The Japanese Popstars『Disconnect/Reconnect』インタビュー

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北アイルランド出身のエレクトロニック・ダンス・ミュージック・アクト、The Japanese Popstars(ザ・ジャパニーズ・ポップスターズ)。現在のメンバーは、Gary Curran(ギャリー・カラン)とGareth Donoghue(ガレス・ドノヒュー)の二名。2006年に活動をスタートさせた彼らは、パワフルなライプ・パフォーマンスで活躍の場を広げ、2008年にはデビュー・アルバム『We Just Are』をリリース。そして2011年には、ロバート・スミス(ザ・キュアー)、ジョン・スペンサー、トム・スミス(エディターズ)らが参加したセカンド・アルバム『Controlling Your Allegiance』をリリースし、話題を集めています。

そんなThe Japanese Popstarsが、ジョン・ディグウィードが主宰する名門レーベル、Bedrockから、サード・アルバム『Disconnect/Reconnect』(ディスコネクト/リコネクト)をリリースしました。ローラン・ガルニエやフランソワ・Kがサポートしたヒット・シングル「Matter Of Time feat. Green Velvet」を筆頭に、自分達のルーツに根ざしたディープかつストイックなサウンド、グルーヴを追求した進展作です。

カラフルなコラボ曲を収録した前作とはひと味もふた味も違う音が詰まった『Disconnect/Reconnect』。ここでは本作の内容について、8月に来日したThe Japanese Popstarsの二人、GaryとGarethに話を聞きました。


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The Japanese Popstars『Disconnect/Reconnect』インタビュー

__最新アルバム『Disconnect/Reconnect』は、ご自身達の中では“自分達のルーツに戻った”作品と位置づけていますね。こうしたアルバムをつくろうと思った経緯や理由は何でしたか?

Gary「もともと落ち着いた感じの音楽をつくっていたんだけど、去年の夏くらいからそれをもっと変化させて、ルーツに戻りつつも前進したアルバムにしていこうと思ったんだ」
Gareth「僕が思うに、前作『Controlling Your Allegiance』は、様々な人達とコラボレーションして、とても良い経験ができたアルバムだった思う。ただ、相手とやり取りしてくことに時間をとられてしまったんだよね。だから、今回はもっと自由に、いま音楽をつくっているという瞬間を、もっと大切にしていきたかったんだ」

__その制作していく際の時間的ロスが、前作『Controlling Your Allegiance』の反省点だったのでしょうか?

Gareth「そういうわけじゃないんだけど、今回はより自由に作業していきたかったんだ」
Gary「前作の曲の場合はボーカリストをフィーチャーしていたから、ライブをやる時に難しさもあったんだよね。でも今作の曲の場合は、純粋に自分達のみでつくった曲がほとんどだから、ライブで100%の力を発揮できるという利点もあると思うな」

__なるほど。今作をBedrock Recordsからリリースすることになった経緯は、何でしたか?

Gary「もともと、どこのレーベルから出すのか、というアイディアはなかったよ。いつもアルバムをつくり終えてから、どこのレーベルから出そうかいろいろ考えていくからね。で、今回はジョン・ディグウィード(Bedrockの主宰者)が僕らの曲をプレイしてくれたりしていたんで、それがきっかけでリリースする話が決まったんだ」

__今作の内容は、正にBedrockらしいサウンドで統一されたものになっている、とも感じたのですが、Bedrockのレーベル・イメージを意識しながら制作していった、というわけではないんですね。

Gareth「そうだね。自分達の音=Bedrockの音だって、思ったことはなかったから。Bedrockはもう15年も続いていて、音もどんどん変化していってるし。だから今回、Bedrockが自分達の音をリリースできると思ってくれたことは、ラッキーだったと思う。レーベルの15周年記念パーティーにも参加できたしね」
Gary「僕は、Bedrockからリリースできて嬉しいよ(笑)」

__そもそもBedrockの初期にリリースされていたようなプログレッシヴ・ハウス系のトラックは、あなた達の音楽的ルーツの一つなんでしょうか?

Gareth「そうだね。僕が最初に買ったレコードの一枚は、Bedrockのものだったと思うよ」
Gary「僕が初めて入手したレコードボックスには、初期のBedrockのシールが貼ってあるんだ。だから、間違いなく影響を受けていると思う(笑)」

__今作には、UKハウス・クラシックのM|A|R|R|S「Pump Up The Volume」で使われていることでも有名な、Eric B. & Rakim「I Know You Got Soul」をサンプリングした「Pump Power」という曲も入っていますね。あなた達は、具体的にはどのような音楽的ルーツをお持ちなんですか?

