MADEMOISELLE YULIA『MADEMOWORLD』インタビュー


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1987年東京生まれのマドモアゼル・ユリア。彼女は、2008年にデビュー・ミックス・アルバム『NEON SPREAD』を発表し、頭角を現した新世代アーティスト / DJです。エレクトロを主軸としながらも、テクノやヒップホップ、ポップまで取り入れる、そのDJプレイは、きわめてオリジナリティーが高く、幅広い層から支持されています。2009年には、『NEON SPREAD 2』も発表、その評価を不動のものとしました。近年は、自身のアクセサリーブランド“GIZA”のデザイナーとしても活動する他、ヴォーカリストとしてもTERIYAKI BOYZ®、TOWA TEI、UFFIEらの作品に参加、活躍の場を広げています。

今やクラブ・シーンの大注目株に成長し、ファッション・アイコンとしても認知されているマドモアゼル・ユリアが、シンガーとしてのデビューアルバム『MADEMOWORLD』を完成させました。この作品は、エグゼクティヴ・プロデューサーにVERBALを迎え、“エレクトロ”と規定されがちだった彼女のイメージを、鮮やかに塗り替えてみせた革新作です。収録曲には、カイリーやマドンナを彷彿とさせるポップ・ミュージックから、なんとバラードまで存在します。

これまで日本のポップ・アーティストがやってこなかった、斬新なアプローチで未来を切り開く『MADEMOWORLD』。その魅力と、マドモアゼル・ユリアの素顔に迫るべく、ここではロング・インタビューを試みました。


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MADEMOISELLE YULIA
“エレクトロ”の枠にとらわない、
リスナーの想像を超える、ニュージェネレーション・ポップ・アルバム 完成!

ーー初めに音楽に興味を持つようになったきっかけは何でしたか?

「きっかけは、昔から親がすごく音楽好きだったんで、車の中で一緒に音楽聴いたりとかしていたことですね。基本的にお父さんもお母さんも洋楽が好きで、お母さんの影響で、例えばマドンナとかカイリー・ミノーグとかシンディ・ローパーとか、聴いていました。あとは、お父さんもお母さんもクイーンとかも好きで、そういうポップ・ソングみたいなのが、私はもともと好きでしたね。でも、バンドの音とかに、小学校ぐらいから興味を持ち始めて、中1の時にバンドを始めて、そこから高校卒業するまでずっとバンドをやってて。で、バンドやってた時は、結構いろんな曲をカバーしてました」

ーー過去6年間のバンド活動は、今の自分に影響を与えていますか?

「与えてますね。始めたころは歌うことにそんなに興味なくて、一番初めはギターやってました。でも、その6年間やってたバンドでは、ギターボーカルでボーカルやって、そこでボーカルやることの楽しさみたいなのを知って、そこから歌やりたいなと思ったんです。バンドは結局解散しちゃったんですけど、メンバーがロンドン行っちゃったっていう理由で。その後一人でできる音楽って何だろうと思って、DJを始めました。でもどこかでずっと歌がやりたいなと思ってて、それが今回実現したという感じです」

ーー音楽的にはどんなものをこれまで聴いてきたんでしょうか?

「ほんとにいろんなジャンルのものを聴いてきました。それこそさっき言ってたようなポップ・アーティストのものも聴いてきたし、バンドやってた時は、クラシックなもの、それこそビートルズなんかもカバーしたし、クラフトワークとかもカバーしたし。その頃好きだったのはテクノ・ポップだったりしたので、PLASTICSとかも好きで。普通にその頃流行ってたザ・ストロークスとかも好きで。でも女の子でバンドやってたんで、ガールズバンド的な、コートニー・ラブがやってたバンドとか、そういうのも聴いたりして、ほんとにいろんな音を聴いてました。で、DJ始めた頃に、ザ・ナイフとかあの辺の曲とか、エレクトロっていう音に出会って。エレクトロクラッシュとかに結構影響を受けてDJやってました、初めの頃は」

ーー特に影響を受けているアーティストって、いるんですか?

