Vampire Weekend『Modern Vampires Of The City』インタビュー/全曲試聴


VW_MVOTC_jk.jpg

エズラ・クーニグ(Vo/G)、ロスタム・バトマングリ(Keys/Vo)、クリス・バイオ(B)、クリストファー・トムソン(Dr)からなるNYのインディー・バンド、Vampire Weekend(ヴァンパイア・ウィークエンド)。2008年にXLからファースト・アルバム『Vampire Weekend』をリリースすると一気に世界的ブレイクを果たした人気バンドです。2010年にリリースしたセカンド・アルバム『Contra』は、全米1位/全英3位を記録。UKのインディー・レーベル所属アーティストとして初の快挙を成し遂げています。

そんなVampire Weekendが、待望のサード・アルバム『Modern Vampires Of The City』(モダン・ヴァンパイアズ・オブ・ザ・シティ)を5/8に日本先行リリースします。バンドとして次のステップを実践すべく、初の外部プロデューサー、アリエル・レヒトシェイトを迎え入れ、LAでレコーディングした注目作です。その内容は、先に公開され話題をさらっている「Diane Young」「Step」「Ya Hey」からも分かる通り、彼ら独自の音世界をよりシンプルかつオーガニックに、そしてより研ぎ澄まされたフィーリングで構築したものとなっています。

ここでは、本作『Modern Vampires Of The City』の内容について、Vampire Weekendのメンバー、ロスタム・バトマングリに話を聞きました。またリリースに合わせて、本作の全曲試聴もスタートしました。ぜひチェックしてみてください。なおVampire Weekendは、7/28(日)にフジロックで来日することが決定しております。


VW_A1.jpg

Vampire Weekend『Modern Vampires Of The City』インタビュー

__早速、最新アルバム『Modern Vampires Of The City』について教えてください。まず、今回はどんな内容アルバムにするのか、何か事前に構想は描いていたのでしょうか?

「今回は、全体的にピアノを中心にした曲が多いんだ。全ての曲でピアノが使われているわけじゃないんだけど、全体的にそういう感じでつながっていると思う。で、ボーカルはハーモニーを重視して…“夜”の雰囲気を出したかったね」

__どうして“夜”の雰囲気を出そうと思ったんですか?

「これまでにアルバムを2枚出してきたけど、サード・アルバムとなる次のステップとしては、一番落ち着くところじゃないかと思ってね。今回は、漠然とだけどモノトーンのアルバム・ジャケットを想像していたんだ。これまでと同じ流れのデザインなんだけど、今回は白黒のジャケットにしたくてね。で、“夜”の雰囲気というイメージは、そこから出てきたものなんだよ。ちなみに、“Modern Vampires Of The City”というアルバム・タイトルは、アルバムの中身自体とは直接関係ない言葉だけどね」

__アルバムの曲づくりは、いつ頃からどのような形で進めていったんですか?

「曲によって作曲期間が違うんだけど、集中して作業に取り組んだのは18ヶ月間くらいだったと思う。今回は、基本的には曲づくりの段階からLAで過ごしたんだ。ちょっとブルックリンを離れて、気持ちの変化が欲しかったし、友人でもあるプロデューサーのアリエル(アリエル・レヒトシェ イト)はLAに住んでいたから、LAで作業をするのが一番いいと思ったんだ」

__ピアノを軸にしたイメージや、“夜”のイメージというのは、アリエルさんとの作業を通じて浮かび上がったものんですか?

「いや、そんなことはなかったね。いろいろ相談していく中で、僕らにそういったことを気付かせてくれた、とは思うけど。もちろん今回のサウンドは、自分達のみでは達成できなかったよ。例えば、今回はエズラと僕のボーカルに変化を付けたかったんだけど、それはアリエルの技術やヘルプがなければできなかった。ボーカルは、部屋の窓を全部開けて録ったんだよ」

__LAでのレコーディング作業自体は、とても楽しいものでしたか?

「そうだね。アリエルとは長年の友達で、一緒に音楽をやってきた仲間だから、仕事だっていう感覚は全くなかったね。12時間くらいぶっ通しで作業をしたこともあったけど、楽しくできたよ」

__もともとVampire Weekendはシンプルなサウンドが持ち味の一つになっていますが、今作のサウンドはこれまで以上にシンプルで、オーガニックなバンドの音をそのまま捉えた作品に仕上がっていると感じました。今作の音づくりで特に重視したことは何でしたか?

