SURKIN『USA』インタビュー

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フランスはボルドー出身で、1985年生まれのダンス・ミュージック・クリエイター/DJ、SURKIN(サーキン)。本名、ベノワ・ハイツ。20歳の時に本格的に音楽活動をスタートさせた彼は、’06年にInstitubesからリリースした「Radio Fireworks」と「Ghetto Obsession」で、フレンチ・エレクトロの新星として一躍脚光を浴びたアーティストです。以降、エレクトロ・シーンを牽引する存在として活躍し、’08年には彼の代表曲として知られる「White Knight Two」「Next Of Kin」を発表。その人気を確実なものとしています。ここ日本でも高い人気を誇り、フジロックやGANBAN NIGHTなどで6回以上もの来日を果たしていますね。

そんな彼が、Para One、Bobmoと共にスタートさせた新レーベル、Marble経由で、待望のデビュー・アルバム『USA』をリリースしました。アルバムの構想に何年もの時間をかけ、ようやく完成させたという注目作です。その内容は、架空のラジオ番組、“Fireworks FM”に乗せて、SURKINならではのレイヴィーでハウシーでテッキーなダンス・トラックが次々と繰り出されるカラフルなもの。人気曲の「Silver Island」「Ultra Light」「White Knight Two」はもちろん、「Never Let Go feat. Kevin Irving」「Lose Yourself feat. Ann Saunderson」といったボーカル曲も収録した、楽しい作品となっています。

ここでは、本作『USA』の内容について、先週GAN-BAN NIGHT SPECIAL(11/18:京都、11/22:東京、11/25:名古屋)とWOMB ADVENTURE’11(11/26:幕張メッセ)でプレイするために来日していたSURKINに、話を聞いてみました。


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SURKIN『USA』インタビュー

__デビュー・アルバム『USA』の制作には、かなりの時間をかけたそうですね。その理由とは何だったのでしょうか?

「アルバムづくりのプロセスには、時間をかけたね。というのも、もともと自分のアタマの中に、“こういうアルバムにしたい”という思い描いていたものがあったからなんだ。アルバムとして、例えば10年後にも聴けるような、ちゃんと納得のゆく作品にしておきたかった。だから、今、この時期がアルバムを出す良いタイミングだとか、チャンスだとか、そういった意図は全くないよ。シングルと違って、急いで出す必要もないしね」

__では、具体的にはどういうアルバムにしたかったですか?

「このアルバムを制作する上でまずこだわったのは、自分にしかできないことをやる、という点だったよ。クラブ向けのシングルを寄せ集めたような、いわゆる一般的なアルバムじゃなくて、どうすれば一番自分らしくなるのか、相当悩み抜いて、考えた。で、イメージしていたものは、’90年代の空想のラジオ番組(=Fireworks FM)のようになっているアルバム、だね。次々と場面が展開していくような、ペースの早いアルバムにまとめたかったんだ。だから、リラックスして聴けるようなアルバムにはなっていないかもしれないけど、自分としてはイメージ通りの内容に仕上がったと思ってるよ」

__どうして“’90年代のラジオ”にしたんですか? 一般的にラジオというと、’80年代をイメージする人も多いかと思うのですが。

「まぁ、厳密に説明すると、’80年代後半から’90年代前半のイメージ、だけどね。もっと詳しく言うなら、1985年から1993年くらいまでのラジオのイメージさ。ただ、このアルバムの内容を、すべてその年代に当てはまるようなものにした、という意味じゃないよ。もっと未来的な曲だったり、イメージに当てはまらない曲も入っているからね。フィーリングの部分で、何か一つピリオドが欲しかったということなんだ」

__なるほど。ところで、“SURKIN USA”というアルバム・タイトルの由来は何ですか。おそらくは、ビーチ・ボーイズの「Surfin USA」をもじったものですよね?

「まず、シンプルでパワフルなタイトルにしよう、って考えていたんだ。しかも、このアルバム全体にあるFMラジオっぽい雰囲気と合ったものがいい、って思っていたね。そんな時に、ずっと僕の作品のアートワークをやってくれているジャスティスのギャスパールが、冗談で“ビーチ・ボーイズのTシャツを使って、SURKIN USAって書き換えるのどう?”って言ったんだ。でその時、“USAってタイトルは、探していたイメージに合う言葉かも”って思ったんだよね。ショッキングでひっかかりがあるタイトルでしょ?」

__そうですね。“USA”、ですもんね。

「ちょっと冗談に過ぎるかな、とも思ったんだけど、最終的にはこのタイトルにしたよ」

__分かりました。では、楽曲面について教えてください。まず、「Never Let Go」でフィーチャーしている、TRAXやD.J. Internationalからリリースされたオリジナル・シカゴ・ハウスの多くに参加していたシンガー、Kevin Irvingと、「Lose Yourself」でフィーチャーしている、Inner Cityの作品などに参加していたことでも知られるUK出身のシンガー、Ann Saunderson(Kevin Saundersonの妻ですね)は、先ほど出てきた“1985年から1993年”というキーワードにピッタリの人選ですね。どういう経緯で彼らに参加してもらったんですか?