「影響を受けたのは、カイリー・ミノーグとかマドンナ。私結構YouTubeとかライブのDVDとかも昔チェックしてて。そういうのを見てて、彼女たちに共通しているのは、歌はもちろん上手くてすごいポップ・シンガーなんだけど、お客さんをエンターテインするっていうことにも長けてるっていうことだと思ったんです。だからライブのセットがすごかったりとか、すごい衣装着て出てきたりとかするんですよね。そういう点では、すごく影響されてますし、そういう事への憧れはやっぱりあります」

ーー結構ポップなものにひかれているんですね。

「そうですね。やっぱメロディーがちゃんとあって、ちゃんと歌が乗ってて、みたいなものが好きですね」

ーー今はDJメインでやっている部分もあると思うんですけど、それとはまた別に、ポップなものもずっと好きでいたということですか?

「ポップなものは、聴く分にすごく好きで。DJではあまりかけないけど、かけられる時はかけちゃおうみたいな感じでかけます。マドンナとかいまだにかけるし、カイリーもかけるし」

ーーDJは2005年頃に始めていますよね。ユリアさんの活動の中でDJが占める割合はどのくらいですか?

「今現在は、DJの活動が主です。音楽活動的には。そこにこれからシンガーとしての活動を加えていくっていう段階です。それ以外だとアクセサリーのデザインをしていたり、そのコラボで洋服をつくったりとか、ものづくりみたいなことをしています。DJ、シンガー含めた音楽と、アクセサリーつくるっていうのでは、音楽の割合の方が今は大きいですけど」

ーーそれらは特に切り分けていないんですか?

「いませんね。アクセサリーつくる時も、自分がDJの時につけたいなとか考えたりもするし、逆にこういうアクセサリーあったらいいのにって思ってつくる時もあるし、どっちも並行してるって感じで進んでますね」

ーーDJもニュー・アルバムもファッションも、すごく個性的ですよね。そういうものができてくるインスピレーションの源はどこにあるんですか?

「何かをつくるっていう点では、アクセサリーでもアルバムでも、何かひとつから影響されるというよりは、日々いろんなことをして、いろんな人と触れ合って、いろんなものを見て、それを全部吸収するっていう感じなので、普段からやってることとか、普段から接している人とかからインスピレーションを受けたり、刺激を受けたりしますね。今だと、若手のデザイナーの子達から結構インスパイアされたりとか。それが音楽につながったりすることもあるし。今回のアルバムでは、映画とかからインスパイアされたことが多かったかな。あとDJとかではなく、普段聴いてる音楽から影響された部分もあります」

ーーどんな映画ですか?

「私結構’50年代の映画とかすごい好きで。みんな踊ったりして、舞台みたいな感じじゃないですか。だから小物とか衣装もすごく凝ってて、『雨に唄えば』とかもすごいカラフルじゃないですか。ミュージカルみたいなノリで、いろんな曲が出てきたりして。例えばピアノ・ベースの曲とかすごいロックっぽいやつとか。その頃ちょうどロカビリーにも聴く事にハマってて、だからちょっとロカビリーっぽい曲つくったりとか、映画見てて、ピアノっぽい曲をつくったりしました。だから映像と音楽は自分の中でシンクロしてる部分があるんです。衣装とか見てて、こういう衣装着たいから、こういう曲もつくりたいとか、思ったりもしますね」

ーー今回のアルバムに入っている、レトロ・タッチな曲のインスピレーション源は映画にあるんですね。

「そうですね。映画は昔からすごく好きだったし、アルバムつくる際に、DJだけでは見せられないところを見せたい、その中に自分が普段聴いてる音楽とか普段興味のあることとかを落とし込みたいなと思ってたんで」

ーーオリジナル曲も収録されていた、過去に発表したDJミックス・アルバムは、今回のアルバム制作とつながっていますか?

