WOMB ADVENTURE’10に、Carl Craigの出演が決定(2010年12月)

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2010年12月4日(土)に幕張メッセにて開催される、WOMB主催のダンスミュージック・フェスティバル、<WOMB ADVENTURE’10>。本フェスに、デトロイト・テクノ・シーンの重鎮、Carl Craigの出演が決定しました!

すでに、Richie Hawtinによるプロジェクト、Plastikmanや、Crookers、Roni Size、大沢伸一、DEXPISTOLSをはじめ、豪華アーティストが名を連ねている<WOMB ADVENTURE’10>ですが、ますます強力なラインナップとなりましたね。イベントの開催概要は、続きをご覧ください。

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Drums of Death「Wont Be Long」

Hot ChipのJoe Goddardが主宰するGreco-Roman所属のエレクトロ・アーティスト、Drums of Deathが「Wont Be Long」のPVを公開しました。「Wont Be Long」は、Drums of Deathが9/22に日本発売したデビュー・アルバム『Generation Hexed』からのニュー・シングルです。レイブ・ミュージックを現代的にしたような作風が印象的ですね。

Robyn「Indestructible」

ロイクソップとも交流ある、スウェーデンのポップ・アーティスト、Robynが「Indestructible」のPVを公開しました。「Indestructible」は、海外で11/22に発売が予定されている、Robynの7thアルバム『Body Talk』収録曲です。日本では知名度が高いとはいえないRobynですが、海外での評価は高く、よくメディアにも登場します。北欧サウンドが好きな方は、要チェックですね。

月刊 HMV×LOUD【11月号】


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HMV ONLINEとLOUDのコラボレーション企画、「月刊 HMV×LOUD【11月号】」が公開されました。
LOUD最新号の掲載情報から、インタビューやオススメ・アイテムを毎月ピックアップしていくこのコーナー。今回は、革新的なアイディアとコンセプトを持った楽曲/アルバムを次々と送り出し、その唯一無二な音楽性で高い評価を獲得している鬼才、MATTHEW HERBERTが登場です!

ぜひiLOUDと合わせて、チェックしてみてください。

HMV×LOUD

The National、来日決定(2011年3月)

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(2011/5/18追記)11/9に公演延期となりました。

The Nationalが来日、2011年3月17日に、東京・渋谷duo music exchangeにて一夜限りのライブを行うことになりました。2001年にアルバム『The National』でデビューした、NYブルックリンの5ピース・ロック・バンド、The National。アルバムの発表ごとに高評価を獲得し、2007年の4thアルバム『Boxer』は、PitchforkやRollingStone等英米の有力メディアから絶賛を持って迎えられ、ロング・ヒットを記録しています。今年5月には、最新アルバム『High Violet』をリリース。全米チャート初登場第3位を記録した本作では、いっそう深みを増した、エモーショナルな音楽性を披露しています。Vampire WeekendやAnimal Collectiveといったブルックリン系バンドから、Sufjan StevensやRufus Wainwrightといった個性派ソングライターたちまで、現在のUSインディー・シーンの注目アーティストをつなぐ、ブリッジ的な存在と言える彼らのライブを、ぜひこの機会に体感してみましょう。ライブの詳細は、続きからチェックしてみてください。

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響音楽祭-Hibiki Music Festival-が開催中止に

今週末10月31日(日)に東京・お台場シーサイドコートにて開催が予定されていた野外ダンス・ミュージック・フェス、<響音楽祭 -HIBIKI MUSIC FESTIVAL->が、台風14号接近の影響により、中止されることとなりました。今回の響音楽祭は、安全保安上の理由により、やむなく中止となってしまいましたが、来春に開催実現できるよう、現在調整中とのこと。18歳以下も入場できるという、これまでにないコンセプトのダンス・ミュージック・フェスということで、次回の開催に期待したいですね。チケットの払い戻しに関しては、響音楽祭のオフィシャル・サイトをご確認ください。

INFO: 響音楽祭実行委員会(ブランニューメイド株式会社内) 03-5467-1470
オフィシャルサイト: http://www.hibiki-fes.com

agraph『equal』インタビュー

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’08年に『a day, phases』でデビューを果たした、agraph(アグラフ)こと牛尾憲輔。’03年に石野卓球と出会って以来、電気グルーヴをはじめとする様々なアーティストの制作やライブをサポートしてきた、実力派エレクトロニカ・アーティストです。今年は、TETSUYA「Roulette」のリミックスを手がけたほか、iLLの最新作『Minimal Maximum』や、フルカワミキのバンドに参加するなどして、活動の場を広げています。また、先日行われたアンダーワールドのZepp Tokyo公演(10.7)では、オープニング・アクトを務めています。

