくっていく過程でアイディアが発展していったから、あまり事前に明確なテーマはなかったね。今回は、たくさんの素晴らしいボーカリスト達とアルバムをつくったけど、わりとメインストリームの、自分達が作品を聴いていた人とも仕事をすることができた。メインストリームの人っていっても、ちょっと変わった感じの、自分達が今でも心から好きだと思えるアーティストのみだけど。で、そういう人達にメールを送ったら、みんな僕らの試みに賛同してくれて、そこからこのアルバムのテーマが決まっていったよ。つまり、いろんなボーカリストたちと一緒に、面白いコラボレーションをしていこうというものだね。実際にできるか否かは、みんなが返事をくれるまで分からなかったな(笑)」
__そうでしょうね(笑)。
「あとは、アルバムの曲が互いに良い流れを生むように構成したかったし、アルバム・カヴァーも、内容に沿ったものにしたかった。とにかく、いろんなボーカリストと一緒にプレイするのは、新しいチャレンジだったよ」
__アルバム・タイトルには、どのような意味合いが込められているのでしょうか?
「タイトルは、なかなか決まらなかったんだ。でも、今回コラボレートした人達とか、ファンとの結びつきなんかを考えている内に、“アレジアンス”(allegiance:忠誠・忠義)って言葉が出てきた。べつに、そういう人達をコントロールしたいってわけじゃないよ(笑)。自分達の音楽をしっかりとコントロールしていくことこそ、ファンやコラボレーターに対して誠実であり続けることだって意味なんだ」
__なるほど。で、そんな今作には、あなたが語る通り、グリーン・ヴェルヴェット、ロバート・スミス(ザ・キュアー)、ジョン・スペンサー、モーガン・キビー(M83)、トム・スミス(エディターズ)、リサ・ハニガンなど、多彩なゲスト・ボーカリストが参加していますね。何がきっかけで、コラボレートにチャレンジすることになったんですか?
「ある日スタジオで曲を書いていた時、まるでザ・キュアーを思い出させるようなサウンドができたんだ。それで、ロバート・スミスに歌ってもらえないかな?って思って、曲をメールで送ってみたら、ラッキーなことに彼が気に入ってくれてね。返事が来たのは6ヶ月後だったけど。ジョン・スペンサーも、ロバート・スミス同様、僕達にとってすごくビッグなアーティストだったよ」
__「Take Forever (ft. Robert Smith)」も、「Destroy (ft. Jon Spencer)」も、彼らの持ち味が生かされた、個性的な楽曲ですね。
「面白いエピソードがあるんだけど、「Destroy」を書いて、僕達のマネージャーがジョン・スペンサーにメールで曲を送った時、曲名を「Destroy Jon Spencer」って表記で送っちゃったんだよね。で、そんな添付ファイルの付いたメールが届いたもんだから、ジョンは最初、そのメールを開けないで、そのままゴミ箱に入れた方がいいんじゃないか?って思ったらしい(笑)。でも、ちゃんと曲を聴いてくれて、“本当にぶっ壊れるかと思うくらい、曲に圧倒されたよ!”って言ってくれたから、良かったけど(笑)」
__危なかったですね(笑)。ともかく、ロバート・スミス、ジョン・スペンサーとのコラボレートが実現したことが、今作の突破口になったということですか。
「でも、一番最初に参加してくれたのは、実はモーガン・キビーだった。彼女は、本当に素晴らしい声の持ち主だと思う。人としても、とても素晴らしかったよ。エディターズのトムは、彼らのリミックスをした関係で知っていたから、頼むのが楽だったね。まぁ、面識のある人もいれば、テレビでしか見たことのない人もいたってことかな(笑)」
__音楽的には、前作よりも格段にスケールアップしたサウンドをつくり出していますね。本作の曲づくり、音づくりで、特に重視したことは何でしたか?
「前作は、音楽的にかなりアグレッシブなものだったけど、そういった要素はキープしながらも、さらに進化したサウンドにしていきたかったんだ。前のアルバムとは全然違うサウンドにしたい、とは思ってなかった。ファンが聴いて、戸惑ったりしないようにね(笑)。でも、BPMを110ぐらいに抑えた、テンポを下げた曲もやってみたいとは思っていたよ。あとは、ボーカルをたくさん入れたことによって、よりメロディーを感じられる楽曲が増えたと思う」
__そうですね。
「結局、進歩はしたけど、あまりにも前には、あまりにも遠くには行き過ぎないようにした、ってことかな(笑)」
__なるほど。アルバム・タイトルの通り、ファンやコラボレーターに対して誠実でありたかった、ということですね。ちなみに、前作のインタビューをやらせてもらった時、“ReasonとAbleton Liveでつくったアイディアをベースに、曲づくりを進めている”と言っていたのですが、今作の曲づくりでも、その点に変化はありませんでしたか?
「そうだね。ソフトをアップグレードしたくらいで(笑)、基本的には変わってないよ。ReasonとAbletonを軸に、曲を発展させていった。まぁ、曲を書いている最中も、常に新しいソフト、新しいテクノロジーを採り入れるようにはしてたけどね」
__分かりました。では最後に、ザ・ジャパニーズ・ポップスターズの、次なる活動目標を教えてください。
「ビジュアルの使い方なんかを研究したりして、ライブをもっと良い内容にしていきたいね。ライブ時のボーカリストも決めなきゃいけないし…。いろんなことがフィックスしたら、日本にもまた行きたいと思っているよ。それが次なる目標だな(笑)」
tanslation Nanami Nakatani
interview & text Fuminori Taniue
【アルバム情報】
THE JAPANESE POPSTARS
Controlling Your Allegiance
(JPN) BEAT/GUNG HO! / BRC-271
3月9日発売
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tracklisting
01 Let Go – ft. Green Velvet
02 Catapult
03 Song For Lisa – ft. Lisa Hannigan
04 Tomorrow Man
05 Take Forever – ft. Robert Smith (The Cure)
06 Fight The Night – ft. Morgan Kibby (M83)
07 Building Block
08 Destroy – ft. Jon Spencer
09 Shells of Silver – ft. James Vincent McMorrow
10 Growl & Moan
11 Falcon Punch
12 Joshua – ft. Tom Smith (Editors)
13 Kid Roppongi (japanese bonus track)
14 Outro (japanese bonus track)
【オフィシャルサイト】
http://www.beatink.com/Labels/Beat-Records/JPS/BRC-271/
http://www.thejapanesepopstars.co.uk/
http://www.myspace.com/thejapanesepopstars