Gareth「僕のルーツは、もともとヒップホップだったと思う。で、父親がナイトクラブの経営をしていた関係もあって、14歳から18歳くらいまでそのクラブで手伝いをしていたんだ。だから、サシャ&ディグウィード、オービタル、アンダーワールド、ダフト・パンク、ソウルワックス辺りは好きでよく聴いていたよ」
Gary「僕は、12歳の頃にプロディジーを聴いて、友達がターンテーブルを持っていたから、それで遊ぶようになったんだ。で、ダフト・パンク、ザ・ケミカル・ブラザーズ、ピート・トン、サシャ&ディグウィードも聴いたし、ブラーのような’90年代のブリットポップも好きだったし、レッド・ツェッペリンやビージーズも好きだったし(笑)、R&Bも好きだったし、結構雑食的だったよ。自分でDJをやり始めたのは、17歳の頃だったね」

__話を戻しましょう。では、今作のアルバム・タイトルを“ディスコネクト/リコネクト”とした理由は、何ですか?

Gary「このタイトルのアイディアはもともとGarethが持ってたんだけど、タイトル曲をつくっている時、ガールフレンドがiPhoneで録音した声のデータを二人でやり取りしていたら、スピーカーのディスコネクト/リコネクトという接続状態にインスピレーションを受けてね。で、前作から2年のブランクを経てもう一度リコネクトする、みたいなイメージも出てきて、このアルバム・タイトルに決めたんだ」

__さきほど、“音楽をつくっているという瞬間を、もっと大切にしていきたかった”と言っていましたが、今作の曲づくり、音づくりで、特に重視したことは何でしたか?

Gareth「とにかく曲をつくる瞬間を大切にして、自然発生的な制作をしていきたかったから、できるだけ“生”の音のままというか、プロデュースしすぎない形で制作を進めていったよ。あとはもちろん、みんなが踊ってくれるようなサウンドを目指していった。例えば「No Music」は、かなり短時間で完成した曲で、これまでで最も制作時間が短かった曲だと思う」
Gary「数時間でできてしまったんじゃないかな。「Pump Power」は2二日間くらいだったよね。「Disconnect/Reconnect」も早くできた曲だった。「Matter Of Time feat. Green Velvet」は、ちょっと時間がかかったけどね」
Gareth「前作をつくっていた頃は、まだ曲づくりを学んでいる最中だったという面もあったかもしれないね。それで余計に時間がかかってしまった。でも今回は、ちゃんと曲づくりをするためだけの時間を設けて、集中的に制作していったんだ」
Gary「決して、投げやりに急いでつくっていったから早く完成した、ってわけじゃないよ(笑)。ハードディスクにアイディアがたくさんあったし、シンセのセットアップなど、制作環境もかなり整えたから、スピーディーな作業ができるようになったんだよね」

__昨年リリースされ評判となった「Matter Of Time feat. Green Velvet」は、どのように誕生したトラックですか?

Gareth「これは、毎年夏にイビサで行われているダンス・ミュージック・カンファレンス、IMS(International Music Summit)用に用意した曲だよ。毎年一組アーティストを選び、そのアーティストがアンセムを制作し、その制作過程をプレゼンテーションするという企画があってね。で、2012年度は僕らが選ばれて、招待されたんだ。それで曲を制作することになって、やっぱりアンセムというからにはボーカルが必要だろうということで、前作の「Let Go」でコラボしたことがあったGreen Velvetに、ボーカルを依頼したんだ。トラックの大半はイビサでつくったよ。今作は、この「Matter Of Time」をきっかけにつくったようなアルバムかもしれないな。この曲を主軸にアルバムを組み立てていったからね」

__アルバムのエンディング曲「Release feat. Ryan Vail」は、どのように誕生したトラックですか?

Gary「Ryan Vailは同郷のアーティストで、いつもフェイスブックで音源を送ってくれるんだ。特に親しいわけでもないんだけどね(笑)。で、サーファーだから、普段はもっとダウンテンポな音楽をやっている。聴いたらちょっと変わっていて、気に入ったんで、今回参加してもらったんだ」

__ところで、今作を通じて現在のダンス・ミュージック・シーンに対して何か提示したい、という気持ちはありましたか? つまり、EDMについての話なのですが。

Gary「アメリカなどでEDMが流行しているのは、いいことだと思っているよ。若い人達やダンス・ミュージックに触れたことがなかった人達に、門戸を開いてくれてるからね。そういう面で、EDMはとてもいい音楽だと思う。ただ、よくない面としては、ちょっと一辺倒に過ぎるかな(笑)。誰かが流行ると、みんなそういうサウンドになってしまう。まあ、歴史は繰り返すものなんだよ。僕らが若かった時代は、トランスがその役割を果たしていたと思うんだけど、僕もトランスを聴いていたよ。そもそもダンス・ミュージックは楽しくあるべきものなんだから、みんながハッピーになれればそれでいい。EDMをきっかけにて、僕らの音楽も聴いてくれるようになったら嬉しいけどね」

__では最後に、The Japanese Popstarsの次なる活動目標を教えてください。

Gareth「しばらくアルバム制作をしていたから、年末からは北米、オーストラリア、ヨーロッパ、南米と、ライブ・ツアーをしていくよ。あと、10月くらいにジョン・ディグウィードが『Versus』というアルバムをリリースするんだけど、そのアルバムに彼とのコラボーレーション曲が入る予定さ」
Gary「その曲も、素早く完成させることができたよ(笑)」

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【リリース情報】

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The Japanese Popstars
Disconnect / Reconnect
(JPN) Bedrock/Traffic / TRCP 122
発売中
HMVでチェック

tracklist
01. Disconnect/Reconnect
02. Matter Of Time feat. Green Velvet
03. No Music
04. Pump Power
05. Out Of No Where
06. Night Shift
07. Vision
08. The Dealer
09. Heavy Hitter
10. Release feat. Ryan Vail
11. Kick It (Bonus Track)
12. Kontrol (Bonus Track)

【VIDEO/試聴】


【オフィシャルサイト】
http://trafficjpn.com/release/select/99
http://thejapanesepopstars.co.uk/

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