そんなagraphが、11月3日にセカンド・アルバム『equal』をリリースします。砂原良徳、ミト(クラムボン)、alva notoがプロダクションに参加し、ブックレットには円城塔の書き下ろし短編も付けられた注目作です。その内容は、生楽器の響きに着目した「Lib」、新たなリズムにトライした「nonlinear diffusion」、agraph流アンビエント・ミュージックにトライした「while going down the stairs i & ii」など、前作以上に繊細かつイマジネイティブな音世界を追求したものとなっています。

agraphの新たな音楽的アイディアが詰まった『equal』。本作の内容について、牛尾憲輔に話を聞きました。

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ゲームBGMのリミックス&カバーを収録した、人気コンピレーション・シリーズの新作『More SQ』に、JABBERLOOPとROCKETMANが参加

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懐かしのゲームBGMを、ダンス・ミュージックから生音ジャズ、チルアウト・ミュージックまで、多彩なアレンジでリミックス&カバーし、大きな話題となったコンピレーション、『Love SQ』と『Chill SQ』。このたび、そのシリーズ第三弾となる新作、『More SQ』がリリースされることとなりました。

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KINGS OF LEON『Come Around Sundown』ワールド・オフィシャル・interview

ケイレブ・フォロウィル(Vo/G)、ネイサン・フォロウィル(Dr)、ジャレッド・フォロウィル(B)の三兄弟と、従兄弟のマシュー・フォロウィル(G)の四名からなる、米テネシー州出身の実力派ロック・バンド、キングス・オブ・レオン(KINGS OF LEON)。’03年にリリースしたデビュー・アルバム『ユース・アンド・ヤング・マンフッド(Youth And The Young Manhood)』が全英チャート3位、プラチナ・セールスを記録して以来、モダンで時に実験的なサウンドと、地に足着いたヴィンテージ・ロックを両立させた音楽性で、作品を発表する度に高い評価と人気を獲得してきた、現在のメインストリーム・ロック・シーンをリードする最重要アーティストです。

特に、全英チャート初登場1位、全米チャート最高4位、そして700万枚のセールスを記録した4thアルバム『オンリー・バイ・ザ・ナイト(Only By The Night)』(’08)では、’09年度の英ブリット・アワード“最優秀インターナショナル・アルバム”、“最優秀インターナショナル・グループ”賞、米グラミー”ベスト・ロック・パフォーマンス賞”を獲得、さらに’10年度の米グラミーで、主要部門となる“最優秀レコード”ほか、“最優秀ロック・ソング”、“最優秀ロック・パフォーマンス”の三冠を受賞。 名実共に、世界的ロック・バンドへと飛躍した記念碑的作品となりました。

そんなキングス・オブ・レオンが、モンスター・アルバムとなった『オンリー・バイ・ザ・ナイト』に続く、通算5作目となる待望の最新アルバム『カム・アラウンド・サンダウン(Come Around Sundown)』を、11月24日にリリースします(輸入盤は、発売中)。 全世界がその内容に注目している重要作です。ここでは、そんな最新作『カム・アラウンド・サンダウン』の内容を、彼ら自身が各曲解説を軸に語り尽くした、ワールド・オフィシャル・インタビューをご紹介しましょう。

photo by Dan Winters
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__キングス・オブ・レオンの通算5作目となる最新作『カム・アラウンド・サンダウン(Come Around Sundown)』の、アルバム・タイトルについて教えてください。

ケイレブ・フォロウィル(Vo/G)「『カム・アラウンド・サンダウン』には、色んな意味があると思うんだ。例えば“夕暮れよ、早く来てくれ”って意味にも取れる。でも実際は、“夕暮れ頃にコーヒーを飲もうかな”って意味なんだ」

ジャレッド・フォロウィル(B)「“夕暮れ頃おいで”って、とるヤツもいるよね。夕暮れ頃、うちにおいでよ、みたいな。俺はそうはとらないけど。俺の場合は“夕暮れ頃に愛し合おうとしているところ”って感じかな!(笑)」