「そうですね。実際に二枚目に入れた「TOUCH ME」っていう曲は、このアルバムにも入ってて、やってることは自分の中ではつながっててっていうイメージで、別に特別何か新しいことを始めたというよりは、自然な流れで歌も出したっていうイメージなんです。歌もやりたかったことだし、かと言ってDJとは全く違う活動っていうわけでもないんで、そこにちょっとつながりはあるかなと」

ーーもともとDJしながら歌ったりもしてましたもんね。

「DJしながら歌ってたところもあったから、“歌やりたい”ってなった時に“えっ?”ってなんなかったと思います」

ーーごく自然に、歌も始められたと。

「自分の中では自然なつもりです。やっぱりDJやってると、すごい激しい曲流したりとか、パーティーみたいなイメージしかあんまないと思うんですよ。だからちょっと意外な感じのところも見せたかったっていうのが、このアルバムにはあって。なので、アルバムのジャケットとかも、あえて攻めすぎない、ちょっと抑えめな感じにして、想像通りじゃない感じにしたかったんです。いい意味で裏切りたいなと思ってて。こういう曲、実は普段聴いてるんだなとか、見せたかったです」

ーー今回の『MADEMOWORLD』には、何かコンセプトやテーマがありましたか?

「『MADEMOWORLD』って言うだけあって、“自分の世界”っていうのを、このアルバムに入れたかったんです。なので、曲のジャンルとかも偏ったものにしたくなかったし、自分の普段見てるものとか感じてることとか、そういうのをアルバムの中にパックできたらいいなってすごい思ってたんで、“私ワールド”っていうのがまさにテーマでした」

ーーそもそも“マドモアゼル・ユリア”って名前をつけたのは、なぜなんですか?

「それはノリっていうか(笑)。DJの名前にこれを使おうとはもともと思ってなくて。高校生の時にMySpace流行ってる時に、MySpaceの名前どうしようかなと思ってて、面白い名前がいいなと思って。“YULIA”だけだとつまんないから“なんとかYULIA”がいいなと思って、いろいろ考えて、引田天功さんじゃないですけど“プリンセス・ユリア”とかどうかなとか思ってて、でもこれストレート過ぎてつまんないなとかいろいろ考えて。あ、“マドモワゼル”いいかもしれない、ちょっと品があるし、日本語にするとわけわかんない感じで面白いしと思って、“MADEMOISELLE YULIA”って名前にしました」

ーーなるほど。アルバムの話に戻りますが、実際の制作は、どういった段取りで進められていったんでしょうか?

「今回のアルバムに関しては、トラックメーカーの友人五人に協力してもらいました。みんな、私がDJを始めた頃とか始める前から友達だった人達で。だから、自分で何でもかんでもやって、自分でやりましたっていうよりは、自分はいろんなことをプロデュースして、歌って、歌詞とか考えて、そういう世界観をつくる方に回って、トラックをつくってもらうのは自分の信頼してる友達のトラックメーカーに頼んだんです。彼らの中には、今日本に住んでない人とかもいて、結構やりとり難しいかなと思ったんですけど、例えば“こういう曲で、こういうテンポで、こういう雰囲気の曲をつくりたい”って言って、写真とか映像とかを添付して、それで世界観をわかってもらうっていうやり方をしたら、彼らにもちゃんと伝わって、“こういうこと?”みたいな感じでつくってきてくれて、“それ!”みたいな感じで進んでいって、けっこう時間はかかったんですけど、すごくいいものができた感があります」

ーーメロディーは自分でつけたんですか?

「曲によりますね。歌詞は、私の中にまずテーマがあったので、それにそった単語とかいろいろ出して、それを一回VERBALさんに見てもらって、二人で一緒に考えたりしました。今回、初めの頃は、英語がすごい多い歌詞になってたんですよ。でもVERBALさんに最後見てもらった時に、“これ日本語に直した方がいいね”ってなって、日本語に変わった曲が何曲かあったんですけど。結局日本語にしてすごいよかったなっていう感じでした。VERBALさんの力が加わることによって、もっとポップで、みんなが聴けるものになったなと思います」

ーーユリアさんは英語も話すんですか?

「話しますね。普通の会話はします」

ーーどっか外国に住んでたことがあるんですか?

「住んではいないんですけど、勝手に一人でロンドンに何ヶ月か行ったりとかはしてました。もともと留学したいなって思ってて、英語をずっと勉強してて。その時話せるようになったって感じです。留学は結局しなかったですけど」

ーーVERBALさんはバイリンガルじゃないですか? でも、そのVERBALさんが日本語にしようよって言ったんですか?

