Takeru John Otoguro『#エクバガ!パーティー!!』インタビュー


TJO_ExtravagantParty.jpg

様々なジャンルを縦横無尽にプレイするDJ、Takeru John Otoguro(TJO)。日本、イギリス、タイ人の血をひくパリ生まれの彼は、2003年にDJとしてのキャリアをスタートさせて以降、数々のパーティーやイベント、フェィティバルに出演してきた人気DJです。現在はclubasiaでの<The Block Party>、<Ray-Van>、ageHaでの<TJOとワイパと愉快な仲間達>でレジデントを務める一方、日本唯一のダンス・ミュージック専門ラジオ「block.fm」のプライムディレクター/ナビゲーターとしても活躍。また、TJO & YUSUKE from BLU-SWING名義でリミックス・ワークも行っています。

そんなTakeru John Otoguroが、メジャー・レーベルからは初となるミックスCD『#エクバガ!パーティー!!』を10/8にリリースしました。ワーナーミュージックの膨大なカタログの中から、TJOならではのセンスで30曲をチョイスし、TJOならではのセンスでミックスした本作。その内容は、最新ヒットから往年の名曲まで、時代やジャンルの枠を超越した楽曲群が次々と飛び出す、これぞオールミックスな内容を誇っています。

ここでは、まさにエクストラヴァガントな本作『#エクバガ!パーティー!!』の内容について、Takeru John Otoguroに話を聞きました。


TJO_A.jpg

Takeru John Otoguro『#エクバガ!パーティー!!』インタビュー

__まず本作『#エクバガ!パーティー!!』の企画はどのような経緯で、どのようなアイディアからスタートしたものなのか教えてください。

「元々ワーナーミュージック・ジャパンさんにある音源でこのミックスCDを作ろうってなった時に、ワーナーさんにはクラシックなディスコ、ソウルからロック、最新のブラック・ミュージックやエレクトリック・ミュージックまで豊富なカタログが揃っていたので、自分らしいスタイルを出すためにも一つのジャンルに絞ったものではなく、いろいろなジャンルをまたにかけたミックスを作ろうと考えました」

__“#エクバガ!パーティー!!”(エクストラヴァガント・パーティー)というタイトル名にした理由について教えてください。

「まずパーティー感のある名前にしたいというのがあって、A&Rさんからこのタイトルを提案してもらったんです。“extravagant”(エクストラヴァガント)は“贅沢な”とか“突飛な”という意味の英語で、いろいろなジャンルで往年の名曲から最新のヒット曲までを使ったミックスということで良いタイトルだなと思ったんですが、“extravagant”だと言葉としてあまり馴染みがないのでいろいろ考えていた時に、block.fmのスタジオで番組を終えたRemo-conさんに“エクバガいいじゃん”ってアドバイスもらって、言葉の響き的にもしっくりきちゃって(笑)。そしてアタマにハッシュタグ付けて“#エクバガ!パーティー!!”になりましたね」

__ジャンルも年代も異なるワーナーミュージックのカタログの中から、どのように選曲は進めていきましたか?

「ワーナーさんにはそれこそ膨大な数の音源があったので、まずはウェブサイトにいってABC順にアーティスト名を調べて、好きな曲、使いたい曲を選んでいきました。これが一番大変な作業でしたね(笑)。でも調べていくうちに、“あ、コレもある!アレもある!こんなつなぎもできるじゃん!”ってどんどんイマジネーションが湧いてきて、DJでよく使う曲や初めて出会った曲、あえてベタな定番も入れたりと、結果的に最初は約200曲ほどをリストアップしました。そこから使用できる曲を絞っていき、最終的には流れに合うものをチョイスして固めていった感じですね」

