The View『Cheeky For A Reason』インタビュー


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スコットランド、ドライバラ出身のロック・バンド、The View(ザ・ヴュー)。2006年にデビュー作『The View EP』をリリースした後、ピート・ドハーティにデモテープを渡すと、それがきっかけでメジャー契約を果たし、アルバム・リリース前にレディング/リーズ・フェスティバルに出演、さらにロンドン・アストリアでの公演をソールドアウトさせた実力派です。そして2007年にデビュー・アルバム『Hats Off To The Buskers』をリリースすると、全英チャート初登場1位を記録。以降、『Which Bitch?』(’09)、『Bread And Circuses』(’11)をリリースし、確固たる地位を獲得しています。

そんなThe Viewが、レーベル移籍後初なる通算4作目のニュー・アルバム『チーキィ・フォー・ア・リーズン』(Cheeky For A Reason)を、7/4に日本先行リリースします。プロデューサーにアークティック・モンキーズやレイザーライトとの仕事で知られるマイク・クロッシーを迎え、バンドの原点に立ち返るサウンドを目指したという注目作です。

ここでは、本作『チーキィ・フォー・ア・リーズン』の内容とその背景について語った、The Viewのメンバー、カイル・ファルコナー(Vo/G/B)とキーレン・ウェブスター(Vo/B/G)のインタビューをご紹介しましょう。


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The View『Cheeky For A Reason』インタビュー

__最新アルバム『チーキィ・フォー・ア・リーズン』は、どんなアルバムに仕上がりましたか?

カイル「今回は、もっと普通の感じに戻ろうとしてたんだ。基本に戻るっていうか」
キーレン「今回はとにかく自分たちが心から好きなものをつくりたい、それだけだったんだよね。特にコンセプトはなくて、とにかく満足できる音楽を、自分たちのスタイルでやろうって。アルバム・タイトルは曲の一節から取った。“チーキィ・フォー・ア・リーズン”(ワケありで生意気)ってフレーズが、僕らに対する一般的な見方、The Viewがどう思われているかを要約してる気がしてね。あとは、ファースト・アルバムの時も歌詞の一節からアルバム・タイトルを取ったから、今回も同じことをやりたかったんだ」

__確かに、今作はファースト・アルバム『Hats Off To The Buskers』の頃を思い起こさせるようなサウンドだと感じました。原点回帰という考えがあったのでしょうか?

カイル「原点回帰というのは、僕らが強く意図したところだったね。実際ライブをやると、そういうサウンドになるんだ。だから、ライブの時に自分たちが演奏してる裏でバッキング・トラックを流したり、24ピースのオーケストラを引き連れる必要もない。バンドのメンバー4人だけで、レコードで鳴っている音ままにプレイできる。それがとにかく良い気分なんだ。この前のレコードでは、ライブでバッキング・トラックを使う曲がいくつかあったんだけど、どうしてもそれに馴染めなくてさ。間違ってる気がしたんだよね。ビートが機械的に“ツー・ツー・ツー”って刻まれていたり、見えない人間の弾くストリングスがいきなり鳴ったり。あれは上手くいかなかった」
キーレン「まさにね。ストリングスやそういう類いのものを入れないっていうのは、今回かなり重要だった。もちろん、そういうので実験したことは良かったと思うし、自分たちがそういうレコードをつくったこと自体は、かなりクールだと思ってるよ。でもこのレコードでは、一歩戻ってみたかったんだよ。最初にバンドとして集まって、練習した時みたいなサウンドにしたかったんだ」

__プロデューサーのマイク・クロッシーとの仕事は、どうでしたか?

カイル「彼とは、最初からごく自然に通じてたんだよね。彼に何曲か聴いてもらって、“こういうふうにしたい”って言ったら、まさにその通りに仕上げてくれた。僕らの方も、彼のやりたいことがよく理解できたよ。彼がまず“こういうセッティングでいこう”って言って、僕らがプレイすると、彼は完璧な瞬間をとらえてくれたよ。僕らも、今回はとにかく生でプレイしたいって思ってたから。レコードを聴くと、そういう一瞬一瞬がとらえられている、っていうことが分かると思う」
キーレン「彼のアークティック・モンキーズでやった仕事なんかが、好きだったんだ。すごく良いプロデューサーさ。、今でもアルバム制作に対してすごくハングリーで、バンドに期待するものも高いし、彼自身も現状に満足せず、自分の手がけるアルバムで、その仕事の質の高さを証明しようとしてる。それって、プロデューサーの姿勢として尊敬すべきだし、一緒にやると刺激されるんだよね」