「はい、そうでした。日本語と英語の使い分けが、やっぱりバイリンガルだからこそ上手いっていうのがあって。英語での聞こえ方のまま日本語に変えるみたいなことをするんです。だから、聞こえ方的には全然違和感がなく、自然と日本語がメロディーにもなじみました」

ーーVERBALさんはエグゼクティヴ・プロデューサーとなっていますが、主にはどんなことをしてくれたんですか?

「まず私が歌を歌いたいって思った時点で、スタジオも持ってないし、一人ではどうにもできないから、VERBALさんに“歌やりたいんですよね”っていう話をちょろっとしたら、“じゃあうちのスタジオ来て、何か歌ってみれば”って言ってくれたのが2、3年前だったんですよ。その時に、スタジオに入ってちょっと歌ってみたら、“いいじゃん”みたいになって、これから何かしていこうという話になりました。そこからだいぶ時間が経って、“やろっか”みたいな感じで、EMIさんとの話とかも取りまとめてくれたのがVERBALさんで。あとは、今ツアー回ってて、っていう。そのツアーで、プリ・プロモーション的な感じで、アルバムのプロモーションとかも、VERBALさんのリリースのタイミングで一緒にやらせてもらったりだとか、全体的にサポートをしてもらってて。アルバムつくるっていうところでは、さっき言ってた歌詞の部分とか、一曲一曲の構想を練った段階で、一回VERBALさんに相談した感じですね」

ーー制作面で、特に追求したこととかありますか?

「メロディーと声っていうのに自分はこだわりたくて。最近の曲って、オートチューン(編注:ピッチ、タイミング補正ソフト。音声の加工にも使われる)を使っているものが多いけど、あえてそういうのを使いたくないと思ってて。生っぽい感じでいきたいなって全部に対して思ってて」

ーー意外ですね。ユリアさんには、エレクトロのイメージがありますからね。

「“エレクトロ”っていうのにつなげたくなかったっていうのがあって、あえて違うことをやりたかったんで。みんなが想像できちゃうことをやりたくないっていうのがすごいあって、このアルバムつくる上では。だから生の声でやりたいっていうのがありました。ほぼ全曲そういう感じになってます」

ーーオートチューンを使わないでやるには、相当うまく歌わないといけないじゃないですか。

「だから、歌はがんばりました。“この辺とか直せるよ”とか言われても“いや、もう一回やります”みたいな感じで(笑)」

ーー生感にこだわったんですね。

「そうですね。声に関しては生感にこだわりました」

ーー実は、今までに出したミックスCDも、実際はエレクトロ色がそんなに強くなくて、わりとジャンルレスな感じですよね。

「そうです。“エレクトロDJ”って言われるのが、実はあんま好きじゃなくて。だから結構ジャンルレスに、ポップ・ソングも、ヒップホップも入れた感じだったから、自分でCDつくるって時は、なおさらエレクトロだけじゃなくて、ミックスCDにも入れられないようなロック調の曲とか、ピアノ使って、別に盛り上げるための曲じゃない、家で聴くような曲とかもつくりたかったってのがありました」

ーー新作は、クラブ・アルバムというよりはポップ・アルバムという感じですよね。

「そうですね」

ーー各曲についても聞かせてください。まず、リード・シングルの「GIMME GIMME」、これは結構エレクトロなポップ・ナンバーですが、この曲が生まれた経緯を教えてください。

「この曲は、実は2年くらい前につくった曲で、初めて録った曲なんです。だから自己紹介的な曲にしたいなと思いました」

ーーVERBALさん全面バックアップですか?

「この曲はそうですね」

ーービデオは、フランスのデザイナーFAFIが制作したということですが。

「彼女は、グラフィティのアーティストで、前々から結構共通の友人がいて、彼女がやりたいって言ってくれたんで、パリに行きました」

ーーかなり力の入ったビデオですね。

「そうですね。私も自分が思ってた以上に大規模な感じになったんで、すごいビックリしました。撮影に17時間くらいかかって。でも楽しかったです。いいビデオができました」

ーー「BAM ME」とか「Down Down」とか、レトロ・タッチなメロディーが入ってる曲は、さっきおっしゃってたように、映画からインスピレーションを受けて生まれたものですか?

