TOWA TEI ピーク・チューンだけじゃない、ダンス・ミュージックの楽しみ


20年以上にわたりDJ活動を続けてきたテイ・トウワが、毎年恒例となった人気コンピレーション・シリーズの第8弾、『MOTIVATION H compiled by DJ TOWA TEI』をリリースする。東京AIRと京都WORLDで開催してきた<MOTIVATION>と、昨年、東京fai aoyamaでスタートさせた<HOTEL H>、その両パーティー名をマッシュアップした本作。そのタイトルには、テイ・トウワの最近のテーマが強く反映されているという。本作のテーマについて、テイ・トウワはこのように語る。

「<HOTEL H>には”No Peak, More Music”ってテーマがあるんだけど、これは、ピーク・オンリーの選曲にはしないってことなんです。いろんな幅の曲をかけることを意識していて、いわゆる鉄板系のフロア・キラーばかりはかけないというテーマは、このコンピでも感じてもらえると思います。それは結局、リスニング対応でもあるってことなんですね。ありそうでない、こじゃれたコンピになったかなと思います」

そんな本作の冒頭を飾るのは、テイ・トウワ’05年のアルバム『FLASH』から「Milky Way」を、砂原良徳が’09年にリミックスした楽曲。その音源に砂原自ら手を加え、本邦初公開の楽曲に生まれ変わらせている。また、アルバムには、テイ・トウワが大沢伸一と共同で手がけた「Mind Wall (SO TT Remix)」をはじめ、「Lyricist (ajapai Remix)」、「Taste of You (Zickzack Remix)」と配信限定リリースだったトラックも初収録されている。

その他、クラブ・ピープルにはおなじみのフロア・アンセム「”Why Don’t You」は、比較的レアな「Greenmoney’s Gramophountzied Remix」をチョイス。いわゆるフロア・キラーだけではなく、The 2 Bears「Mercy Time」、Bobby & Klien「I Want Sax」、Pepe Bradock「Path of Most Resistance」などの、テッキーでミニマルっぽいハウスや、大バコの王道アフターアワーズ系なMustafa feat. Natalia「Circles 2009 (Boddhi Satva Ancestral Soul Remix)」、あるいは8ビット・レゲエと呼ばれるデジタル・レゲエのSoom T「Survivor」なども収録しており、さすがはテイ・トウワと言える幅広い選曲に触れることができる。その幅広さは、二つの異なるパーティーを主催することで、自身のアーカイブとのつき合い方が変わったことに由来するようだ。

「今は<MOTIVATION>と<HOTEL H>を隔月でやっているけど、結局、DJの仕込みはパーティーの分だけあるんですよ。買って聴いてはいたけど、<MOTIVATION>みたいに、ピーク・タイムが大事な場ではかけなかった曲もたくさんあるわけです。そういう曲が、<HOTEL H>で活躍したりする。だから、本作では、二つのパーティーから最大公約数的な選曲をしてみたかった気持ちがありました。ハウス・ミュージックという軸はあるんだけど、その軸を中心に、どこまで幅を広げられるかということですね」

その結果がここにある。ダンス・ミュージックとしても、リスニング・ミュージックとしても楽しめるコンピレーション。そんな、ありそうでなかった1枚とは、まさに『MOTIVATION H compiled by DJ TOWA TEI』のことだろう。

text HARUHIKO BANNO

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