Memory Tapes『Grace/Confusion』インタビュー


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米ニュージャージー出身のデイヴィ・ホークのソロ・プロジェクト、Memory Tapes(メモリー・テープス)。2009年に発表したデビュー作『Seek Magic』で一躍脚光を浴びた、チルウェイブ系サウンドの潮流を生み出した重要アーティストの一人です。2011年には、バンド編成で制作したセカンド・アルバム『Player Piano』を発表。収録曲「Yes I Know」のミュージック・ビデオが第54回グラミー賞の最優秀短編音楽ビデオにノミネートされ、話題となっています。

そんなMemory Tapesが、今年2012年にCarparkからリリースした最新アルバム『Grace/Confusion』(グレース/コンフュージョン)の日本盤を12/26にリリースします。彼自身が“プログレッシヴ・ロック的”とも語る、全6曲約40分で構成された意欲作です。“迷宮のような感覚を持たせたかった”という本作。その内容は、一曲の中で様々な音楽的要素が展開していく、カラフルで神秘的なものとなっています。

ここでは、本作『Grace/Confusion』の内容について、デイヴィ・ホークに話を聞きました。


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Memory Tapes『Grace/Confusion』インタビュー

__ニュー・アルバム『Grace/Confusion』は、『Seek Magic』とも『Player Piano』とも全く違った音世界が楽しめるアルバムとなりましたね。まず、今作を手がけるにあたって、そのコンセプトやテーマはどのようなものだったんでしょうか?

「このアルバムのもともとのアイディアは、曲のアレンジに関して、プログレッシヴ・ロック的なアルバムをつくることだったんだ。あの手の音楽って、音楽の流れに身を任せてみることが大事だったりするよね。レコーディングしていた時期は、僕もまるで現実の世界から離れて、遮断されたような気持ちになっていたんだ。だから、そのアプローチをとることが、その時の気持ちを表現するのにぴったりなんじゃないかって、思ったんだ」

__その、遮断されたような気持ちになったのは、何がきっかけだったんですか?

「次女が生まれたことや、自分の健康問題、それからミュージシャンとしての自分の人生についての不満とか、そういったことが全部合わさって、せめぎ合ってた感じかな。それが、この作品のスタイルにつながったと思う」

__アルバム・タイトルの“Grace/Confusion”という言葉には、どんな意味合いが託されているのでしょうか?

「一瞬の安らぎ、優雅な瞬間を得るために、自分自身が抱えている混乱を受け入れよう、という試みかな」

__今作に収録されている楽曲群は、あなたが語ってくれた通りある種とてもプログレッシヴ・ロック的な、一曲の中に様々なサウンド、スタイル、ヴィジョンが詰まった、とても表情豊かでユニークなものばかりですね。今作の曲づくり、音づくりは、具体的にはどのようにして進めていったんでしょうか?

「レコーディングは自宅でやったんだ。全て自分ひとりで手がけたから、録音、オーヴァーダブ、エディットの繰り返しで、長い時間を過ごしたよ。自分の中で納得できる形に仕上がるまで、とにかくいろんなアイディアを再編成し続けたね。自分自身では、あまりスタイルに対して意識的じゃないよ。その時々で、自分の興味の赴くままにやってる感じだからさ」

__サウンドメイキング面で特に重視したこと、実現させたかったことは何でしたか?

「今回の作品には、迷宮のような感覚を持たせたかったんだ。混沌とした中にも、一瞬の煌めきとか共感…そういったものを聴いた人に感じてもらえたらいいなって思う」

__ちなみに、アルバム全体を仕上げるまでにどのくらいの期間を要したんですか?

「作業と休みを繰り返しながら、トータルで1年くらいはかかったんじゃないかな。一定のペースでずっと制作を進めてきた、って感じじゃなかったけどね」

__今回の制作アプローチで特に刺激的だったこと、反対に最も苦労したこと、大変だったことは何でしたか?

「いつだって、最初が一番楽しいんだよ。無限の可能性を感じられるからさ。で、一番苦労するのは、完成させる時だね。最初に思っていたほど上手くできなかった、と感じる部分とも向き合わなければいけないからね。それこそが次作品へのモチベーションとなるんだけどね!」

__先行シングルの「Sheila」は、どのようにして誕生した曲でしたか?

「曲の冒頭にあるウーリッツァーのパートが、この曲の始まりなんだ。まるでフリートウッド・マックの曲みたいだなぁ、って思ったんだけど、それがカー・ラジオで音楽を聴いているイメージにつながって、そこから、この曲のちょっと映画的な、苦い恋の物語的な曲ができ上がったよ」

__今作の中で、あなた個人が特に重要視している曲、気に入っている曲がありましたら教えてください。

「一番好きな曲ってわけではないけど、「Safety」は、もともと自分がこのアルバムに対して思い描いていたものに一番近い曲なんじゃないかと思う。ニュー・オーダー・ミーツ・イエスって感じでね」

__最後に、メモリー・テープスの今後の活動目標、またその他のプロジェクト等も含めた、あなたの次なる活動目標を教えてください。

「新しいレコードと、ライブかな…。ひょっとするとこの作品が最後になるかもしれないんだし…まだ決めていないよ」

interview iLOUD


【リリース情報】

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Memory Tapes
Grace/Confusion
(JPN) Carpark/Hostess / CAK81CDJ (HSE-50078)
12月26日発売
※初回仕様限定盤はボーナストラック・ダウンロードカード封入
歌詞対訳、ライナーノーツ付 予定
HMVでチェック

tracklisting
1. Neighborhood Watch
2. Thru the Field
3. Safety
4. Let Me Be
5. Sheila
6. Follow Me
※初回仕様限定盤はボーナストラック「The Balck Reel」(mp3)のダウンロードカード封入

【オフィシャルサイト】
http://www.facebook.com/memorytapes
http://weirdtapes.blogspot.jp/
http://hostess.co.jp/
http://www.carparkrecords.com/

【試聴】

全曲試聴:http://hostess.co.jp/news/2012/12/002226.html


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