「そうですね。「BAM ME」をつくった時とかは、ロカビリーとかネオ・ロカビリーにすごい興味があって。ファッションももちろん気になってたし、音楽もそういうのばっか聴いてた時期で。こういう曲あったら新しいかもしれないと思って。私トレイシー・ウルマンとかすごい好きなんで、そういう方向で、’80sっぽいサウンドも混ぜたロカビリーみたいなのをつくりました。「Down Down」は、それこそキャバレーとかムーラン・ルージュとかじゃないけど、そういうイメージ」

ーーこの曲はアコースティックですね。だから、DJのイメージからは、全く離れた曲ですよね。

「そうですね。でも自分はすごく好きなものなんで、入れたかったんです」

ーー「LUXURY OF YOU」は、ちょっとカイリーっぽいなと思ったんですけど、この曲のインスピレーションは、どこから得ていますか?

「この曲は、NYのトラックメーカーの人に頼んだんですけど、ちゃんと歌ってるんだけどダンスできる、エレクトロクラッシュみたいな感じがいいって言ってて。だから初めはすごい音数少なくて。でも私が歌入れた後に音数がどんどん増えてって、結構壮大な感じに最終的になりましたね」

ーー「ZODIAC GOLD」は、エキゾチックなメロディーやトライバルなリズムが印象に残る曲で、どこかYULIAさんのアクセサリーブランドに通じるものがあると思いました。

「一曲エジプトっぽい曲をつくりたいと思ってたんです。GIZAっていうアクセサリーのブランドは、結構エジプトとかをテーマにしてたし、自分がDJやる時にはトライバル調の曲とかかけるのが結構好きなので、だからこういう曲あったらいいなと思って。歌を乗せたら、曲のイメージがちょっとまた変わって、面白い感じになってよかったなと思います」

ーーユリアさんには、どちらかというとイギリスのイメージがあるのですが、「REPLAY」からは、どちらかというと、ケイティ・ペリーあたりのUSポップに近いイメージを受けました。

「あれは、LAをイメージしたんですよ。私、LAに去年初めて行ったんですよ。で、ここはなんて能天気な街なんだって思って。もちろん良い意味で! こういうリズムの曲があってもいいかもしれないみたいに思ったんです。何も考えずに聴けるし、取っ付きやすいし、クラブでも流せるっちゃ流せるし、いろんな層の人が聴けるんじゃないかなと思ったんで。“パーティー行く前からパーティー行った時のイメージ”で、なんかちょっと女の子っぽい曲ですね」

ーー一方で「YOU CAN’T HAVE ME THAT WAY」は、80’sのオールドスクール・エレクトロを思わせる曲ですが、この曲はどんなイメージだったんですか?

「まさにその80’sっぽいエレクトロなサウンドがイメージでした」

ーー今のエレクトロというよりは、昔のエレクトロって感じですよね。こういうのも聴いてたんですか?

「聴いてました。バンドやってた時、メンバーがみんな洋楽を聴いていて、そういう昔の曲を掘ったりもしてたんです。だからクラフトワークとかもコピーしてました」

ーークラフトワーク的なものも、ここには入ってるんですね。

「そうですね」

ーー一番意外だったのは「CHRONIC」で、これはR&B調のバラードに聞こえます。

「バラードってアルバムにあった方がいいのかなとか思って、やってみたいなっていうのもすごいあって、これはやったことなかったことだったから挑戦してみたいなと思いました。いきなりバラード過ぎるのも変かなと思ったんだけど、でもあれちょっとひと捻りあるバラードだと思うから、変じゃないかなと思ってやってみました」

ーー意外感がよかったです。

「ありがとうございます。アルバムに意外性っていうのを、どうしても持たせたかったんで、普段から想像できないことをやりたかったんで、バラードとかも入れました」

ーー「MIDNIGHT EXPRESS」は、ポジティブなエレクトロ・ポップですが、アルバムをポップなものにしたいという意識は強かったのでしょうか?

