『渚音楽祭 presents IN THE MIX mixed by TOMOYUKI TANAKA (FPM)』発売記念インタビュー

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2011年4月10日に東京 お台場・青海オープンコート、4月29日に大阪 舞洲スポーツアイランドで開催を予定している都市型フェスティバル、<渚音楽祭 2011春>。東北地方太平洋沖地震による会場等の損傷もなく、予定どおり開催の方向で、確認や調節が進められています。

この度の震災について、渚音楽祭のスタッフは、“この未曾有の大震災の中で、渚音楽祭は、皆さまに笑顔と勇気を届けられる音楽祭でありたいと願っています。今後は震災現地への具体的な支援や協力についても検討していきます。皆さんとチカラを合わせて、音楽とダンスと共に、世の中に、元気で前向きなエネルギーを伝えていきます!”とのメッセージをオフィシャル・サイトに掲載しています。

そんな渚音楽祭の初となるオフィシャル・ミックスCD、『渚音楽祭 presents IN THE MIX mixed by TOMOYUKI TANAKA (FPM)』が3月23日にリリースされました。ここでは、ミックスを担当した TOMOYUKI TANAKA (FPM)のインタビューとともに、今春の渚音楽祭についてご紹介いたします!

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IKE YARD『NORD』インタビュー

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’70年代末から’80年代前半に活躍したニューヨークのノー・ウェイブ系バンド/アーティスト群の中でも、特にカルト的な存在として知られるアイク・ヤード。ESGと並んで二組しか存在しない、マンチェスターのFactoryから作品を発表したUSバンドです。’06年には、当時FactoryとCrépusculeから発表したEP/LPなどをまとめた『1980-82 Cllected』がリリースされ、マニアの間で話題をさらっています。アイク・ヤードの中心メンバー、スチュワート・アーガブライトは、’83年にバンドが解散すると、その後はドミナトリックスやデス・コメット・クルー(DCC)といったエレクトロ・プロジェクトで活躍したので、こちらの名義でご存知の方も多いでしょう。

そんなアイク・ヤードが、スチュワートの呼びかけで復活し、なんと約30年ぶりとなるアルバム『ノルド』を、3月23日にリリースします。往年のアイク・ヤードそのままの、シンセやエフェクターを駆使したダークで無機質な音楽性と、エレクトロニカのエッセンスが融合した、モダンにして前衛的な内容で、’90年代には映画やTVのサントラを数多く制作していたスチュワートのキャリアも手伝ってか、映像的なサウンド・テクスチャーも印象的なものとなっています。

ここでは、そんな『ノルド』の内容と、アイク・ヤードの歴史について語った、スチュワート・アーガブライトのインタビューをご紹介しましょう。

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BRADBERRY ORCHESTRA『Vol.0』インタビュー

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Mr.Children、サザンオールスターズ、My Little Loverなどの大ヒット曲プロデュースや、非営利団体ap bankの活動で有名な小林武史と、クラブ・ミュージックをベースとした数々の革新的プロデュース作品や、世界を舞台としたDJ活動で知られる大沢伸一。この二人が2009年に立ち上げたニュー・プロジェクトが、BRADBERRY ORCHESTRAです。

これまで配信限定でのみ楽曲を発表してきた彼らですが、この3月16日には、ついにミニアルバム『Vol.0』をリリースしました。本作には、スマートフォンCMのタイアップソング、「LOVE CHECK」、「To be (or not)」、「L.P.D」のほか、ゲーム『龍が如く OF THE END』のオープニング曲、エンディング曲など、全6曲が収録されています。

そこでiLOUDは、このプロジェクトがいかにして誕生し、どこへ向かっているのか探るべく、小林武史と大沢伸一の二人に話を聞きました。

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XA-VAT『艶℃』インタビュー

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石井秀仁(GOATBED、cali≠gari)、小間貴雄(ex-goatbed)、SADIE PINK GALAXY(SPEECIES)、Közi(ex-MALICE MIZER)という、それぞれキャリアのある4人のアーティストからなる、XA-VAT(ザバット)。2010年9月に活動を開始したこのプロジェクトが、本日3月16日に、ファースト・アルバム『艶℃』をリリースしました。ここでは、本作に込めた思い、その背景を、石井秀仁と小間貴雄に語ってもらいました。