__構成、曲順については、どのように決めていきましたか? ジャンル的つながり、時代的つながり、サウンド的つながりなどをキーに、とても巧みな流れになっていると感じました。

「ありがとうございます! まず今作に関して言えば、自分の中で“一晩のホームパーティーで流れるサウンドトラック”をテーマに全体のストーリーを意識しましたね。最初の乾杯で勢いよく走り出して、みんなで騒いで、飲み過ぎたから途中でリラックスした曲でソファに横たわり休憩。まだ目が覚めてる元気で音好きな仲間とちょっと懐かしい&気持ち良い曲で軽くステップ踏んで、マニアックな話して、最後は朝を迎えて大好きなディスコで締める。実際に、ここのシーンはこいつがいるなって、友達の顔を思い浮かべたりして。妄想の世界にも入ったりして(笑)。でもDJの時っていつもそうなんですが、その日そこにいる人達の顔を思い浮かべて選曲をするんです。今回のCD盤の裏面に載っているトラックリストの後ろが、ちょうど黒~青~ピンクのグラデーションにデザインされているのですが、まさにそんな色の移り変わりのような流れになりましたね」

TJOJKs01.jpg

__実際にノンストップ・ミックスするにあたって苦労した部分、意識した点は何でしたか?

「ミックス的には聴き心地の良いものを目標に、BPM(曲のテンポ)やキー(音程)など基本的なDJミックスのスタイルを守りつつ、でもずっと同じBPMが続いても飽きるしなので、あえてつながなかったり、キーを無視してスイッチ切り替えてみたり、ダンス・ミュージックにオールディーズを被せてみたりといった、“突飛な”ミックスも意図的にしました。やはりジャンルや時代が違うものを同じ流れの中で聞かせるので、BPMや、それこそ音質の調整には苦労しましたね。でも作ってみて後から気付いたのが、いわゆる自分のクラブでのプレイだけでなく、急にテンポを落としてみたり、緩やかな坂道を描くようなミックスなど、無意識のうちにラジオでやるようなミックスにもなっているな、と」

__TJO & YUSUKE from BLU-SWINGによるFrankie Valli「Can’t Take My Eyes Off You」(君の瞳に恋してる)のリミックスについても教えてください。まず、今回この曲をリミックスしようとチョイスした理由は何でしょうか?

「200以上の曲をリストアップしていく中で候補はいろいろとあったのですが、やはりリミックスするなら名曲を、しかも自分のDJセットでかけたくなるようなものにしたくて。で、この曲にしたのにはキッカケがあって、1年前に逗子のOTODAMAでDJした時、大沢伸一さんが最後にこの曲のセルフ・リエディットをかけていたんです。それが凄い盛り上がりで。アッパーな曲やディープなトラックで一日中盛り上がってたフロアが最後にこの曲で一つになっている画が、ずっと頭の中に残っていたんですよ。しかも、いわゆるBoys Town Gangのカヴァーではなく男性ヴォーカルだったのを思い出して、この曲をリストの中から見つけ出して、“どうしてもコレをリミックスさせてくれ”とお願いしました。ただ古い曲なので、リミックスするための各パーツがバラバラになった素材がなかったんですよ。“それでもいいからやらせてくれ”ってA&Rさんに頼み込みました(笑)」

__実際にリミックスを手がけるにあたっては、どのように仕上げようと制作を進めましたか?

「この名義で作品を作る時には、“あの頃の僕達が好きだったもの(音楽)と今の感覚の融合”っていうテーマがいつもざっくりとあるんですが、今回は素直に大沢さんがプレイされていた時のように、自分のDJのラストや朝方にみんなで一つになれる作品を目指しました。今回はBPMもはやくして、ダンサブルなディスコに仕上げてますが、実はもう一つオリジナルに忠実な別バージョンも作ってあるんです」

TJOJKs02.jpg

__本作の中で、特にジョンさんがお気に入りの曲やオールタイム・フェイヴァリット曲がありましたら、いくつかご紹介ください。

「Frankie Valliはもちろんですが、Phoenix「If I Ever Feel Better」は青春の1曲で今でも大好きです。新しく出会った曲ではNONONO「Pumpin Blood」。また、選曲してる中で久々に再会した曲も多くて、Around The Way「Really Into You」、Gym Class Heroes「Clothes Off!!」、この前後のミッドテンポの曲達はお気に入りです。あと尊敬するDJ、Dimitri From Parisの作品も入れたくて、Chic「Le Freak」のリミックスを収録しました。そして定番ですが、Jet「Are You Gonna Be My Girl?」は、このミックスに入れてから大好きになりました(笑)」

