ajapaiインタビュー


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’90年代初期に音楽活動をスタートし、クラブ・シーンを牽引する実力者として名を馳せるに至った、森俊彦。JAZZADELIC、SP-1200 Prosuctionsをはじめ、様々な名義で活躍し、国内外から高い評価を得ているクリエイターです。  

そんな彼は、’01年にソロ・プロジェクトajapaiを始動。このたび、ニュー・ミックスCD『up』をリリースしました。クラブ・ミュージックの最先端サウンドと目される、エレクトロ / フィジェット・ハウスを軸に展開される本作は、ajapaiのオリジナル新録「Speeder」も収録された注目盤です!

そこでLOUDは、新たなスタートを切ったajapaiの“今”を探るべく、森俊彦に対面取材を行いました。ここでは、その中でもニュー・ミックスの内容にフォーカスしたインタビューをお届けします。彼のヒストリーを総括した、本誌166号のインタビューと併せてお楽しみください。


——このミックスは、現場でのDJセットを反映したものですか?
「収録曲のほとんどは、普段DJでプレイしているものです。でも、フロアで聴くのとホームリスニングでは、感覚が違うじゃないですか。だからこのCDでは、家で聴いても気持ちいいサウンドを考慮しましたね」
——なかでも、エレクトロ・ハウスが多く盛り込まれている点が気になりました。 「パッと見エレクトロが多いですけど、いわゆる最近のエレクトロ一辺倒っていうのはやっていないんです。今系のエレクトロ・ハウスから始まって、ブラジル系で終わるっていう流れを意識しました」
——収録曲の中で、特に気に入っているキラー・チューンはどれですか? 「イディオットプルーフ「The Deacon(Duke Dumont Live From Brooklyn Remix)」はオススメですね。リミキサーのデューク・デュモントは、以前シカゴのTurboっていうレーベルで活躍していたんですが、最近はスウィッチのDubsidedから楽曲を出しているみたいです。あとは、サウス・ラッカス・クルー「Mad Again(Fake Blood Remix)」も良いですね」
——フェイク・ブラッドは、最近急速に台頭してきましたよね。
「彼のオリジナル、「Mars」も人気ですしね。「Mars」も「Mad Again」のリミックスもそうですけど、一体彼は何を使ってこのベース音を出しているのか、さっぱりわからないです(笑)。たぶん、シンセじゃなくて何かのサンプル・ネタを弾いているっぽいけど」
——そういった、フィジェット・ハウスと呼ばれるものには注目していますか?
「今僕が一番好きなのは、ハーヴェやスウィッチ周り、最近だとマシーンズ・ドント・ケアとか、まさにフィジェット・ハウスなんです。「Beeper」みたいな、フィジェットがよりベース重視になったような音って、ダブステップやグライムにいく前のUKガラージ、いわゆる4 to the floorに雰囲気が近いんですよ。ダブステップって、小節カウントがわからないぐらいグチャグチャな部分があるけど、フィジェットもそういう点が共通しているのかな? って思うんです。そうしたら、ベースライン・ハウスなんてものも出てきて。とても面白い動きだと感じています」
——彼らのような、新鋭クリエイターのプロダクションにはどんな印象を受けましたか?
「あまりにクレイジーな音だから、全員ラリっちゃってるように思えますけど、実はすっげぇ緻密にできていますね。今は、Mac1台あればそれだけで楽曲制作ができちゃう時代だけど、ソフト・シンセだけじゃなく、ハコもののシンセやサンプラー、ドラムマシーンも使って、音ごとにコントラストを付けないと、ペターっとしたデジタル質感だけの音になっちゃうんです。フィジェット系のクリエイターは、そういう部分をわかってやってるんじゃないかな?」
——ajapaiさんの新曲「Speeder」も、機材の音を重視して制作したのですか?
「そうですね。Macだけじゃなく、ちゃんとした楽器の音、機材の音を積み重ねていくようにしました。一つの音を完成させるまでに試行錯誤して、いろんなものを削ぎ落としていくことはとても大事だと思います。ただテキトーにMacで鳴らした音とは、説得力が違うんです」
——この曲はゴリゴリのエレクトロ・チューンで、ボーカルも一切無いですね。これまでのajapaiとは一線を画すサウンドに思えました。
「海外日本問わず、ボーカリストをフィーチャーすることは散々やってきたので、今回は歌を一切入れずにやろうと考えたんです。エレクトロやフィジェットもそうですけど、今インストがカッコいいじゃないですか。だからこの「Speeder」も、潔く歌ナシにした。インストをつくる方が、実は大変なんですよ。表の歌が無く、要は音が裸にされるわけだから」
——では最後に、今後の展望を聞かせてください。
「今は、自分のDJセットに自然と入れられるような曲しかつくりたくねぇって思いますね。周りの評価は関係なく、今やりたいものをやっていくだけです。それが、男気なんじゃないかと思います」

interview & text EMIKO URUSHIBATA インタビュー本編は、LOUD166号で。

ajapai/up (JPN)UNIVERSAL J / UPCH-1623
HMVでチェック
【Track List】
01. IDIOT PROOF / The Deacon(Duke Dumont Live From Brooklyn Remix)
02. FILTHY RICH, ED KANE & WILL BAILEY / It’s About Time(Original Mix)
03. FOAMO / Movin’ It Over Here
04. ajapai / Speeder
05. 30HZ / Daddio(Trevor Lovey’s Remix)
06. THE LOOSE CANNONS / WHYD4ML(Stupid Fresh Remix)
07. DJ SCOTT QUICK & GAVIN STILES By YONI G. / Shake The Party(Techy Dub)
08. CROOKERS / Il Brutto(Original Mix)
09. TERRANCE DIZKO / Be Alright(Original Mix)
10. THE LOUNGIN’ KOLLECTIVE / Riddim Come 4ward(Herve’s Fire Pon Dem Version)
11. SOUTH RAKKAS CREW / Mad Again(Fake Blood Remix)
12. TEENAGER / Alone Again(Van She Tech Remix)
13. HOUSEBOY Vs MIKRO feat. JULIA / Out Now(Original Vocal Mix)
14. MAHJONG feat. Sarah Grimaldi / Freak Town(Extended Vocal Mix)
15. DJ KITTLES / Sax O Man
16. CULTURE BEAT / Your Love(Extended Mix)
17. PIERRE DE LA TOUCHE & NORMAN DORAY / Dance All Night(Distorted Remix)
18. HOUND DOGS / I Like Girls(The Young Punx Remix)
19. DANNY LOSITO / Che Felicita(Disco Version)
20. SANDRA CIREZ / El Verano(Original Extended Club Mix)
21. HOUSEFELLER feat. CHERYL PORTER aka CHRISTINE MOORE / Live Your Life(Rivaz & Zucchi Classic mix)
22. HAPPY CLAPPERS / I Believe(Vandalism Club Mix)

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