__シングル「How Long」についてのエピソードを教えてください。

カイル「僕と元彼女で書いた曲なんだ。彼女が最初にメロディーを思いついたんだよね。“ラーラーラララーララー”とか歌ってて。で、僕がそれをちょっと変えて歌ってみたら、“あ、すごくいい!”って言われたんだ。で、バンドに持っていったら、みんな気に入ってくれてね。でもあの曲は、ある意味ダブル・ミーニングっていうか、すごくポップに聞こえるんだけど、歌詞は強烈なことを言ってたりする。“極上の香水の瓶を君が6つ落としたら/僕が12個にしてあげる/君をやっつけようと兵隊が送り込まれてきたら/僕がそいつらを全員やっつけてやる”って、ある意味ものすごく強烈なオブセッションについて歌ってるよね。“どのくらい待てばいい? いつになったら会える?”って、ラヴソングの基本みたいに聞こえるけど、同時に強烈でクレイジーなところもあるし。かなりダークなんだ。で、それが超ポップなメロディーに乗ってる、っていうね。そこから、ビデオのアイディアも出てきたんだよ。だって、僕らが演奏してるところを撮るだけじゃ、意外性がなさすぎるだろ? だから他の誰かに演じてもらって、どこか意味が通じるような、でも強烈なビデオをつくろうと思ったんだ」

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__ところで、今作からCooking Vinylにレーベルを移籍することになりましたが、一番大きな変化はなんでしょうか?

カイル「Cooking Vinylはレコード会社っていうよりも、チームメイトなんだ。レコーディング費用は僕らが出したしね。Cooking Vinylに関しては、契約する前から良い噂を色々と聞いてたんだけど、実際に契約してみると、以前よりもずっと自由にやれて…レコード会社って、普通はいろいろと言ってくるものなんだよ。まあ、それが彼らの仕事だし。僕らもメジャー・レーベルにいた頃は、“シングルはこれにしよう”とか“こういうビデオにしよう”とか言われて…ある意味、向こうが決めたことを一方的に聞かされてたよ。そうすると、僕らの方も“じゃあ、そうするか”ってことになっちゃって、そのまま飲みに出かけたりね(笑)。でも、今はそうじゃない。もっと自発的にやれるんだ」
キーレン「実際の計画としては、自分たちでこのアルバムをリリースしようとしてたんだ。コロンビアとの契約が切れた時、ちょっとは資金もあったし、たくさん曲もできてたから、これをまとめてアルバムをつくって、自分たちでリリースしようと思った。でも、それをやり始めた時にCooking Vinylからオファーがあってね。今考えると、彼らと契約して良かったと思う。僕らに対して何も強制したり押し付けたりしないから」

__今のUKの音楽シーンについてどう思いますか?

カイル「一昨年くらいから“ギター・バンドは難しい”って言われ始めたんだけど、今も状況的にはあんまり変わってないよね。UKのラジオで流れるのは、リアーナとかビヨンセみたいなのばっかりで、ロックはほとんど流れない」
キーレン「変わるといいな、とは思う。今のところ、UKの音楽的ランドスケープは退屈きわまりない、って言わざるを得ないからね。ダンスっぽいものとか、R&Bとかばっかりで。そんなのにみんな退屈して、すぐにギター・ミュージックが戻ってくると、僕は思う。こういう状態が長く続くわけないから」

__最後に、バンドの今後の予定を教えてください。

カイル「今はとにかく、できるだけ長くツアーがしたい。夏はフェスにも出るし、できればまた日本にも行きたいね。日本でまたライブがやれたら嬉しいよ。僕、この前の来日で一週間近く入院したんだよね(笑)。いきなり敗血症になって、マスクを付けさせられ、一時は隔離されて、薬で朦朧として、もう最悪だった(笑)。いや、ファンはみんなグレイトだったし、退院してからプレイしたライブは、本当に最高だったから」
キーレン「なんとか日本に行こうとしてるところなんだけど、ビザの問題次第だな。でも本当にまた日本には行きたくて、すごく頑張ってるんだ。日本でやった二回のツアーは、ほんとに素晴らしかったからね。確実に最高のツアーの一つだった。幸運を祈ってて!」


【リリース情報】

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THE VIEW
CHEEKY FOR A REASON
(JPN) Yoshimoto R and C CO., LTD. / YRCG-90079
7月4日 日本先行発売
HMVでチェック

tracklisting
01. How Long / ハウ・ロング
02. AB (We Need Treatment) / AB(ウィー・ニード・トリートメント)
03. Hold On Now / ホールド・オン・ナウ
04. Anfield Row / アンフィールド・ロウ
05. Bullet / バレット
06. Bunker (Solid Ground) / バンカー(ソリッド・グラウンド)
07. The Clock / ザ・クロック
08. Piano Interlude / ピアノ・インターリュード
09. Hole In The Bed / ホール・イン・ザ・ベッド
10. Sour Little Sweetie / サワー・リトル・スウィーティ
11. Lean On My World / リーン・オン・マイ・ワールド
12. Tacky Tattoo / タッキー・タトゥー
13. Modern Approach (Tpot Latest Mix) / モダン・アプローチ(Tpotレイテスト・ミックス)*
14. Standing, Waiting On My Own (Long Stand) / スタンディング、ウェイテング・オン・マイ・オウン(ロング・スタンド)*
*日本盤ボーナス・トラック
(シークレット・トラックとして12曲目の後に「Typical Time Three」を収録)

【VIDEO】

【オフィシャルサイト】
http://bignothing.net/view.html
www.theviewareonfire.com
www.facebook.com/view

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