__ジョンさんが考えるオールミックスなDJプレイの面白さや醍醐味とは、どのようなものでしょうか?

「DJが本来持つ、その人のオリジナリティや自由な発想、新しい価値観を提案できることですかね。今だとシーンの中での言葉の意味合いが違ったり、DJをやっているとどうしても型にハマってしまう時もありますが、本当の意味での“オールミックス”ってそういうことかなと思います」

__ちなみに本作においては、実際にジョンさんが現場でDJするときの要素や雰囲気はどのくらい反映されていますか?

「クラブやイベントによって、一つのテーマやジャンルでDJする機会も多くなりましたが、かなり昔からやっている自分のスタイルは出ていると思います。逆に今作を作ったことで、今後はもっといろんなジャンルを取り入れようという意識が強くなりましたね」

__最後に、ジョンさんの今後の活動目標、次なるヴィジョンについて教えてください。

「今回入れたかったけど入れられなかった曲も多くあるので、同じテーマで第2弾、第3弾と作っていきたいですし、もう一つの自分の側面でもある“メロウでソウルフル”な部分に焦点を当てたミックスやコンピレーションも手がけられたら、と思っています。そしてTJO & YUSUKE from BLU-SWING名義でリミックスを数多く作ってきたので、オリジナルを作りたいですね。基本的にDJやblock.fmでの活動を通じて、皆に音楽を軸にした価値観を伝えていく“キュレーション”という行為を続けていきたいと思っています」

interview iLOUD


【リリース情報】

TJO_ExtravagantParty.jpg

#エクバガ!パーティー!!
~超豪華アーティスト・ノンストップ・パーティー~
mixed by Takeru John Otoguro
(JPN) WARNER / WPCR-15886
発売中(2014/10/8リリース)
HMVでチェック
Towerでチェック

tracklist
01. twenty | one | pilots / Guns For Hands (KSUKE Remix)
02. Flo Rida / Good Feeling
03. Jason Derulo / The Other Side
04. Chuckie / Skydive [feat. Maiday]
05. Icona Pop / All Night
06. Cash Cash / Take Me Home
07. NONONO / Pumpin Blood
08. Fun. / One Foot
09. Wilson Pickett / Land Of 1000 Dances
10. Ramones / Blitzkreig Bop
11. Jet / Are You Gonna Be My Girl?
12. Justice / Canon (Erol Alkan’s Extended Rework)
13. Ben E. King / Stand By Me
14. Happy Mondays / 24 Hour Party People
15. New Order / Blue Monday
16. Bananarama / Venus
17. Uffie / ADD SUV [feat. Pharrell Williams] (Armand Van Helden Club Remix)
18. Chaka Khan / I Feel For You
19. Artful Dodger And Robbie Craig / Woman Trouble [feat. Craig David]
20. Around The Way / Really Into You
21. En Vogue / Give It Up, Turn It Loose
22. CeeLo Green / I Want You (Hold On To Love)
23. Sugar Ray / Every Morning
24. Gym Class Heroes / Clothes Off!!
25. The Streets / Trust Me
26. SebastiAn / Arabest
27. KC&The Sunshine Band / That’s The Way (I Like It)
28. Chic / Le Freak (Dimitri From Paris Remix)
29. Phoenix / If I Ever Feel Better
30. Frankie Valli / Can’t Take My Eyes Off You (TJO & YUSUKE from BLU-SWING Remix)

※収録曲の試聴
http://wmg.jp/artist/extravagantparty/WPCR000015886.html

【オフィシャルサイト】

http://tjodj.com/

interviewカテゴリーの記事