Simian Mobile Disco『Unpatterns』インタビュー


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ジェイムス・フォード(James Ford)とジャス・ショウ(Jas Shaw)が2000年代半ばに結成した、UKエレクトロニック・ダンス・ミュージック・デュオ、Simian Mobile Disco(シミアン・モバイル・ディスコ)。’07年にファースト・アルバム『Attack Decay Sustain Release』以降、エレクトロ/インディー・ロックのクロスオーバーを体現する一組として活躍の場を広げてきた人気アクトです。ジェイムス・フォードは、アークティック・モンキーズやクラクソンズのヒット・アルバムを手がけたプロデューサーとしても有名ですね。

そんな彼らが、ニュー・アルバム『Unpatterns』(アンパターンズ)をリリースしました。オリジナル・アルバムとしては’09年の『Temporary Pleasure』以来となる、12インチ・トラックをまとめたコンピレーション作『Delicacies』(’10)に続く作品です。“以前のレコードとは違うことがやりたい”という意志のもと、モジュラー・シンセを駆使し、彼ら独自のディープでアーティスティックな音世界を追求した注目作です。

ここでは本作『Unpatterns』の内容について、シミアン・モバイル・ディスコにメールで話を聞きました。なお彼らは、サマソニ前夜の8/17(金)に幕張メッセで開催される<SONICMANIA 2012>で来日することが決定しています。


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Simian Mobile Disco『Unpatterns』インタビュー

__お元気でしたか。最新作『Unpatterns』は、オリジナル・アルバムとしては『Temporary Pleasure』(’09)以来、約3年ぶりとなりますね。今作の制作はいつ頃スタートしたのでしょうか?

「制作は2011年中ずっと断続的にやっていたんだけど、形になってきたのは11月~12月になってからだね。アルバムの出来にはとっても満足している」

__制作していくにあたって、今作ではどのような内容や方向性の作品にしようと考えていましたか?

「僕らの以前のレコードとは違うことがやりたい、って強く思っていたんだ。『Delicacies』(’10年/12インチ・トラックをまとめたアルバム)の美学を引き継ぎながらもクラブっぽくなりすぎず、ボーカルを取り入れながらも『Temporary Pleasure』とはまた違ったスタイルにしたかった」

__なるほど。 アルバムのテーマやコンセプトのようなものは、ありましたか?

「アルバムの大まかなコンセプトは、ループやパターンを互いに干渉させたり、動かしたり、フェーズをずらしたりして、その変化や減衰が新たな音のパターンをつくり出す…っていうものなんだ」

__今作のアルバム・タイトルを”Unpatterns”とした理由についても教えてください。

「上で述べたようなコンセプトを、上手く反映した名前だと思ったからさ」

__音楽面では、従来作よりもよりディープでミニマムなテイストのサウンドスケープが、とても印象的です。今作のサウンドメイキングで特に重視したこと、意識したことは何でしたか?

「制作時間のほとんどを、音の質感やディテールをつくりこむのに費やしたよ。その上で曲の展開やビートを組み立てていったんだ。深みのあるものをつくりたい、って思っていたからね」

__ちなみに、音づくり自体は、ほとんどアナログ・シンセやモジュラー・シンセを駆使したものなのでしょうか? 今作のサウンドは、もはやアートの領域のものになっていますね。

「うん、僕らのスタジオにはモジュラー・シンセがいくつかあって、アルバムで使っているほとんどの音は、それでつくったんだ。お褒めの言葉ありがとう!」

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__新たに導入した機材などはありましたか? また、曲づくりのプロセスに変化はありましたか?

「機材面は特に変わっていないよ。僕らはまだ、所有しているシンセサイザー類を完全に使いこなしていないって思うから、むしろ既に持っている機材で色々と新しいことを試していった感じだね。あとは、ボーカルをメインにした曲はやらないって決めていたんだ。その代りに、ボーカルを短いサンプルのループで、楽器のように使うようにした」

__今作の場合、 楽曲自体は比較的尺の長いものが多いですね。これまでのアルバム作品では、基本的に各曲3~4分の長さでまとめるのを一つのスタイルとしていたと思うのですが、考え方にどのような変化があったんでしょうか?

「その辺りの曲は、自然と長くなってしまったんだ。いくつかの曲は短くエディットしようとも思ったんだけど、うまくいかなかった。今までのアルバムでは、DJ用の長いクラブ・ヴァージョンとは別に、アルバム用の短いヴァージョンをつくるようにしていたってことさ」

__今作では「Put Your Hands Together」をはじめ、いくつかのトラックにボーカルがフィーチャーされていますが、誰のボーカルなのか教えていただけますか?

「「Put Your Hands Together」のボーカルは、Jamie Lidellだよ。彼は、『Temporary Pleasure』に入っている「Off The Mop」って曲のためにボーカルを録った時、メイン・トラック以外にも沢山ボーカル・パーツを録ってくれてね。今回僕らが曲に使う素材を探していた時に、そのフォルダーの中を漁って、コレを使うことにしたんだ。「Seraphim」では、Cilla Blackの’70年代の録音からのサンプルを使っている。他のトラックは内緒…っていうことにしておくよ」

__今作の制作で、一番印象に残っているエピソードなどありましたら教えてください。

「面白くなくて申し訳ないけど、特別エキサイティングなエピソードって思い浮かばないよ。欲しいボーカルのサウンドをつくるのには長いこと苦労したな、ってことくらいだ」

__最後に、Simian Mobile Discoの次なる活動目標を教えてください。

「プロデュース業やコラボレーションは、しばらくの間少し控えているんだ。今年はライブ・セットをつくることに専念して、またツアーに出られるようにしたいと思っているよ!」

interview iLoud


【リリース情報】

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Simian Mobile Disco
Unpatterns
(JPN) Wichita/Pias/Hostess / WEBB330CDJ (HSE-30290)
発売中
HMVでチェック

tracklist
01. I Waited For You
02. Cerulean
03. Seraphim
04. A Species Out Of Control
05. Interference
06. Put Your Hands Together
07. The Dream Of The Fisherman’s Wife
08. Your Love Ain’t Fair
09. Pareidolia
10. Supermoon (日本盤ボーナストラック)
11. Witches Of Agnesi (日本盤ボーナストラック)

【VIDEO】



【オフィシャルサイト】
http://www.simianmobiledisco.co.uk/
http://hostess.co.jp/

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