VERBAL × MADEMOISELLE YULIA 対談


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☆Taku TakahashiとVERBALからなるプロデュース・ユニット、m-flo。ヒップホップ、ハウス、エレクトロなど多彩なサウンドを武器に、クラブ・シーンとポップス・フィールド行き来し、絶大な支持を獲得している存在だ。

このたび、そんなm-floのコラボレーション・ワークスを集めたDISC1と、☆Taku Takahashiがm-floの新旧楽曲をDJミックスしたDISC2からなる、二枚組ベスト盤『m-flo inside -WORKS BEST III-』がリリースされた。未発表曲5曲を含む、計36曲が収録された本作。なかでも注目なのは、DJ / シンガーとして活躍するエレクトロ・シーンのアイコン、マドモアゼル・ユリアと、VERBALがコラボレートした新曲、「What Now?」だ。

ここではそのコラボレーションを記念し、VERBALとマドモアゼル・ユリアをフィーチャー。新曲のコンセプトからクラブ・シーンの動向まで、たっぷり語ってもらった。


――VERBALさんとユリアさんが、交流を持つようになったきっかけを教えてください。

VERBAL「ここ1〜2年、僕自身もパーティーへ行く機会がまた増えたんですけど、よく一緒に遊んでいる…例えば、RevolverのKIRIくん、OSUMIさん、DEXPISTOLSとか、いろんなジャンルの人たちが、新しいエンターテインメントを求めて集っている場所があるんですよ。そこにユリアちゃんもいて、DJをやっているのを見たんです」

ユリア「私はVERBALさんのファッションも好きで、初めて話した時は結構服の話をした気がします。こんなに有名な人なのに、人間としてすごく興味深い人だなと思いました」

――VERBALさんはヒップホップ、ユリアさんはロック / エレクトロと、バックグラウンドが異なりますが、どんなところに共通点を感じますか?

VERBAL「僕は小学生の頃にヒップホップを聴き始めて、今までにいろいろなものを見てきたんですが、新しいものを求めるのがヒップホップのスピリットだと思うんです。ユリアちゃんはDJでヒップホップやエレクトロもかけるけど、いきなりマドンナをプレイしたりもするんですよ。そういう、固定概念にとらわれないニュースタイルっていう部分で、僕と交差するんだと思います」

ユリア「VERBALさんはエレクトロに興味を持っていて、逆に私はヒップホップに興味があって、ファッションでも音楽でも、お互い様々なものに関心があるから話が合うんですよね」

――ユリアさんのDJは、ショートミックスで次々に曲をつないでいくスタイルですが、これは何かに影響されてでき上がったものなんですか?

ユリア「好きな曲をかけているだけなので、あんまり意識していないんですよ(笑)。私はバンド時代にロックだけをやっていたわけではないし、いろんなジャンルが好きだから、DJでもそれを混ぜたら面白いと思ったんです」

VERBAL「テンポが早い曲はロングミックスでしょって思われがちだけど、そんなの関係なくどんどん次の曲をミックスしていくのって、キッド・カプリが15秒ずつ曲をつなげていくのに近いというか(笑)。僕からすると、そこにすごくヒップホップを感じるんですよ」

――なるほど。ところで、お二人がコラボレートした新曲「What Now?」は、どんなコンセプトで制作したのですか?

ユリア「今っぽい新しさもありつつ、普通の人が聴いてもインパクトがあるような曲がいいなって。それプラス、ちょっと’80sっぽい要素もあったら楽しいなと考えました」

VERBAL「彼女は歌が上手くてラップもできるし、これまでにないユニークなテイストを持っているから、そういうところも大事にしました。あと、アングラなパーティーだけじゃなく、ダンス・ミュージックをよく知らないお客さんの前でもマルチにDJしているから、いろんな場所へ対応できるような曲にしようと思ったんです」

――この曲は、マドモアゼル・ユリア名義としては初のオリジナル曲で、それにVERBALさんが参加した形になっていますね。

VERBAL「世間的には、「What Now?」がユリアちゃんの初オリジナル曲かもしれないけど、これは彼女にとって通過点だと思うんですよ。ユリアちゃんは前から他の楽曲にもフィーチャーされていたし、世にはまだ出ていないけど、海外のアーティストと一緒にやっている曲もある。そういう活動に対して、僕をはじめシーン全体が面白さを感じているんだと思います」

――たしかに以前よりも、ユリアさんのようにDIYな手法で活動している若手アーティストが注目されていると感じますね。

VERBAL「今は、自分が好きな曲をクラブでかけやすいようにセルフ・リミックスできちゃう時代じゃないですか。遊びでつくった曲を、クラブでかけて試せるっていうのは大きいですよね。あと、今はブログとかもあるから、誰が本当にクラブの現場へ行っているかもわかっちゃう。ユリアちゃんはクラブの現場生え抜きだし、そういう点で説得力があるのはすごいと思うんですよね」

――今、巷では“エレクトロとヒップホップが接近している”、“フィジェット・ハウスが人気だ”などと言われていますが、実際はどうなんですか?

ユリア「エレクトロとヒップホップが近づいているのは、たしかにあると思います。エレクトロはまだ新しいシーンだし、ルールにとらわれていないので、いろいろ細分化されていますね。フィジェット系もあればテクノやハウスに近いものもあるし…。エレクトロは、どんなスタイルと混ざってもおかしくないんだと思います」

――最近は、どんなサウンドに注目していますか?

ユリア「普通だったら合わないようなテイストの曲どうしを混ぜるのも、面白いなと思います。例えば、ちょっと民族っぽい音とエレクトロが融合したものとか。M.I.A.がやっているスタイルとはまた異なるんですが、最近そういう曲が結構あるんですよ」

VERBAL「面白いと思うものは、だいたいヒップホップ以外だったりしますね。今ユリアちゃんが言ったような民族っぽいもの…例えばブラカ・ソン・システマとか、こんな面白い人たちがいるんだなって思いました。あとは去年ぐらいからミニマルなものがくるって言われていて、ティガとかもチェックしています」

――今後は、どんな方向性での活動を考えていますか?

ユリア「今までいろいろなことをやってきたからこそ、自分名義の曲を出せたと思うので、これからも新しいことを追求していきたいですね」

VERBAL「m-floやTERIYAKI BOYZ®もやっていますけど、僕はやっぱり裏方気質が強いんです。今後は、ユリアちゃんも所属している僕の新レーベル“KOZM™”で、DIYで活動するユニークな若手アーティストをサポートできるプラットフォームをつくっていきたいですね」

interview & text EMIKO URUSHIBATA
photo WATARU UMEDA


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m-flo
m-flo inside -WORKS BEST III-
(JPN) rhythm zone / RZCD-46178〜9

m-flo10周年スペシャル・サイト
www.m-flo.com/10yrs
詳細は4/24(金)発表予定

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