Japandroids『Celebration Rock』インタビュー


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ブライアン・キング(Brian King:G/Vo)とデヴィッド・プラウズ(David Prowse:Dr/Vo)が2006年に結成した、カナダのバンクーバーを拠点に活動するガレージ・ロック・バンド、ジャパンドロイズ(JAPANDROIDS)。2009年にファースト・アルバム『Post- Nothing』をリリースすると、インディー・シーンを中心に大きな話題となり、主要音楽メディアでその年の年間ベスト・アルバムに数多く選出。以降、ライヴ活動を通じて活躍の場を広げてきた注目株です。

そんな彼らが、セカンド・アルバム『セレブレイション・ロック』(Celebration Rock)を5/30に日本先行リリースします。ライヴ活動で培った演奏力、ソングライティング力を、ダイレクトに曲づくり〜レコーディングに反映させたという本作。その内容は、ジャパンドロイズならではの重厚なギター・サウンド、ワイルドなビート、ダイナミックな楽曲と歌にますます磨きがかかった、パワフルなものなっています。

ここでは、本作『セレブレイション・ロック』の内容について語った、ジャパンドロイズのメンバー、ブライアン・キングのインタビューをご紹介しましょう。なお本作の日本盤には、ボーナス・トラックとして彼らが2010年からこれまでにリリースした7インチ・シリーズ4作(Big Black、Nick Cave & The Bad Seeds、X、PJ Harveyのカヴァーを含む計7曲)も収録されております。


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Japandroids『Celebration Rock』インタビュー

__まず、ジャパンドロイズの自己紹介をお願いします。

「まず言えるのは、僕にとってもデイヴにとっても、ジャパンドロイズが最初のバンドなんだ。知り合ったのは10年くらい前、大学でだったね。僕は、高校の時の親友と一緒に、大学進学で(カナダの)ブリティッシュコロンビア州ヴィクトリアに引っ越して、その親友の近所にデイヴが住んでたんだ。結局、みんな一緒につるむようになって…大学では、僕らの友達はみんな音楽に共感していて、それが共通点だった。みんな音楽が大好きで、レコードやCDを集めて、ライヴに通って、唯一やってないのは音楽をプレイすることだった。最後までやらなかったのがそれだったんだよね。でも大学では、周りの人がバンドを始めて、自分でライヴを開いたりしてた。それで初めて、“僕らにもできるかもしれない”と思ったんだ。自分も楽器を弾けるようになって、同じようにやれるかもしれない、って」

__それから?

「それでデイヴと僕は、大学を卒業したらバンクーバーに引っ越して、バンドを始めようって決めた。楽しむためにね。大学の頃から、デイヴはドラムを練習してたし、僕は子供の頃からギターが弾けたんだ。でも、大学に入った時に手放したから、大学時代はずっとギターを持ってなかった。だからアイディアとしては、卒業の頃にデイヴがドラムを叩けるようになって、僕がギターを買う、っていう…。その後、バンクーバーで他のメンバーを見つけようと思ってたよ。で、僕らはバンクーバーに引っ越して、一緒にプレイし始めたんだけど、一緒にやる他のメンバーがまったく見つからなくてね。誰も僕らとはプレイしたがらなかった。しばらくすると、二人ともかなり上手くプレイできるようになってきて…最後にはもう待ち切れなくなったんだ。ライヴもやりたかったし、曲を書きたかったし、レコーディングもしたかったからね。ある時点で、“二人でやろう”って決めた」

__それが、ジャパンドロイズのスタートだったんですね。

「最初にレコーディングした時は、二人だけでボーカルのないインストゥルメンタル・トラックを録ったよ。それを人に聴かせて、ボーカルを探そうと思ってね。でも、僕らはそういう人を見つけられなかった。…でも、僕もデイヴも歌いたくなかったし、歌詞を書いたこともなかったし、いい歌声を持ってるわけでもなかった。僕らの初期のマテリアルを聴いてもらえばわかるんだけど、嫌々歌ってるシンガーの歌なんだよね。だからこそ、初期の曲には歌詞があんまりないんだ。同じ歌詞が延々繰り返されたり…他にどうすればいいのかわからなくて。僕らがシンガーの役割を受け入れるのには、かなり時間がかかった。たぶん今回の『Celebration Rock』は、僕らが初めて“歌も重要なんだ”って認めたアルバムじゃないかな。それを受け入れたっていう」