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supercell『Today Is A Beautiful Day』interview

インターネット上の動画コミュニティー・サイトをフィールドに広がり続ける、初音ミクをはじめとする歌声合成ソフト、ボーカロイドをフィーチャーした音楽ムーブメント。’07年8月に初音ミクが誕生して以来、楽曲プロデューサーやイラストレーター、動画クリエイターのみならず、ボーカリストや楽器のプレーヤー、ダンサー等のパフォーマー、一般の音楽リスナーをも巻き込み、今や一大カルチャーを形成している。

そんなムーブメントの渦中において、抜きん出た存在感を放ってきたのが、ここにご紹介するsupercellだ。コンポーザーのryoと、複数のイラストレーター、デザイナーからなるクリエイティヴ・ユニットであるsupercellは、その類い稀なメロディー・センスと、鮮烈なアートワークを融合させた初音ミク楽曲を、’07年よりニコニコ動画にアップし、瞬く間に注目を集める存在となった。現在680万再生を超える「メルト」を筆頭に、ニコニコ動画におけるsupercell関連楽曲の総再生回数は、5000万回を超えている。さらに、’09年3月にリリースしたファースト・アルバム『supercell』では、10万枚のセールスを記録。同年8月には、歌い手のnagiをフィーチャーしたシングル、「君の知らない物語」でメジャー・デビューを果たし、これまでに「さよならメモリーズ」「うたかた花火/星が瞬くこんな夜に」と3枚のシングルをリリースするなど、躍進を続けている。

そんなsupercellが、2年ぶりとなる待望のセカンド・アルバム、『Today Is A Beautiful Day』を完成させた。前述した3作のシングルに加え、新曲7曲を含む、全13曲を収録した本作。supercellらしい、青春の1ページをモチーフにした、エバーグリーンな輝きを放つ、シンフォニックなポップ / ロック・サウンドにさらに磨きをかけつつ、これまでになかったジャンルやテイストも取り入れた成長作だ。全収録曲で、nagiが儚くも力強い歌声を響かせているところも、大きな聴きどころとなっている。

さらに、本作のブックレットには、三輪士郎やredjuice、hukeら、supercellの気鋭イラストレーター陣による、全収録曲のテーマ・イラストを掲載。初回盤には、イラストはもちろん、宇佐義大(wooserdesign)がデザイン / ディレクションを手がけ、supercellメンバーのインタビューや楽曲解説も掲載した豪華版ブックレットと、新曲のPV等を収録したDVDが同梱される予定だ。

聴いて、見て、読んで楽しめるという、supercellならではのフォーマットに仕上がった『Today Is A Beautiful Day』。その内容と制作背景を探るべく、ryoとnagiに対面で話を聞いた。


【互いにファンだった、supercellとnagi】

__nagiさんは本誌 / iLOUD初登場ということで、改めてsupercellとの出会いから聞かせてください。まず、supercellの曲を歌ってみようと思ったきっかけは何だったんですか?

nagi「友達から教えてもらった「メルト」が最初に聴いたsupercellの曲で、すごく好きになったんですね。その後、ある日動画のコメント欄に、ryoさんが私の名前を書いているのを見て、“この人私を知ってるの?”ってびっくりしました」

__ryoさんはもともと、nagiさんのファンだったそうですね。

ryo「そうなんです。たまたま見た“歌ってみた”の動画で、すごく上手い人がいるなと思っていたんです。それで、“自分もnagiさんみたいな動画配信者になれたらいいな”、みたいなコメントを書き込んだら、nagiさんが実際に歌ってくれたんで、そうとう驚きました」

__nagiさんがsupercellの曲にひかれた理由は何だったんですか?

nagi「曲がいいのはもちろんですが、こんなに真っ直ぐな歌詞を書ける人がいることに驚いたんです。自分の中にある、恥ずかしさを乗り越えた歌詞に、魅力を感じました」

__nagiさんは、supercellとともに一緒に活動するようになって、何か大きな変化はありましたか?

nagi「supercellと活動をするまでは、エレクトロニカ系など聴く音楽も偏っていたけど、一緒にやるようになってからは、いろんなものを取り込みたい気持ちが強くなって、バンドものとか、王道のポップスとか、食わず嫌いで聴かなかった音楽も聴くようになりました」