「トラックをつくっている段階から、自分が思い描いていたボーカルというのが、実際にKevin IrvingやAnn Saundersonだったりしたんだよね。だから、そのイメージを実現するためには、彼らに参加してもらうのが一番だろう? それで、彼らに直接連絡を取ってみたら、実際にやってくれることになってね。もう完璧な曲に仕上がったよ。Kevin Irvingは、今は主にR&Bやラップの分野で活動しているらしいんだけど、キーボーディストとしての活動が中心みたいだね。楽曲提供をする時のデモでは、歌ったりしているみたいだけど」

__そうなんですか。それにしても、この人選はマニア心をくすぐると思いますよ。

「僕はシカゴ・ハウスやニューヨーク・ハウスをコレクションしていて、かなり熱中しているんだよね。だから、一番大きな影響源になっているかもしれない。初期のアシッド・ハウスも好きだし、Todd Terryみたいなハウスも好きだし、TRAX、D.J. International、Dance Maniaから出ていたレコードの大概は好きだよ。で、シカゴ・ハウスとデトロイト・テクノには密接な関係性があるから、当然Inner CityやCybotronも好きだしね」

__’80年代の初期シカゴ・ハウス、ニューヨーク・ハウス、デトロイト・テクノの、どんな部分に一番魅力を感じているんですか?

「非常にシンプルで、エフェクティブなところかな。で、それにも関わらず、各クリエイターの個性がはっきり感じられる。例えば、2秒くらいしかサンプリングできないカシオの安い機材を使っている、Steve Poindexterの曲のようにね。僕にとってあの頃の音楽は、もう自分の身体の一部のような存在になっちゃってるよ。気持ちいいし、踊りやすいし。フランス人の僕には、全く知らないものを得ることのできる音楽さ」

__話を戻しましょう。本作のサウンドは、もちろんただ懐古主義的なものではなく、とてもモダンな仕上がりになっていますが、本作の曲づくりと音づくりで特に意識したことは何でしたか?

「もともとノスタルジックなアルバムにするつもりはなかったんだ。僕は、過去の音楽だけじゃなくて、新しい音楽も常にチェックしているし。それで…僕は昔のシンセもいろいろ持っているけど、このアルバムの曲づくりには、主にMac Bookを使ったよ。その方が新しいテクノロジー、新しいサウンドを使えるからね。そういった側面が、このアルバムの音をモダンなものにしていると思うな」

__アルバムの構想と同時に、曲づくり自体にもかなり時間をかけたんですか?

「基本的には数時間以内につくり上げることができちゃうんだけど、何を目標にしてどういうアプローチを取るかによりかな。このアルバムではそうやって短時間でつくった曲でも、アルバム全体のサウンドとか曲の並びに合わせて、かなり修正していったよ。デモと聴き比べながらつくり直した曲もあったね。まぁ、次のアルバムで同じ作業ををやるかどうかは、ちょっと分からないな」

__レーベルメイトのBobmoをフィーチャーした「Harry」と「Quattro」は、どのようにして誕生した曲ですか?

「彼とはHigh Powered Boysというユニットを一緒にやっているし、レーベルのMarbleも一緒にやっているから、スタジオにも一緒にいることが多いんだ。お互いにテイストも合うし。だからこの曲は、二人で話しながら普段と同じようにつくっていったよ。もともとこのアルバム用につくった曲じゃなかったけどね。最終的に、“このアルバムに合うかも”ということになって、少し調整して収録することにしたんだ」

__では、このアルバムには、Marbleを一緒にやっているもう一人、Para Oneとの共作曲も入る可能性があったんですかね?

「そうだね。みんな同じスタジオに出入りしてるから、僕らは自然体で作業しているんだ。今回はたまたま入らなかったけど、逆にPara Oneのシングルとかで、僕と一緒にやった曲がフィーチャーされるかもしれないよ」

interview iLOUD
translation Alain Bosshart


【リリース情報】

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SURKIN
USA
(JPN) EMI / TOCP-71129
11月09日発売
HMVでチェック

tracklisting
1. Let’s Ride
2. Lose Yourself feat. Ann Saunderson
3. Love Shot
4. I.N.Y.N
5. Fireworks Hotmix
6. Silver Island
7. White Knight Two
8. Rock It
9. Harry feat. Bobmo
10. Never Let Go feat. Kevin Irving
11. Fan Out
12. Gold Island
13. Ultra Light
14. Quattro feat. Bobmo
15. Silver Springs Anthem
16. End Morning
17. Next Of Kin
18. Orbital Highway
19. Radio Fireworks (Surkin 909 Edit)

【オフィシャルサイト】
http://www.emimusic.jp/artist/surkin/
http://www.facebook.com/surkin
http://marble.fm/

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