マシュー・フォロウィル(G)「暇なときはいつもアルバム・タイトルとか楽しいことを考えるよね。俺がある歌(注:カントリー・シンガー、ジョン・アンダーソンの「スモール・タウン」という曲の一節)を聴いていたら、‘come around sundown’って歌ってたんだ。で、“いいかも”と思ってメンバーに言ったら、“それはいいぞ“って話になってね。他のタイトル候補と一緒にお蔵入りするかと思ったら、即決まったような感じだった。わりと最初からこのタイトルに落ち着いていたね」

__今作のレコーディングのプロセスは、どのようなものでしたか?

ケイレブ「このアルバムには、脆い部分もたくさんあるんだけど、それはリハーサルなしに録音したものが多かったからなんだ。ほら、昔みんなが本物の音楽をつくっていた頃は、トラックのあちこちで音が飛んだり、割れたり、ドアの開く音が入っていたりするのが良かったからね。デビュー・アルバム『ユース・アンド・ヤング・マンフッド(Youth And The Young Manhood)』(’03)をレコーディングしていた時、どの曲だったか忘れたけど、よく聴いてみると…たぶん俺達にしか聞こえないと思うけど、トラックの後ろで誰かがビリヤードをやっている音が聞こえるんだ。玉のぶつかる音が聞こえる。それがいいんだ。ああいうのは、残しておかなくちゃいけない」

ジャレッド「いつも一発録りでやろうとしているし、できるだけ録音するようにしているんだ。それで、直さないといけない部分だけを直す」

ネイサン・フォロウィル(Dr)「ラジオ向けのヒット曲をつくろうとして、ストップウォッチで計ったりするようなバンドだったことはないよ。なにしろ、オンエアしてもらうには2分半とか3分くらいじゃないといけないから」

ケイレブ「俺達みんな、考えすぎるのは好きじゃないんだ。スタジオに入って、曲を一曲レコーディングするまでの時間は…信じられないと思うよ。3回プレイして“もう1テイク頼む”って言われても、“いいじゃないか、もう3回もやったのに。これが最終形になるんだから”って言うんだ」

マシュー「今回は、ほぼ完全に一発録りだった曲がいくつかあるんだ。「メアリー」は何から何まで、それこそソロ・パートまで一発録りだった。俺はそのソロをすごくやり直したかったけど、“いや、そのままにしておきなよ。すごくいいから”って言われてね。だから、“分かった”って言ったけど。あの曲は俺のために、完全にライブ・トラッキングされたんだ」

ケイレブ「スタジオで何もかも分割して、それぞれをできるだけパーフェクトな音にするなんてことは、やらなかった。そんなに完璧になったことなんて、本当にないんだからさ」

__曲順はどのように決めていきましたか?

ケイレブ「アルバムの曲順を決めるのは、いつも大変だよ。その時々でお気に入り曲が違うこともあるからね」

ジャレッド「「ビーチ・サイド」は「バック・ダウン・サウス」の次にくるべき曲だっていうのは、前から確信していたな。「バック・ダウン・サウス」のドラム・フィルに合わせた笑い声が「ビーチ・サイド」につながっていくのが、何かいいんだよね。すごくクールな感じがしてさ」

ケイレブ「各自で曲を全部並べてから、みんなで集まって、どの曲順が全員の希望に一番適っているのか見極めるんだけど…たいてい結構似通ってはいるけど、ちょっとしたズレがあるのが常だね」

ネイサン「みんなそれぞれ、理想のブックエンド(最初の曲と最後の曲)があるからね。それぞれ、“あの曲でアルバムを始めるべきだ、あの曲で終わるべきだ”って思っている2曲がある。他の部分はチェンジ可能だったりするんだけど…。ケイレブが言っている通り、全員の曲順を見て、全体で合意できる曲順を選ぶんだ」

マシュー「俺自身も、自分たちで曲順を決めるまでは考えたことがなかったけど、曲順は結構重要だって、みんなあまり知らないんじゃないかな。曲順がアルバムの雰囲気を完全に変えてしまうことだって、あり得る。全く違うアルバムにすることだってできるんだよ」

ケイレブ「曲順を決める時は、あの曲のエンディングは、この曲のイントロにうまくつながっていく、というのを考えるね。それは、アルバムづくりで楽しいことの一つでもあるよ」