__セカンド・アルバム『Celebration Rock』は、約3年ぶりの新作となりますが、ご自身ではどのような感想をお持ちですか?

「ファースト『Post-Nothing』(’09)が出た後、僕らは2年近くツアーしたんだ。かなり長期間ツアーが続いた。あれだけライヴをやって、ツアーを続けたおかげで、僕らはそれぞれの楽器が上手くなっただけじゃなく、バンドとして一緒にプレイするのもすごく上手くなった。今回はその部分を見せたかったね。だから、このアルバムには“こういうのにするぞ”みたいなテーマやコンセプトは、特にはなかったね。ただ、何百回とライヴを重ねてたからそこを見せつけてやろう、って感じだった。演奏も歌もこれだけすごくなったんだぞ、って。『Post-Nothing』以前の初期音源を集めた『No Singles』(’10)を聴いてもらえばわかると思うんだけど、『No Singles』から『Post-Nothing』、そして今回の『Celebration Rock』を順に聴くと、すごく自然に進化してるのがわかると思う。別に、技術的に違うことをやってるわけじゃないよ。僕らは、どのアルバムも同じスタジオでレコーディングしたし、エンジニアも機材も同じだったし、方法も同じだった。ただバンドとして、曲を書くのが上手くなっていったし、プレイも上手くなっていった。ごく自然に、でも明らかに良くなってるのがわかると思う」

__『Celebration Rock』の日本盤には、ボーナス・トラックとしてBig Black「Racer-X」、Nick Cave & The Bad Seeds「Jack the Ripper」、X「Sex and Dying in High Society」のカヴァー等も収録されていますね。

「日本盤には、北米/ヨーロッパでリリースした7インチを全部収録したんだ。僕は、他バンドの曲をカヴァーしたバンドを通じて、好きなものをたくさん見つけてきた。子供の頃はガンズ・アンド・ローゼズとかニルヴァーナを聴いてたけど、僕はガンズ・アンド・ローゼズのカヴァーを通じて、ミスフィッツ、ザ・ストゥージズ、ボブ・ディランを発見したし、そもそもパンク・ロックに熱中したのは、彼らがパンク・バンドをたくさんカヴァーしてたからなんだ。ニルヴァーナも、デヴィッド・ボウイからザ・ピクシーズまで、いろいろカヴァーしてただろう? だからこそ自分達もカヴァーをやりたいと思ってるし、僕らは、僕らのファンに同じ体験をしてほしいんだ。オーディエンスが既に知ってるバンドをカヴァーしたって意味がないから、僕らのカヴァーからさかのぼって、それまで知らなかったバンドを見つけ出す体験をしてほしいな」

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__ところで、2ピースのバンドと言えば、ザ・ホワイト・ストライプスのイメージが強くありますが、彼らとジャパンドロイズの違いは何ですか?

「僕らは、2ピース・バンドには聴こえたくなかった、ってことかな。例えば、ザ・ホワイト・ストライプスは、2ピースのバンドに聴こえる。彼らはそう聴こえたがってるし、彼らの場合すごく上手くいってる。でも僕らは…ザ・ホワイト・ストライプスが嫌いなわけじゃないけど、ザ・ホワイト・ストライプスみたいになりたくてバンドを始めたんじゃない。僕らは、ザ・ストゥージズやザ・リプレイスメンツ、ザ・ローリング・ストーンズみたいになりたかったんだ。四人〜五人のバンドの音を出したかったんだよ。つまり、僕らが時間をかけてつくってきた音楽スタイルとは、“二人しかいなくても、もっと人がいるようなサウンド”で、それを目指して自分達の音楽をつくってきたんだ。他の2ピース・バンドはほとんど、ザ・ブラック・キーズにせよ、ザ・キルズにせよ、デス・フロム・アバヴ 1979だって、二人しかいないことを受け入れてる。彼らの曲も、二人しかいないように聴こえる。ザ・ホワイト・ストライプスの曲を聴くと、二人いるのが聴こえてくるよね? でも僕らのバンドを知らずに聴いたら、二人しかいないってことが分からないかもしれない」