「強かったです。今まではクラブ向けにやってたけど、そうじゃなくていろんな人に聴いてもらいたいってのがすごくあったから、そこの入り口としてポップであるっていうのは、すごい重要かなと思ったんです。「REPLAY」とか「WAO」、「MIDNIGHT EXPRESS」はポップかなと思います」

ーー「WAO」では、VERBALさんがフィーチャーされてますけど、VERBALさんが出てきた時点でポップになっているっていうのもありますね。

「そうですね」

ーー「Don’t Stop The Music」は、ちょっと’90年代初期のレイヴ・ミュージックを思わせるダンス・チューンですね。

「そうです、まさに。一見ちょっとふざけた曲に聞こえるけど、この感じが一曲くらいあってもいいかなと。ほんとにいろんなジャンルを入れたかったし、ああいうのも聴いてたんで」

ーーやっぱり自分の音楽遍歴的にはUK派だったりするんですか?

「そうですね、完全に」

ーーラストの「TOUCH ME」は英語詞ですね。

「これはカイリー・ミノーグとか意識してる曲です。なんかこの曲ゲイの方々に受けよくて、やっぱカイリー意識したかいあって、そういう層にウケたんですかね。ちょっと切ない感じで、壮大な感じです」

ーーユリアさんが目指してるところも、カイリーとかマドンナとか、そういうところだったりするんですか?

「目指してるところは、実はそうでもないんです。カイリーとかにはすごい憧れてるんですけど、まんまああいうことはできないから。自分は、そこにちょっと違うことを入れてみたいですね。自分が憧れてる人って、すごいキャラクターのある人だから。引田天功とか黒柳徹子とかかっこいいなって思ってるんですけど、それプラス・カイリー・ミノーグみたいな新しいジャンルで、インパクトある、キャラクターのある、自立した人がいいなって思います。カイリーはやっぱり歌手って感じだけど、私はアクセサリーもやりたいし、他にもやりたいことあるかもしれないし、いろんなことをやりたい。DJももちろん、これからもやっていきたい。だから、この人みたいになりたいってのはなくて、いろんな人のいいところを取って、“自分”っていう新しいものを確立できたらいいなって思ってます」

ーーそういう意味では、ジャンルレスな方が理想ですよね。だからむしろ“エレクトロ”みたいには、とらえてもらいたくないということですね。

「そうですね。だからアルバムは、ほんとポップソングっていうか、普通のアルバムを聴くっていう感じで聴いてもらいたいです。車の中で聴いてもらったりとか、お家で聴いてもらったりとか。12曲あって、全部曲のジャンルが違うから、どれか1曲は誰にでも響くんじゃないかなってのはありますね。好きな曲が皆さんの中でひとつでもみつかるといいなって思います」

ーーこのアルバムの中で特に思い入れの強い曲は、どれですか?

「結構全部思い入れはありますけど、「GIMME GIMME」は、やっぱり2年前からあったっていう意味では思い入れはもちろんあるし、あと「BAM ME」って曲が自分では一番好きで、歌ってて楽しいというか、一番歌いがいがありますね」

ーーこれからやってみたいことって何かありますか?

「やっぱシンガーとしての活動っていうのが始まったばっかりで、あんまりライブをしたことがないから、これからどんどんライブをやっていきたいなって思ってます。一人でライブをやっていく上では、ちょっと面白いことをしていきたいですね」

ーー今特に気になってるモノやコトってありますか?

「今アクセサリーの展示会を控えてるので、最近チェックしてるものと言えば、アクセサリーのパーツとかなんですよ。パーツ買いに、浅草橋に行ったりもするし、海外でDJとかした時も、ついでに海外の問屋街とかに行ったりとかしてます」

ーー最後に、今後の予定などありましたら教えてください。

「10/5にアルバムが発売されて、活動の幅が広がる分、活動自体も増えるんで、ライブもDJもいろんなところでやると思います。ぜひ遊びに来てください」

interview & text TOMO HIRATA


【アルバム情報】

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MADEMOISELLE YULIA
MADEMOWORLD
(JPN) EMI / TOCT-28014
HMVでチェック

【オフィシャルサイト】
マドモアゼル・ユリア公式サイト

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