MOUSE ON MARS『Varcharz』

 ’94年デビューの大御所エレクトロニカ・アクト、マウス・オン・マーズ。約2年ぶり、通産10枚目のスタジオ・アルバムが届きました。容赦なく切り刻んだエレクトリック・ビートと、脳内を掻き乱すノイズやディストーション、一筋縄ではいかない歪んだ音像がサイケデリックです。さらに、パワーアップしたタフなボトムにも要注目!ブレイク・コアやヒップホップ、ハウス、ブロークンビーツ、ロックなど、様々なリズムを吸収、昇華させた、独自のグルーヴで聴かせてくれます。幅広い音楽、音響を探究してきた、彼らの鋭い感性が結実した快心作。チルからカオスまで、電子音の可能性が存分に詰まっています。
★★★★★★★★★☆ (SN)

MOUSE ON MARS
Varcharz
(JPN) VICTOR / VICP-63522
ELECTRONIKA

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TRANSIT KINGS『Living in a Giant Candle Winking at God』

 ジ・オーブのアレックス・パターソン、元KLFのジミー・コーティー、ピンク・プロイドのセッション・メンバーとして知られるガイ・プラット、名エンジニアのドム・ベッケンという四名によるプロジェクト、トラジット・キングス。クラブ・ミュージックに“チルアウト”という扉を開いた、パターソンとコーティーが再び手を組んだことで話題になっています。気になるその内容は、ファンが期待するチルなムードに、様々なリズムを絡めたダンサブルなもの。ベテランの余裕を感じさせるフレーズや音色の数々を聴いていると、15年前のトリッピーな時代へと、頭がフラッシュバックしてしまいます。
★★★★★★★☆☆☆

TRANSIT KINGS
Living in a Giant Candle Winking at God
(JPN) VICTOR / VICP-63534

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JURASSIC 5『Feedback』

 LAが生んだスーパー・ヒップホップ・ユニット、ジュラシック5。2004年のでは、ファンキーなサウンドとMCのハーモニーで、ロック・ファンにもその存在感を示しました。四年ぶり待望の三作目には、アート・オブ・ノイズ「Beat Box」、SUGAR HILLレーベルの名曲「On The Radio」、カーティス・メイフィールド「Mr. Welfare Man」など大ネタ満載。トラック・メイカーの一人カット・ケミストは脱退してしまったので不参加ですが、彼のソロ作と今作には、共にボサノヴァ・アーティスト、アストラット・ジルベルトの「Berimbau」を使用した曲が収録されています。偶然とは思えませんね!?
★★★★★★★★☆☆

JURASSIC 5
Feedback
(JPN) UNIVERSAL / UICS 1119
HIP HOP

MOLOKO『Catalogue』

 マーク・ブライドンとロイシーン・マーフィーによる’95年デビューのデュオ、モロコ。4枚のオリジナル・アルバムを発表している、クラブ・シーンでは知られた存在です。ここで御紹介する『Catalogue』は、彼らの軌跡を辿った2枚組の作品集。CD1は、彼らの出世作「Sing It Back」や、ディープ・ハウス・アンセム「Forever More」など全13曲を収録したベスト盤。CD2は、’03年にブリクストン・アカデミーで行ったパフォーマンスを収録したライヴ盤となっています。ライヴでのアレンジは、かなりオリジナルと違うので、二枚ともしっかり楽しめますよ! 日本盤には、「Sing It Back」のPVも特別収録。妖しく歌い舞う、ロイシーンのキュートな姿も必見です!
★★★★★★★★☆☆ (SN)

MOLOKO
Catalogue
(JPN) PONYCANYON / PCCY-80022
JAZZY

CORINNE BAILEY RAE『Corinne Bailey Rae』

 BBCが年初に、今年ブレイクする新人を予想した“SOUNDS OF 2006”にて、見事第1位を獲得した逸材、コリーヌ・ベイリー・レイ。そのキュートなルックスから、“なんだぁ、アイドルかぁ…”と勝手に想像していましたが、ここで御紹介する1stアルバムを聴いて、そんなイメージは吹っ飛びましたー! オーガニックなバック・トラックに漂う暖かいメロディー、ソウルフルでトロけるような歌声、シャーデーを彷佛とさせる艶っぽさが共存しています。どこかブルーアイド・ソウルっぽい魅力も不思議とあるんですが、ツェッペリンに憧れて10代の頃にロック・バンドを組んでいたという彼女の経歴を知って、妙に納得。現在26歳。いやぁ、マジでカワイイ…。(結局ソレ!?)
★★★★★★★★☆☆ (SN)

