The Horrors『Skying』インタビュー


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’05年にファリス・バドワン(Vo)、ジョシュア・サード(G)、トム・ファース(B/Synths)、リス・ウエッブ(Org/B)、コフィン・ジョー(Dr)の五名で結成された、ロンドン出身のロック・バンド、ザ・ホラーズ。’06年にシングル「Sheena Is A Parasite / Jack The Ripper」でデビューを果たすと、そのサイコティックなサウンドとルックスで、UKの音楽シーンに旋風を巻き起こした逸材です。’07年にはアルバム『Strange House』を発表。現在は、アート/ファッション・シーンからも注目を集める存在となっています。

そんな彼らが、ポーティスヘッドのジェフ・バーロウ、鬼才映像作家のクリス・カニンガムをプロデューサーに迎え制作し、その飛躍的に成長した音楽性で話題をさらったセカンド・アルバム『プライマリー・カラーズ』(’09)に続く、待望のサード・アルバム『スカイング』を7/6にリリースします。自分達のスタジオをつくり、セルフ・プロデュースで完成させたという本作。その内容は、前作以上に淡く美しいメロディーと、前作以上にディープで実験的なサウンドが浮遊する、正にアーティスティックでサイケデリックなものとなっています。

さらなる音楽的進化を遂げた『スカイング』。本作の内容について、メンバーのリス(スパイダー・ウエッブ)に話を聞きました。サマーソニックでのパフォーマンスが楽しみですね!


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THE HORRORS

宙を舞うような美しき音世界にたどり着いた、
UKのモダン・サイケデリック・アートロック・バンド

__最新アルバム『スカイング』の完成、おめでとうございます。現在の心境はいかがですか?

「すごくワクワクしているよ。アルバムから初めて公開された「Still Life」も、すごくいい反響をもらってるしね。曲づくりに没頭している時って、世界から隔離されてしまったような感覚に陥ることがある。そんな時に、こうした反響をもらうと、自分達のやってきたことが正しかったという気がして、嬉しいね」

__XL Recordingsに移籍し制作した前作『プライマリー・カラーズ』(’09)は、NME紙で年間ベスト・アルバムの1位を獲得するなど、世界的に高評価を得ましたね。あのアルバムは、あなた達にとってどのような意味を持つ作品となりましたか?

「すごく重要なレコードだったと思う。自分達のやりたい方向性とか、どうやって作業をすれば自分達の音楽がつくれるのかっていうことの、たたき台になったようなアルバムだった。バンド内でのコミュニケーション方法と、それをどう音に直接反映するのか…みたいなことを学んだ、すごく重要なアルバムだったね。あの作品のおかげで、僕らは自分達自身をよく理解するようになったと思う。自分達のやっていることに自信が持てたから、僕らにとってのベストな方法でレコードをつくっていけるようになった。今回のアルバムにも、それが反映されていると思うよ」

__では、その最新作について教えてください。アルバム・タイトルは“Skying”で決定したようですが、このアルバム・タイトルには、どのような意味が込められているのでしょうか?

「この“Skying”って言葉が、アルバムのサウンドやフィーリングをすごく象徴しているって思えたんだ。レコードの中でもよく使っている言葉だしね」

__今作は、ロンドンにある自分達のスタジオで、セルフ・プロデュースで完成させたそうですが、アルバムのコンセプトは、どのようなものだったのでしょうか?

「セルフ・プロデュースをすることがアルバムのコンセプトだった、ってわけじゃなかったね。ただ、前のアルバムをつくっていた時、ジェフ・バーロウ(ポーティスヘッド)に“君達にはサウンドの明確なアイディアがあるから、次は自分達でやってみるといいよ”って言われてね。それで、次のアルバムは自分たちで全部やろうって決めていたんだ。それで、自分達のスタジオをセットアップして、今回は好きなペースで自由に作品をつくることができたというわけだ」

__ちなみに、そのスタジオはどんな所なんですか?

「去年の夏に場所を探したんだけど、良い所がなかなかなくてね。結局、古い工場の跡地みたいな場所に決めたよ。放置された倉庫みたいな感じの所さ(笑)。で、ジョシュが機材の設置や配線なんかを、全部やったんだ。で、レコーディングがスタートしたのは9月で、終わったのは1月だった。曲を書きながらレコーディングしていったから、5ヶ月くらいかかったよ」

__音楽的には、前作ともまたひと味違う、より淡くディープで、ドリーミーな、美しい音世界を探求した作品になっているように感じました。今作の曲づくりや音づくりで特にこだわったこと何でしたか?

「『プライマリー・カラーズ』で得た自分達の方向性やスタイルを発展させながら、より焦点を絞って作業を進めていったよ。前作の時は、いろんな実験を手探りでしていたような部分があったけど、今回は、そこで学んだものをツールとして、しっかりと使っていくことができたって感じかな。あのアルバムで学んだり経験したことを、違った形で発展させることができたと思う。より成長したレコードになったね」

__今回新たにトライした実験は、何かありましたか?

「モノをつくるっていうのは、それがどんなものであっても実験になると思う。新しいサウンドをつくるのは、全てが実験さ。その上で、今パッと頭に浮かぶのは、ジョシュが機材を自作し始めたってことかな。古いマーシャルのヘッドアンプにつなげてつくった、シンセとかね。だから、自分の求めているサウンドを実験で探しながら、つくっていったようなアルバムだね。俺は、今はほとんどベースを弾いてるんだけど、シンセの音づくりは今でも一緒にやるし、面白かった」

__「Still Life」は、どのようにして誕生した曲ですか?

「あの曲は、不思議なくらい簡単に、あっという間に生まれた曲だった。リラックスしながらね。何週間も苦労して取り組まないと気に入らない曲もあったけど、あの曲は、本当にあっという間にできたね。まだスタジオが完成していない時期に、初めてアルバム用につくってみた曲なんだ。正直、どうやってスタートしたのか覚えてないんだけど、その日の終わりには、完璧に曲ができ上がっていたよ。そのことだけは覚えてる(笑)」

__今、ザ・ホラーズで活動していて、あなたが一番楽しいことは何ですか?

「どんなことでも自由に試していい、ってことかな。変なアイディアだと思っても何でも試せるし、お互いに素晴らしいと思える仲間が集まって、グループとして一つのものを一緒につくれるって、本当にすごくハッピーなことだと思うから」

__サマーソニックで来日しますが、新たなツアーでは、どんなパフォーマンスをしていく予定ですか?

「もちろん『スカイング』からの曲をたくさんプレイするつもりさ。今リハーサルをしてるんだけど、すごく激しい、エキサイティングでサイケデリックなショーになると思う。いつも、日本のファンのみんなには感謝しているんだ。今、大変な経験をしている人もいるかもしれないけど、僕らのライブで、楽しい気持ちになってもらえたら嬉しいね。日本に行けることを楽しみにしているよ」

interview & text Fuminori Taniue
translation Nanami Nakatani


【リリース情報】

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THE HORRORS
Skying
(JPN) XL/HOSTESS / XLCD539J
7月6日発売
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tracklisting
01. Changing The Rain
02. You Said
03. I Can See Through You
04. Endless Blue
05. Dive In
06. Still Life
07. Wild Eyed
08. Moving Further Away
09. Monica Gems
10. Oceans Burning
11. You Said (Japanese Only Bonus Version)
12. Changing The Rain (Japanese Only Bonus Version)

【VIDEO】

【オフィシャルサイト】
http://www.beggarsjapan.com/artists/TheHorrors/
http://www.thehorrors.co.uk/

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