__そうだったんですね。nagiさんは、supercellのように、ストーリー性のある楽曲を歌う際、曲で描かれている物語の主人公になった気持ちで歌うんですか?

nagi「どちらかというと、キャラクターになり切るというより、歌詞で表現されている感情に近い、自分の感情を歌っている感じです。共感するようなイメージですね」

__supercellの楽曲では、様々な感情がモチーフとなっていますが、歌うときは、どのようにその気持ちに入り込むんですか?

nagi「まず、余計なものは最初に捨てて、からっぽになるよう心がけています。その何もない状態から、どういう風に感情を組み立てようか考えながら歌っています。曲の歌詞を読めば、嬉しいとか、悲しいといった、だいたいの感情は把握できるけど、字面通りに飲み込むのではなく、歌詞の奥にある深い感情を探っていく感じです。“笑った”という言葉からは、普通、“嬉しい”といったポジティブな感情をイメージするけど、そういう自分の先入観を一旦捨てて、どうしてその感情に至ったかを考えていくと、自然とカラになれるんですよね」

【一つ一つの記憶を物語にしたセカンド・アルバム】

__それでは、セカンド・アルバム、『Today Is A Beautiful Day』について教えてください。まず、本作では全てnagiさんがボーカルを担当している点が、初音ミクをフィーチャーしたファースト・アルバムとの一番の違いだと思いました。今作では、最初からボーカロイドは使わない予定だったんですか?

ryo「ファースト・シングルの「君の知らない物語」でnagiさんに歌をお願いしたんですけど、他のスタッフは、曲ごとにボーカリストが変わると思っていたみたいですね。でも、自分はnagiさんのファンなので、全てに参加してもらいたいと思っていたんです」

__初音ミクという特定のキャラクターをフィーチャーしていないかわりに、本作では、全ての収録曲に、それぞれの主人公がいるイメージを持ちました。

ryo「自分は、音楽で喜怒哀楽を表現したくて、今回のアルバムでは、これまでの人生で経験したことや記憶していたものとか、そういう全ての感情を、うまくパッケージしたかったんです。だから、記憶を一つ一つ物語にして、表現していった感じなんですよね。まず「君の知らない物語」から始まって、最後に再びこの曲で終わるイメージが頭にあったんで、それを軸に、アルバムの流れをつくっていきました」
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__「君の知らない物語」は、アルバムの2曲目に収録されていますが、この曲が本作の方向性を位置づけたんですね。収録曲それぞれが、独立した物語になっているので、いろんな日の出来事や気持ちをスケッチした日記というか、ショート・ショートや短編映画集のように感じられました。なぜ、『Today Is A Beautiful Day』というタイトルにしたんですか?

ryo「昨年公開された『告白』という映画で、“人生は素晴らしい”みたいなことを語る背景で、レディオヘッドのような、メランコリックな音楽が流れていたのが印象的だったんです。本作は、そういう皮肉めいたイメージで、“Today Is A Beautiful Day”と捉えても、そのままストレートに“今日はいい日だ”と捉えてもらっても構わないんです。人生って、そのどちらか一方の感情だけではないし、どちらの立場にいても、“Today Is A Beautiful Day”と言うことができますよね。だから、その日の感情によって、捉え方が変わるような言葉をタイトルにしたかったていう」

__なるほど。では、各曲について詳しく教えてください。まずは、1曲目の「終わりへ向かう始まりの歌」ですが、これは、イントロ的な短い曲ですね。

ryo「まず、“終わりへ向かう始まり”という単語をアルバム制作中に思いついて、1曲目が終わりだと面白いなと思ったんです。回想シーンから始まり、現在から過去に潜っていって、また現在に戻る流れをイメージしました。この曲では、しる(redjuice)さんに、アルバムのイントロとアウトロを聴いてもらって、何枚かラフを描いてもらったんです。絵を描く人には、いつも“その人らしくないもの”を求めているけど、今回も、いい意味でしるさんっぽくない、見たことのないタッチの作品が上がってきて驚きました(※この曲のイラストはP10~11を参照)」