__今作の収録曲について、何曲が詳しく教えてください。まず、1曲目「ジ・エンド」について。

ジャレッド「「ジ・エンド」をライブでやる時は、どうしたらいいか分からない。カジモド(注:ヴィクトル・ユーゴー著『ノートルダムのせむし男』の主人公)みたいに猫背になって、思いきりハードにプレイするんだ。俺が書いた中でも、一番ハードなベース・ラインだからね! 指弾きなんだけど、すごく速いよ。アルバムではこもった感じの音になっているから聞き取りにくいけど、トム・ヨークみたいに弾こうとしたんだ。俺にはハードすぎたけどね。文字通り、背中を向けて弾かないといけないよ。この世のものとは思えない顔つきで弾くことになるからね!(笑)」

ケイレブ「「ジ・エンド」でこのアルバムが始まるというのは…この曲は間違いなく、一節ごとに心に染みてくる曲の一つだね。アルバムのスタートとして、ああいう積み重なっていく曲があるのは、いいことだと思う」

マシュー「力強い曲でアルバムを始めたかったんだ」

ネイサン「「ジ・エンド」が1曲目っていうのは、ちょっと皮肉だったりもする」

ケイレブ「この曲には、前作の要素が少し入っているんだ。前作を気に入ってくれた人がこのアルバムをプレイしても、この曲だったらいきなり敬遠されることはないんじゃないかな」

__ファースト・シングル曲でもある、2曲目「レディオアクティブ」について。

マシュー「「レディオアクティブ」は最初に取りかかった曲の一つだけど、実は先週まで形になっていなかったんだ。どんなものになるのか、確信が持てなくてね」

ジャレッド「「レディオアクティブ」を最初に書き始めた時は、「イッツ・オールライト」というタイトルだった。セカンド・アルバム『アーハー・シェイク・ハートブレイク(Aha-Shake Your Heartbreak)』(’04)を書いた正に直後だったか、あのアルバムの制作途中だったような気がするな」

ネイサン「2作前に書いた曲を、今回やっと収録することができたわけだけど、以前の作品には何故かしっくりこなかったのというのは…この曲の力強さをよく表していると思う」

ケイレブ「うん。最初はすごくパンクな曲になったから、ボツにした。でも後になって、そのメロディーを新しいアイデアで使うことになった。でも実際にやってみたら、ヴァースとサビが似すぎててさ。何にも発展していかないような気がした」

ジャレッド「曲の構造を完全につくり変えなければならなかったんだ。今回は、そうやってアルバムをつくっていったよ。“つくった曲をボツにするんじゃなくて、どの曲も最大限良いものにしよう”ってね」

ケイレブ「それである晩…ネイサンもジャレッドも帰って、アンジェロ(・ペトラグリア:プロデューサー)も帰って、俺とマシューとジャクワイア(・キング:もう一人のプロデューサー)だけになった。で、いろいろやったんだけど、良い曲なのにアルバムに入れられそうにないから、ヘコんでたんだ。だから、“ジャクワイア、とにかく録ってくれ。今からブースに入って歌ってみるから”って言って、ブースに入って“The road is carved up yonder…”って歌い出してみた。そうしたら、前よりもずっとスペーシーな感じになって、コーラスをパワフルにすることができた。それで、翌日スタジオ入りした時に、“アレをかけてくれ”ってプレイしたら、ネイサンもジャレッドもアンジェロもやってきて、“今のは何だ? ひどく酔って歌っているような感じだけど”って言ってね。そこから、この曲をさらにつくり込んでいったよ。アレが、曲に新しい命を吹き込んだ感じだったね」

__3曲目「パイロ」について。

ケイレブ「「パイロ」では、いくつかヴァースを書いたね。山の上に住んでいる急進的なクリスチャンが、なぜかFBIのヤツらを殺してしまうって話をテレビで観て、そのことを曲にしようと書き始めたものだ。全てをイヤになった男が、自分のいる世の中は自分にとって理想的じゃないから、焼き尽くしてしまおうとするんだよ。よくある、“世の中はこうあるべきだ”って考えているところから始まって、最後には“そんな理想の姿にもなれない”って終わる曲だね。

ジャレッド「「パイロ」は、ライブでやっていて、いま一番楽しい曲だな」

マシュー「「パイロ」は、一番楽しくもあるし、一番難しくもあるね。初めてプレイした時のことを憶えているよ。ひどくナーバスになっていたから、プレイしなきゃいけないことがアタマにきていた。なにしろ、すごく不安だったからね。幸い、しくじることもなく上手くいったけど」