__二人でやっているとは思えない音の厚みは、どうやって出しているのでしょうか?

「僕は、ギターにシグナルを付けているんだ。だからギターは一本なんだけど、それがいくつものアンプにつながっている。で、それぞれのアンプから違う音が出るようになっているんだ。ベースみたいな低音が出るものもあれば、高音になって出るアンプもあるし、中音域のアンプもある。一本のギターを三つとか四つのアンプにつなげているから、違うサウンドが三つ、四つ出てくるんだよ。だから、実際にあるもの以上の音、厚みがあるように錯覚する。どのアンプの音量を上げて、どのアンプの音量を下げるかも調節できるから、余計にギターが複数あるように聞こえて、厚みが出てくる。レコーディングもライヴの時と同じで、ほとんどギター一本で、しかもワンテイクで録ったんだ。みんなが考えるよりも、ずっとシンプルなんだ」

__あなた達が、ライヴでオーディエンスに求めるものは何でしょう?

「オーディエンスと相互的なやり取りがあればあるほど、良いライヴになるのは確かだね。観客がラウドであればあるほど、ライヴに熱中すればするほど、僕らも熱が入るし、良いプレイができる。お互いにどんどん良くなっていくんだ。だから、観客には一緒に歌ってほしいし、好きなだけラウドになってほしい。そうすれば僕らも目一杯やるし、観客がワイルドになれば、僕らもワイルドになれる。今はライヴの最後を「For the Love of Ivy」(The Gun Clubのカヴァー)で締めてるんだけど、やっぱりあのカヴァーが一番盛り上がるし、僕らもやってて盛り上がる。あの曲をやる時はライヴの最後だから、自分に残ってる全エネルギーをそこで吐き出す感じになるね」

__最後に、今後の目標を教えてください。

「アルバムが完成した今は、とにかく新しい場所、これまで行ったことのない場所までツアーに行きたいと思っているよ。『Post-Nothing』のツアーでは、22〜23ヶ国でライヴをやれたんだ。今回はもっといろんな国に行きたい、それが今の目標だね。日本にも本当に行きたいよ。オファーがあり次第来日したいんだけど、今のところはまだなくてね。ずーっとやりたいと思ってるのに! だからメッセージとしては、“もうちょっと待ってて、なんとかするから”ってことかな。本当はすぐにでも行きたいと思ってるよ」


【リリース情報】

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JAPANDROIDS / ジャパンドロイズ
CELEBRATION ROCK / セレブレイション・ロック
(JPN) Yoshimoto R and C CO., LTD. / YRCG-90078
5月30日 日本先行発売
解説/歌詞/対訳付、日本盤ボーナス・トラック収録
HMVでチェック

tracklisting
01. THE NIGHTS OF WINE AND ROSES
02. FIRE’S HIGHWAY
03. EVIL’S SWAY
04. FOR THE LOVE OF IVY
05. ADRENALINE NIGHTSHIFT
06. YOUNGER US
07. THE HOUSE THAT HEAVEN BUILT
08. CONTINUOUS THUNDER
09. JACK THE RIPPER *
10. HEAVENWARD GRAND PRIX *
11. SHAME *
12. ART CZARS *
13. RACER-X *
14. YOUNGER US (7” VERSION) *
15. SEX AND DYING IN HIGH SOCIETY *
* BONUS TRACKS FOR JAPAN

※04「FOR THE LOVE OF IVY」:THE GUN CLUBのカヴァー。
※09「JACK THE RIPPER」:NICK CAVE & THE BAD SEEDSのカヴァー。7インチシリーズ4枚目『THE HOUSE THAT HEAVEN BUILT (7”)』収録曲。
※10「HEAVENWARD GRAND PRIX」:7インチシリーズ3枚目『HEAVENWARD GRAND PRIX (7”)』収録曲。
※11「SHAME」:PJ HARVEYのカヴァー。7インチシリーズ3枚目『HEAVENWARD GRAND PRIX (7”)』収録曲。
※12「ART CZARS」:7インチシリーズ1枚目『ART CZARS (7”)』収録曲。
※13「RACER-X」:BIG BLACKのカヴァー。7インチシリーズ1枚目『ART CZARS (7”)』収録曲。
※14「YOUNGER US (7” VERSION)」:同名アルバム収録曲の7”ヴァージョン。7インチシリーズ2枚目『YOUNGER US (7”)』収録曲。
※15「SEX AND DYING IN HIGH SOCIETY」:Xのカヴァー。7インチシリーズ2枚目『YOUNGER US (7”)』収録曲。

【オフィシャルサイト】
http://bignothing.net/japandroids.html
http://www.japandroids.com/
http://www.facebook.com/japandroids/

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