__3曲目の「ヒーロー」は、『ヤングジャンプ』の新増刊雑誌、『アオハル』のテーマ・ソングに起用されています。この曲では、恋の始まりの、ドキドキするようなストーリーが展開されていますね。
ryo「『アオハル』では、漫画家さんに“自分の可愛いと思うヒロインを描いてください”という命題があったそうです。で、それと同じテーマで曲をつくってほしいと言われたので、だったら、実際にマンガ家さんに話を聞いてみようと思い、イラストレーターの三輪さんと、昔の思い出とか、いろいろ話をしてみたんです。その中で、漫画家を目指す少年を主人公にしようと思いつきました。中高生の頃って、オタクって迫害されるイメージがありますよね。でも、自分は、“オタクだっていいじゃん”って。自分もそうだったし、そういう子たちを応援したいと思っているんです。この曲では、主人公とヒロイン、第三者という、いろんな視点が入り組んでいるけど、それをnagiさんが、可愛く歌ったり、カッコよく歌ったり、歌い分けてくれました」
nagi「普段はやることのない手法ですが、性別やキャラクターがスイッチしていく感じを、この曲では特にイメージして歌いました」

__「ヒーロー」は、まるで学園もののラジオ・ドラマが歌になったような、斬新な曲でした。続く「Perfect Day」は、アコースティックで穏やかな曲調から、サビでエネルギッシュに変化する一曲ですね。
ryo「「Perfect Day」は、アルバムのタイトルに近いイメージの曲で、すごく良い日と、良くない日のどちらを“Perfect Day”と言ってもいいけど、どちらかと言うと、“きっと明日は…”というニュアンスから生まれています。アルバムを象徴する一曲だと思います。この曲では、フル・アニメーションのPVも制作していて、初回盤のDVDに収録される予定です」

【ヘヴィー・ロックにR&B!supercellの新境地】

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__5曲目の「復讐」は、これまでにない激情系のヘヴィー・ロック・ナンバーとなっていますね。

ryo「「復讐」は、喜怒哀楽でいうと“怒”の曲ですね。この曲がないと、アルバムが全部青春で終わっちゃうなと思って(笑)。この曲は、最後に焼けた鉄の靴を履いて踊らされるという、『白雪姫』の原作がアイディアの源になっています」

__この曲では、nagiさんの可憐で儚いイメージを覆す歌声にも驚かされました。

nagi「他の曲では、自分に近い感情を探せましたが、この曲に関しては、どんな気持ちか理解できなくて、それを探すのが大変でした。でも、“あまり怖くなりすぎないように”とryoさんから言われたので、ドスの効いた感じよりも、なるべく可愛さが残るように意識しました」

__続く「ロックンロールなんですの」も、「復讐」とは全くテイストが違うものの、その名の通り、ロック色の強い一曲ですね。

ryo「松任谷由実さんやアンジェラ・アキさんのライブに参加している、ドラマーの村石雅行さんの叩きっぷりが、すごくカッコよくて、その様を見て、この曲のドラム・フレーズが思い浮かんだんです。これを村石さんが全力で叩いたら、絶対カッコイイなと。で、そのフレーズから組み立てていきました。この曲は、BPMが200以上あるんですが、ロックンロールのニュアンスを、早いテンポで再現したらどうなるんだろう?ということでつくってみました」

__この曲は、ドラムもアコギも、すごくリズミカルで、カッティングの効いたサウンドになっていますね。歌詞の口調や節回しも独特ですよね。

nagi「これは、歌ったときに、すでにテンションが上がっていて、仮歌をryoさんに返した段階で、かなり弾けてました。勝手にハモりをつけて、ryoさんに送り返したりしましたね」
ryo「この曲でもそうなんですが、nagiさんの意見は、ちょこちょこと取り入れさせてもらいました。デモを聴いてもらって、キーを変えた音をやりとりしたり、アドリブを入れてもらったり、歌詞をその場で書き換えたり、その場でトライ&エラーしながらつくっていった、本作の特徴がよく出ている感じがします」

