JOSE JAMES インタビュー


 NYを拠点とするジャズ·シンガー、ホセ·ジェイムズ。日本には以前、ジャイルス·ピーターソンが主宰するブラウンズウッド·レーベルのローンチ· パーティー出演のため、’07年4月に来日している。ライヴではSOIL&”PIMP”SESSIONSとセッションし、話題を振りまいた。
 そんなクラブ·ジャズ·シーンの注目株が、この度ファースト·アルバム『The Dreamer』を完成させた。本作では、スタンダードな演奏を聴かせるヴォーカル·ジャズ、スキャットをコラージュさせた実験的なナンバー、さらにク ラブ·ミュージックのビート感を取り入れたものまで、さまざまな楽曲を聴かせている。いずれの収録曲でも、ジャイルスをして“15年に一人の素晴らしい 声”と言わしめた、ホセのスモーキーで艶やかで、スピリチュアルな歌声が出色だ。
 ホセ·ジェイムズに、音楽的背景と『The Dreamer』について話を聞いた


——現在はジャズ·ヴォーカリスト / シンガーソング·ライターとして活躍していますが、他にはどんな音楽に触れてきましたか?
「R&Bとヒップホップを聴いて育ったよ。ア·トライブ·コールド·クエストみたいな、アーリー·ヒップホップが好きだった。不思議な話なんだけど、あ る時期からラジオでジャズをよく聴くようになったんだよね。突然ジャズの音が理解できるようになったんだ。だから、最初はラッパーになりたかったんだよ (笑)。でも、僕にはラップの才能がなかったんだよね」
——ヒップホップMCとジャズ·シンガーには、どんな才能の違いが必要だと思いますか?
「ラッパーはリズムを重要視する必要があるよね。同じく、MCとしてのメッセージ性も重要。ジャズは、メロディーや一緒に演奏しているミュージシャンと のアンサンブルを大切にする必要があると思うな」
——ジャズ·シンガーとして影響を受けたアーティストはいますか?
「ジョン·コルトレーンだね」
——ジョン·コルトレーンはサックス奏者ですが?
「あはは(笑)。声も楽器の一種だと考えているんだ。サックスを持っていなかったってのもあるけど(笑)。そういう点では、ヒップホップの精神に通じるところがあるかもね。楽器を演奏できない代わりに、機材を駆使してビートをつくったのがヒップホップの始まりでしょ。音楽的に何もないところから生み出すヒップホップのコンセプトが、僕には染み付いていたのかもしれない」
——ジョン·コルトレーンのどんなところに影響を受けたんですか?
「彼の全てに魅了されている。彼の音楽に対するアプローチは、とてもスピリチュアルなものだ。彼は音楽を通して、様々な人と会話している」
——歌やスキャットで影響を受けた存在はいないんですか?
「歌で影響を受けたのは、ビリー·ホリデイとルイ·アームストロングスかな。ジャズではないけど、マーヴィン·ゲイも大好きだよ。スキャットで影響を受けたのは、ジョン·ヘンドリクスとかかな」
——あなたのファースト·アルバム『The Dreamer』は、ジャイルス·ピーターソン主宰のブラウンズウッドからをリリースされます。クラブ·シーンでつとに知られるレーベルからのリリースですが、そこにはどんな感想を持っていますか?
「とても光栄だよ。ジャイルスはクラブ·シーンで有名だけど、僕が会った時に感じた印象は、本当に心の底からジャズを愛している人といったものだった。ジャイルスの“ジャズが導く素晴らしいフィーリングを人々に届けたい”という信念に、僕は共感したのさ。より多くの人に、音だけでなく、ジャズのフィー リングを届けたい」
——なるほど。そもそもジャイルスとはどのように出会ったんですか?
「’06年に、ロンドンで開催されたインターナショナル·ジャズ·コンペティションに自分のEPKをつくって参加したんだ。その時に今のマネージャーと 知り合い、彼がジャイルスにEPKとサンプル音源を届けてくれたんだ。その曲はジャイルスも好きなジョン·コルトレーン「Equinox」のカバーだっ たんだけど、彼はそれに感銘してくれたんだ」
——今回のアルバムで目指した音楽性はどんなものでしたか?
「ジャズに忠実であると同時に、ソウルフルであることをコンセプトにした。ライヴ演奏したドラムンベースも聴きどころだろうね。今のNYジャズ·シーンに は、ドラムンベースを演奏するミュージシャンが増えてきているんだ。僕のバンドにも、ドラムンベースやブロークンビーツの演奏を得意とするメンバーがい る。クラブ·ミュージックのビート·フォーマットは、ミュージシャンにとって表現の幅になるからね。彼らがいることで、自然とクラブ·シーンの音楽にも 傾倒したんだ。セッションの中で自然とクラブっぽいグルーヴが生まれたりしてね」
——歌詞では何を表現しているんですか?
「どの曲も同じで、僕の日常を歌詞にしている。NYで起きる日常の中で、僕がどんな生き方をしているのかだね」
——アルバムで最も気に入っている曲は何ですか?
「「The Dreamer」は格別な存在だよ。最も自分の感情を上手く表現できたし、それをリスナーに伝える表現力も充分に備わっている。僕の音楽人生で、最も特 別な曲になった。また「The Dreamer」は、全く伴奏によるメロディーがないなか、ワンテイクで、即興で歌いあげた曲なんだ。そういった挑戦に成功したという点でも自信作だ よ」
——アルバムを聴いたリスナーには、どんなことを感じてもらいたいですか?
「僕の音楽人生で一番素直に自分を表現できた。それを感じ取ってもらえたら嬉しい。言葉の壁があったとしても、人間の素直さは世界共通のものだよね。素晴らしい気分を感じて、ハッピーになってもらいたい。それが音楽を通してやりたいことなんだ」
——ジャズ界からクラブ·シーンへのアプローチについて、何か考えていることはありますか?
「ジャズは一度きりのものなんだ。一度きりの曲だったり、一夜限りのパフォーマンスであったりね。自分がいる時間や空間を大切に思って欲しい。そんな特別な感覚を感じてもらいたいし、僕もそこをしっかり伝えられるよう、毎回のパフォーマンスを大切にしている。クラブ·シーンの人たちにも、そういったポップスとの違いを伝えられたら嬉しい」
interview & text SOICHIRO NAITO
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