Diskjokke『Sagara』インタビュー


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オスロ在住のDJ/プロデューサー、ディスクヨッケ。’08年にSMALLTOWN SUPERSOUNDからデビュー・アルバム『Staying In』をリリースすると、リンドストロームやプリンス・トーマスに続く、ノルウェイ・ディスコ・シーンの新星として脚光を浴びた注目株です。’10年には、セカンド・アルバム『En Fin Tid』を発表し、そのユニークな音楽性で、国内外から高い評価を獲得しています。

そんなディスクヨッケが、サード・アルバム『サガラ』(Sagara)を9/21にリリースします。なんと、バリ、ジャワ、ジャカルタに長期滞在し、現地で得たアイディアや音源をベースに制作していったというアンビエント作品です。

ここでは、そんな『サガラ』の内容について、ディスクヨッケに話を聞きました。なお、彼は9/30(金)の東京 LIQUIDROOMをかわきりに、<Smalltown Supersound Japan Tour 2011>で来日することが決定しています。


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DISKJOKKE

ノルウェイ・ディスコ・シーンの新鋭が奏でる、
マジカルでヘヴンリーなガムラン・アンビエント・ワークス

__最新作『サガラ』は、あなたがバリ、ジャワ、ジャカルタに滞在して得たアイディアや音源をベースにした、ほぼノンビートのアンビエント作品となっていますね。ちょっと予想外の展開で驚きました。本作を制作してみようと思った経緯は何だったのでしょうか?

「ノンビートのアルバムをつくろう、ということで制作をはじめたものではなかったんだ。もともとは、オスロで毎年8月に行われているØYAというフェスティバルの事務局から依頼を受けて、何か特別なパフォーマンスをしてもらえないかって言われたから、自分の音楽とトラディショナルな何かを融合させた演奏をやってみたい、って思ったんだ。それで、世界中の音楽をリサーチして、インドネシアのガムランにたどり着いた。アフリカや中南米…ってムードではなかったんだよね。ガムランの覚醒感みたいなものが、自分のスタイルにマッチするんじゃないかと思ってね。それで、実際にインドネシアを訪ねたというわけさ」

__実際にインドネシアに行ってみて、いかがでしたか? 現地ミュージシャンとの交流、コラボレーションは、どのようなプロセスで進めていったのでしょうか。

「現地で様々なミュージシャンと会うことができて、大きな刺激を受けたよ。人々との出会い以外にも、ノルウェーでは見ることのできない自然や習俗など、様々なものから影響を受けたと思う。で、主にコラボしたのは、Sambasundaというガムランのグループで、昨年の夏、ØYAにも来てもらって、一緒にパフォーマンスを行った。彼らは、ジャワ地方の西部にあるスンダという地域から出てきたグループだね。あとは、Jakarta Underdubという人と、さらに彼の紹介で、バリにいたStevie Gamboaって人にも会うことができた。Jakarta Underdubは、プリンス・トーマスをジャカルタに呼んでイベントをやったりしている人物で、ピート・ハーバート(Reverso68/L.S.B)が彼と知り合いで、つないでもらったんだ。いずれの場合も、彼らのスタジオでセッションしたり、楽器を演奏してもらったり、色々な場所に連れて行ってもらってフィールド・レコーディングしたり…といったことを繰り返しながら、音の素材を録り溜めていったんだ」

__彼らとのセッションで、特に印象に残っていることがありましたら、教えてください。

「Sambasundaとは、スタジオで多くの時間を共にしたよ。メンバーが入れ替わり立ち替わり、色々な楽器を持ってきてくれて、様々な伝統的な旋律、リズム、音色を奏でてくれた。自分がこれまでに経験したことのなかった、多くの新しいサウンドと接することができて、とてもエキサイティングだったね。ジャワでは、現地の結婚式も見学させてもらったんだけど、式のプログラムにガムランの演奏が組み込まれていて、これがとても印象的だったね。他にも、ジャングルや火山を訪れたり、温泉に入ったり、音楽以外にもインスピレーションの源となるような貴重な体験をたくさんできた」