CORINNE BAILEY RAE
Corinne Bailey Rae
(JPN) TOSHIBA EMI / TOCP-66600
URBAN

CORINNE BAILEY RAE『Corinne Bailey Rae』

WOLFMOTHER『Wolfmother』

 ハード・ロックの国、オーストラリアからスリーピース・ハードロック・バンド、ウルフマザーのデビュー・アルバムが届きました! 誰がどう聴いてもレッド・ツェッペリンを思い出してしまう「Dimension」を筆頭に、キャッチーでパンチの効いた活きのいいロック満載です。収録曲のうち「Woman」にはマスタークラフト・リミックスが存在しており、KITSUNEの最新コンピ『KITSUNE MAISON 2』に収録されていたので、クラブミュージック・ファンからも注目されていますね。アメリカのメジャー・レーベルと契約を締結、フジロック’06ではグリーン・ステージに出演が決まっていますが、ジェットの次に世界を獲れるか?! 注目です!
★★★★★★★★☆☆ (TK)

WOLFMOTHER
Wolfmother
(JPN) UNIVERSAL / UICS-9051
ROCK

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DJ PATIFE『Na Estrada』

 サンパウロを拠点に活動するブラジリアン・ドラムンベース・クリエイター、DJ パチーフェ。2004年にはバルセロナのにも出演した、注目のアーティストです。DJ マーキーの盟友としても知られていますね。このデビューアルバムでは、ボサノヴァやジャズを取り入れたメロディー、クラブで踊っても、家でまったり聴いても共に楽しめます。全体的に、明るくしっとりした雰囲気。伸びやかなヴォーカルも心地よい空気を演出していて、これからやってくる夏にぴったりの一枚です。スティーヴィー・ワンダー「Overjoyed」、ブラジル・ポップ・ミュージックの歌姫、マリーザ・モンチ「Diariamente」のカヴァーも収録。今年は、METAMORPHOSEでの来日も決定しています。
★★★★★★★★☆☆

DJ PATIFE
Na Estrada
(JPN) KSR / KCCD-187
DRUM’N’BASS

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BIO-TONIC『Klash』

 フレンチPSYトランスの旗手、バイオ・トニック。エネルギッシュなスリー・ピース・ユニットとして、PSYトランス・シーンのなかでも、ひときわ異彩を放っている存在です。そんな彼らが、前作から2年の熟成期間を経て、4thアルバムをリリース! 一度聴いたら脳裏から離れないキャッチーなボーカルものから、邪悪にねじれた音で攻めるアシッディーなトラック、美しいトライヴァル・ボイスを効かせたゴア風トランスまで、各楽曲ごとに異なる魅力を披露しているのが見事です。直線的なスピード感のみに頼ることなく、丁寧にサウンドを組み立てた、彼らならではの芸術的なサウンド・スケープが楽しめます。
PSY TRANCE ★★★★★★★☆☆☆ (SN)

BIO-TONIC
Klash
(JPN) SOLSTICE MUSIC / SOLMC-073

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坂本龍一『Bricolages』

 坂本龍一が約9年ぶりにポップ・フィールドへアプローチした『Chasm』(’04年発表)を、新進気鋭のクリエイターから大物ミュージシャンまで13組が再構築したリミックス・アルバム。エレクトロニカ的タッチのトラックを中心に、静かに、そして知的なムードで進行していく内容。『Chasm』で展開した斬新なサウンドを、より前衛的にしたような作品です。リミキサーは、コーネリアス、フェネス、クレイグ・アームストロング、スティーヴ・ジャンセン、アルヴァ・ノト、AOKI takamasa、テイラー・デュプリー、リチャード・ディヴァイン。坂本龍一と縁のあるアーティストも多数参加しています。なお、日本盤には細野晴臣のボーナス・トラックを収録。
ELECTRONICA ★★★★★★★★☆☆ (FT)

坂本龍一(RYUICHI SAKAMOTO)
Bricolages
(JPN) WARNER /WPCL-10315

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MARK DE CLIVE-LOWE『Face』

 オリジナル楽曲のみならず、リミックスやコラボレーション作、ライヴ音源も収録することによって、“アーティストの様々な顔を紹介する”というコンセプトで始動した新シリーズ・コンピ『Face』。その第一弾にフィーチャーされたのは、ウエスト・ロンドン・シーンを賑わす名キーボディスト、マーク・ド・クライヴ-ロウです。注目すべきは、ジャイルス・ピーターソンの番組『BBCワールド・ワイド』で放送されたライヴから4曲を収録していること。なかでも、ベンベ・セグゥウェイをボーカルに迎えてカバーした、王道ジャズ「Caravan」のブロークン・ビーツ・バージョンは、レア度高し! 数台のキーボードとサンプラーを同時にプレイする、マークの妙技は驚愕です。
JAZZY ★★★★★★★★☆☆ (SN)

MARK DE CLIVE-LOWE
Face
(JPN) COLUMBIA / COCB-5360

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