「セカンド・アルバムの『Contra』は、ファースト・アルバムの『Vampire Weekend』よりもエレクトリックなサウンドが増したアルバムになったけど、やっぱりその次のステップとして、今作ではよりオーガニックなサウンドを目指したかったんだ。でも、ただ単にオーガニックなサウンドというわけじゃなくて、ちゃんと“手を加えた”オーガニックなサウンドにしたかったね」

__それは、具体的にはどういうことですか?

「ウッディーなんだけど、それに自分達で手を加えて、ちゃんと操作した音にしたかったんだよ。エレクトリックなサウンドというものが、人の手によってつくり出されたものであるのと同じように、オーガニックっぽいサウンドというものを、自分達の手によってつくり出したいと思ったんだ。原料となる音に、ちゃんと手を加えてね」

VW_A2.jpg

__ただ単に一発録りしただけようなタイプの音ではない、ということですか?

「生音をちゃんと録音するという作業も重要だけど、ミキサーを担当してくれた人は、それにちゃんと手を入れて録音することも重要だって教えてくれたんだ。例えば今回のドラム・サウンドは、演奏したそのままを使った曲もあれば、録った音にさらに手を加えて使ったものもある。昔からある手法や要素をちゃんとアップデートして、できる限りフレッシュで前進させたものにしたかったんだ」

__あなたが担当しているキーボード面では、音づくりでどんな工夫をしましたか?

「今作ではピアノの他に、ボブ・ディランの作品で使われているようなハモンド・オルガンの音を使ったね。「Diane Young」では、サックスの音も取り入れてみたよ。あとは、どのアルバムでも使っているんだけど、今回もチェンバロの音を使っている。今回のアルバム・ジャケットには、1960年代に撮影されたニューヨークの写真を使ったんだけど、僕の中でボブ・ディランっていえば、1960年代のニューヨークというイメージがあるんだ」

__そういう風に、イメージがアルバム全体を通してつながっていく作品になっているんですね。曲づくり自体のアプローチも、従来とは違うやり方だったんですか?

「そうだね。余計や要素は全て取り除く、というアプローチでやっていったよ。例えば「Hannah Hunt」という曲は、ベース、ドラム、エズラと僕のボーカル・ハーモニーのみで構成された曲になっている。最小限の素材のみで曲をつくるってことがしたくね。装飾されていないアルバムにしたかったんだ。シンプルでありながらも、生音を上手く利用した詰ったサウンドになっていて、より自分達に近いパーソナルな音楽がつくれたと思っているよ。僕らにとって新しいチェレンジだったね」

__ちなみに、今作の中であなたが特にその新しいチェレンジが詰った曲だと感じているのは、どれでしょう?

「うーん「Ya Hey」かな。この曲の始まりは、最初に僕がオルガンでなんとなくメロディーをつくって、その上にエズラが音を重ねたことだった。で、エズラのアパートで、このアイディアをピアノで弾いていたら、エズラが“Ya, Hey, Ya, Hey…”って歌い出してね(笑)。その言葉がなんとなく独り立ちして、曲により深みを与えていくことになったと思う。スピリチュアルな側面が生まれたというかね」

__なるほど。

「それで、当初はエレクロニックな要素を入れようと思っていたんだけど、それは止めて、よりファンキーな曲調にしたかったから、そういうドラムを加えて、ベースラインはちょっとレゲエっぽい感じになった。曲のブリッジの部分は、LAで書き足したよ。アリエルが“ベースラインに変化をつけよう”って提案してくれて、僕は、そこのピアノをモーツァルトみたいなクラシック調にしたんだ。で、エズラがその部分の言葉を書いて、語り口調で乗せることにした。で、最後のクライマックスとなるコーラス部分は、昔から好きだったビョークのアルバムを参考にしたんだ」

photo: Alex John Beck
interview: iLOUD


【リリース情報】

VW_MVOTC_jk.jpg

Vampire Weekend
Modern Vampires Of The City
(JPN) XL/Hostess / BGJ-10167 (XLCD556J)
2013年5月8日 日本先行発売
HMVでチェック

tracklist
01. Obvious Bicycle
02. Unbelievers
03. Step
04. Diane Young
05. Don’t Lie
06. Hannah Hunt
07. Everlasting Arms
08. Finger Back
09. Worship You
10. Ya Hey
11. Hudson
12. Young Lion
13. Ya Hey (‘PARANOID STYLES’ MIX) *
14. Unbelievers (‘SEEBURG DRUM MACHINE’ MIX) *
* 日本盤ボーナストラック

【アルバム全曲試聴】

【VIDEO】



【来日公演情報】
フジロックフェステヴァル’13
開催日:7/26(金)7/27(土)7/28(日)
※ヴァンパイア・ウィークエンドの出演は、7/28(日)
http://www.fujirockfestival.com/

【オフィシャルサイト】
http://www.hostess.co.jp/xl/vampireweekend/
http://vampireweekend.com/

interviewカテゴリーの記事