__音楽的には、透明感のある流麗なサウンドスケープが印象的だと感じました。今作の曲づくり~音づくりで重視したこと、意識したことは何でしたか?

「実は、当初は普通のダンス・ビートに乗せた音楽、というのが頭にあったんだ。Sambasundaとスタジオにいたときは、これまでと同じようなハウス・ミュージックのイメージが漠然とあった。でも、インドネシアを旅するうちに、いつの間にかノンビートの方向に持っていこう、ということになっていた。リズムを付けるのは、何となくこのプロジェクトにそぐわない気がしてね。ただ、ビートはなくてもそのタイム感というか、ダンス・ミュージックのパルスのようなものは、芯の部分で残っていると思う」

__では、今作のアルバム・タイトル、“サガラ”(Sagara)という言葉の意味と、どうしてこのアルバム・タイトルにしたのかを教えてください。

「Sambasundaと相談して決めたんだけど、“Sagara”というのは、インドネシア語で“緩やかにうねる大きな波”という意味らしいんだ。ピッタリの言葉だと思って、即決したよ」

__本当にピッタリの言葉ですね。ところで、もともとあなたは、アンビエント・ミュージックのどんな要素に魅力を関しているのでしょうか?

「良いハーモニーをもったアンビエント・ミュージックを聞いていると、とても穏やかな、ピースフルな気分にひたることができるけど、僕はそういうのが好きなんだ。自分の中に入り込んでくるのではなくて、ただ寄り添うようにある音楽というかね。最近だと、Gus Tillの『Aquana Vol.1 – Stillness』(’08)という作品がフェイバリットで、繰り返し聞いているよ。で、自分の音楽について、よくブライアン・イーノやタンジェリン・ドリームなどを引き合いにして語られることがあったんだけど、実を言うと、今回のプロジェクトを進めるにあたって、アンビエントをシリアスに聴くようになるまで、彼らの音楽を深く掘り下げたことはなかったんだ」

__そうなんですか。ちなみに、あなたとしては、本作はどんなシチュエーションで楽しんでもらえたら嬉しいですか?

「お腹の中の赤ちゃんに、ぜひ聴いてもらいたいな。実は、僕自身も女の子が生まれたばかりなんだけど、彼女が僕の妻のお腹の中にいた時から、ずっとGus Tillの曲を繰り返し聴かせていたよ。で、いまでもGus Tillの曲をかけると喜ぶんだ。まだ言葉も話せないけど、ちゃんと曲を認識しているんだよね。『サガラ』も、そういうふうに聴いてもらえるアルバムだと思う」

__分かりました。最後に、あなたの次なる活動目標を教えてください。

「この秋冬は、制作はひと休みかな。でも、たくさんギグの予定が入っている。そう、初めて日本にも行くんだよね。とても楽しみだよ。ギグの合間に、リミックスの仕事も色々こなしていかないとな。忙しいよ!」


【リリース情報】

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DISKJOKKE
Sagara
(JPN) SMALLTOWN SUPERSOUND/calentito / CLTCD-2006
9月21日発売
HMVでチェック

tracklisting
1. Golotrok
2. Mandena
3. Sengon
4. Namida
5. Naive
6. Pantup

【試聴】
Pantup 1 by Diskjokke

【INFO】
Smalltown Supersound Japan Tour 2011

2011.9.30 friday
東京@LIQUIDROOM
house of liquid presents – Smalltown Supersound Japan Tour 2011
LIVE:MUNGOLIAN JETSET
DJ:TODD TERJE, DISKJOKKE, DJ STRANGEFRUIT
info:LIQUIDROOM 03-5464-0800
http://www.liquidroom.net/schedule/20110930/7415/

2011.10.1 saturday
群馬@WOAL
LIVE:MUNGOLIAN JETSET, BJØRN TORSKE
DJ:TODD TERJE, DISKJOKKE
info:WOAL 027-326-6999
http://members3.jcom.home.ne.jp/woal/

2011.10.7 friday
大阪@NOON
LIVE:MUNGOLIAN JETSET, BJØRN TORSKE
DJ:TODD TERJE, DISKJOKKE
info:NOON 06-6373-4919
http://noon-web.com/2011/08/25/smalltown-supersound-japan-tour-2011/

【オフィシャルサイト】
http://calentitomusic.blogspot.com/2011/08/diskjokke-sagara.html
http://www.diskjokke.com/

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