__7曲目の「LOVE & ROLL」は、キュートでポップな、本作で唯一の打ち込み曲ですね。

ryo「この曲は、アルバムに入れるつもりじゃなかったんですが、周りのスタッフから、“タイアップの曲は、アルバムに入っていた方が嬉しい”という声が多かったんですよね」

__8曲目の「Feel so good」は、ジャズやR&Bの要素を持つ、ブラック・コンテンポラリー調ナンバーに仕上がっていますね。これまでのsupercellにはなかった、アダルトなムードに驚かされました。

ryo「この曲は、アルバムの中間あたりに、箸休めというか、息の抜けた曲がほしいなと思ってつくりました。ジャズ・トランペット奏者の日野皓正さんの息子さんで、ベーシストの日野賢二さんのプレイを、たまたま音楽番組で観たんですけど、すごく楽しそうに演奏していて、自分もいつかこんな人と一緒に、音楽をやれたら楽しいだろうなと思っていたんです。それが、この曲で実現しました」

__この曲は、日野賢二さんによる、スラップ・ベースのソロ・パートなど、聴きどころの多い一曲ですね。nagiさんは、こういうR&Bテイストな曲を歌ったことはありましたか?

nagi「こういう曲は初めてでしたが、本作の中では、私の年代に一番ハマっている歌詞なので、自然体で歌えました」
ryo「nagiさんは、節回しの速さやスピード感、声の質感とかが、すごくR&B的というか、初めて聴いたときから、そういう印象を持っていたんです。だから、こういう曲を歌ったら絶対にハマるだろうなと思っていました」

__続いて、「星が瞬くこんな夜に」ですが、ギター、ピアノ、ストリングスが取り入れられていることで、ポップであり、ロックでもあり、シンフォニックでもあるという一曲になっていますね。こうした曲調は、とてもsupercellらしいですね。

ryo「この曲は、『魔法使いの夜』というPCゲームのエンディング・テーマになるということで、原作を読んで、内容についての話も聞いて、物語の一瞬を切り取ってみた感じです。この曲に関しては、あまり試行錯誤した印象がないので、こういうテイストが得意ってことなんでしょうね。星の感じを表現するのにストリングスが、重要な役割を果たしていると思います」

__10曲目の「うたかた花火」は、ピアノとアコギが奏でるバラードで、花火の消え行く儚さが表現されていますね。

ryo「花火ってそのときは鮮やかで賑やかなイメージですが、後から思い返してみると、全然鮮明さがないから不思議ですよね。その雰囲気をなんとか曲で再現できないかなと思いました。で、スモークがかったというか、モノクロっぽいフィルムに、ほこりがかかったイメージを意識しました」

__11曲目の「夜が明けるよ」ですが、本作の中では一番落ち着いたスローな曲ですね。nagiさんの持つ繊細さが、最も表れている曲だと感じました。

ryo「これは、一番最後につくった曲で、ふとんに入っても寝れないときの気持ちから生まれた曲ですね。自分の作業部屋って、正面と左に窓があって、朝4時頃になると、空が若干白み始めるんです。5~6時にはどんどん明るくなり、気温も上がっていって、家の横に学校があるので、だんだん賑やかになっていくんですよね。そんな様子も、モチーフになっています」

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__12曲目が「さよならメモリーズ」ですが、これもsupercellらしい、青春の1ページを描いた曲になっています。この曲でのnagiさんの歌声は、別れの日が迫る焦燥感や、抑えきれない感情を見事に表現していると思いました。

nagi「言いたいけど言えないという焦燥感は意識しました。実は、この曲の最後に、“スッ”と息を吸う音が入っているんです。仮歌の段階で、苦しくなって思わず入ってしまった音が、逆に“いいね”ってことになったんですよ(笑)」

ryo「息の音は、偶然の産物だったけど、結果的に重要なアクセントになりましたね。「君の知らない物語」で始まるので、この「さよならメモリーズ」は、最後に持ってくるのがいいかなというイメージがあって、それを軸に全体の流れをつくったんです」