ケイレブ「より親密で、ボーカルが前面に出ている曲だと思う。俺にとっては、いつでも難しい曲だ。上手くいくかどうかが、自分にかかっているような気がする曲だからね。「パイロ」みたいな曲は…わりと静かな曲だから、ボーカルをパーフェクトにしないといけない。でも、俺のいう‘パーフェクト‘は、文字通りの意味じゃないよ。それは、曲の感情をちゃんと表現して、オーディエンスやリスナーが曲の内容を心から理解してもらえるようにする、ってことを意味しているんだ」

__4曲目「メアリー」について。

ケイレブ「「メアリー」は、前作『オンリー・バイ・ザ・ナイト(Only By The Night)』(’08)の時、最初に書いた曲なんだ。ある晩、自宅で酔っ払って書いた。強いエネルギーを感じる曲だったから、自分はとても気に入っていたけど、なぜか前作には収録されなかったんだよね」

マシュー「でも、誰かが古いデモをかけたときに、“お、これはもう一回やってみないと”って話になった」

ケイレブ「曲のタイトルを見直していた時に、アンジェロが“もう一度「メアリー」を録音してみないか?”って言ってさ。みんな“ええっ”なんて言ってたんだけど、俺は“頼む!”って感じだった。「メアリー」はずっとすごく気に入っていたし、今回入れられなかったらおかしかったと思うよ」

ジャレッド「デモではディストーションがきつくて、ニュートラル・ミルク・ホテルとかオリビア・トレマー・コントロールみたいな感じだった。ニュートラル・ミルク・ホテルに「Holland, 1945」って曲があるんだけど、あんな感じ。ものすごく速いバー・ソングだったんだ。レコーディングした時には、ディストーションというよりも、フィル・スペクター風にしてみたかな。ちょっと違うヴァイブでね」

ネイサン「今までにつくったイントロの中でも、「メアリー」はお気に入りの一つだね。“woo-doo”って始まって、それから直球で真っ向から当たっていくからね」

マシュー「曲の最初に出てくるバック・コーラス、あれには興奮したなぁ。あのラインを思いついたのが誰だったのか忘れたけど、“おおっ、素晴らしい!”って思ったよ」

ケイレブ「タイトルは「メアリー」(Mary)だけど、実際は“結婚”(Marry)のことを歌っているんだ。“君さえよければ結婚しよう。俺の権利は放棄した”ってね。たしかあれは、ネイサンが結婚して家を出ることに対して、ムッとして書いたんじゃなかったかな。今作は、今までよりも実験が多いね。カントリー的な側面を見せたり、時代をさかのぼっているような部分を見せたり…。そうすることで、キングス・オブ・レオンが今まで何を目指してきたのか、ちょっとした歴史が分かるようになっているんだ」

__6曲目「ジ・イモータルス」について。

ケイレブ「「ジ・イモータルス」のリリックは、集中して書いたんだ。20分くらいだったかな、結構早くできた。それから次に、ガールフレンドにじっくり聴かせてみた。そしたら目に涙をうかべて、“こんなにステキな歌は、初めて聴いたわ”って言ってくれたよ。ジャレッドも昨日、“今まで書いた中で最高のサビじゃないか”って言ってくれた」

ジャレッド「そう。俺にとってあのサビは、バンドとして書いてきた曲の中で、たとえ一番じゃなくても、最高の部類に入るものなんじゃないかって思う。素晴らしいよ。歌詞もスペシャルだしね。サビ部分の歌詞が特にいい。グッとくる。アレンジについても、すごく速い演奏から突然底を突くような感じになって、まるでフリーフォールしているような気分になるね」

ケイレブ「将来、子供たちに語りかけられるような内容にしたいと思ったんだ。あのサビが、言いたいことを全部言ってくれている。こんな感じなんだけどね、“さあ、なりたい者になりなさい。そして、この世を去るまでに、何かを愛した実感を得なさい…”」

__7曲目「バック・ダウン・サウス」について。

ケイレブ「「バック・ダウン・サウス」は、レコーディングが楽しみな曲だったよ。あの曲の歌詞は、実は一切書いてないんだけどね。心の赴くままに歌ったんだ。マシューが、ある日リハーサル場所に、ラップ・スティールを持ってきてさ」

マシュー「持ってきたものの、チューニングの仕方も何もわからなくてさ。でも、ちゃんとチューニングできて、しばらく遊んでいたんだ。そうしたら、弾き方を教えてくれたヤツがいてね。それで、最初に弾いてみたのが…」