__そうだったんですね。ラストを締めくくるのが「私へ」ですが、この曲のメロディーは、「君の知らない物語」と同じなんですね。

ryo「そうですね。その日が楽しくてもキツくても、明日がやってきて、その後もまた明日がやってきて…って、人生は続いていきますよね。だから、生きていくしかないんだって、去年思った時期があったんです。この曲には、諦めや絶望みたいな日々すらも肯定したくて、“頑張っていこうぜ”みたいな感じで、自分に向けた部分もありますね」


【“常にそばにいてくれる音楽”を目指して】

__『Today Is A Beautiful Day』で新たに表現できたことや、挑戦したことはありましたか?

ryo「全てだと思います。好きなものだけで固めず、やったことのないジャンルや、知らないものとか、今聴いている中でいいと思えるものをやってみたかったので、全てがチャレンジでした。自分は音大出身でもないし、音楽理論に詳しくて、ピアノがめちゃくちゃ上手いわけでもないので、メジャー・デビューして、音楽業界で活動していくこと自体がチャレンジなんですね。そう考えると、チャレンジすること自体がsupercellという認識を、今回のアルバムで新たにできた気持ちです」

nagi「私にとっても、今までありそうでなかった曲ばかりでした。昔は直感で歌うことが多かったですが、supercellで歌うようになってからは、一曲一曲に対して深く考えたり、歌いながら試行錯誤するようになりましたね」

__本作は、supercellの新たな面が、たくさんつまった作品になっていると思います。リスナーの方には、本作をどのように楽しんでもらいたいですか?

ryo「10代半ばくらいの人に説教臭いことを言っても、ピンとこないと思うし、音楽自体が説教臭くなると聴いてもらえないので、こういう感じで、自分流に“人生は素晴らしいんだよ”って伝えられたらと思っています。それに、自分の中では、ちょっと勇気がほしいときや、落ち込んでいるときなど、喜怒哀楽のどんなときにも、音楽がそばにいてくれるんですね。そんな、常にそばにいてくれる音楽をイメージして、このアルバムをつくったので、常に携帯してもらって、その人の力にしてくれたらいいですね」

nagi「時間が経っても、ふと思い出したときに聴いて、違う感想を持ってもらえたら嬉しいし、一緒に歌ってもらっても嬉しいし、自由に楽しんでもらいたいですね」

__supercellとして、今後どのような活動を展開していきたいですか?

ryo「今は、劇伴音楽をやりたいと思っています。あとは、長い展望だけど、死ぬまでにグラミー賞を取りたいですね。“何を言ってるんだ”とバカにされそうだけど、それでもいいんです(笑)。そう思われていた方が、受賞したときに、きっとみんな驚きますよね(笑)」

interview & text HIROKO TORIMURA

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supercell『Today Is A Beautiful Day』インタビュー

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2007年に活動を開始した、コンポーザーのryoと複数のイラストレーター、デザイナーからなるクリエイティヴ・ユニット、supercell。ボーカロイドの初音ミクをフィーチャーしたオリジナル楽曲をニコニコ動画にアップし、2000万回を越える総再生回数を記録、2009年8月には、シングル「君の知らない物語」でメジャー・デビューを果たしています。

そんなsupercellが、待望のセカンド・アルバム、『Today Is A Beautiful Day』を3月16日にリリースします。本作は、初音ミクではなく、歌い手のnagiを全編でフィーチャーし、さらに磨き上げられたsupercellの世界観を、nagiが瑞々しい歌声で表現した注目の一作となっています。そこで、『Today Is A Beautiful Day』の内容を掘り下げるべく、楽曲を手がけたryoと、ボーカルと務めたnagiの二人を直撃。全収録曲について、じっくりと語ってもらいました!

supercell『Today Is A Beautiful Day』インタビュー

killing Boy ファースト・アルバム『killing Boy』インタビュー

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ART-SCHOOLのフロントマンとして、作詞作曲の大半を手がけ、独特の個性を放つ木下理樹と、同バンドのオリジナル・メンバーとして活動した後、ZAZEN BOYSを経て、現在はストレイテナー、Nothing’s Carved In Stone(以下、NCIS)で活躍するベーシスト、日向秀和。この二人が再びタッグを組み、スタートさせた新プロジェクトが、ここにご紹介するkilling Boyだ。レギュラー・サポート・メンバーに、伊東真一(G/from HINTO)、大喜多崇規(Dr/from NCIS)を迎え、昨年末にはで初ライブを行い、大きな話題を呼んでいる。

そんなkilling Boyが、このたび初のアルバム『killing Boy』を完成させた。ファンクやアフロ・ビートにも通ずる、ダンサブルなグルーヴ&ループ感、ボトム・ヘヴィーなサウンド、立体的な音像を主軸とした、シンプルながらも深みのある楽曲が堪能できる本作。パーカッションで、アヒト・イナザワ(VOLA & THE ORIENTAL MACHINE)が参加している点も注目だ。

killing Boy結成の経緯と、そのオリジナリティーあふれる音に隠された背景を探るべく、木下理樹、日向秀和の二人にインタビューを行った。

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buzzG Feat. 初音ミク×VOCALISTS 『Symphony』 インタビュー

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エモーショナルで重厚なギター・ロックに、シリアスな詞の世界観を融合させ、ボーカロイドのMegpoid(GUMI)や初音ミクをフィーチャーした楽曲を、’09年8月頃からニコニコ動画等で発表してきたクリエイター、buzzG。ニコニコ動画にて、初音ミク楽曲の「GALLOWS BELL」「アルビノ」「かくれんぼ」で20万再生を記録している彼が、明日3月9日の“ミクの日”に、初音ミクと4人のボーカリストをフィーチャーしたメジャー・デビュー・アルバム、『Symphony』をリリースします。

重厚なロックとボーカロイドの融合サウンドは、どのように生み出されているのでしょう?その制作背景について、buzzGに話を聞きました。

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Mizca 『1925』インタビュー

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本名の光岡昌美名義での活動を経て、2009年10月に、高野健一によるソロ・プロジェクト、pal@popをプロデューサーに迎えた配信限定シングル、「Robotics」でデビューしたダンス・ポップ・シンガー、Mizca。これまでに、CDシングル『キラキラ☆』、『ダメよ♡』、ファースト・アルバム『♡UFUFU♡』を発表し、レトロ・フューチャリスティックなエレクトロ・サウンドと、キュートなビジュアル・イメージで注目を集めている存在だ。

そんなMizcaがこのたび、ニュー・シングル『1925』を、タイプA、タイプBの2バージョンでリリースする。表題曲「1925」は、ニコニコ動画で130万再生を突破している、超人気ボーカロイド曲のカバー。トランス調にアレンジされたこのカバーでは、Mizcaの新たな方向性を、うかがい知ることができる。カップリングの「FLY FLY FLIGHT!!」では、「1925」のオリジナル曲を作詞・作曲した、T-POCKETとコラボレートしている点も注目だ。また、本シングルのアートワークは、「1925」オリジナル動画のイラストでおなじみの絵師、chihoが担当。タイプAでは、「1925」のイラストをMizca風にアレンジしたもの、タイプBでは、イラストと実写のMizcaをコラボさせたものが楽しめるので、ぜひ両バージョンともチェックしてほしい。

最近では、ニコニコ動画での活動も積極的に行っているMizca。その新たなビジョンと、ニュー・シングルの制作風景について、本人に話を聞いた。

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LDK第三弾、Croquemonsieur「Moroccantea」インタビュー

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トップDJ/プロデューサーとして活躍する大沢伸一と、本誌LOUDが共同主宰で立ち上げたデジタル・レーベル、LDK。その第三弾リリースに、大沢伸一の変名プロジェクト、CROQUEMONSIEUR(クロックムッシュ)の新曲「MOROCCANTEA」が決定し、本日iTunes Storeでの配信がスタートしました。

LDKからこれまでに発表してきたCROQUEMONSIEUR「WILD CAT / TIGER」(LDK001)、Shinichi Osawa + Supabeatz「Cyclone」(LDK002)同様、既存のジャンルに囚われないアイディアが詰まった本作。そのサウンドは、大沢伸一らしいセンスが光る、斬新なものとなっています。

そこでLOUDでは、大沢伸一本人に、今作「MOROCCANTEA」の内容について聞いてみました。

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