ケイレブ「こんな感じだったよな、“Berr, bah-bah, berr, buh-buh bum”。で、それを聴いて、すぐさま“Come out and dance, if you get the chance” (出ておいで、踊ろう、チャンスがあれば)って歌ったんだ」

マシュー「それを聞いた時は、すごくワクワクしたな。ちゃんとした音にはほど遠かったけど、みんなにそのフレーズを聞かせたくてウズウズしたよ! で、実際みんなに弾いてみせたら、全員すぐに自分のパートを書き始めた。あれは最高の気分だったね」

ネイサン「「バック・ダウン・サウス」か。参加しないヤツがいないワケないじゃないか」

ケイレブ「同感!」

ネイサン「この曲は、よくあるように全員で歌ったんだ。その後ちょっと気分がまぎれて、ダーツをやったりして…飲んだよな」

マシュー「スタジオで過ごした中でも、最高のひとときだったよ!すごく早い時間にウィスキーを飲み始めてさ。で、その日の最後は、みんなでバック・コーラスをやろうって話になった。それで20人くらい、クルーもスタッフもみんな一つの部屋に集まって、マイクを数本立てて録音したんだ」

ジャレッド「俺はその時、体調不良で数日間休んでたから、家でじっとしながらすごく落ち込んでいたよ。何もできなかった。そんな時に、みんながメールでこの曲を送ってくれたんだ! “あー、メチャクチャ行きたい!”って思ったよ。そうしたら、その後みんなで歌ったコーラス部分の音源も送られてきて、“おまえ達、裏切りったな!”って思ったね、まったく。みんなでピザ・パーティーしてるんだからさ!」

ネイサン「「バック・ダウン・サウス」みたいな曲がアルバムに入ったのは、いいことだと思うね。「セックス・オン・ファイア」とか「ユーズ・サムバディ」みたいなのを6曲入れる方が、よほど楽だったはずだから。自分たちのルーツだけじゃなくて、このバンド結成当初の姿も表現されていると思うから、「バック・ダウン・サウス」みたいな曲が入って良かったよ」

__8曲目「ビーチ・サイド」について。

ケイレブ「「ビーチ・サイド」には、おかしな話があってさ。タイトルが「ビーチ・サイド」になったのは、アルバムの“ビー・サイド”(B面)になる予定の曲だったからなんだ」

ジャレッド「すごくシンプルな曲だからね。2分半くらいだし。マットがラップ・スティールを入れたことで、ワン・ランク上の曲になったけど、それでもこのアルバムの中では一番シンプルな曲だね。プレイするのも一番簡単だし」

マシュー「ネイサンがすごく’70年代っぽいドラムを入れてくれて、みんな大喜びだったよ」

ケイレブ「で、“もうBサイドとは呼べないな”って言ったんだ。とても気に入り始めていたから。それで、その前の晩、ビーチ・ハウスのコンサートに行ったジャレッドが、ビーチ・ハウスのTシャツを着てきたのを見て、“そうだ、「ビーチ・サイド」にしよう!”って言ったら、みんな“そうしよう!ぴったりだ!”って言ってくれてね。その瞬間、みんなの頭の中で、この曲はビーチっぽいサウンドを奏でるものになったよ」

ネイサン「キングス・オブ・レオンの曲としては、どう考えても異色だよね。キングス・オブ・レオンの別の一面が垣間見える曲だ」

__9曲目「ノー・マネー」について。

ジャレッド「「ノー・マネー」は、ボーカルがミスフィッツのような感じがしたな」

マシュー「「ノー・マネー」なんてタイトルの曲だと、はじめから方向性が見えているんだ、パンク・ロックになるってね。ダーティーで生々しいサウンドにしたいって。と同時に、とにかく大きな音を出したいって。やるべきことはただ一つ、“あの女を酔わせろ”ってことさ。ソロをやるときは…」

ジャレッド「ロックしたい時は、ファズ・ペダルを使うんだ。ベース音をデカくして、大胆不敵な雰囲気を出すのに頼りになる。「クロール」、「ブラック・サムネイル」、「ノー・マネー」といった、ものすごくハードな曲だけだけどね。この曲ができたときも、ビッグマフ(ファズ・エフェクターの機種名)を使おうって、すぐ決めたよ」

マシュー「ネイサンが叩いていたドラム・パートが、すごくカッコ良くて、耳が離せなかったよ。だから、ライブのサウンド・チェックの時、いつも“おい、あのドラム・ビートをやってくれ”って言ってたんだ。ヤツにとっては、すごく大変なんだけどね。で、ネイサンが長時間叩いている間に、何とかギター・パートを書こうとしたんだけど、難しかった。でも、ツアーで何ヶ月もプレイして、ある日ようやくギター・パートを思いついて、それをやってみたら、あいつが“スゴイじゃないか”って言ってくれて、他のみんなもいろいろ曲をいじり始めたんだ。“良かった”って思ったよ。ネイサンのドラム・ビートは最高だからね! 「ノー・マネー」は、このアルバムの中で唯一ロック色が濃い曲さ」

__10曲目「ポニー・アップ」について。

ネイサン「「ポニー・アップ」は、ドラムが無条件に楽しい曲だね。音数がすごいから、あの曲を聴いた人の多くは、俺が同時に全部プレイしてないんじゃないか?って思うんじゃないかな。ドラム・スティックにシェイカーを合わせたり、カウベルを叩いたり、タンバリンを叩いたり…それが一度に鳴っているんだ。俺達は、アルバムに必ず1曲、仲間たちが“マス・ロック”(数学ロック)と呼ぶものを入れるようにしている。ちゃんと考えながら叩かないといけないドラム・パートのことを指しているんだけど、シンプルなものでも、一つのビートに病みつきになることがあるんだ。「ポニー・アップ」は、間違いなくアルバムの中で俺のお気に入り曲の一つだね。いろんな音が鳴っているし、カウベルを嫌いなヤツなんていないだろ?」

__13曲目「ピックアップ・トラック」について。

ケイレブ「「ピックアップ・トラック」は、キャンプファイヤーを囲みながら書いたんだ。石炭が燃える様子を眺めていたら、白くなり始めて、それを見て“ひび割れた木材が白く変わってる”って口にした。そうしたら、何もかもがとても雄々しく、力強く感じられたんだ。俺たちは火を焚いている!自炊している!ってね。その時は、食べる魚を自分で釣って、料理して…ってことをやっていたんだ。そんな感じで、この「ピックアップ・トラック」のことを考え始めたよ。そこに、森林の警備官がやって来て、俺達を調べようとしたんだけど、てっきり屈強な警備官かと思ったら、運転してきたトラックを見て、“あれをピックアップ・トラックって呼ぶのか?”って言うようなショボいヤツでね。それが、この曲のアイディアに発展していったんだ。恋愛模様も少し取り入れようとしたけど、最終的には“俺の方が立派な男だ”っていう、男の話になったよ」

ジャレッド「俺達は、昔から南部男の恋愛小説が大好きだったんだ。南部男がピックアップ・トラックを乗り回して、キャンプファイヤーに行って、よくケンカに巻き込まれる。もしバンドをやっていなかったら、俺たちもそんな人生を送っていただろうね。あの歌のサビは、聞いた通りのままで、イージーだけどすごくリアリティーがあるんだ。現場を見たこともあるし、自分たちもこうなってただろうって思う」

マシュー「南部男のロマンスは、とにかく最高だよな」

ジャレッド「同感だな」

ネイサン「「ピックアップ・トラック」は、ドラム的には間違いなく“ビルダー”(ビートをつくり上げるもの)だね。ビートが何度も上がったり下がったりする。こうする他なかった、という感じの曲だったな。叩き方を何万通りも試してみても良かったけど、これほど良いサウンドにはならなかったと思う。一番シンプルな形でやるのがベストな場合もあるからね」

ジャレッド「「ピックアップ・トラック」は、いったんバラバラにしてから、また組み立てていく感じの曲なんだ。そういう構成の曲は今までも好きで、俺達の大好きな… 俺達にとって大きな意味のある曲にも、そういうものが多い。U2の「With or Without You」もそうだったし、ニュー・オーダーの「Ceremony」にも、たくさんブレイクダウンがあるよね。シン・リジィの「Renegade(反逆者)」も全く同じ感じ」

ケイレブ「シン・リジィの「Renegade」は、俺達みんな大好きな曲なんだ。あの曲は、最後にスローダウンして、そこからまた再構築されるんだ。「ピックアップ・トラック」が完成した時は、“この曲こそ俺たちの「反逆者」だ”って、確信したんだよ」

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